24年度に引退を迎えた4年生を特集する「Last message~4年間の軌跡~」。第14回となる今回は庭球部女子で主将を務めた、馬渕麻実(環4・浜松聖星)。今回は1年間、キャプテンとしての役割を全うし、引退から半年経った馬渕を取材した。
兄の後を追って4歳から始めたテニス。周囲の人たちが喜ぶ笑顔をモチベーションに続けてきた。小学校から怪我が多く、泣いた時間の方が多かった。今まで勝てていた選手に負け続ける悔しさを経験もしたが、全国優勝も経験し、勝つことのうれしさも学んだ。
庭球部に入部した理由を「実力を問わず、ここまで短期間集中してテニスに熱をかける部員が集まった組織は、ここにしかないと感じたからです。」と口にした馬渕。環境の良さにひかれて浜松から慶應に入学した。
1年次、2年次はコロナという、今まで怪我、敗北、など様々な壁を経験してきた馬渕にとって異例の壁であった。それは彼女だけでなく、チームとしても困難な時代を歩むこととなった。それでも週5の練習とミーティング中にはもちろん、部活動が休みの日にも庭球部のことを常に考え続けた。「どれだけ苦しい状況になっても前を向き続ける忍耐力」と馬渕が言葉にするのは、この時期の体験から培ったものでもある。
自らをブルドーザーと表現する馬渕。これはブルドーザーのように泥臭く、周りを巻き込むプレーで魅せるという信念が表れている言葉である。3年次には全日本大学対抗テニス王座決定試合(王座)で日本一に輝いた。チームとしては1966年以来55年ぶりの快挙であり、その歴史的瞬間に立ち会えたことは馬渕のテニス人生にも刻まれることとなった。しかしその反面、メンバーに入れなかったという悔しさもあった。

55年ぶり優勝の一員となる
自身の真骨頂である泥臭さは主将となった4年次から発揮される。ダブルスを主戦場としており、渡邊多笑(総2・岡山学芸館)と2024年全日本学生テニストーナメントで本選出場を果たした。その後の関東学生テニスリーグでは毎試合出場するも、チームを率いて臨んだ王座への挑戦は3連敗という非常に厳しい結果が続いた。
しかし、馬渕の磨き続けた泥臭さは今度はチームにも波及していく。続く第4戦、第5戦では田島楓(環1・相生学院)とペアを組み、部内最年長と最年少による共演は先輩としての生き様は見せつける機会となった。チームはこの2戦で連勝を収め、王座進出とはならなかったものの、4年間最後の試合を勝利で幕を閉じた。

言葉を交わす馬渕と田島
引退から半年の馬渕に、慶大庭球部の存在について質問した。「自分の大学生活のすべてでした」。そんな存在である慶大庭球部は現在、彼女たちが成し遂げることができなかった「男女で王座優勝」に向かい再始動し、日々邁進している。馬渕は庭球部で培った、「どれだけ苦しい状況になっても前を向き続ける忍耐力、結果が出なくても諦めずにコツコツと努力を積み重ねる泥臭さを活かし、新天地でもブルドーザー馬渕として努力し続けます。」と言葉を残す。
それぞれの目標を胸に、今日も彼女らは前進あるのみである。

最後に魅せた馬渕の泥臭さ
(取材・記事:吹山航生)