【ラグビー】秩父宮に勝利の音が響いた!明大にリベンジ果たし対抗戦3連勝/関東大学対抗戦④VS明大

ラグビー

試合後喜びを分かち合う選手・スタッフ陣

関東大学対抗戦Aグループ vs明大

慶大13-12明大

11月1日(日)14:00K.O.

@秩父宮ラグビー場

 

 

 

筑波大戦後から、慶應ラグビーは確実に前へ、前へと進んでいた。昨年苦杯を喫した日体大を寄せ付けず、続く立教大に対してもつけ入る隙を与えなかった。それでも。相手はあの明治大学、苦戦は必至という展望だった。

ラストワンプレー。80分間の善戦は、15番の左脚にその結末が委ねられた。難しくはない、だが簡単ではない。そんな角度からのショット。静まり返ったグラウンドには楕円球の鈍い衝撃音だけが響き、次に音をたてたのは会心の勝利を告げるホイッスルだった。

T=原田
G=山田 PG=山田2

 

慶大蹴球部、明治大学に劇的勝利。勝因は、やり抜いたこと。

 

まずは、タックル。自陣ではほとんどボールを運ばず、SH上村龍舞(環4・國學院栃木)、SO中楠一期(総2・國學院久我山)、FB山田響(総1・報徳学園)を中心に徹底して敵陣に蹴りこんだ。そして、徹底して相手の身体に刺さり続けた。「低い!」と叫びたくなるタックルをLO相部開哉(政4・慶應)が見舞うと、FL山本凱(経3・慶應)は「強い!」という感じで紫紺のジャージをなぎ倒す。この試合唯一のトライシーンを演出したのも、「原田衛(総3・桐蔭学園)のタックルから今野勇久(総2・桐蔭学園)のジャッカル」だった。そしてなにより、三木亮弥(環4・京都成章)。右に左に、目を落とせばいつもそこには13番のジャージの姿があり、低く刺さるタックルで幾度となくチームの危機を救った。圧巻にして納得のマンオブザマッチ(MOM)だ。

 

トライを決めたHO原田(右)とそれを称えるCTBエノサ(左)

CTB三木のタックル

 

次にフォワード戦。モールにスクラム、そのいずれも重戦車の思い通りにはさせなかった。相手のラインアウトモールに対しては全員で首をいれ、侵攻を許さない。すると今度は攻めに転じて、この試合のハイライトを生んだ。後半16分のマイボールラインアウト。明大のコラプシングを誘いアドバンテージを得ると、約10m、一気呵成で押し切りトライ。

 

そして、山田響もやり抜いた。先制のPGを難なく沈めた後、タッチキックミスを連発。一度目は白い歯がこぼれたが、二度目のミスには思わず頭を抱えていた。どのように切り替えたのだろう。後半開始直後のPGも失敗したものの、後半16分のコンバージョンキックは成功。最後のPGを託され、そして決めた。首脳陣は、チームメイトはルーキーを信じ、ルーキーはそれに応えた。13-12で、ノーサイド。見事、昨年の対抗戦覇者を下した瞬間だった。

 

FB山田

 

やり抜いて、勝った。しかも相手は昨年大差で敗れた明大だというのだから、その意義は大きく、残り3試合をいかにやり抜くかが肝要となる。来週は青山学院大戦、慶大蹴球部はさらなる進化を見せてくれるだろうか。

(記事:野田快 写真:刀禰仁生、長谷川健太)

 

次戦 vs青学大

11月8日(日)11:30K.O.

@上柚木公園陸上競技場

 

◇共同記者会見より抜粋

――今日の試合について

栗原監督:無事に明治と試合ができ、果敢にチャレンジした結果勝利できましたけども、何よりも選手全員が精一杯チャレンジしてくれたことを嬉しく思っています。

LO相部:明治大学が相手ということで、自分たちはチャレンジャーマインド、挑戦者の心を持って挑みました。その中で自分たちのやるべきことにフォーカスし、それをやりきって勝つことができ、最高の結果になったかと思います。まだ課題も多くあるので、修正していければと思います。

LO北村:チーム全員で「ディフェンスで勝つ」と話をしていました。それをフォワード・バックス一体となって全員でできたことがこの結果につながったと思います。主将も言った通りまだまだ課題もあるので、しっかり練習をして次の試合に備えたいと思います。

 

――慶応のタックルが印象的な試合でした。選手の実感としては80分間やりきれましたか。ディフェンスにおいてこの試合でフォーカスしていたことは。

LO相部:やりきれたかという点に関しては、フォワード・バックス一体となって80分間良いディフェンスをし続けられたと思っています。フォーカスしていたことは、前に出て相手にプレッシャーをかけ、時間とスペースを奪うことです。さらにそこから、明治大学はワイドなアタックをしてくるので、それに対して良いスペーシングをして、アタックをシャットアウトすることにフォーカスしていました。

 

――最後のPG成功の瞬間の気持ち

LO北村:ラストのプレーというのがわかっていたので、(PGが)入った瞬間本当に嬉しかったです。80分間のうちに苦しい時間帯もうまくいかない点もたくさんあったのですが、これまで準備してきて良かったなという気持ちになれました。

LO相部:実は自分はまだ時間が残っていると思っていたので、「(PGが)入ったら残りの時間をどうしよう」と次のことを考えていたので、終了の笛が鳴った瞬間びっくりはしましたが、我慢し続けて良かったなとか、報われたなと感じました。自分たち23人だけでなく、部員全員が報われたなと感じました。

栗原監督:ゴールが入る前にスタッフ陣は握手をしていました。その握手は勝ったからではなくて、ここまでみんな精一杯頑張ったので、僕は(PGが)入っても入らなくてもすごく満足な試合でした。ただ(PGが)入って、みんなが喜んでいる顔を見て、入って良かったなと思っています。そして、そこまでの80分の努力を素晴らしいなと思っています。

 

――チーム作りにおけるコロナ禍の影響は。特にタックルはどのように強化してきたか。

栗原監督:ここにいる(相部)キャプテンと北村といった4年生が自粛期間中は主体的にチームの運営をしてくれていました。そのおかげで自ら考えて動くということが例年よりも非常にできていると思っています。今回の勝利は4年生の努力の勝利だと感じています。タックルの秘訣は、慶應大学には120年の歴史がありまして、僕が何も言わなくてもみんなタックルしますので、昨年の先輩方の重みが彼らに乗り移ったのかなと思います。

 

――山田響選手について。前半からタッチキックやゴールでうまくいかない場面もあったと思いますが、蹴らせ続けた理由は。本人にかけた言葉はなにかありましたか

LO相部:前半からたしかに(山田)響はタッチキックを失敗してしまうところもありましたが、自分は彼のキックを信頼していますし、彼をキッカーとしている時点で彼がチームで一番キックがうまいということなので、彼がキックを失敗することは慶應が失敗したということで、彼一人の責任というよりかは自分たちの力が及んでいないということなので気にしないでいいと声をかけていました。最後のキックを彼に任せたことは、彼に重いプレッシャーを与えてしまったなとは思ったのですが、彼がかなり大舞台を経験してきたことへの信頼や、彼の普段の立ち振る舞いから逆境を乗り越える力があると感じていたので、任せました。

 

――この記者会見の場に、北村選手を選んだ理由は

LO北村(写真中央)

栗原監督:目を見張るほど素晴らしいはたらきを北村はしてくれました。こういった場に上がることも卒業したらあまりないと思いますので、連れてきました。

 

以下出場メンバー、星取表

◇出場メンバー

Starter

1.PR(プロップ) 竹内寛(政4・慶應)

2.HO(フッカー) 原田衛(総3・桐蔭学園)

3.PR(プロップ) 大山祥平(経4・慶應)

4.LO(ロック) 相部開哉(政4・慶應)

5.LO(ロック) 北村裕輝(経4・慶應)

6.FL(フランカー) 今野勇久(総2・桐蔭学園)

7.FL(フランカー) 山本凱(経3・慶應)

8.No.8(ナンバーエイト) 濱野剛己(総4・桐蔭学園)

9.SH(スクラムハーフ) 上村龍舞(環4・國學院栃木)

10.SO(スタンドオフ) 中楠一期(総2・國學院久我山)

11.WTB(ウィング) 佐々木隼(総2・桐蔭学園)

12.CTB(センター) 鬼木崇(法2・修猷館)

13.CTB(センター) 三木亮弥(環4・京都成章)

14.WTB(ウィング) 沖洸成(総4・尾道)

15.FB(フルバック) 山田響(総1・報徳学園)

Booster

16. 田中慶伸(総3・桐蔭学園)

17. 松岡勇樹(法2・慶應)

18. 岡広将(総1・桐蔭学園)

19. 村松龍之介(経3・慶應)

20. 髙武俊輔(総2・尾道)

21. 安藤快(経4・慶應志木)

22. イサコ・エノサ(環2・King’s College)

23. 中村大地(環3・桐蔭学園)

選手変更
後半12分 鬼木 崇→22イサコ・エノサ

後半22分 今野勇久→20高武俊輔

後半31分 竹内 寛→17松岡勇樹

後半31分 原田 衛→16田中慶伸

後半35分 大山祥平→18岡 広将

後半35分 上村龍舞→21安藤 快

 

◇星取表

明治大早稲田大帝京大筑波大日本体育大慶應義塾大青山学院大立教大勝点順位
明治大 12/6 14:00
秩父宮
11/22 13:00
秩父宮
33-17
4T3G1PT
11/7 14:00
秩父宮
12-13
2T1G
82-10
14T6G
73-15
11T9G
12
(16)
 
早稲田大12/6 14:00
秩父宮
 45-29
7T5G
11/7 11:30
秩父宮
70-5
10T10G
11/23 14:00
秩父宮
47-21
7T6G
46-7
8T3G
16
(20)
 
帝京大11/22 13:00
秩父宮
29-45
5T2G
 54-17
7T6G1PT
98-10
14T14G
12/6 14:00
熊谷
122-0
18T16G
11/8 14:00
上柚木陸上
12
(16)
 
筑波大17-33
3T1G
11/7 11:30
秩父宮
17-54
2T2G1PG
 12/6 11:30
熊谷
30-19
3T3G3PG
11/23 14:00
AGFフィールド
52-7
8T6G
8
(9)
 
日本体育大11/7 14:00
秩父宮
5-70
1T0G
10-98
1T1G1PG
12/6 11:30
熊谷
 0-7432-26
5T2G1PG
11/23 11:30
AGFフィールド
4
(5)
 
慶應義塾大13-12
1T1G2PG
11/23 14:00
秩父宮
12/6 14:00
熊谷
19-30
3T2G
74-0
11T8G1PG
 11/8 11:30
上柚木陸上
78-5
12T9G
12
(14)
 
青山学院大10-82
2T0G
21-47
2T1G3PG
0-12211/23 14:00
AGFフィールド
26-32
4T3G
11/8 11:30
上柚木陸上
 12/5 13:00
大和スポーツセンター
0
(2)
 
立教大15-73
2T1G1PG
7-46
1T1G
11/8 14:00
上柚木陸上
7-52
1T1G
11/23 11:30
AGFフィールド
5-78
1T0G
12/5 13:00
大和スポーツセンター
 0

※( )内の数字はリーグが全試合実施された場合にボーナスポイントを加算した際の勝ち点

勝ち:勝ち点4、引き分け:勝ち点2、負け・不戦敗:勝ち点0、不戦勝:勝ち点4

各グループ、全試合(28試合)が実施された場合のみ下記ボーナス点を加算

1、勝敗に関係なく4トライ以上獲得:勝ち点1 
2、7点差以内の敗北:勝ち点1

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