【ラクロス(男子)】前半苦戦も修正力で武蔵大を上回り7ー4 暑さと熱戦を制し開幕2連勝 池田朋史ら3年生が躍動/第36回関東学生ラクロスリーグ第2戦vs武蔵大

男子ラクロス

8月半ばの夏の盛り。夕方FOにも関わらず、焼けつくような日差しと厳しい暑さに見舞われたリーグ戦第2戦。初戦で強豪・明大を敗った慶大は、開幕2連勝で勢いに乗りたいところ。第1Qは開始直後、藤岡凜大(政4・慶應)のゴールで先制に成功するも、FOから流れを掴むことができず2失点。それでも池田朋史(商3・慶應)のゴールで2−2とし、試合を振り出しに戻す。第2Qも再び1点を追う展開となるが、ここでも終盤に池田の大きな同点ゴール。慶大は、第2Qまでを3ー3で凌ぐ。ハーフタイムを挟み、第3Qは攻守の戦い方を修正。石村嶺(経4・慶應)を筆頭に、大山颯輝(経3・慶應)、中西海(経3・海城)が立て続けに3点を追加。第4Qには、藤岡がダメ押しの7点目。暑さと熱戦を制した慶大は、7ー4で開幕2連勝を飾った。

 

◇スタメン

AT

#3  藤岡凜大(政4・慶應)

#7  田代豪(商4・慶應NY)

#90 池田朋史(商3・慶應)

 

MF

#51  石村嶺(経4・慶應)

 

LMF

#17 関根瑠偉(政3・慶應)

 

DF

#16 奥澤拓馬(商4・慶應)

#22 小川健(政4・慶應)

#29 中本孝太郎(政2・慶應)

 

G

#79 岩城敦大(法2・慶應)

 

FO

#99 増成琉之助(政3・慶應)

 

♢得点♢

 

1Q

2Q

3Q

4Q

慶大

武蔵大

慶大得点者

藤岡、池田

池田

石村、大山、中西

藤岡

 

FOの予定時刻、午後4時を迎えたアミノバイタルフィールド上空はなおも青空。周囲には遮るものがなく、ジリジリと焼け付くような日差しがフィールドに降り注ぐ。応援席には、部員のほか應援指導部も応援に駆けつけ、FO前から会場の盛り上がりは準備万端。そして、熱気に包まれたフィールドに試合開始のホイッスルが鳴り響く。

 

第1Qは開始2分、主将で慶大の絶対的エース・藤岡凜大が先制ゴールで幸先の良いスタートを切る。しかし、その後は武蔵大のスピードを活かした攻撃に苦戦。7分には捲りシュートで同点とされると、直後にFOからゴールを刺されて1ー2とリードを許す展開に。慶大はFOからうまく流れを掴むことができず、我慢の時間が続く。「鬼のDF」コールが鳴り響く中、寺町陽太朗(経4・慶應)や増田友翔(経3・慶應)のマッチアップで、武蔵大の攻撃を迎え打つ。そして、AT陣がパスを回して粘り強く得点の好機を伺う中、残り2分を切ったところでゴール裏の池田朋史が仕掛ける。ゴール左裏から旋回した池田は、相手DFを置き去りにして瞬く間にシュートを放つ。空中に放たれたボールはゴール右上に突き刺さり、武蔵大を牽制する大きな1点を追加。残り30秒を守りきり、第1Qを2ー2の同点で終える。

 

続く第2Qは、相手ファウルにより慶大が3分間数的優位の状態でスタート。慶大は、藤岡凜大を中心にシュートを放つが、相手DF陣に阻まれ得点に繋げることができない。さらに、武蔵大の猛攻を抑えきれず失点。流れを掴みきれないまま、2ー3と再び慶大が1点を追う展開に。武蔵大に3点目を献上した慶大は、タイムアウトで立て直しを図る。その後は一進一退の攻防を繰り広げ、守備では増田友翔やG・岩城敦大(法2・慶應)がゴールを固く守り抜く。第2Q終了間際、ベンチからは「あと1点とって終わろう!」という声が響く中、ここでも池田朋史がフィールド上で大きく躍動する。池田は、またもゴール裏から左に抜けると、相手DFを背負いながらシュートを沈めて3ー3。両者譲らぬ均衡状態で、試合を折り返す。

 

ハーフタイムを挟み、第3Qから一気に攻勢へと転じた慶大。 ここから、目が覚めるほどの慶大ゴールラッシュが幕を開ける。開始2分、石村嶺がリーグ戦2試合連続となるゴールで4ー3とすると、3分にはゴール右横でパスを受けた大山颯輝が颯爽と駆け抜けランシューで5ー3。直後には、リーグ初戦で開幕ゴールを決めた中西海もゴールを沈め6ー3。後半開始5分で一挙に3点を奪い、一気に武蔵大を突き放す。その後も得点こそならないが、藤岡凜大や前半2ゴールの池田朋史らが何度も武蔵大のゴールに襲いかかる。第3Q終盤には1点を返されるが、DF陣の堅実な守りでリードを守り抜き、6ー4で最終Qへと繋げる。

 

 

開幕2連勝へ、あと15分。第4Q序盤は我慢の時間が続くが、奥澤拓馬(商4・慶應)や関根瑠偉(政3・慶應)らDF陣を中心にしっかりとゴールを守り抜く。7分には、小川健(政4・慶應)の見事なパスカットや関志翔(政3・國學院久我山)のグラウンドボールでの技巧が光り慶大ポゼッションとするが、ここで武蔵大のタイムアウト。残り3分で敵陣ゴール正面から試合が再開すると、勝利を手繰り寄せるかのように藤岡凜大や石村嶺が果敢に相手ゴールへと迫る。しかし、試合も終盤に差し掛かる中、両チームに足を攣る選手が続出するなど、暑さと疲労が選手たちにのしかかる。そんな中でも、エース、そして主将という2つの看板を背負う藤岡は、その実力と責任をプレーで示す。池田朋史がゴール裏で相手DFのダブルチームに苦しむ中、藤岡はグラウンドボールを華麗にスクープするとゴール正面へと駆け抜ける。そして、藤岡が残り2分でダメ押しの7点目を叩き込み7ー4。勝負を決定づける執念のゴールに、武蔵大Gは思わずその場に膝から崩れ落ちる。最後はFOから混戦となるが、G・岩城敦大のセーブから慶大のポゼッションで試合終了。暑さと熱戦を制した慶大は、開幕2連勝を飾った。

 

前半は苦しい時間帯が続き、池田朋史の2ゴールでなんとか持ち堪えた印象だった。第2Q終了時点では、どちらのチームに軍配が上がってもおかしくないゲーム展開だったが、ハーフタイムでしっかりと戦い方を修正できた点において慶大が一枚上だったように思う。そして、それを可能にしたのはやはり慶大の「層の厚さ」だ。特に攻撃面では、六大戦、早慶戦、リーグ戦を通じて、池田朋史、中西海、大山颯輝ら3年生の活躍も目覚ましい。4年生の石村嶺や絶対的エース・藤岡凜大へのマークが厚くなる中、誰にボールを委ねても期待に応えてくれるという安心感がある。そんな慶大の攻撃を支えるのは、言うまでもなく粘り強い守りを見せたDF陣であり、攻守ともに慶大の強さを感じる試合だった。今後の戦いと、まだ見ぬ選手たちの魅力に胸が高鳴る。

                            (取材:竹腰環、岡里佳、長掛真依)

 

 

▽以下、選手インタビュー

主将/AT・藤岡凜大選手(政4・慶應)

ーー今日の試合を振り返って

いやー、暑かったです(笑)。暑かったのと、オフェンスが決め切らなきゃいけないところで精度が低かったので、そこが一番チームとしては反省で苦しかったかなと思うのと。ただ、後半からそれをしっかり修正できたのが、チームとしてそれはすごいよかったかなと思います。

 

ーーいつもとは違う部分も多くあった印象ですが(藤岡凜大選手がゴール裏から攻撃を仕掛けることが多い中、この日は池田朋史選手がその役割を担っていた。FOにDF・小川健選手と奥澤拓馬選手が入っていたなど…)

俺が裏にいなかったのは、相手のDFに合わせてってことなんですけど、FOに関してはちょっと怪我人が多かったのでっていう感じですね。

 

ーー前半、守備の時間が長い中でどのようなことを考えていたか

ちょっと暑かったので、あんまり攻撃が長くても困るなと思いながら…(笑)。DFがちゃんと踏ん張るところは踏ん張ってくれてたのでって感じですね。でも、もうちょっとターンオーバーがあって、ボールを持てたらチームとしては理想だったかなと思います。

 

ーー第3Qで立て続けに3得点できた要因は

やっぱり、裏に対して相手が強く出てきたので。俺に対してとかも。そこで広く空いたスペースに対して、俺とか石村(=石村嶺)じゃないメンバーがしっかり入り込んでっていうところをやろうっていうふうに途中から修正してて、それがうまくいったのでそこはすごいよかったかなと思います。あれで、しっかり流れを持ってこられたのが勝因かなと思います。

 

ーー両チームともに足を攣ってしまう選手がいたりと、暑さがこたえる中でどのようなことを意識していたか

もう頑張ろうっていう。まず最後まで、勝ってたら最後までボール持って走り切るのが自分の役目なので。そこは責任を全うしようって感じですね。

 

ーー次戦への意気込み

次戦はこんなヒヤヒヤにならないように、最初から圧倒して勝ちます!

 

 

AT・池田朋史選手(商3・慶應)

ーー今日の試合を振り返って

暑かったです。前半は相手にリードを奪われていて非常に苦しい展開になっていましたけど、しっかりオフェンスの中で、チームの中で修正して、後半としては圧倒できたかなという感じなので。修正という部分はうまくできたかなというふうに思います。

 

ーー武蔵大のどこが戦いにくかったか

暑さもそうですけど。このチームの強みって「裏の攻撃」だと思うんですけど、そこがしっかり張られて、うまく自分たちの調子を出せなかったというふうに思います。

 

ーー大事な2度の同点弾(2ー2、3ー3)を決めたが、ご自身のプレーを振り返って

ゴールこそ決めたんですけど、大事な部分でパスカットされたり。もうちょっとゲームメイクの点でうまくできたんじゃないかなというふうには思います。でも、今シーズンゴールがなかった中で2点決められたのは大きいかなと思います。

 

ーー今季はどう戦っていきたいか

全部圧勝で、日本一で!個人のゴールもそうなんですけど、しっかりチームの勝利に貢献できるようなプレー、ゴール以外でもしっかりゲームをコントロールできるようになりたいなと思います。

 

ーー次戦への意気込み

圧勝で!

 

 

MF・中西海選手(経3・海城)

ーー今日の試合を振り返って

最初は勝てるか不安だったのですが、きっと後半には勝てるんだろう、練習したことを出せるだろうと思っていました。

 

ーー開幕ゴールを決め今試合も6点目のゴール、自分のプレーを振り返って

自分の得意なプレーをしっかり出せたことはすごく良かったなと思います。開幕戦のゴールも先輩からのアシストもあって、決められて良かったです。

 

ーーご自身の得意なプレーというのは

ゴールから見て左上からのランシュー(ランニングシュート)が得意です。それが今試合もうまく決まって良かったです。

 

ーー何度もパスを受け攻撃の中心に、どんなことを意識して今試合に臨まれたか

今この選手が攻めたい、攻めるのがベストかなというのを常に考えて、その選手たちにボールを渡したり、逆に自分がいかなくてはならない時には自分からしっかり強く行こうと意識していました。

 

ーーこれからチームの中でどのような役割を担っていきたいか

今は特に周りの選手にボールを供給するのがメインになっているのですが、逆に供給される側となって点を取りに行くような選手になれればなと思っています。

 

ーー次戦への意気込み

今のところ毎試合点を決めれているので、次も1点、さらには2点と決めることができればと思っています。

 

 

MF・関志翔選手(政3・國學院久我山)

――今日の試合を振り返って

前半は、相手のスピードあるプレーに全体的に受け身になっていたこともあり、なかなか攻撃のリズムをつかめず、相手に主導権を握られてしまいました。ただ、後半からは守り方を変えて、それが相手に効いたことで計1失点に抑えることができました。守備に関しては、もっと早い段階から相手のプレースタイルに対応出来ていれば良かったと思います。

 

ーー守り方を変えた中で、役割にどのような変化があったか

自分はMFの中でも守備的な役割を任せられています。少し複雑な話になるんですが、自分が後半から行った守備は、ボールホルダーの手元をクロススティックを使って妨害し、2人目の守備のヘルプの時間を稼ぐことでした。こうすることで、相手の攻撃を2人がかりで挟んで食い止めることができます。それが上手く出来た場面もいくつかあったので良かったです。 

 

ーー武蔵大と戦ってみて

事前に戦力分析をしていた時も、みんな足が速いということはイメージしてはいました。ただ実際に対戦してみて、思っていた以上に足が速くて身体も強かったです。なので、試合前半は一対一で競り負けて点を決められる場面もあったんですけど、途中から2人がかりで挟みに行くように守備を修正することでなんとか対応できたと思います。

 

ーー終盤には1on1やターンオーバーで存在感、プレー中の心境は

とにかく失点をしてはいけないと思っていました。このタイミングで失点すると、流れが一気に相手に傾いて雰囲気にのみ込まれてしまいそうだったので。相手の勢いを食い止めるために、先ほどのような泥臭いプレーを徹底し、味方の攻撃に繋げることを意識していました。

 

――今後の目標

チームとしての目標はリーグ戦を全勝してFINAL4に駒を進めることです。個人としては、泥臭いプレーに加えて、数字として残るプレーによってチームの勝利に貢献したいです。例えば、守備時の一対一の局面における※ボールダウンやパスカットなどです。これらのプレーを増やすことで存在感を出していければと思います。

 

※ボールダウン;ディフェンスのチェックの成功や、パスミスなどによって生まれる、両チームともボールを保持していない状態。

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