【自動車部】8/21に行われた全日本学生ジムカーナ選手権において、慶大は男子団体の部は3名、女子団体の部は2名で挑み、男子団体の部で準優勝を収め、主将の小野は1分13秒89のタイムで個人優勝も果たした。
2022/08/21(日)8:00開会 @鈴鹿サーキット 南コース
◇慶大出場選手
男子の部
渡邉龍之信(商4) 1分17秒67
菰田千也(経4) 1分14秒72 個人第6位
小野徳馬(文4) 1分13秒89 個人優勝
女子の部
井上智尋(総2) 1分40秒13
早川杏樹(経2) 1分24秒66
前日の雨雲もまだ残る不安定な天候の中開幕した今年の全日本学生ジムカーナ選手権。モータースポーツの聖地・鈴鹿に、今年は全国から34校が出場した。慶大は、7月末に行われた全日本学生ダートトライアル選手権大会において早稲田大学に優勝を許し準優勝という結果に終わり、苦杯を嘗めた。そのリベンジを果たすべく気合が入る。
午前8時半より第1出走が始まった。この大会は、登録選手全員が午前と午後で1回ずつ出走し、速いほうのタイムを合計した数値で男女それぞれ優勝を争う。コースもパイロンの周りを規定されたルートで走行するなどやや複雑で、他大学の選手ではコースミスや障害物との接触も相次いだが、その中でも慶大は落ち着いた走行を見せる。一番手の渡邉龍之信(商4・明星)がミスなく走行し路面の状態やコースの注意点をまとめると、待機時間に菰田千也(経4・慶應藤沢)と小野徳馬(文4・慶應)がそのアドバイスを基に走行動画を熱心に確認していた。その間、ピットにて待機する自動車整備担当の部員がメカニックやタイヤの調整を行う。特に当日は雨と晴れを繰り返すような天候であり、路面状況に応じてタイヤを履き替えなければならない状況。部員同士で相談し、適切な整備を行う。
この努力も実ってか、午前の慶大最終出走となった主将の小野が1分14秒61と午前の部のベストタイムをマークし、個人暫定1位に躍り出た。主将が作った非常にいい雰囲気の中で試合前半を終えた。
昼の休憩時間にはコースが開放され、選手・一般客がコース内に立ち入ることができた。その時間の多くは選手が路面の状況やコース特性を確認する時間に充てており、休む暇もない。
午後1時から午後の部が開始されたが、この時間には雨もすっかり上がり8月の陽気が鈴鹿市を照らす。路面も完全に乾いたことで、午前の部とは比較にならないほどのスピードアップを各大学が施してきた。午前に小野が出したタイムに肉薄する選手も多く現れ、慶大ピットに緊張感が漂う。そんな中にあっても選手は普段の実力を否応なく発揮する。まずは渡邉と菰田が自身の午前タイムを更新。女子の部・井上智尋(総2・開智)は午前走行で痛恨のミスコースをしてしまったが、午後は安心感のある確実な走行で無事記録をつけた。また早川杏樹(経2・慶應NY)も練習の成果を発揮し、午前からのタイムアップを達成した。
そして団体戦の勝負を大きく左右する小野の出走を迎える。慶大ピットから全員が飛び出し、コース上を見つめる。小野は主将としての意地、そして自動車部員の想いをこめた渾身の走行を見せ、その結果は1分13秒89という圧倒的なものだった。今大会で1分14秒を切る走行をしたのは小野ただひとりという、まさしく完勝であった。小野は個人優勝に大きく近づき、慶大の団体順位も暫定トップになったが、出走があと10大学残っているため、その結果を見守る。
今大会の最終出走を飾るのは日本大学。日大はここまでも慶大に匹敵する好タイムを連発しており、この時点で暫定1位は慶大だったものの、最終走者のタイムによっては逆転優勝も十分に可能であった。日大のメンバーが祈るように見つめる中、最終走者が出したタイムは1分14秒02。この瞬間、小野の個人優勝が確定した。しかし同時に、わずか0.36秒の差で慶大は日大に逆転優勝を許すという結果になった。また菰田は午後のタイムが個人順位6位入賞が決定した。女子団体の部は早稲田大学が優勝を果たし、慶大は団体7位となった。
大会後には表彰式が行われ、盾とトロフィーの授与が行われた。閉会後は慶大のピットに日大や中央大はじめ多くの選手が訪れ、お互いの健闘を称えていた。
悲願の団体優勝にまたしてもあと一歩届かなかった自動車部。しかし2つの全日本大会での準優勝は今季の総合優勝に向けては大きな前進であった。11月には前人未到の6連覇がかかる全日本学生自動車運転競技選手権大会もある。この悔しさをバネに、4年生を最高の結果で送り出すためのラストスパートに期待したい。(記事・写真:東 九龍)
力石尚武監督
ーー今日の結果を振り返って
慶應の勝ちパターンというのがあって、年間の目標は総合杯という全部の種目の合計で1位になることを目標にしているので、そういう意味では今回の2位と先月の2位は優位となりましたが、やっぱり1位は欲しかった。優勝することの難しさを改めて感じた大会でした。年間を通して、どんなに失敗しても3人がそろって下位にはならないというのが慶大の特徴です。前回はそろえて上げていって最後逆転されて2位という結果。今回は最初ミス等があってバラバラだったのを、2回目でちゃんとみんな結果を残して、しかし最後逆転されるという形で、いつもと違う形での2位でしたので、こういう勝ち方も今後あるのかなと思わされる試合でした。同じ2位でも中身が違うものになりました。
ーー次戦、フィギュアに向けて
去年全日本では5連覇という大会記録、さらに68年ぶりの完全優勝(記者註:全種目で1位で優勝)を成し遂げた後なので、ノウハウも実力もあると思う。ここは是非6連覇をしてほしいし、それによって総合杯を獲得できると思っています。
ーー今後は早慶戦もあります
今日の試合は3人しか出ませんが、早慶戦は選手全員が走るので、そういう意味では慶大の底力、チーム力が試される試合です。そこに向けて力を落とさず、前向きに、今回の2位を次の優勝に生かせるようにと思っています。
渡邉龍之信(商4)・菰田千也(経4)・小野徳馬(文4)
ーー今日の試合を振り返って
渡邉 悔しいのがどうしても最初に来るが、4年間練習した成果を出し切ることができた。個人としては出し切った達成感があるが、優勝を目指していたので悔しさは残る。
菰田 自分は1本目で2輪脱というコースアウトをしてしまい、それが原因で2本目で攻められていない部分があってやや悔しい結果になったが、小野がトップタイムを出してくれた時はうれしかったし、小野には感謝しています。
小野 半々なところがあって、団体が取れなくて悔しいという気持ちと、もう半分は個人で優勝できてすごくうれしいという気持ちです。ただ個人優勝できたというのにはやはり前の2人が路面の情報とかを教えてくれたり、タイムを計ってくれる仲間たちとかがいてくれたりしたお陰で、一人では出せなかったタイムなので、周りに支えられていることを実感しました。
ーー不安定な天候状況だった
菰田 路面が濡れているうちは他大学のタイヤを他の部員に見てもらい、自分たちが一番いいタイヤが使えるようにというのを考えていた。外気温による温まり方なども関係してくるので、様々な情報を集めながら自分たちの車を一番早く走らせるセッティングを探しながら、という感じでした。自分たちはよくできたかなと思います。
ーー4年となる今年で卒業となります
渡邉 自分たちが先輩に育ててきてもらったように、後輩もしっかり育ててきたつもりなので、来年こそは優勝してほしい、と声をかけたい。
―前人未到の6連覇がかかるフィギュアに向けて
小野 慶大は「フィギュアの慶應」と呼ばれてきたくらいフィギュアに強みがあります。自分たちももちろん頑張るが、5連覇という歴史は先輩たちが作ってきてくれたものなので、それを守りたい。そして後輩たちにいい意味で7連覇というプレッシャーをかけられるように頑張りたいです(笑)。
井上智尋(総2)・早川杏樹(経2)
ーー1日を振り返って
井上 私は1走目で失敗してしまって、その失敗を繰り返さないように午後走るので精いっぱいでした。私にとって初めての鈴鹿で行われる大会で、あの車を使って走れて本当に楽しかったです。
早川 私たち女子は元々全日本への出場要件を満たしていなかったのですが、繰り上がりで出られることになり、出場も決まったのがギリギリでした。出られると決まって、車をどうするかという話になった時に普段の出力より強いこの車を出してくれるという話になり、今回の大会に至ります。鈴鹿は練習する機会も多くない中で、女子として前日と前々日の走行で何本か走らせていただきました。午前走行でミスしたのを改善しようとしたら午後もまた別のミスをしてしまうという感じで、結果的にタイムアップはできましたが、もっと詰められる箇所はあったかなと思います。
ーー来年どういう姿でここに戻りたいか
井上 今は物事の基本のきもできていないと自分で思っているので、自分にも他の人にも恥じない走りができるようになりたいと思います。
早川 まずは絶対に自力で鈴鹿を掴み取って、団体・個人で表彰台を狙いたいです。もっと練習して、慶應の女子として恥じない団体の走りを見せられたらいいなと思います。