【バレーボール】主将としての「責任と覚悟」 想いを込めて互いに”贈る言葉”/新旧主将対談(後編) 山元康生×渡邊大昭

バレー企画

ケイスポバレー班は、4年生の門出と3年生率いる新チームの始動に際して、全3弾の「新旧対談」を企画!記念すべき第1弾は「新旧主将対談」。前主将・渡邊大昭選手(商4・慶應)と新主将・山元康生選手(法3・慶應)の対談をお届けします。後編では、お二人の主将像や、大事な試合で見られる“ある光景”にも迫ります。さらに、渡邊選手が13年にわたるバレーボール人生を振り返ります。そして、最後にお互いへ“贈る言葉”とはーー。お二人の想いが詰まった対談を、ぜひご覧ください!

この記事の【前編】はこちらからご覧ください

選手紹介

2024年度 主将

渡邊大昭(商4・慶應)

ポジション:OH(アウトサイドヒッター) 

 

2025年度 主将

山元康生(法3・慶應) 

ポジション:L(リベロ)

 

主将について

ーー主将就任時、山元選手はどのようなお気持ちでしたか

山元:やっぱり主将は、一番チームビジョンをしっかりと掲げて、目標達成、関東1部リーグに向けていろいろな面から一番頑張らなければいけない。それを「責任と覚悟」という言葉を使って納会ではお話ししましたけれど、誰よりもその姿勢とか行動を示していかなければいけないのが主将だと思います。その中で、僕はプレーで引っ張るというのはポジション的にもなかなか難しい中で「いかに仲間の良さを引き出していくのか」がキーになるのかなとは思っています。結束力の高いチームを目指して引っ張っていく、下支えしていくことが役割になるのかなとは感じていました。

 

ーー山元選手は主将になられて1ヶ月ほど経ちましたが

山元:実際に主将をやってみると、やっぱり先頭に立つのは難しくて。堂々としていなければいけないし、組織の顔として動かなければいけないし、迷いがあるとそれが不安として出てきてしまうし、トップが揺らぐと組織が崩れてしまう。そこを大昭さんは感じさせなかったというか「大昭さんのチーム」というものが完全に出来上がっていたなと思うと、自分なりに「山元康生のチームだよね」と言ってもらえるような振る舞いだったりとか、行動をこれからはしていきたいなというふうに思います。

渡邊:恥ずかしい…(笑)。

主将として、練習を仕切る山元選手

 

ーー渡邊選手が主将として大事にされていたことは

渡邊:僕は、自分ができないことは言わないということを1番大事にしていました。身の丈にあった選手でなければいけないし、自分を大きく見せるというよりかはみんなの目線に立って動くというリーダー像、それが去年の島田さん(=令6経卒・島田航希/大同特殊鋼知多レッドスター)でした。みんなとコミュニケーションを取って、一緒になって戦いに行く。プレーだと先頭に立つかもしれないですけれど、自分が突っ走るというよりかは一緒にチームを創って結果に結びつけたいと思っていました。

 

ーー秋季リーグ終盤には、試合後に副将のお二人(芳賀選手・田鹿アナリスト)と3人で集まる姿を何度も目にしましたが

渡邊:彼らとは「副将と主将」という関係もありながら同期として4年間一緒にやってきた仲間で、バレーボールを知っている選手たちだと思うんです。芳賀も然り、田鹿然り。僕はすごく頼りにしていて、秋リーグは僕の調子が良くなくてずっと落ち込んでいる中、2人は試合に出て活躍していたし、ベンチで声を出してくれていたし、データを取って戦術も立ててくれていたし。一緒になって戦いながらも、僕を助けてくれていた、助けられていた部分もありました。康生が言っていたように「上(の学年)が崩れたらダメだよね」という話になったので、前を向いてやっていこうという切り替えは意識していました。苦しいし辛いけれど、それを後輩に見せたら伝染してしまうので。反省はこの3人の中で終わりにして、次からどうするかを考えるようにしていました。

ベンチからいつも熱い声援を送っていた田鹿アナ

どんな時でも仲間を鼓舞し続けた芳賀選手

 

ーー渡邊選手は、主将として1年を振り返っていかがですか

渡邊:もう全然ですよ(笑)。塾高の頃もキャプテンやっていましたけれど、当時は周りの選手よりも身長が高くて全国的にも通用するレベルだったので、それに付随してみんながついてきてくれたところはありましたけれど、大学では同期も少なくなって自分一人で考えることも多かったので、もっと周りの人に頼れば良かったなという反省はありますね。「自分が悪いから勝てないんだ」と思うことも、リーグ終盤はそうやって芳賀と田鹿と話すことも多かったですけれど、最初の方は一人で悩みながら抱え込んでしまって。すごい苦しくて、一回練習を休んでしまったことがあったので。誰にも相談せず迷惑をかけてしまったし、信頼していないわけではないですけれど、もっと仲間を大事にして良かったのかなとは思いました。あんまり良いキャプテンじゃなかったんじゃないかなーー。

山元:主将になるべき人だったし、それを最後までやり切った。それで僕たちがついていった、ということが全てじゃないかなと思います。一番近くにいたからこそ大変なことはなんとなく伝わっていたけれど、それでも大昭さんのために、4年生のためにできることを頑張ろうと思えたし、頑張れていました。結果が出ていないという観点では難しいかもしれないですけれど、それ以外の面では本当に完璧な人だったのではないかなと思っています。

 

ーーチーム渡邊はどんなチームでしたか

渡邊:春に掲げた「自立したチーム」の実現はできなかったと思います。僕自身は少し自立できている方かなと思っていて、上手くなりたかったら練習しますし、ダメだなと思ったらやらないですし。でもやっぱり大学生なので、みんなバレーだけをやっているわけではないから僕も言えなかった部分、自分とは違うからと思いとどまって言葉にできなかった部分もありました。雰囲気は「ふわっとしていた」かもしれない。目標はありながらも、メリハリというよりかは言葉通り「ふわっと」漂っている。練習中とかも含めて上下することもない。だから負けたんだろうな、キャプテンとしてそこを絞められなかったという点でもっとやれたなとは思いますけれど。そういうチームだったと思います。

山元:後輩の視点では、4年生の良さが溢れていたチームだったなとは思います。結果どうこうではなくて、いろいろな個性を持った4年生がいる中で自分たちなりに価値を発揮して、大昭さん以外の人たちも自分たちがチームにできることを常に考えながらやっていたと思いますし、祐介さん(=芳賀祐介)、陽大さん(=法4・田鹿陽大)とか4年生全員がすごく変わったなと感じた1年でした。だから、結果が伴わなくてもチームが崩れなかった、最後に沈んで終わるのではなくて、一回上昇して良い試合ができたのかなと思います。4年生がすごいねと言われるのは、そういうところにあると思います。結果が出なかったのに、ここまでチームを引っ張れた4年生は流石だなと思いますし、それができたのは4年生の行動とか日々の振る舞いに尽きるのかなと思います。

 

ーー主将として迎えるラストシーズン、山元選手はどんな1年にしたいですか

山元:定性的ですごくボヤッとしてしまいますけれど、「責任と覚悟」という一言で頑張っていきたいと思っています。学生の集大成、バレーボール人生の集大成として今まで自分が培ってきたものを最大限発揮したいと思いますし、主将を任されたからにはこのチームのために、みんなのために頑張っていかなければいけないし、みんなの力を引き出す、結束力を高めるために自分がどう行動していくかが大事だと思うので。「責任と覚悟」を持って、組織の先頭に立っていかなければいけないと思っています。ただ、そこが自分に足りていない部分でもあるので、これからもっと成長していきたいです。

ベンチへ戻る選手たちに声をかける山元選手

 

渡邊選手のバレーボール人生と引退後の生活

ーー渡邊選手は、ここまでを振り返ってどんなバレーボール人生でしたか

渡邊:本当に僕は仲間に恵まれた人間なのかなと思っています。なんとなくで始めたバレーボールで、同期に浅野翼(早大4年・東北)がいたりだとか、下には日体で活躍している今エースの山元快太(日体大3年・仙台商)がいたりとかして、順風満帆でした。中学校の時もJOCに選ばれたりとかして、いろいろな経験をさせていただきましたし、なんでか知らないですけれど慶應義塾にコロコロコロっと、いろんなご縁があって入れましたし、そこで渡辺先生に出会って。最初は勝てなかったですし、勉強がすごく大変でしたけれど本当に(笑)。それでも先輩方に勉強を教えてもらいながらバレーも一緒にやってこれたし、夢の舞台である春高にも島田先輩と一緒に行けたし、同期のみんなとも2年連続で行けたし、後輩ともみんなで行けたし、すごく楽しかった。

芳賀の活動日誌にもあったと思いますけれど、大学に入ってからは本当に負けているイメージの方が強いので苦しいことの方が多かったですけれども、それでもそこで出会えた先輩方だったり、すごい優秀で温かい仲間に出会えたのは僕の誇りですし、財産なので。仲間に恵まれてここまで続けてこられたなと思います。こうやって怪我に見舞われても迅速な対応ができたのも、トレーナーである、のしん(=商3・平山一之心)も、学連委員長の山本(=文4・山本昌岳)がいて救急車を呼んでくれてという、今こうして無事に松葉杖ですけれど歩けるようになっているので、本当に仲間に恵まれたバレー人生だったなと思います。

写真提供:慶應義塾体育会バレーボール部男子

 

ーー引退後は、どんな日々を過ごされていますか

渡邊:2週間くらい入院して、実家に帰ってからもリハビリ生活だったので好き勝手できなかったですけれど、誕生日も久しぶりに実家で過ごせましたし、やっと歩けるようになったので久しぶりに地元の子達とも会えました。あとは春高ですかね。春高に行って後輩たちの活躍を観たり、春高ってやっぱり良い場所だなと思ったり、あとは卒論を頑張ったくらいです。

 

ーー卒論はどんなテーマで書かれましたか

渡邊:トップチームの経営分析。野球とか、バスケとか、サッカーとかのトップチームの分析をしました。今ちょうどバレーがSVリーグに移行しているところなので何か提言しようという感じで、入院中ずっと書いていたので結構大変でした。論文とかも分からないですし、大変だったんですけどなんとか書き終えました!

ーー卒論、お疲れ様です!

 

最後に…

ーー今聞くことではないと思いますが、大事な試合の時に髪をオールバックにされるのは…

渡邊:あー!

山元:あーあれは誰だ。多分この人たちが始めて(渡邊選手を指しながら)…

一同:(笑)

渡邊:2年前(23年度)の全カレが発端だよね。控え室でオールバックしようみたいな悪ノリが始まって、最初はのしん(=平山一之心)と久保田健介(商3・慶應)がやり出して、当時の4年生とできるのは最後だったし「やるか」と思って僕もやったら流れで繋がっていって…

山元:あれ…僕の代か(笑)。

渡邊:その時にみんなでやって以来、勝負の試合はそれをやるって感じでしたね。

 

ーー来年以降も続きそうですか…?

渡邊山元:いやあ…(笑)。

山元:全敗なんですよね。今のところ(笑)。

渡邊:全敗なんですよ(笑)。

山元:1ー3、1ー3、0ー3なので。(23年度全日本インカレ早大戦、24年度春の入替戦、24年度全日本インカレ早大戦)

渡邊:勝ってないんですよ(笑)。あまり縁起は良くないんですよね。

山元:要検討で!

渡邊:まあ気合いは入るのでね。

山元:それは要検討します!(笑)

2024年度春の入替戦

 

ーー最後に、一言ずつお願いします!

渡邊:まずは、僕をバレーボールプレーヤーとして応援してくださった方々、本当にありがとうございました!すごい選手ではなかったと思いますけれど、こうやって続けてこられたのもみなさんのおかげですし、特に両親はこうやって慶應に上京してきた時も車で応援しにきてくれたりとか、すごく苦しかった、勉強もバレーも辛かったですけれど、両親がいたからここまでバレーボールを続けてこられたと思うので本当に感謝していますし、これから恩返ししていきたいなと思いますし、それ以外にもいろいろな方々に支えてもらってここまでこられたので、本当に社会人になったら少しずつ恩返ししていきたいので今後とも渡邊大昭をどうぞよろしくお願いします!

山元:関東1部リーグ復帰のために全てを懸ける1年にしたいと思っていますし、観てくれるお客さんとか観客の方々が「このチーム魅力的だな」とか「観ていて楽しいな」と思えるような振る舞い、プレー、そういったところも含めて「応援されるようなチーム」を作っていきたいですし、自分の集大成としてそこに全てを捧げる1年にしたいなと思います。

 

お互いへの想いを、色紙に込めていただきました!

ーーせっかくなので、色紙に込めた想いを教えてください

色紙の解説をする山元選手

山元:解説しますと、今日の対談を通して大昭さんの凄さをいろいろ言ったと思いますけれど、その凄さを体現できる人は大昭さんしかいないと思います。

渡邊:うわ!(笑)

山元:塾高の渡辺大地先生とかもよく言ってますけれど、僕は本当に大昭さんだけだと思うので。だからこそ「唯一無二」という言葉を使いました。「大エース」という言葉は、大昭さんは主将ではない時からリーダーシップを発揮していたので、役職があろうがなかろうが「先導者」として引っ張っていける。僕は大したことを言えないですけれど、社会人になっても唯一無二の先導者として社会を、会社を引っ張っていくのではないのかなという意味も込めて、このバレー生活を糧にして今後も活躍してほしいなという意味を込めて。

渡邊:マジでカッコ良い!これは嬉しすぎる。ありがとう!

照れながらも解説してくださった渡邊選手

渡邊:「悔いなく戦え」悔いは残さないで欲しいなと。ただそれだけです。僕は「ああすればよかったな」とか、怪我をしてしまったり、後悔がちょっと残っているので。最後の最後まで、新4年生がやりたいようにやれば良いのかなと思います。康生には主将になる前から「悩んどけ!」みたいな、辛くてもすぐには連絡してくるなということは言っているので、本当にキツくなったら連絡してほしい。悩むことも大事なので。主将を務めるにあたって、すぐに誰かに頼るのはちょっと違うと思うので。ちょっと悩んでから「助けてください!」ならいつでも聞くよ!って話はしてます。

山元:僕はもうこの言葉を信じて、まずはやるしかない。大昭さんもリーダー像は違えど同じ経験をしているから、大昭さんの言うことを信じて俺は俺なりに頑張ってみる。もし壁にぶち当たってどうにもならない時は頼るつもりなので、何かあったら助けてください(笑)。

渡邊:僕も先輩方に助けてもらったので、自分もそうありたいと思います!とにかく勝負事においては「戦う」という気持ちを忘れずに、この1年をとにかく悔いなく戦ってほしいです!

山元:ありがとうございます!もうこれ部屋に飾ります!

渡邊:俺も、絶対部屋に飾るわ!

嬉しそうに何度も色紙を眺めていたお二人

ーー貴重なお話をありがとうございました!お二人の今後のご活躍を楽しみにしております。

終始、仲の良さを感じる対談でした!

怪我の経過は順調とのことです(笑)

次回は、新旧主務対談を予定しております。お楽しみに!

(取材:長掛真依)

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