【バレーボール】個々の強みが炸裂し悲願の今季初勝利 0ー2から専大に劇的な逆転勝ち/関東大学男子1部バレーボールリーグ戦 第8戦 vs 専大

バレー戦評

2024年度春季リーグもすでに7試合を戦い、残すところ4試合。今季まだ勝ちがない慶大は、なんとしてもまずは1勝を掴み取りたいところ。第1セットは、内田克弥(環4・松江工業)や入来晃徳(環3・佐世保南)の強烈なスパイクを中心に得点を重ねるが、中盤のミスが響き17ー25。続く第2セットは、1年生リベロ・今田匠海(政1・慶應)やMB陣の粘り強い守備、ピンチサーバー・久保田健介(商3・慶應湘南藤沢)の活躍でデュースに持ち込むも、24−26でこのセットを落とす。それでも、大接戦の末に第3セットを28ー26で勝ち取ると、慶大はそのまま勢いに乗り各々が強みを発揮。第4セットを25ー21で奪い、最終セットへ。両者の思いがぶつかり合う第5セットは、とってはとられての繰り返しで、14ー14の同点に。一度はマッチポイントを握られるが、最後は慶大の意地をみせる3連続得点で17ー15。悲願の今季初勝利を飾った。

 

2024年5月11(土)

春季関東大学男子1部バレーボールリーグ戦

第8戦 慶大×専大

@日本体育大学健志台キャンパス米本記念館 15:00-

 

得点

慶大

セット

明大

17

25

24

26

28

26

25

21

17

15

 

出場選手(サーブ順)

ポジション

背番号

名前(学部学年・出身校)

OH

山口快人(経2・慶應)

OH

12

内田克弥(環4・松江工業)

MB

松山鼓太郎(商2・慶應)

OH

11

入来晃徳(環3・佐世保南)

OH

渡邊大昭(商4・慶應)

MB

芳賀祐介(環4・札幌北)

L

今田匠海(政1・慶應)

L

山元康生(法3・慶應)

途中出場

 

 

S

21

細野一真(経4・慶應)

S

15

久保田健介(商3・慶應湘南藤沢)

L

緒方哲平(環1・日向学院)

 

第1セット、内田克弥がブロックアウトをとって得点し、幸先の良いスタートをきる。入来晃徳や渡邊大昭(商4・慶應)も内田に続いて相手レシーブに触れさせない強烈なスパイクを決め、序盤から激しい打ち合いとなる。ミスが重なり11-16と点差が開いた場面で、慶大はセッターの細野一真(経4・慶應)を投入。実質的な2枚替えで反撃を試みるがなかなかブレイクできない苦しい状況が続き13-19。ここで投入された久保田健介の正確なサーブから松山鼓太郎(商2・慶應)がブロック。慶應の得意とするサーブアンドブロックの完璧な形を魅せた。その後もうまくサーブとブロックで相手のミスを誘い4連続得点。しかし、専大主将の2連続サービスエースなどで点差を縮められず17-25でこのセットを落とす。

 

ピンチサーバーの久保田健介

 

続く第2セットは専大の力強いスパイクに押され、序盤からリードを許す。しかし、今田匠海や山口快人(経2・慶應)の粘り強い守備とMBの粘り強いリードブロックがスパイカー陣を援護する。打ち合いと拾い合いを繰り広げながら迎えた13-17の場面。第1セットに続き、ここでもまた久保田健介のサーブが相手を崩し山口がブロック。慶應の得意な形へ試合を運ぶ。入来晃徳の相手レシーバーを吹き飛ばす強打や、芳賀祐介(環4・札幌北)のブロックを寄せ付けないクイックで得点を重ね20点に乗ると、渡邊の強烈なサーブが相手を崩し、山口がツーアタックで決める。全員がそれぞれの強みを発揮しデュースに持ち込むが、またしても専大主将の巧みなプレーを前に24-26で第2セットを落としてしまう。 

クイックとブロックで得点を重ねた芳賀祐介

 

絶対に落とせない第3セット、ここで流れを引き寄せてフルセットに持ち込みたいところ。慶大は、主将・渡邊大昭の強烈なサーブで相手を崩し、立ち上がりから3連続ブレイクに成功。その後は拮抗した展開が繰り広げられるが、7ー6の場面で松山鼓太郎がブロックポイントを奪うと、今田匠海のナイスカット、山口快人のサービスエースが続き、再び3連続ブレイクで10ー6。ブレイクから徐々に良い流れを掴むと、このセットでも内田克弥と入来晃徳の強烈なスパイクとブロックで着実に得点を重ねていく。慶大がリードを保って20点台に突入するも、終盤で専大の猛烈な追い上げに遭い、8点をリードする展開から23−23の同点に持ち込まれてしまう。それでも要所要所で、芳賀祐介のクイックや慶大の強みであるブロックが光り、二度の相手セットポイントを凌ぐと、最後は内田の執念のカットから、入来がトスを上げ、主将・渡邊大昭が相手ブロックを打ち破って28ー26。慶大は、開幕戦以来7試合ぶりにセットを勝ち取る。

圧倒的な得点力をみせた内田克弥

 

勢いに乗った慶大は、第4セットも山口快人のサーブでいきなり3連続ブレイクに成功すると、内田克弥入来晃徳の攻守での活躍に加えて、渡邊大昭のサービスエースや松山鼓太郎のブロックポイントなど、個々の強みが炸裂。セッターにコンバートしたばかりの山口とスパイカー陣のコンビネーションも冴え渡り、15ー8と相手を大きく突き放す。コート内の選手はもちろん、慶大ベンチ、そして応援の盛り上がりも、最高潮に達する。守備では、第4セットから1人でリベロを任された1年生リベロの今田匠海も、安定感のあるディグやレシーブでチームを支えると、今田の活躍に応えるように入来、芳賀祐介、内田ら上級生が持ち前の得点力を発揮。専大に得点を許しながらも一度も主導権を渡すことはなく、25ー21で危なげなくこのセットをものにし、フルセットへ持ち込む。

得点を喜ぶ選手たち

 

勝敗を決する最終セット。慶大、そして専大の勝利への強い思いが、コートの上で激突する。入来晃徳のブロックの間をつくスパイクや、渡邊大昭の強烈なジャンプサーブによる2連続サービスエースで、慶大が3ー1とリードするも、慶大のミスや専大のクイック、ブロックポイントで4ー7と逆転されてしまう。それでも、今田匠海がボールを懸命に拾い、大事な場面で内田克弥がスパイク、芳賀祐介がクイックをしっかりと決め切り、7ー7の同点に追いつく。その後も両者の思いがぶつかり合う白熱した展開が繰り広げられ、9ー9、10ー10、12−12、13ー13と、点差が広がることのないまま「15点」だけが迫ってくる。勝利に王手をかける14ー14の場面、慶大はブロックアウトをとられ、専大にマッチポイントを握られてしまう。慶大の応援、そしてベンチの選手たちも肩を組んで祈るように見守る中、ここでも内田がプレッシャーを感じさせない強烈なスパイクでブロックポイントを奪い、15ー15。そして、16−15のマッチポイントを迎えると、最後は芳賀のブロックでボールはすぐに専大コートへ落ちる。慶大は、最後に強みのブロックで意地を見せ、17ー15でこのセットを見事に勝ち取ると、劇的な大逆転で悲願の今季初勝利を飾った。

肩を組んで見守る選手たち

 

終始、コートを盛り上げようと声をかけ続けた慶大チーム。ベンチの選手たちは肩を組んで大事な場面を見守り、そして最後の場面でボールが床についた瞬間、目に涙を浮かべて全員で喜び合う姿が非常に印象的だった。この勝利を自信に、課題を修正しながらよりパワーアップして、次戦以降も慶大らしいバレーを観られることを楽しみにしている。

チーム全体で声を出して盛り上げた

 

                            (取材:村田理咲、長掛真依)

 

▽以下、監督・選手コメント

星谷健太朗監督

ーー今季初勝利、試合を振り返って

苦しかったですけど、最後奇跡的に勝利することができて、みんなとその勝利を分かち合えて幸せです。

 

ーー勝利の鍵は

全員要所で頑張ったというのが一番の鍵かなというふうに思います。

 

ーー監督の理想とするバレーはどの程度実現できたか

30%くらいですかね。それはバレーボールのセオリーとして、安定したレシーブからの安定したトスからの、安定した攻撃、組織的なブロックとディフェンスと、組織的にディフェンスするためのプレッシャーをかけられるサーブ。そういうところを総合的にやらなければいけないのがバレーボールだと思っているんですけど、そこを到達点と見た時には、できてないことの方が70%くらいあるなと思っています。

 

ーー前回おっしゃっていた、雰囲気作りという課題については

もう本当にみんな盛り上げようというので頑張っていて、でもコートの中にいる人はそれでもやっぱり結果がでなくなってきた時にしんどくなる場面があって、でもそこを周囲の人間が盛り上げようってまたエネルギーをあげて、結果的に中も良くなってっていうので。本当に全員が要所で雰囲気作りということをした。それは、ベンチ外の応援してくれている人、スタッフとして支えてくれている人も含め、その思いがあったんじゃないかなと思います。

 

ーー2週間空きましたが、どのような調整を

課題に対してしっかりと向き合うということでやってきました。具体的には、サーブレシーブをもうちょっと安定させなきゃいけないよねというところと、ブロックも武器とすべきところがまだまだ伸びしろがあるのでやっていくというところ。セッターがコンバートしているのでそこをしっかりトスを上げられる状態というのを練習するし、トスに対してスパイカーもどういうふうに入ったら良いのかというコンビ練習で、精度を高めるということを主にやってきました。

 

ーーより強くなるために次戦へどう備えていきたいか

やれることって限られていると思うので、まずは1回勝利したんだという、泥臭く決して満足のいくプレーばかりではなかったかもしれないですけど。勝ったというところを自信にして、気持ちの面で下がらず、むしろどんな状況でも強く心構えできる状態というのをベースにやっていきたいなと。プラス、これは毎週毎週やっていることですけど、当然相手に対して作戦を考えて、その作戦を実行するための練習を行っていきたいと思います。

 

ーー応援してくださる方へのメッセージ、意気込み

いつも応援していただいてありがとうございます。今日も苦しかったですけれども、なんとか勝利をすることができて皆さまのおかげだと思います。ありがとうございます。これからも決して安泰ではなく、しんどいことが99%だと思うんですけれども、ぜひ一緒に戦ってもらえると嬉しいです。

 

渡邊大昭選手(商4・慶應)

ーー今季初勝利、今日の試合を振り返って

1、2セット目落としてという試合展開で、3セット取れたのがすごく大きかったなという印象で、チームとしても本当に一つになれた瞬間だったのかなというふうに感じています。個人としては、3本目を託される場面でミスが多くなってしまったので、そこは明日から修正していこうかなと思います。

 

ーー勝利の鍵は

入来(=入来晃徳)がずっと調子良かったというのと、ミドル2人がブロックでしつこく、リードブロックでワンタッチで引っ掛けて攻撃に繋げたっていうのはすごく大きかったのかなというふうに思います。

 

ーー良い雰囲気でバレーできているように見えましたが、2週間どう調整されてきたか

取り切りたいけど取りきれないという状況がずっと続いていて、チームとしても雰囲気は良くしようというので、厳しい言葉をかけながらも、まずは楽しくバレーボールをしていたので、技術というよりも中身、信頼関係を築くように頑張っていました。

 

ーー次戦への意気込み

筑波大も強いチームですけど、今のチームとしては十分戦えると思うので、しっかり休んでまた明日臨んでいこうかなと思います。

 

芳賀祐介選手(環4・札幌北)

ーー今季初勝利、試合を振り返って

自分が入部してから今まで、7連敗したのが初めてで負け続けているとどんなに上を向こうと思ってもどうしても下を向いてしまったりというところがあって、チーム的にも雰囲気が落ちてしまっていると思ってて、どこかで変えたいと思って挑んだのが今日で、結果として勝つことができて本当に良かったです。ただの1勝ではなく、これからこの後の参戦につながる1勝ができたのが良かったと思います。

 

ーー良い雰囲気でバレーできているように見えましたが、2週間どう調整されてきたか

どのフェーズ、どの一戦でも、どの練習でも、せっかくやるなら楽しくやろうというところはあって、ただそれがふざけるとか、考えずにやるということではなくて、考えながらも好きなバレーを楽しんでやろうという雰囲気はずっと身についているのかなと思っていて。それが今日、良いプレーや良い流れでやりきったことで体現できていたのかなと思います。特別何かを変えたということではなくて、今までやってきたことが今日やっと発揮できたという感じです。

 

ーー慶大の強みであるブロックが綺麗に揃っていましたが、MBとして意識されたことは

自分についても後輩についても普段から言っているのは、自分のできることを精いっぱいやるということで、高い選手、素晴らしい選手が沢山関東にいる中で、パワーがある選手にはじかれたりとか、上から打たれたりというのはあるのですけれども、それを一生懸命止めようとして形が崩れたりとかおろそかにしてしまうのではなくて、しっかり揃えたうえで後はもう後ろに任せるというところが約束事としてあるので。まずは自分ができること、練習でいつも通りやっていることを試合でやって、その結果どうなるか、20%を出しに行かない、自分ができる100%をいかに出せるかというところを意識していますし後輩にも伝えています。

 

ーー次戦への意気込み

1勝目ということでこれを意味ある1勝だと思っているのですけれども、結局は明日勝つこととか良い試合をするということが今日の1勝に意味を持たせると思うので。今日の試合で出た反省点、1セット目2セット目の入りが悪くて、それを改善できたことも含めて、良いことも悪いことも反省して明日また本気で1からやっていこうと思っています。

 

内田克弥選手(環4・松江工業)

ーー今季初勝利、試合を振り返って

最初2セットを良くない形で取られたのですけれども、3セット目を取り切ることができて、その流れのまま4セット目も取れて、5セット目も最後は気持ちで押し切れたんじゃないかなと思います。

 

ーー2セット取られてから、逆転勝利のターニングポイントは

3セット目の最後ですかね。ラリーが続いている中でずっと練習してきたブロックとフロアディフェンスが最後の1点でつながって、決めきれることができて、3セット目をとれたというのがターニングポイントかなと思います。

 

ーー相手のマッチポイントなど大事な場面でボールを任せられていましたが、攻撃で意識したことは

序盤はサイド側のブロックアウトを意識して、相手の高いOPと対峙しながらブロックアウトを狙っていたのですけれでも、終盤は組み合わせを変えて相手セッターとマッチアップしていたので、上だったり間だったりブロックアウトだったりを狙っていきました。2段トスとかで3枚目が付いたときは、もう気持ちで打ち切ったのが大きいと思います。

 

ーー次戦への意気込み

筑波もフロアディフェンスでやりづらいのですけれども、こちらもブロックはとても練習してきたので負けないように、負けずに、頑張っていきます。

 

山口快人選手(経2・慶應)

ーー今季初勝利、試合を振り返って

良い場面が少なかったんですけど、最後なんとか勝ちきれて良かったかなと思います。

 

ーーサーブも決められていましたが、ご自身のプレーを振り返って

今リーグで初めてセッターをやっているので、うまくいかないことの方が多いけれど、今日はわりかし成功が多くて。サーブもアナリストから指示を受けているので、練習成果が出たかなと思います。

 

ーー今季からセッターを務められていましたが、ここまでを振り返って

やっぱり高校までやったことがなかったので。2月くらいにセッターをやることが決まったので、短期間で試合で活躍できるようにというところが目標だったので。最初はできないことが多くて苦しんだというか、悔しかったんですけど、みんなが結構カバーをしてくれるのでやりやすい状況だけれども、もっともっと精度良く(トスを)上げられるかなと思っています。

 

ーー次戦への意気込み

次戦は筑波大学で、自分たちも別に苦手意識はないので、しっかり今日みたいにチームで勝っていけるように頑張っていきたいと思います。

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