【ラクロス(男子)】「いつもとは発想を変えて」名城大の鉄壁を崩し8ー3 東海王者を下して全学決勝へ/第15回ラクロス全日本大学選手権大会 準決勝 vs 名城大

男子ラクロス

勝った方が全学決勝へと駒を進める大事な一戦。全学準決勝では、11年ぶりに全学出場を勝ち取った東海王者・名城大学と激突した。慶大は、試合開始のFOから村田陽世(環4・慶應)が幸先良くゴールを決め先制に成功すると、第1、第2Qでそれぞれ1点を追加し3ー1で前半を終える。後半は、田代豪(商4・慶應NY)のハットトリックを含む5得点で相手を圧倒。8ー3で名城大を下し、全学決勝進出を決めた。試合後の挨拶では、敗れた名城大の主将が「慶應大学の皆さんおめでとうございます!日本一目指して頑張ってください!」とエールを送るなど、心温まる一幕も見られた。

◇スタメン

AT

#3  藤岡凜大(政4・慶應)

#4  福田天真(法2・國學院久我山)

#9  田代豪(商4・慶應NY)

 

MF

#5 佐藤孝紀(政4・慶應)

  

LMF

#21 小川豪(商4・都立青山)

 

DF

#16 奥澤拓馬(商4・慶應)

#19 増田友翔(経3・慶應)

#22 小川健(政4・慶應)

 

G

#79 岩城敦大(法2・慶應)

 

FO

#63 村田陽世(環4・慶應)

 

♢得点♢

 

1Q

2Q

3Q

4Q

慶大

名城大

3   

慶大得点者

村田、落合      

福田               

池田、田代       

中西、田代(2)

―     

全学準決勝は、村田陽世のFOで幕を開ける。村田は巧みなクロス捌きでボールをスクープすると、そのまま敵陣へと切り込み力強くシュート。放たれたボールは吸い込まれるようにゴールの中へ。慶大は、開始30秒を待たずして先制に成功する。しかし直後に同点弾を叩き込まれ、1ー1で試合は振り出しに戻る。それでも、藤岡凜大(政4・慶應)、池田朋史(商3・慶應)らAT陣が立て続けにシュートを放ち、名城大ゴールを脅かす。すると9分、今度は藤岡からパスを受けたMF・落合優椰(政4・慶應)がゴールネットを揺らして2ー1。再び勝ち越しに成功する。慶大はさらなる追加点を挙げようと敵陣へ迫るが、絶対的エース・藤岡へのマークが厚く、思うように攻撃を展開することができない。一進一退の攻防が繰り広げられる中、LMF・小川豪(商4・都立青山)とDF・奥澤拓馬(商4・慶應)が相手の攻撃を凌いだところで第1Qが終了する。

シュートを放つ落合優椰

続く第2Qは、名城大ポゼッションでスタート。迫りくる名城大の選手に対し、DF・小川健(政4・慶應)、LMF・小川豪、MF・佐藤孝紀(政4・慶應)らが厳しいチェックやマッチアップで応戦するが、グラウンドボールに長けた名城大からボールを奪うことができない。その中で、この日も慶大の守護神・岩城敦大(法2・慶應)のファインセーブが光る。さらに、奥澤拓馬、増田友翔(経3・慶應)らDF陣の懸命なプレーで守りの時間に終止符を打ち、チャンスメイクするも得点を奪うことはできない。そんな中、リーグ戦でも2試合連続2ゴールとその存在を知らしめた期待の2年生AT・福田天真(法2・國學院久我山)が、相手ファウルを誘い数的優位を演出。すると、またもゴール裏の藤岡からパスを受けた福田がゴール。3ー1とリードを広げる。その後の猛攻を凌ぎ、DMF・鈴木駿平(法4・慶應)がフィールドを駆け上がってクリアに成功したところで慶大のタイムアウト。残り56秒でさらなる追加点を狙い、相手ファウルを誘ったところで前半が終了。3ー1の2点リードでハーフタイムを迎える。

期待の2年生AT・福田天真

第3Qは、1分間の数的優位で試合が再開する。この間に4点目を奪うことはできないが、相手のパスミスから小川健がチャンスメイクし、攻撃の流れを一気に引き寄せる。3分には、ボールを持ったAT・藤岡凜大がゴール裏で相手DFを引きつけると、クリース内でフリーになったAT・池田朋史にゴール上からパスを出す。ボールを受けた池田は、ゴール真正面からボールを力強く叩き込んで4ー1。藤岡へのマークを逆手にとったプレーで相手を圧倒する。直後には、圧倒的な得点力を誇るAT・田代豪が相手DF3枚に囲まれながらも華麗なターンで相手を振り切ると、強烈なシュートで5ー1とする。その後も、AT・福田天真やMF・落合優椰を中心にシュートを放つが、得点を伸ばすことはできない。守備ではG・岩城敦大がゴールを固く守り抜き、5ー1でラスト15分へと繋ぐ。

ゴール前でパスを受ける池田朋史

4点リードで迎えた第4Qは、立て続けに2失点と苦しい立ち上がりとなる。最終Qで慶大ゴールを託された初出場のG・間下俊(経1・慶應)から、MF・佐藤孝紀へとロングパスが繋がり攻撃へ転じる場面も見られたが、惜しくも得点には結びつかない。ここで、間下に代わり4年生G・浜地航太郎(経4・慶應)がフィールドへ。そして、残り5分を切ったところで、再びAT・藤岡凜大が試合の歯車を動かす。ゴール裏で相手DFを引きつけながら好機を伺うと、中西海(経3・海城)へパス。中西は力強いシュートでゴールネットを揺らし、スコアを6ー3とする。藤岡は、この試合4アシスト目をマーク。直後のFOでは、長瀬太輔(法4・慶應)が見事にボールをスクープし、そのまま慶大攻撃へ。またも藤岡を起点にパスを回すと、最後は田代豪がボールを押し込み7ー3。直後には再び田代がダメ押しの8点目を追加し、ハットトリックを達成する。最後まで名城大の猛攻に苦しめられながらも、G・浜地を中心にしっかりとゴールを守り抜いてラスト15分が終了。慶大は東海王者・名城大を8ー3で下し、全学決勝へと駒を進めた。

FOから攻撃のチャンスをつくった長瀬太輔

今回の試合は、怪我により出場できない選手がいた他、ここまで全試合ゴールを決めていた絶対的エース・藤岡凜大が徹底的にマークされるなど、序盤は難しい戦いを強いられた。それでも第2Q以降は相手の戦略を逆手に取り、藤岡はアシストに徹することで相手DFを引きつけ、4アシストの活躍で得点を量産した。藤岡が思い通りに動けない中でも、ハットトリック達成の田代を筆頭に「個」のレベルの高さと層の厚さを感じさせる試合となった。そして試合後、名城大の主将が「慶應大学の皆さんおめでとうございます!日本一目指して頑張ってください!」と温かいエールを送る姿も印象的だった。全学出場が叶わなかった関東1部のチーム、そして全学で戦った東北大・名城大の思いを背負って、このまま「日本一」へと駆け抜けてほしい。次戦はいよいよ「日本一への挑戦権」をかけた全学決勝。対するは、関東FINALでも顔を合わせた明学大だ。明学大について、取材した選手たちは口を揃えて「関東FINALの時よりも絶対に強くなって戻ってくる」と話した。手強い相手にはなるが、全学決勝の舞台でも「強い慶應」をみせてくれることだろう。「日本一」に返り咲くその日まで、慶大男子ラクロス部の戦いは終わらない。

試合後に健闘を称え合う選手たち

                        (取材:重吉咲弥、長掛真依)

 

▽以下、選手インタビュー

主将/AT・藤岡凜大選手(政4・慶應)

ーー試合を振り返っていかがですか

今日の試合は対戦したことのない相手で、違う地区ということもあってどんなプレーをするのかという情報が少なくて、イメージができていなかったので少し不安ではありました。試合の中での印象としては、相手の戦術に適応するのに少し時間がかかったかなというふうには思っています。ただ、後半は修正がうまくいったので、そこで点差を広げられたかなと思います。

 

ーー藤岡選手へのマークも厚く戦いにくい部分もあったと思いますが、振り返っていかがですか

ボールを持っている人にDFが何枚も寄ってくるという守り方だったので、自分でいくというよりかはどんどんパスを回していってアシストを狙っていけたらなというふうに思っていました。

 

ーーその他にも戦術の変化や意識していたことはありましたが

ボールを持っていない選手が、ボールを持っていない選手の選択肢をいかに増やせるかというところですかね。どんどんパスをもらいにいって球を動かせばDFが厚みを作りにくくなるので、OFはそこを意識して、いつもとは少し発想を変えて攻めていました。

 

ーー普段試合に出る機会が少ない選手もたくさん出場されていましたが

出場した理由としては主力選手の怪我という理由が多かったものの、そういった中で彼らが出てチームも勝つことができたというのは、チームとしても(全日まで)2ヶ月くらいあるのでそこの競争という意味でも良いことかなと思っています。

 

ーーここまで全学を戦ってきて、手応えはいかがですか

東北大とは戦ったことがあったのですが、初めて対戦する大学もいたりですとか、ラクロスに対する考え方や戦術が結構違うんだろうなというのが試合をする中で分かったりするのが面白いなと思いながら戦っていました。全学は2年生ぶりだったので、結構楽しかったです。

 

ーー全学決勝への意気込みをお願いします!

次当たる明学は(関東FINALの時よりも)絶対もっと強くなっていて、本当に厳しい試合になると思うので。部員全員で力を合わせて、絶対勝ちたいなと思います!

 

副将/DMF・佐藤孝紀選手(政4・慶應)

ーー試合を振り返っていかがですか

初めて戦う相手ということもあってどのような試合展開になるか予想がつかない中で、自分達のゲームをすることが今日の目標だったので、そういった意味では試合中のコミュニケーションや選手同士の会話が落ち着いて取れていたことが、落ち着いた雰囲気で試合展開を運ぶことに繋がり、勝利の要因になったと思います。

 

ーー注目選手としてどんな気持ちで試合に臨まれましたか 

やはり負けたら引退の試合だったので、今まで以上に緊張はしていたのですが、今まで自分が4年間やってきたことを信じて、いつもより昂る自分の気持ちを抑えて普段通りにプレーすることを意識して挑みました。

 

ーーいつもボールを持って敵陣へと駆け上がる姿が印象的ですが、試合の中ではどのような役割を意識していますか

僕がやっているDMFというポジションは、DF局面においてショートスティックを持って6ー6の組織DFを守るというポジションで、役割が限定されている特別なポジションでもあるので。自分がいかにチームの攻守に貢献できるか、一つ一つのグラウンドボールをすくったりとか、運動量をもってボールをOFに繋げたりと丁寧にプレーすることを心がけています。

 

 ーー全学決勝への意気込みをお願いします!

 入部した時から憧れていた試合なので、自分が4年間やってきたことを信じて、1年生から4年生まで試合にでているメンバーも、出ていないメンバーも、チーム全員で勝ちたいと思います!

 

 

DMF・鈴木駿平選手(法4・慶應)

ーー試合を振り返っていかがですか

やってきたことをしっかりと発揮して、組織で完勝できたことはすごくよかったと思います。

 

ーーパスカットやグラボなど、守備で活躍されていましたがご自身のプレーを振り返っていかがですか

なかなかスポットライトの当たりづらいDMFというポジションの中、グラボという部分で目立てたことはすごく嬉しいです。

 

ーーここまで全学を戦ってきて、手応えはいかがですか

当たり前のことを当たり前にこなす事の重要性と、困難さを肌で感じました。

 

ーー全学決勝への意気込みをお願いします!

今シーズンから始めた慣れない DMFというポジションで迎える初の全学という大きな舞台なので、いつも通り緊張せず、その場その場を楽しんで悔いのないよう終わりたいです!

 

AT・田代豪選手(商4・慶應NY)

ーー試合を振り返っていかがですか

序盤はDFの攻略というのが全然できない状況でかなり苦戦していたのですが、後半にかけて修正していくことができて。決定力に欠ける部分もありましたが、最終的にはスコアを離して勝利することができたので良かったかなと思います。

 

ーーハットトリックの活躍でしたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

結構序盤は緊張していて外してしまうシーンも多くあったのですけれど、かなり戦略的にも攻略することができて掴めた3点だったので非常に嬉しかったです。

 

ーー後半にかけてどんなところを修正されましたか

しっかりと一人一人が脅威を与えられるようなポジションに毎シーン向かっていくことで、終盤は得点に繋がったのかなと思います。

 

ーーここまで全学を戦ってきて、手応えはいかがですか

(1回戦の東北大も、準決勝の名城大も)2校ともかなりの強豪校で、今日も第1、2Qはもう少しうまくいくかなと思っていたけれどうまくいかなかったので、そこが全国の壁の高さなのかなと実感しています。

 

ーー全学決勝への意気込みをお願いします!

関東決勝では点差を離して明学に勝つことができましたけれど、やはり全学決勝となると相手もいろいろな戦術を試してくると思うので、そこでしっかりと対策を練ってまた勝利を掴めるように頑張りた良いなと思います。

 

FO・村田陽世選手(環4・慶應)

ーー開始早々にFOからゴールという大活躍でしたが、ゴールの瞬間を振り返っていかがですか

リーグ戦で初めての得点だったので、本当に嬉しかったです。ただ、試合開始直後過ぎたのか、ベンチがあまり盛り上がってなかったような気もして少し寂しさも感じました(笑)。

 

ーー試合を振り返っていかがですか

チームとしては怪我人がいたり、リーグ戦初出場の選手もいる中でのチャレンジとなりましたが、勝ち切ることが出来て非常に良かったと感じています。また個人的にも、オフェンスが得点を重ねてディフェンスもしっかりゴールを守ってくれている中で、相手に流れを渡すことなく役割を果たすことが出来て良かったです。

 

ーー東北大、名城大と対戦してきましたが、全学をここまで戦ってきた感触はいかがですか

負けたら引退の試合が続く中で、簡単な試合はないなと改めて感じています。ただ「日本一」に向けてあくまで通過点だと思うので、勝ちを積み重ねながらチームとして成長し続けたいと思っています。

 

ーー全学決勝への意気込みをお願いします!

関東FINALでは勝利することが出来ましたが、全学を経て明学もパワーアップしていると思います。その中でもしっかりと迎え討つことが出来るよう頑張ります!

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