今年4月に行われた早慶レガッタ。勝利を期待された第二エイトは、途中でまさかの腹切りにより失速し、悔しい敗北を喫した。一方、コースが短縮されて行われた女子エイトは、今年こそ連敗を阻止すべくチーム一丸となって大会に挑んだが、悲願達成はならなかった。
第二エイト
〈メンバー〉
C:山中健吾(法3・慶應)
S:足利海知(商4・桐蔭学園)
7:中村想人(商2・慶應)
6:川島壮登(法2・慶應)
5:田上諒(経4・慶應)
4:森本修平(法2・慶應)
3:大森琉斗(法3・慶應)
2:大島諒也(法3・慶應志木)
B:七條怜史(法4・慶應)
〈タイム〉
1着 早大第二エイト 14:30:30
2着 慶大第二エイト 14:42:20
対校エイト、女子エイトに先駆けて行われた第二エイトのレース。慶大に勢いをもたらすという意味でも、何としても勝利を手にしたい慶大第二エイトは「最後の数日で調子を上げ、調子も雰囲気も文句なし」(田上諒=経4・慶應)と自信を胸に試合に臨んだ。
風が強く吹きつけ、川の波も高くラフコンディションの中で始まった第二エイトのレース。墨田区側のインコースを漕ぐ慶大は早大よりわずかに後方からスタートする。両校ともにスタートから順調に漕ぎ進めているように思われたが、両国橋(700m)手前で早大のオールが深く水に入り抜けなくなってしまう。慶大はここでリードすることに成功。総武線鉄橋通過後には2艇身差とさらにリードを広げ、「理想のプランを遂行することができた」(山中健吾=法3・慶應)という慶大第二エイト。
しかし、リズムを取り戻した早大は徐々に追い上げをみせ、レース中間地点となる厩橋(1850m)を慶大に遅れること2秒で通過するまで差を縮める。もう一度ギアを上げ、差を広げたい慶大であったが、風にオールを取られリズムが乱れてしまい、腹切りをしてしまう。立て直しに少し時間がかかってしまった慶大は、逆転を許す。一方、安定した漕ぎを見せる早大はリードを広げていく。駒形橋を9秒遅れて通過した慶大は早大を必死に追いかけるが言問橋手前でまたしても腹切りをしてしまい、なかなか思うような漕ぎを見せられない。また追い討ちをかけるように、荒波による浸水で排水ポンプが壊れてしまうアクシデントにも見舞われてしまう。
落ち着きを取り戻した慶大であったが、1度大きくひらいた差は簡単には縮まらず早大が大きくリードを保ったまま先にゴール。ラストスパートの追い上げも虚しく2連覇を達成することはできなかった。
終わってみれば5艇身差と早大に大きく離されてしまった慶大。しかし、荒れる波の中アクシデントに見舞われながらも3750mを漕ぎきった彼らが得たものは大きい。今回の結果を「ラフコンディションに対する対処、逆境でのメンタルの強さが足りなかった」と冷静に振り返る山中。今大会での悔しさ、学びを糧にインカレ、全日本の舞台で活躍する彼らの姿に注目したい。
(記事:船田萌恵 写真:慶應スポーツ新聞会)
〈メンバー〉
C:杉森春奈(商3・都立町田)
S:笠原万緒(法4・慶應女子)
7:兼子佳恵(法4・慶應湘南藤沢)
6:伊地知真優(環3・埼玉県立伊奈学園)
5:根岸彩子(法4・白百合)
4:山崎絢乃(法4・東洋英和)
3:伊東由貴(経済3・慶應女子)
2:三神真優子(法3・慶應女子)
B:松井萌(経済3・慶應女子)
〈タイム〉
1着 早稲田女子対校エイト 3:06.172
2着 慶應女子対校エイト3:18.12
1000mから800mへと距離が短くなった本年度の女子対校エイト。全員が未経験のクルーでありながらも、「打倒早稲田」という目標に向かって、一心に漕ぎ続けてきたこの1年。今年こそ、歴史を塗り替え、一矢を報いたい。大会前、「必ず勝って歴史を変えます」と主将の兼子佳恵(法4)は話した。異例のハンドルスタートから勢いよく漕ぎだした双方の艇。慶大は女王早稲田になんとか食らいつくも、徐々にその差を広げられる。カーブを曲がり終えてからの直線で距離を縮めたいところだが、引き波を食らい、その差は縮まらず。持ち前の粘り強さで、最後まで早大を追いかけるも、大差での敗戦となった。しかしながら、着実にレベルアップしている慶大。この雪辱を胸に、さらなる飛躍を期待したい。
(記事:菅野有紗 写真:慶應スポーツ新聞会)
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