前日の敗戦から一夜明け、慶大は強敵・日大との一戦に臨んだ。第1セットは、松山鼓太郎(商3・慶應)の強烈な速攻で幕を開ける。さらに、今田匠海(政2・慶應)の粘り強いレシーブで相手の高い攻撃力にも応戦。デュースに持ち込むも一歩及ばず、25-27でこのセットを落とす。続く第2セットは、相手の強烈なサーブや速攻に苦戦。流れを掴めず、序盤から点差を広げられてしまう。11ー17から7連続ブレイクを許すと、14ー24で第2セットも日大に軍配が上がる。絶対に落とせない第3セットは、野口真幸(商3・慶應)の守備が存在感を放つ。攻撃では、エース・入来晃徳(環4・佐世保南)が強烈なスパイクでチームを牽引し、25-21でセットを取り返す。第4セットは、序盤から慶大選手が各々の強みを発揮し、16ー10と大きくリードする展開に。しかし、終盤に日大の猛追に遭い、25ー27でゲームセット。健闘を繰り広げるが、惜しくもセットカウント1ー3で日大に敗れた。
2025年5月11日(日)
春季関東大学男子2部バレーボールリーグ戦 @大東文化大学
第8日 慶大×日大
得点 |
|
|
慶大 | セット | 日大 |
25 | 1 | 27 |
14 | 2 | 25 |
25 | 3 | 21 |
25 |
| 27 |
出場選手 |
|
|
ポジション | 背番号 | 名前(学部学年・出身校) |
MB | 9 | 松山鼓太郎(商3・慶應) |
OP | 11 | 入来晃徳(環4・佐世保南) |
OH | 6 | 山口快人(経3・慶應) |
MB | 22 | 稲井正太郎(法2・慶應) |
S | 13 | 松田悠冬(商1・慶應) |
OH | 2 | 清水悠斗(総2・習志野) |
L | 4 | 今田匠海(政2・慶應) |
L | 3 | 緒方哲平(環2・日向学院) |
途中出場 |
|
|
OH | 10 | 野口真幸(商3・慶應) |
S | 15 | 久保田健介(商4・慶應湘南) |
第1セットは初球から白熱した展開に。慶大は力強いスパイクで相手を押し込み、MB・松山鼓太郎が際どい速攻で先制点を奪う。S・松田悠冬は巧みなトスで相手ブロックを翻弄し、攻撃のリズムをつくる。14-14の場面で、松田のサーブが相手を崩し、ミスを誘う。さらに慶大の3枚ブロックも相手スパイカーにプレッシャーを与え3連続得点。相手の強打にはL・今田匠海が鋭く反応し、守護神としてスパイカー陣を支える。OH・清水悠斗(総2・習志野)の多彩な攻撃で得点を重ね、終始互角の展開に。度重なる今田の渾身のレシーブがチームを鼓舞し、20-22。OP・入来晃徳と今田の粘り強いつなぎから、松田が1枚ブロックを決めて勢いを加速させた。24-25とセットポイントを握られるも、山口快人(経3・慶應)の鋭いスパイクが決まり25-25と並ぶ。しかし、最後は相手エースの強打を止めきれず、25-27で惜しくもセットを落とした。

今田匠海の好守が光った
続く第2セットは、OH・山口快人のブロックやOP・入来晃徳のスパイクで得点を重ねながらも、相手の強烈なサーブや速攻に苦戦。流れを掴めず徐々に点差を広げられると、4ー7の場面で慶大はタイムアウトを取り立て直しを図る。さらに、守備と跳躍力に定評のあるOH・野口真幸を投入して攻守を強化。10ー13の場面では、山口のナイスディグからS・松田悠冬が片手で正確なトスを上げ、山口がレフトスパイクを決める素晴らしいプレーも。しかし、慶大攻撃が日大ブロックに捕まり始めると再び点差が開き、今度はサイドアウト、速攻、ブロックなどで7連続ブレイクを許して11ー24。相手のミスや山口のスパイクで3点を返すも、14ー24で第2セットも日大に献上する。

安定した活躍を見せるOH・山口快人
絶対に落とせない第3セットは、途中出場のOH・野口真幸が堅実な守備で魅せる。入来の強打で得点し、3-3の場面。野口決死のレシーブを松田がつなぎ、入来・稲井の2枚ブロックが炸裂。入来の相手レシーブを吹き飛ばすスパイクが一貫して冴えわたり、16-11と点差を広げる。相手エースの猛攻に4連続失点を許すも、入来のサービスエースで流れを再び引き戻す。さらに入来は終盤、好レシーブを連発。エースの思いに応え、野口が冷静にスパイクを決める場面も。L・緒方哲平(環2・日向学院)や野口の守備も光り、松山の速攻が決まって24-20。最後は入来の鋭いスパイクが相手コートを刺し、25-21でセットを取り返した。

エース・入来晃徳
慶大は、良い流れのまま第4セットも連取し、フルセットに持ち込みたいところ。立ち上がりから、OP・入来晃徳のスパイク、L・緒方哲平のディグ、MB・稲井正太郎の1枚ブロックなど、各選手が強みを発揮し慶大がリードする展開に。6ー3の場面では、OH・野口真幸の粘り強い守備でチャンスを作ると、S・松田悠冬が自らスパイクを決める一幕も。勢いに乗った慶大は、その後も入来、野口、稲井らを中心に得点を重ね、17ー11を迎えるとサーバーに久保田健介(商4・慶應湘南藤沢)を起用。日大をさらに突き放しにかかるが、サーブで大きく崩され徐々に点差を詰められてしまう。そして23ー23で同点を迎えると、慶大のエース・入来が相手コートを強烈なスパイクで突き刺しセットポイントを握る。しかし、日大も意地のスパイクで応戦し、簡単には勝たせてもらえず。再び25ー25の同点となると、今度は慶大がブロックアウトを取られ、日大のマッチポイント。もう一度試合をひっくり返したい慶大だったが、入来のレフトスパイクはわずかにアウト。健闘を繰り広げるも、25ー27でゲームセット。惜しくも、セットカウント1ー3で日大に敗れた。

攻守で活躍を見せた野口真幸
(取材:村田理咲、長掛真依)
▼以下、コメント
ーー今日の試合を振り返って
非常に気持ちのこもった全身全霊のプレーいうものを感じることができて、昨日から自分たちで変化を作れたということにも、学生たちの力に感動しました。
ーーあと一歩足りなかったところは
一言で経験だと思います。リードしている中で、そつなく処理できるはずのボールでも少しずつバタバタして、力んで視野が狭い状態で勝負してしまっていました。結果相手の良いプレーで切り返してやられてしまったので、あと1点の状況、力が入りやすくなる場面で、心は熱くも冷静に、引き出し多くプレーできるかということが必要だったかなと思います。
ーー残りの試合で選手たちに期待すること
上手くいかなかったことには原因があるわけで、結果的に1部が難しそうだからパフォーマンスが落ちるというのでは成長はないと思いますし、上手くいかなかったことを残りの試合で、1つ1つを経験にできるかということが重要だと思います。なので、ぜひ自分たちの足りなかったところを改善して、秋にはこの頑張りが実を結び、チームとして成長できるように、引き続き目の前のワンプレーに一生懸命取り組んでもらいたいなと思います。
ーーファンに向けて
一つ一つ経験し始めているところで、なかなか我々の最大限というものを出し切れていなくて、応援していただいている方には正直不甲斐ない思いでいっぱいです。しかし、必ず自分たちの持てる力というものを最大限発揮できるように努力は続けていきますし、試合の中でもそれが見せられるように準備していきたいと思うので、ぜひ諦めることなく応援していただけたらなと思います。
ーー今日の試合を振り返って
昨日は自分の持ち味であるディグがあまり光らなくて、その分サーブとか攻撃では機能していて、あとはディグだけだったので。今日は絶対レシーブを上げたいという思いで試合に入りました。結果としても、ディグからリズムを作って攻撃も、サーブもと良い方向に行っていたので、サーブキャッチはもうちょっと頑張れたらいいなと思います。
ーー攻守での活躍が印象的でしたが、日大攻撃はどのように見えていましたか
僕には、相手チームが「上手い人たち」か「強い人たち」に見えているんですけど、日大は「強い人たち」なので。強い人たちは、上手い人に比べると幅も少ないけれど、その分そこにかける威力が強いので、しっかりボールの落下店に入って、飛ばされないようにというのを意識して守備をしていました。あとはブロックが良かったので、そこも指示を出しながら良いディフェンスが作れたかなと思います。
ーー日大のブロックも強かったですが、攻撃ではどんなことを意識されていましたか
日大のレフトの子も比較的身長が小さくて、その子を分析して対策してきた中でうまくスパイクを奥に打ったりしていることに気づいたので、それを真似してみたりはしていました。高いブロックこそ効果があるので、ストレートで決めたことも多かったと思うんですけれど、あれは絶対に下に打ったら止められるので、長いトスを意識して攻撃は取り組んでいました。
ーーちなみに、上手いチームにはどう戦っていくのか教えてください
考えなきゃいけないことがいっぱいあるので、守備だと待っている間に想定することも多くなって。いろんなフェイントもあるし強打もあるので待つボールが増えるんですけど、相手の攻撃を見極めて判断するということですかね。攻撃に関しては、慶應はあまりレシーブが上手くないので考えてプレーすることは少ないんですけど…(笑)。自分は、守備の上手い航希さん(=島田、24年卒・大同特殊鋼知多レッドスター)と一緒にやっていた時はずっと考えてバレーをしていたので、その教えが今に活きています。
ーープレー中はどこを見るのが一番大事だと思われますか
僕は本当に全部見ていて、まず相手がレシーブしてパスが割れているかどうかを確認して、セッターの身体の向き、セッターのトス、スパイカーの入り、スパイカーの手の打ち方がかぶっているか、仲間のブロック、あとはそこまで見えていないですけれど仲間がレシーブでどこにいるかというのを視野に入れています。
ーー守備で迷うことはありますか
僕は一つの選択肢に対応できる位置取りをして、もう1つの選択肢も取れるように待つという意識で守備をしています。強打はここにいれば上がるから、フェイントを待つという考えでやると、強打が来たらそこで上げられるし、フェイントが来たらフェイントに反応するという感じで守備は取り組んでいます。
ーー春リーグを振り返って
序盤はあまり出ていなかったんですけど終盤戦でだんだん調子も上がってきて、スタートで起用されることも多くなったので。自分としては良くなってきたかなと思います。今後は、ここからもっと詰めていって、スタメンも取りたいですし、僕がいたから勝てたなというシーンを増やしていきたいなと思います。
ーー次戦以降をどう戦っていきたいですか
(対戦するのは)上位のチームで「上手いチーム」と「強いチーム」があるので、それぞれのチームに合わせて戦い方を変えてみたり、自分もできることをどんどん増やしていって、勝てるように、貢献できるように、もっとうまくなりたいと思います。
ーー今日の試合を振り返って
昨日惜敗してしまって、チームとしても前に前に攻める強い気持ちで向かっていかないといけなかったのに、1,2セット目はそれが全然足りていませんでした。もう少し序盤から出すべきだったし、実力では負けてるかもしれないけれど、もう少しで勝てた試合だったので悔しいです。
ーー高い決定率の速攻について、何を考えてプレーしていますか
実はここ4日くらい体調を崩していたのですが、やるときはやらないとという使命感にかられて、より気合を入れていました。上がってきたのは全部自分が決めるつもりでいたし、気持ちで補えていたので、いい結果が出せたのではないかなと思います。
ーーブロックはいかがでしたか
日大はスーパーエース以外の選手も上手くて、経験値も高くて、自分の中で最後まで的を絞り切れずに一か八かのブロックになってしまったので、まだまだだなと思いました。
ーー次の試合に向けて
体調をまず直すというのと、速攻はセッターとも合ってきているので、もう少しブロックという面を磨いていきたいかなと思います。
大分1部昇格には厳しい状況になってしまったけど、最後まで自分のやるべきことをやり切って、勝利がついてきたらいいなと思っています。