スキーの大学世界大会・ワールド ユニバーシティ ゲームズ2023がアメリカのレークプラシッドで開催された。慶大の小林朔太郎(R5環卒=写真左)が3種目で世界チャンピオンになるなど計5つのメダルを獲得すると、池田龍生(R5環卒)もメダルを2つ獲得し、慶大勢が世界で輝かしい活躍を見せた。
ワールド ユニバーシティ ゲームズ2023 レークプラシッド大会
2023年1月
ノルディック コンバインド | ||
競技名 | 選手名 | 順位 |
男子個人グンダーセン競技 (ノーマルヒル/10km) | 小林朔太郎(R5環卒)
| 優勝 |
男子個人マススタート競技 (10km一斉スタート/ノーマルヒル) | 小林朔太郎
| 優勝 |
男子チームスプリント競技 (ノーマルヒル/2×4×1.5km) | 小林朔太郎 中澤拓哉(中大) | 準優勝 |
男女混合チーム競技 (ノーマルヒル/2×2.5km) | 小林朔太郎 祖父江凛(早大) 久保田真知子(早大) | 優勝 |
池田龍生(R5環卒) 廣瀬駿(早大) 宮崎彩音(早大) | 5位入賞 |
スキージャンプ | ||
競技名 | 選手名 | 順位 |
男子ノーマルヒル競技 | 池田龍生 | 6位入賞 |
男女混合(ノーマルヒル) | 池田龍生 久保田真知子(早大) | 準優勝 |
男子チーム(ノーマルヒル) | 池田龍生 小林朔太郎 | 3位入賞 |
日本チーム全体で一丸となって戦い、「お祭りのように盛り上がる」(小林)というワールドユニバーシティゲームズ。小林の活躍が光ったのが、スキージャンプとクロスカントリーの合計で競われるノルディックコンバインドだ。最初にスキージャンプを行いその順位によってタイム差を付けてクロスカントリーをスタートするグンダーセンと、最初に全員でクロスカントリーをスタートしてからスキージャンプを行うマススタートの2種類がある。
グンダーセン競技に登場した小林はスキージャンプで2位以下を大きく離してトップに立ち、2位と2分5秒差でクロスカントリーをスタートすると、リードを守り切り、優勝を果たした。マススタート競技でもクロスカントリーで5位に付けると、得意のスキージャンプで逆転し優勝。「ワールドユニバーシティゲームズ中体の調子は良いと自分自身でわかっていた」という小林。2日後のチームスプリント競技では中大の中澤拓哉と組み、準優勝を果たすと、男女混合でも早大選手と組み1位に輝いた。また、この競技では池田も早大選手と組んで入賞を果たすなど、日本勢の活躍が目立った。
スキージャンプでも慶大勢が日本を背負って戦った。ノーマルヒルでは池田が6位入賞、男女混合では池田が早大の久保田真知子と組み準優勝に輝いた。また池田は、ノルディックコンバインドのスキージャンプでは1位の小林と組んで3位入賞と小林が5個、池田は2個のメダルを獲得した。
中1日で競技が行われることもあり疲労の蓄積やコンディションの調整が難しい今大会だが、池田は持参したみそ汁や野菜スープを作るなど栄養管理にも気をつけ、試合が行われない昼間にはビリヤードでリラックスしたり体育館で調整したりと、万全の状態で試合に臨んだ。小林も無駄なことを考えず「いつも通り、体、頭をフラットな状態に保つこと」を意識していたという。
金メダル3つ、銀メダル1つ、銅メダル1つと華々しい活躍を見せた小林は「今持っている力を5試合で出し切ることができた楽しくて気持ちの良い試合でした」と充実感を口にした。
池田も今大会をこう振り返った。「自分の技術を見つめ直す良い機会になりました。世界でも戦える良い所と改善点を明確にすることができて、もちろん勝つことは大事ですが、目指すはオリンピックなので大きく前進するきっかけになる良い経験ができたと感じています」。
日本を背負って世界の舞台で華々しい成績を残した2人は卒業後の現在も競技を続けている。慶大は4年間特定のコーチが付かない環境だったが、小林は自らメニューを考えたりチームメイトとコーチングし合ったりして得た考える力を今後に生かしていきたいと語った。池田は、慶大での学生生活を「キャンパスライフや講義や友人から学んだことが競技につながる良い循環と刺激をし合うかけがえのない4年間」だったと振り返り、目標であるオリンピック出場を目指す。
日本を代表して世界の舞台で躍動し、名前を刻んだ小林と池田。今大会での、そして慶大での経験を生かしてさらなる飛躍を見せてくれるだろう。3年後、雪舞うミラノの空を飛んでいる2人の姿が期待される。
(記事:長沢美伸)