【連載】突撃!慶應体育会2022 vol.1柔道部(前編)

連載

慶應義塾大学体育会には現在、43の部活がある。そんな体育会各部は普段どのような雰囲気で、どのような練習を行っているのか。試合などでは見られない、体育会の知られざる日常に迫る。第1回となる今回取り上げるのは柔道部。日本最古の運動部である慶應柔道部の練習にお邪魔し、杉村晃希(政4・大阪星光学院)主将にお話を伺った。

慶應義塾体育会柔道部。創部はなんと1877年。日本最古の運動部であり柔道部であるという古豪だ。

慶應柔道部のいま

柔道部が重視しているのは2つの全国大会と早慶戦だ。昨年、慶大は2つの全国大会の団体戦でどちらもベスト16入り。また、早慶戦では男子が3連覇、女子が初制覇を果たした。柔道の早慶戦は、20人対20人の勝ち抜き方式で行われるという全国ほかに類を見ない大規模な方式だ。杉村主将も、「20人対20人という試合は国内どこ探しても無いと思う。慶應と早稲田にしかできない経験ができている」と語る。

今年は全国大会ベスト8、そして早慶戦勝利を目標に掲げ日々練習を重ねている。

練習場前。歴史が感じられる

 

慶應柔道部の練習は?

辺りが暗くなった18:00。普段練習を行なっているという日吉キャンパス内の日吉柔道場に伺った。日吉記念館横、日吉体育館の2階へ上がり、歴史を感じさせる入り口を入ると試合を行う畳2つ分の柔道場に到着。すでにウォーミングアップが始まっていた。

練習時間は比較的短い。短時間で集中的に行うのが慶大柔道部の特徴だ。この日の練習は18:00にスタートし、20:00過ぎまでのおよそ2時間である。

慶大柔道部の特色について杉村主将は、先生がいないというところだと語る。週に1、2回ほど師範が指導にあたるが、基本的には部員のみで練習を計画し、運営しているという。高校時代全国を舞台に活躍した選手もいれば、大学から競技を始めた選手もいるなど部員のレベルは様々だ。だからこそ部員同士が互いに教えあい、高めあう。こうした自主性や多様性が、慶大柔道部の強みにもなっている。

柔道部では毎月一つのテーマを決め、そのテーマに沿って選手主体で練習メニューを組みあげる。4月のテーマは組手。打ち込みや実戦練習において特に組手を意識して取り組んでいる。

入念なウォーミングアップの後、ランダムに2人ずつ組み、打ち込みに入る。打ち込みとは、技に入るまでの動作を確認するものだ。丁寧に同じ動作を繰り返し、体に動きを染み込ませる。

技に入る動作を確認する

打ち込みの後、選手たちの動きが激しさを増す。より実践的な技の確認だ。相手のさまざまな動きへの対応を確認する。

部員たちの動きが激しさを増す

続いて実践練習。本番の試合さながらの激しい攻防は大迫力だ。

本番さながらの実戦練習は大迫力

最後に寝業での動作を確認し、この日の練習は終了。短い練習時間もあっという間に感じるような充実した時間だった。最後は黙想、礼を行うなど礼儀を重んじる姿も歴史ある柔道部ならではであった。

礼を重んじる姿が印象的だ

 

取材中、練習の端々に感じられたのが、雰囲気の良さだ。練習中、部員同士で気づいたことを互いに教え合う、声を掛け合うといった姿が印象的だった。部員たちは決して受身ではない。さらなる高みを目指し練習メニュー、練習内容も自ら組み立て、工夫している。先生がいない、という慶大柔道部の強みを感じた瞬間だった。

また、雰囲気の良さを感じさせる印象的なシーンがあった。この日から、慶大柔道部の練習にはフランスからの留学生が2名参加していた。練習終了後のミーティング。留学生2人の紹介が行われた際、部員たちは盛大な拍手や歓声で彼らを迎えていた。

杉村主将も、「みんなで遊ぶ時は遊ぶ、やるときはしっかり真剣にやるというメリハリを意識している」と語る。柔道部の持つ自主性や多様性、そして雰囲気の良さ。新たな伝統とともに、その歴史を次代へつないでいく。

留学生を笑顔で迎え入れる

後編では、杉村主将のインタビュー完全版をお届けします。

 

取材:松田英人)

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