【バレーボール】全員が拾い、繋ぎ、決める 仲間の思いを乗せ30点越えの大接戦制す/春季関東大学男子2部バレーボールリーグ戦 第5日 vs 国際武道大

バレー戦評

1部昇格に向けて、これ以上の黒星は許されない慶大。3勝1敗で迎えた第5日は、国際武道大との一戦に臨んだ。第1セットは、攻守の要・山口快人(経3・慶應)の安定感あるプレーが光るも、流れに乗った相手を前に一歩及ばず。18ー25でこのセットを落とす。続く第2セットは、競った展開の中でエース・入来晃徳(環4・佐世保南)が躍動。さらに、途中出場・緒方哲平(環2・日向学院)のブレイクで勢いに乗ると、25ー22で慶大に軍配が上がる。セットカウント1ー1で迎えた第3セットは、両チームが意地のロングラリーを展開し、試合はデュースに突入。30点を超える大接戦の末に、32ー30で慶大がこのセットを制する。第4セットも再び拮抗した展開となるが、途中出場のMB・小山啓太(商2・慶應)の活躍、中盤の4連続ブレイクから流れを掴んだ慶大がそのまま勝ち切り、25ー18でゲームセット。苦しい立ち上がりから「全員バレー」で立て直した慶大が、セットカウント3ー1で国際武道大に勝利した。


 

2025年4月26日(土)

春季関東大学男子2部バレーボールリーグ戦 @亜細亜大学

第5日 慶大×国際武道大

 

得点

 

 

慶大

セット

国際武道大

18

25

25

22

32

30

25

18

 

出場選手

 

 

ポジション   

背番号

名前(学部学年・出身校)

OH

清水悠斗(総2・習志野)

MB

松山鼓太郎(商3・慶應)

OP

11

入来晃徳(環4・佐世保南)

OH

山口快人(経3・慶應)

MB

22

稲井正太郎(法2・慶應)

S

13

松田悠冬(商1・慶應)

L

今田匠海(政2・慶應)

途中出場

 

 

S

15

久保田健介(商4・慶應湘南)

L

緒方哲平(環2・日向学院)

MB

30

小山啓太(商2・慶應)

L

山元康生(法4・慶應)

S

26

岩間祥成(環2・成城)

第1セットは、立ち上がりからエース・入来晃徳のスパイクで2連続得点。しかし、相手の粘り強い繋ぎと力強いスパイクを前に、序盤は1点差を追いかける展開に。そんな慶大を支えたのは、攻守の要・山口快人の安定感あるプレーだった。経験から培った巧妙な打ち分けで、着実に得点を重ねる。さらに、S・松田悠冬(商1・慶應)の2連続サービスエースでチームは勢いに乗り、12-9と逆転に成功。ここで一気に相手を突き放したい慶大だが、スパイクのミスが重なりまさかの5連続失点。山口の器用なスパイクや松田のサービスエースで挽回を試みるも、流れに乗った相手を止められず。最後は相手にサービスエースを決められ、18―25で第1セットを落とす。

L・今田匠海(左)とOH・山口快人(右)

 悪い流れを断ち切り、後へ繋ぎたい第2セット。拮抗した展開の中、第1セット終盤で調子が振るわず苦しい表情を浮かべていたOH・清水悠斗(総2・習志野)がスパイクで得点を重ね、徐々に自信を取り戻していく。慶大は、OH・山口快人、L・今田匠海(政2・慶應)が懸命にボールを繋ぎ、エース・入来晃徳を中心に得点を重ねるが、サイドアウトでの失点が嵩みリードを広げることができない。それでも、18ー18の同点からMB・松山鼓太郎(商3・慶應)のスパイクで19ー18と一歩前に出ると、試合の行方を左右する大事な局面で緒方哲平をサーバーに起用。まずは入来晃徳のブロックでブレイクに成功すると、ここで国際武道大がタイムアウト。直後には、再び入来がスパイクでブロックアウトを取り、再び相手のタイムアウト。勢いに乗った慶大は、2ポイント連続で相手にタイムアウトを強いる。その後は、相手攻撃に押されながらも24ー21でセットポイント。慶大のサーブミスで1点を返されるも、最後は相手のサーブミスに救われ25ー22で第2セットを死守する。

大事な局面でサーブを託される緒方哲平

第3セットは序盤、流れに乗り切れず7-11と相手にリードを許す展開に。しかし、途中出場のMB・小山啓太がクイックを決め、チームの空気を変える。さらに、勢いに乗った清水悠斗(総2・習志野)が緩急をつけたスパイクで、一挙5得点。2年生の活躍で流れを引き戻し、17-16と慶大がリードを取り戻す。慶大は、OP・入来晃徳の1枚ブロックなど良い形で得点を重ねるも、試合は激しい点の取り合いに。入来の力強いサーブで慶大がセットポイントを握るも、相手の鋭いスパイクで失点。試合はデュースに突入する。24―25、慶大のピンチでチームは主将/L・山元康生(法4・慶應)を投入。山元は笑顔で1人1人に声をかけ、チームを鼓舞。その思いに応えるように、OH・山口快人が必死につないだボールを、MB・稲井正太郎(法2・慶應)がブロックで仕留める。両者譲らず“意地の繋ぎ”で手に汗握るロングラリーを展開し、観客の盛り上がりは最高潮に。相手がセットポイントを握れば、エース・入来の渾身の一打がチームの窮地を救う。慶大は4度の相手セットポイントを凌ぐと、最後は堅実にチームを支えた山口快人のスパイクで相手コートを突き刺し32-30。慶大が30点を超える大接戦を制し、良い状態で第4セットへ。

途中出場で勝利に大きく貢献したMB・小山啓太

勢いそのまま第4セットも連取し、ここで勝ち切りたい慶大。途中出場のMB・小山啓太のクイックも決まり幸先の良い立ち上がりを見せるが、またも相手の強烈なサーブとスパイクにペースを崩され、簡単には主導権を握らせてもらえない。S・松田悠冬のブロックポイントで迎えた、14ー13の場面。192cmの長身を誇る松田が今度はサーブで相手を崩し、L・今田匠海が繋ぎ、OP・入来晃徳とOH・清水悠斗が決める。セット中盤に良い形で4連続ブレイクに成功し、17ー13とリードを広げる。慶大は、サーバーにS・久保田健介(商4・慶應湘南藤沢)やS・岩間祥成(環2・成城学園)を起用しながら着実に点数を重ね、25ー18でゲームセット。今季4勝目を挙げ、1部復帰へ望みを繋いだ。

スパイクを打つOH・清水悠斗

今回の試合では、序盤の苦しい展開をしっかりと立て直し、乗り越えていく姿が印象的だった。スタメン、途中出場の選手、ベンチメンバー、応援、その全員で掴み取った4勝目だったように思う。この勝利を糧に、2部の舞台を全員で戦い抜いてほしい。

(取材:村田理咲、長掛真依、神戸佑貴)

 

▼以下、コメント

星谷健太朗監督

ーー試合内容を振り返って

良かったところは、途中から入った選手たちが自分の役割を果たそうとやり抜いたところと、最初から出ていた選手は上手くいかないところがありながらも、試合を通して修正していけたというところですね。課題としては、良くないところを自分たちで作ってしまった、簡単に処理できるボールを攻め急いで落としてしまったり、サーブでも攻めるべきでないところで攻めすぎて失点につなげたり、というところがあったと思います。

ーー途中交代の選手にはどのような役割を期待されていましたか

結果は分かりませんが、基本的にはそれぞれの持ち味・強みというところを発揮することを期待して送り出しました。なぜそこで送り出せるかというと、彼らが普段練習のところから、自分の武器を一生懸命磨いて、試合に出場できない期間も沢山ありながらやってきているところを見ているので、彼らなら何かやってくれるんじゃないかと信じて出しています。

ーー今回の試合のキーマンは

1人は緒方、もう1人が小山です。

緒方は、ピンチサーバーという役割で入ってもらいました。サーブで大きく崩したというよりは、相手のミスでこっちが楽になった、という時にチームのボルテージを上げてくれて、そこから連続得点、良い流れをもたらしてくれたのは大きかったかなと思います。

小山は、パフォーマンスとして自分の仕事をやりぬいた、それによって結果的にブロックやスパイクで得点を取った、ということが選手としての貢献かなと思います。なおかつ、その得点を単なる1点にするのではなく、緒方同様にチームのボルテージを上げられるようなものにするために、必死にチームの雰囲気を盛り上げてくれたというところでも、貢献してくれたかなと思います。それは彼のキャラクターとはずれたところがあるかもしれませんが、途中交代の意味を理解して取り組んでくれたと思います。

ーー司令塔として、S・松田悠冬選手はいかがでしたか

彼のポテンシャルをふまえると、まだまだかなというところはあります。自分のトスでどうにかしてあげなければという部分がまだあって、自分起点で戦い方を変えてしまうのですが、スパイカーにとっては、色々変わってしまうとマイナスになることがあります。スパイカーのことを信じて、どんな状況でもまっすぐ上げ続ける、どっしりとした心構えを持ってもらえたら、劣勢の場面でもっと良くなるのではないかなと思います。

ーー次戦をどう戦っていきたいですか

体力的に大変な中、まずはしっかり回復できるように準備をするということ。そして、体が疲れていても、心でカバーできることもあると思うので、しっかり休んで、自分のやるべきことをやるというところを徹底してほしいなと思います。結果として、勝てたらよいなと思います。

 

#11 OP・入来晃徳選手(環4・佐世保南)

ーーご自身のプレーを振り返って

エースという「軸」となるべきプレイヤーとして、点数を決めないといけないにも関わらず、前半決め切れなかった点があったので改善していきたいです。

ーー相手に押されながらも、勝ち切れた要因は

要因には2点あると思います。まず「ブロック」については、守りのプレーに見えるけど攻めのプレーでもあるので、前に出す攻めの意識を持ったこと。もう一つは、相手からの弱いボールをうまく自分たちの攻撃として返しきれたので、攻めの意識がしっかりと保たれていた点が勝ちにつながったと思います。相手も強かったですが、うちも徐々に調子が上がって良いスパイクも打てていたので、相手だけでなく自分たちも調子を上げていけたのが勝ち切れた要因だったと思います。

ーー今回の試合のキーマンは

ミドルの選手がしっかり繋がってくれたり、決めてくれたりしたので、その選手の存在が大きかったと思います。あと両サイドの山口と清水がしっかり決めきってくれたので、点の作りやすさがありました。

ーー次戦をどう戦っていきたいですか

これから、ますます強い相手と勝負をして行くことになると思います。自分たちの強みを出さないと絶対に勝てないチームが相手になるので、まずは良いプレーが出せるように最低限の土台となる部分を固めていこうと思います。 

 

#2 OH・清水悠斗選手(総2・習志野)

ーー試合内容を振り返って

今日は立ち上がりが良くなかったので、セット間で監督とかチームの人たちに、声をかけてもらって。監督と話していて、自分が良いプレーを出来なくてもその時は交代すれば良いだけだと思ったら心が軽くなって、2セット目からは思い切りよく打つことができたかなと思います。

ーー特に第3セットはトスが集まる場面も多かったと思いますが、どんなことを考えていましたか

あの場面は、トスを上げる前の松田ともよく目が合って、「上げるぞ、上がるぞ」というのが分かったので、心の準備もできたし、全部託されようと思って思い切り打ちました。結果的に決まって、チームとしても流れに乗れたのは良かったです。

ーー臨機応変に、上手くスパイクを決められていたように思います。日ごろから意識していることや目指しているプレースタイルはありますか

この春は、基本的にパワーを意識して練習していて、とにかく決め切れるパワーを目標にしています。それが最近少しずつ決められるようになってやっと、緩急をつけた、軟打とかフェイントとかを混ぜて得点できるようになったので良かったなと思います。今日も、何本かスパイクが決まって、その中で裏に落とすとかで得点出来たのかなと思います。

 

#30 MB・小山啓太選手(商2・慶應)

ーー第3セットから出場されましたが、どんなことを託されてコートに入られましたか

交代を告げられたのがタイムアウト中で、事前に伝えられていたわけではなかったので。「タイムが終わったらすぐ代わるよ」みたいな感じで言われていたので、最初は託されるというよりかは自分のできることをやろうみたいな感じでコートに入ったんですけど、何点かラリーが終わっていくうちに、監督さんの方から「練習でやっていることを精一杯やってくれば良いよ」というふうに言ってもらえたので、そこでもう一回気持ちを作り直して、言っていただいたことを意識してやりました。

ーーどのような役割を意識されていましたか

MBとしてはそこまで大きい方ではないので、事前にアナリストのデータで「この人にはコミットブロックでいこう」とか、「この人は僕が見なくても良いよ」という情報があったので、ベンチに下がった時にそこの部分だけアナリストの人と確認して、それをもとに精一杯頑張りました。

ーー第3セットから最後まで出場されていましたが、手応えは

練習でやったことを発揮するという部分では結構良かったかなと思っています。でも、自分だけの力ではないというか、コートの中に入っていて思ったのは上の応援だったりベンチの応援というのがすごい聞こえてくるので「このチームの一員にいるんだな」と思えて、自分の気持ちを盛り上げられました。

ーー逆にもっと伸ばしたいなと感じた部分は

サーブだけは個人のプレーになると思うんですけど、今日はちょっとサーブが振るわなかったので。チームの雰囲気についていけず、自分の気持ちをつくれなかったのはちょっともったいないなと思いました。

ーーその中で、31ー30のセットポイントでサーブが回ってきましたが

正直あの時は点数をあまり見ていなくて、やることをやろうという感じでした。ただ、事前にトスが結構垂れるよ(乱れるよ)というのを言われていたので、チャンスボールの処理に関しては狙っていました。実際にトスが垂れたので、チャンスボールっぽくなるんじゃないかなと思って準備していたので、上手く(チャンスボールを)上げられました。

ーー2年生として、今季はどんな1年にしたいですか

慶應という大学自体が、他の大学に比べたらタレントが揃っているというわけではないと思うんですけど、その中でも練習を週6で頑張っているので。今日は結構体現できているのかなと思うんですけど「総力戦」というところを、ピンサーではいる人もそうですし、僕みたいに途中から入る人も、総力戦というところを意識してチームで1部に上がるというところを意識してやっていこうと思います。

 

#13 S・松田悠冬選手(商1・慶應)

ーー試合内容を振り返って

今日も立正戦の時と同じで、勝てるか勝てないかのところで、持ち直して勝ちきることできているし、チームとしてやるべきことを徹底できた試合だったかなと思います。

ーー配球の際に意識していたことは

相手がコミットブロックだったので、クイックが通らないことは序盤から分かっていました。だから入来さんを中心に組み立てて、サイドから決められるようにというのをまず考えました。それから途中交代とかで勢いのある選手、今日は小山さんとかが、決められる時にしっかり使っていくというのを意識してあげていました。

ーーブレイクも見られましたが、サーブで意識していることはありますか

僕の身長は長所だと思うので、それを活かしたプレーをしなきゃいけないというのはずっと思っているし、ユースの監督にも言われているので。それを意識して、長身を生かせるプレーというのを磨いています。その中でサーブも、とにかく数をこなして自分のものにしていけるように思い切り打てるようにしています。

ーー次戦をどう戦っていきたいですか

明日はやったことがない相手ですけれど、その中でどんな相手でも自分のできることを考えて、落ち着いてプレーして勝てるようにしたいと思います。

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