ここまで10連勝とリーグ戦を負けなしで駆け抜けてきた慶大は、国際武道大とのリーグ最終戦に臨んだ。試合序盤、今年のチームの武器であるブロックで流れを掴み第1セットを先取する。第2セットこそ相手の勢いに飲まれ僅差で落とすも、続く第3、4セットでは相手を寄せ付けず、セットカウント3-1で勝利。慶大は通算成績11勝0敗で今リーグ戦を終え、目標としていた全勝優勝を果たし、2019年春以来の1部昇格を決めた。
2021年10月31日(日)
秋季関東大学男子2部バレーボールリーグ戦
慶大×国際武道大
@国際武道大学体育館
得点 | ||
慶大 | セット | 亜細亜大 |
25 | 1 | 16 |
23 | 2 | 25 |
25 | 3 | 15 |
25 | 4 | 10 |
出場選手(サーブ順) | ||
ポジション | 背番号 | 名前(学部学年・出身校) |
S | 29 | 高倉真古都(商3・慶應) |
WS | 23 | 小出捺暉(環4・駿台学園) |
MB | 9 | 降小雨(商3・慶應) |
OP | 2 | 松本喜輝(環2・九州産業) |
WS | 6 | 島田航希(経2・慶應) |
MB | 11 | 勝呂亘(政4・慶應) |
Li | 7 | 永田将吾(総4・高松) |
途中出場 | 8 | 芳賀祐介(環1・札幌北) |
| 15 | 加藤靖丈(商4・慶應) |
始まった第1セット。序盤から勝呂亘(政4・慶應)のクイック、降小雨(商3・慶應)のブロックが決まり、ブレイクを重ねる。しかし、お互いにサイドアウトを取り合い、勝負の手綱を引き合う展開が続く。10-8で迎えた場面、松本喜輝(環2・九州産業)がバックアタックを決めるなど3連続得点。試合の流れを掴む。その後も攻撃陣が奮起し、最後まで相手を寄せ付けず、25―16で第1セットを先取する。
勢いに乗りたい第2セット。島田航希(経2・慶應)のサービスエースで幸先の良いスタートを切る。しかし、徐々に慶大の攻撃に対応し始めた相手の守備に阻まれ、なかなかブレイクできない展開が続く。中盤、17-14とリードして迎えた場面、相手のライトからの攻撃に苦しみ、痛恨の5連続失点。慶大はたまらずタイムアウトを要求し、立て直しを図る。その後、降がテンポをずらしたクイックを決めるなどチームを盛り立て、一度は同点に追いつくも、最後まで相手の勢いを止められず23-25でこのセットを落としてしまう。
続く第3セット。相手のミスなどで序盤からリードを掴むと、セッターの高倉真古都(商3・慶應)を中心に、小出捺暉(環4・駿台学園)のバックアタックなど多彩な攻撃をみせ、着実に得点を重ねる。19-13の場面には、芳賀祐介(環1・札幌北)が連続でクイックを決めるなど5連続得点と相手をつき離す。最後は島田のサーブで相手を崩し、返ってきたボールを小出が相手コートに叩き込み、25-15で第3セットを奪い、1部昇格に大手をかける。
第4セットも、勢いそのままに終始相手を圧倒する展開になった。開始早々、小出、松本のブロックで4連続得点。その後も島田が相手ブロックを上手く利用したスパイクなどで得点し、12-3と大きくリードを掴む。中盤以降もこの試合チームトップの23得点を挙げた松本にボールを集め、相手をつき離した。25-10の大差でこのセットを奪い、セットカウント3-1で勝利。全勝優勝、1部昇格を決めた。
振り返れば、2019年春リーグでの入替戦、青山学院大に敗れ2部降格となった慶大。その後の秋リーグでは2部2位という成績を残し、入替戦に臨むも専修大に惜敗。誰もが「来年こそは」と思っていた矢先に、新型コロナウイルスの影響で昨年度のリーグ戦は代替大会へと変更になった。そして新チームになっても春リーグは中止となり、試合をする機会さえ得ることが出来なかった。
以前のインタビューでアナリストを務める濱本健人(商4・慶應)は「春リーグでバレー出来なかった分、2年前に2部に落ちた分の悔しさっていうのを全てぶつけて、最後のシーズン戦い抜いて、絶対に1部昇格したい」と話した。今までの先輩たちが果たせなかった思い、そして悔しさを胸に、それぞれの立場でチームのために戦い抜いた2か月間。「チーム全員がそこに向けて役割を全うした結果」(永田)。その努力が1部復帰という最高の結果に結びついた。
しかし彼らはもう先を見据えている。「目標はここで終わったわけではないので、もう一回気を引き締めて頑張りたい」(小出)「本気で日本一を取りに行きたい」(永田)。今年のチームの目標はあくまでも日本一。今月末に迫る全日本インカレでの優勝だ。チーム小出の集大成として、勝利を掴みとってほしい。
(記事:持丸嘉昭)
※写真は慶應義塾体育会バレー部より提供していただきました。
≪慶大成績≫
通算成績 11勝0敗
最終順位 1位
≪個人賞≫
優秀選手賞・レシーブ賞 小出捺暉(環4・駿台学園)
ブロック賞 降小雨(商3・慶應)
サーブレシーブ賞 永田将吾(総4・高松)
以下、コメント
小出捺暉主将(環4・駿台学園)
――この試合を振り返って
チームとしてみんなで一致団結して戦えたと思うので、全カレのためのいい試合になったのかなと思います。
――目標としていた全勝優勝、1部昇格を果たしました。今の気持ちは
単純に嬉しいですけど、目標はここで終わったわけではないので、もう一回気を引き締めて頑張りたいです。
――秋リーグの総括
秋リーグを通してチーム自体も成長できたと思うのでよかったです。
――個人としても優秀選手賞、レシーブ賞を獲得しました
結果としてそういった賞を頂くことが出来て、とても嬉しいです。やっぱり日頃から、またリーグ戦のなかでも、1つ1つのプレーに集中してきた結果がそういった賞につながったと思うので、これからも継続して頑張っていきたいと思います。
――来年から1部でプレーする後輩たちに向けて
1部は格が違うチームが多くて、経験したことがない人も多いんですけど、そんな中でもできること、通用することもたくさんあると思うので、しっかり負け続けてでもめげずに挑戦してほしいと思います。
――全日本インカレへの意気込み
日体大と2回戦で当たると思うんですけど、そこまでに万全の準備をして、その時にできる最大のパフォーマンスができればいいと思うので、結果にこだわらずに1戦1戦頑張りたいと思います。
永田将吾副将(総4・高松)
――この試合を振り返って
元々作戦を練る段階で相手はサーブも強くて、身長も高かったので、サーブで崩されたりだとか、ブロックで止められたりという所は想定していたんですけど、実際蓋を開けてみるとサーブはそこまで強くなくて、キャッチ自体はまとまっていたと思います。ただやらなきゃいけないことができなかったり、相手の雰囲気に飲まれてセットを失ってしまったっていう所があるので、そこは反省点だなと思います。
――目標としていた全勝優勝、1部昇格を果たしました。今の気持ちは
やっぱり全勝優勝、1部昇格を目標にしていたので、それを達成できたっていうのはすごく嬉しく思いますし、チーム全員がそこに向けて役割を全うした結果だと思っています。
――秋リーグの総括
優勝できたので、結果という所ではよかったと思うんですけど、内容を振り返ってみると、もっともっと詰めれるところっていうのは守備においても攻撃においてもあると思いますし、全カレで日本一になるのであれば、あのままでは勝てないと思うので、結果っていうの所に満足せずに、チーム全体としてこれは通過点だということを意識して、残り1か月頑張りたいと思います。
――個人としてもサーブレシーブ賞を獲得しました
そうですね。それについても嬉しく思うんですけど、やっぱりまず一番はチームの結果だと思うので、それに付属してサーブレシーブ賞っていうのがついてきたのは嬉しいです。ただリベロ賞も取りたかったです。そこは自分の技術が足りてないっていう所だと思うので、率直に受け止めてもっと練習したいと思います。
――来年から1部でプレーする後輩たちに向けて
1部のチームは強いチームばかりで、なかなか2部みたいに毎週勝つっていうのは難しいと思いますし、最初のうちは今まで決まっていたプレーが何も通用しないっていうので、バレーボール自体が嫌になることがあると思うんですけど、それを乗り越えたらバレーボールがもっと楽しくなると思いますし、それでこそ慶應で、大学までバレーボールを続ける意味があると思うので、折れずに、諦めずに戦ってほしいなと思います。
――全日本インカレへの意気込み
組み合わせが出て、1回戦が福島大学、勝てば日体大っていう所で福島大に関しては目の前のことを1つ1つやってしっかり勝ちたいと思いますし、その次の日体大っていう所に関して言うと、ほとんどの人が日体大が勝つと思ってると思うんですけど、僕らは自分たちが勝てると思ってますし、そこに勝たないと日本一っていう所は取れないと思うので、しっかりと対策をして勝って、本気で日本一を取りに行きたいと思います。
高倉真古都(商3・慶應)
――この試合を振り返って
全勝優勝が懸かった試合だったので、他の試合よりも一番大事な試合だなと思って臨みました。
――目標としていた全勝優勝、1部昇格を果たしました。今の気持ちは
そうですね。スパイカーのみなさんに助けられたなっていうのが正直なところです。スパイパーのレベルの高さが証明されて、それが結果的に2部のリーグ優勝っていう所に繋がったので、そこは僕のおかげというより、チームでの勝利だと思うのですごく嬉しく思います。
――セッターとしてチームを支えました。チームとしての振り返り、個人としての振り返りをお願いします
チームとしてはさっき言った通りなんですけど、本当にスパイカーそれぞれのレベルが高くて、助けられた場面っていうのは多くあって、そのなかでも僕がミスをしたらスパイカーのモチベーションとかが下がってしまうので、そこを気にするのは大変だったんですけど、まあ負けなかったというのが上手くいった証明かなと思います。個人的には初めてリーグ戦をフルで戦ったので、毎週試合があり、自分のパフォーマンスの質を毎週土日に向けて維持するというのがすごい大変だなというのをリーグ戦を通して感じました。
――全日本インカレへの意気込み
全カレは対戦相手ももう分かっているので、挑戦者っていうマインドもあるんですけど、出場できる1校として恥じないプレーをしたいし、慶應のバレーを、今年の代で出来る試合を1試合でも多く増やしたいなと思ってます。
降小雨(商3・慶應)
――この試合を振り返って
まずは率直に全勝優勝することができてうれしいです。また試合を開催するにあたって皆さまの尽力していただいたおかげで、開催していただくことが出来たと思うので、そこは本当に感謝しています。チームとしても一人も欠くことなく、目標達成することが出来て達成感があります。
――個人としてもブロック賞を獲得しました
そうですね。自分のプレーっていう所でいうと、今季は安定してそつなくこなす「いぶし銀スタイル」を貫いていこうと自分のなかでは決めていたので、調子の振れ幅がほとんどなく、安定したプレーができたのは非常によかったですし、3年目にして収穫があったのかなと思います、個人賞に関しては、全然狙ってなくて、取れたないいな、棚ぼたでもらえたらいいなと思っていたので、思いかげず降ってきたなという感じで、自分のなかでは落とし込んでいます。
――全日本インカレへの意気込み
日本体育大学さんと当たるので少し萎縮してしまう部分もあると思うんですけど、今年のチームの色っていうのをしっかり出して、最後まで慶應らしさをお見せできるように、日本一という目標に向かって頑張っていきたいと思います。
松本喜輝(環2・九州産業)
――この試合を振り返って
負けたら1部に上がれないっていう緊張感と最終週っていう疲れのなかで自分が出来る最高のプレーができたのかなと思います。
――目標としていた全勝優勝、1部昇格を果たしました。今の気持ちは
全勝優勝した瞬間というのは喜びが大きかったんですけど、やっぱり来年1部に上がって勝ち上がっていくためという所に今は気持ちが向いている気がします。
――チームとして、個人としての振り返りをお願いします
チームとしてはオポジットとしてスパイクを決めないといけない立場で最後大事な所でトスが集まってくる場面を決めきるっていうのを大事にしていて。個人としては、自分の武器であるサーブっていうのが今回のリーグ戦ではあんまり発揮することができなかったので全カレまでの残り1か月間っていうのはサーブを中心にパワーアップさせていきたいと思います。
――全日本インカレへの意気込み
2回戦で今季1部リーグ優勝の日本体育大学と当たるんですが、1試合目から気を抜かず全力で最高のプレーができるように頑張っていきたいと思います。