日本ラクロス界で“最大規模の試合”とも称される、早慶ラクロス定期戦。圧倒的な注目度と観客動員数を誇る早慶戦には、早慶の関係者に限らず、数多くのラクロッサーが日吉陸上競技場に足を運ぶ。昨季7度目の学生日本一に輝いた絶対王者であり、早慶戦4連覇をかけて戦う慶大。そんな慶大ラクロス部の選手たちは、何を想い、早慶戦を戦うのか。ぜひこの機会に、多くの方に彼らの想いと魅力を感じてほしい。また「ラクロスの魅力」や「早慶戦の見所」についても伺った。第1弾では、注目選手/DF・関根瑠偉選手(政4・慶應)、早慶戦実行委員長/DF・中本孝太郎選手(政3・慶應)の対談をお届けする。塾高時代から共に戦ってきたお二人の、息ピッタリな対談を最後までぜひご覧いただきたい。
ーー他己紹介からお願いします!
中本→関根:関根瑠偉選手です。学年は4年生でポジションはDFです。関根さんは塾高の頃から1つ上の先輩で、塾高時代も2年生で僕がAチームに上がった時から3年生でDF リーダーだった関根さんにすごくお世話になっていました。大学に上がってからも、ずっと最前線で活躍する関根選手の姿を見てとても憧れていましたし、去年2年生の時に僕がAチームに上がった際も優しい言葉をかけてくれて、いつも何歩も前にいる先輩です。3年生になった今年は、関根選手と肩を並べられる選手になれるように努力しています。実際に、試合でも関根選手とともにプレーする機会が多い中でも、いつまで経ってもやはり僕の本当に何歩も前にいる憧れの先輩です。
関根→中本:中本孝太郎選手です。学年は3年生で、ポジションは僕と同じDFです。やっぱり塾高時代からずっと面倒を見てきたというとおこがましいですけれど、これまで関わってきた中で場の雰囲気も盛り上げてくれますし、彼の方が去年は試合に出ていたりして実力もあるし、頼もしい後輩だなと思っていつも見ています。
中本:なんか好きになっちゃいそうですね(笑)。
関根:やかましいわ(笑)。彼は本当にチームのムードメーカーで、「一発ギャグやって!」って言ったら3秒で出てくる(笑)。あとはチームが暗い雰囲気の時でも彼が一番声を出してくれて、チームの雰囲気をモチベートしてくれたりするので。そういうところは実力も含めてだけど、今年は学年幹部も頑張ってくれていますし、リーダーシップみたいなものを持ってやってくれているなと思います。
ーーありがとうございます!いつか一発ギャグお願いします
中本:全然ケイスポとかでもできるので、インスタとかでも(笑)。
ーーぜひ、お願いします(笑)
ーー続いて、同じDFだからこそ分かるお互いの凄さを教えてください!
中本→関根:関根選手は良い意味で、決して身体が大きい方ではないですけれど、それを感じさせないほどの守備範囲の広さだったりとか、あとは手元。ラクロス用語になってしまいますけれど、カットゾーンと呼ばれるクロスの扱いが本当にうまくて、プレー中はいつも背中を見ていて頼りになります。今年はDFリーダーをやってくださっていて、試合中にチームがピンチになった時も関根さんのカットだったり良いプレーのおかげで、DFが良い雰囲気・流れを保てた場面がいくつもありましたし、本当に頼りになる選手だと思っております。

伝統の「17番」を背負う関根選手
関根:今年自分はDFリーダーをやっていて、去年はあまり試合にたくさん出られていたわけではなくて、今年はDFリーダーを務める上で実力的な面でも責任が伴ってくるかなとは思うので。背中で見せられているんだなというのは今感じられたので、それは良かったなと思います。
関根→中本:いろいろあるんですけど、身体がすごく大きいので。あと彼はすごくプレー強度が高くて、早慶戦とかは特に熱が入る試合だし早稲田もプレー強度高いので、そういったところで絶対に引けを取らないと言えるほどのチェックの激しさとか、強度というのが1つ彼の武器です。あとは、さっき場の雰囲気を盛り上げるみたいなところを言ったんですけれど、めちゃくちゃ話してくれるというか、プレー中も2年生とか3年生は4年生に遠慮しちゃって全然プレー中のコミュニケーションが取れないみたいなこともあるんですけど、彼はそういうところで臆することなく意見を伝えてくれるので頼もしいなと思います。

圧倒的なプレーの強度を誇る中本選手
ーーラクロスをあまり見られない方も、早慶戦にはいらっしゃると思います。改めて、ラクロスの魅力はどんなところにあると思いますか
関根:よく言っているのは、激しさとスピード感が両方あるっていうところですかね。「地上最速の格闘球技」と言われるくらいのボディコンタクトとかチェックとか、特に男子はそういう「激しさ」とボールが動く「スピード感」というのが見ていてすごく疾走感もありますし、感情移入できるスポーツかなと思っています。
中本:ラクロスの魅力は本当に関根さんがおっしゃる通りですけれども、早慶戦というところの魅力でいうと、慶應は日本にラクロスを持ちこんで広めたパイオニアとして、今まで最前線で戦ってきていて、早稲田も慶應に対してずっとライバルであり続けてきた存在なので。慶應と早稲田というある意味「因縁」とも呼ばれるこの関係性で、かつ両チームともこれまでもこれからもラクロス界で最前線を走っていくチームだと思っているので、この2校のラクロスのプレー強度だったりとか、スピード感は学生トップレベルのものが見られると思うので、そこも早慶ラクロス定期戦の魅力だと思います。
一同:拍手
関根:ナイスコメントです!

激しく、スピード感のある男子ラクロス
ーー今年のDFはいかがですか
中本:ここは関根さんからですよね!今年も良い組織ができてますよ。
関根:一つ思うのは、去年はすごく4年生が引っ張ってくれて、主力の選手が4年生にたくさんいたので、彼らがぬけた分DFリーダーの僕と増田友翔(経4・慶應)が引っ張っていくというのもそうですけれど、3年生以下の選手のフォロワーシップというのがすごく良い組織を作り出しているなと思うので。4年生が引っ張るだけではどうにもならないし、若い選手が中心的にリーダーシップをとって4年生に要求してくれたりとか、彼ら自身のプレーの強度を上げてくれたりだとか、そういう若手からどんどん良いプレーやコミュニケーションが出てきているのはすごく良いのかなと思っています。
中本:そんな感じがしますね。去年から、それまでとは比べて個の力にフォーカスを当ててきていて、その中で去年からHCの佐野清さんが慶應ラクロスと一緒に戦ってきてくれて。去年3年生だった関根さんとか増田さんが4年生になってチームをまとめてくれて、去年2年生だった僕とか峰岸くん(=峰岸諒、環3・慶應湘南藤沢)が3年生になって、個の力にフォーカスしてきた選手たちが上級生に上がったので、去年よりもますます良いDF組織が出来上がっているんじゃないかなとは思いますね。

試合中に増田選手と話し合う中本選手
ーー今年はどんな1年にしたいですか
関根:僕はラストシーズンなので、悔いのないシーズンにしたいというのが大きいですね。去年もリーグ戦の中盤で怪我をしてから離脱してしまって、最後まで思うようなパフォーマンスができなくて、個人としてもチームとしても悔しいシーズンになったので、今年は1年間全力でプレーしきって、個人としても、チームとしても圧倒的な結果というのを、他大学のDFからみてもそう思えるような結果を残したいなという思いはあります。
中本:去年も、もちろん全力で戦っていましたけれど、今年は塾高時代から一つ上で自分のことをよく見てきてくれて、一緒にプレーしてきた憧れの先輩である関根さんと増田さんがチームを率いているという中で、僕はやっぱり4年生2人のリーダーシップに対するフォロワーシップ、ついていくというのももちろんですけれど、4年生にただ甘えるのではなく、僕とか他の3年生の選手にもリーダーシップをとってチームをまとめていく役割があると思うので。個人としては、去年とかも大事な試合の失点とかに関わってきてしまっていて、全学優勝はしましたけれど、僕個人としても課題が多く残るシーズンだったので、今年は去年の全日準優勝という悔しさをバネに、それ以上の全日優勝という結果をどうにかとっていきたいなと考えています。

昨年度は悔しくも全日準優勝に終わった
ーーお二人にとって早慶戦とは
関根:やっぱり高校生の時から「憧れの舞台」です。公式戦でもないですし、言ってしまえば大規模な練習試合みたいな形にはなりますけれど、日本最大規模のラクロスイベントというか、この会場でいろんな人が見に来るし、それを見て自分も大学ラクロスに憧れを持って一人ですし、いろんな人に影響を与えられるところなので。常に「憧れの舞台」でもあるし、自分にとってはリーグ戦とはまた違った緊張感のある特別な試合という位置付けかなと思います。
中本:僕も塾高からラクロスを始めて、大学でも続けるかどうか分からずラクロスの世界に入って。塾高入って最初の方はコロナで全然練習できなかったんですけれど、この大学のラクロス早慶戦を観に来て、僕も大学ラクロスに憧れを持って、いつかこの舞台で戦いたいと思ってラクロスを始めたという経験もあるので。それは僕が塾高だからということは関係なく、これからラクロスがオリンピック競技になってますます注目されていく中で、早慶戦という学生最高峰の特別な試合を日吉陸上競技場を行うと、付属校以外のたまたま観に来てくれた子供たち、小学生、中学生、高校生にとっても、ラクロスという競技を肌で体感して深く知れる良い機会だと思います。その子たちがこれから大学に進学してラクロスを始めようって思えるような舞台だと思うので、早慶戦は早慶の学生だけではなくて幅広い人に楽しんでいただけるイベントかなと思っています。
ーー早慶戦実行委員長としてここまで活動してみていかがですか
中本:塾高時代から本当に憧れていて、今年早慶戦委員長を担当させていただいているんですけれども、普通のスポーツイベントとは違ってもちろんOBOGのお力も借りながら学生が主体となって1から組織を作って運営していく中で、いろんな困難があって。マニュアル一つとっても細かく書かなければいけなかったり、会場の手配とか、チケットの販売とか、1から作り上げていくイベントですが、これまで僕にはそういった経験がなかったので。本当にいろんな人の力を借りながら、開催まであと4、5日ですけれどやってこられたかなと思います。新しい取り組みとしては、テレビ中継の開始だったりとか、あとは観客席に来てからのお楽しみなんですけれど、今までの早慶戦よりももっと盛り上がってもらえるような仕掛けを観客席に用意しているので…
関根:そうなんだ!
中本:そうなんです!こういうことも1から自由に決めて準備していたので、それはすごく大変だったんですけれど、今まで以上に最高の早慶戦にできるように盛り上げていきたいなとは思っています。
ーー準備は順調ですか?
中本:やっぱり委員長として本当に考えることは色々あって、一方で選手としても求められているものがあると思うので、それを両立するというのは結構難しくて。ただどちらかが疎かになってもいけないので、最高の早慶戦にしたいという思いもありますし、自分個人としても最高の結果を残したいというのもあるので、夜も眠れない日々が続いています(笑)。
関根:おっと?(笑)
一同:(笑)
ーーこれまでで印象に残っている早慶戦は
中本:去年2年生でベンチインさせてもらえて、3Qから試合に出させてもらったんですけど、試合に入った瞬間のメインスタンドの観客席の盛り上がりというのは自分の中でも、自分のラクロス人生の中でも最も印象に残る景色で。こんなに3千人、4千人規模の大会でプレーする機会というのは、他のスポーツも含めて全くなくて。こんなに最高の舞台で、日吉陸上競技場の舞台に立って、プレーして、自分の1プレー1プレーに観客席の方たちが盛り上がってくれるという経験は、歴代早慶戦でいろんなシーンを見てきましたけれど、やっぱり自分の目で見た景色が一番かなと思います。
関根:一番は自分が高校生で初めてラクロス早慶戦を日吉で見た時に、(観客席の周りの)芝生まで埋まっていて。見渡す限り人がいて、1点1点入るごとにどよめきと歓声があるし、その時は多分延長まで行くくらい熱い試合で。自分もいつか絶対この舞台でプレーしたいなと思って、そこで圧倒されて憧れを持ったので、その時の早慶戦が一番印象に残っています。

昨年は関根選手、中本選手共に出場した
ーー早慶戦で注目してほしいポイントや目標を教えてください
中本:2つの面があって。早慶戦実行委員長という側面では、まず何よりも大会の成功、何事問題なく今まで以上の最高の早慶戦を作り上げられればなと思っています。個人としては、先ほど関根さんの言葉にもあったんですけれど、パッションだけは本当に誰にも負けないと思っているので。早稲田も結構プレー強度が強いんですけれど、それでも自分としては強度感を持ったプレーをして、チームを勢いづけていっぱい活躍したいなと思っています!
関根:自分のプレーで言うと、グラウンドボールとパスカットは自分のストロングポイントでもあるし、そこだけは早稲田に負けないと思っているので。グラボの強度もそうですし、テクニックのところもぜひ注目して観てもらいたいなと思います。あと試合全体としては、早稲田には六大戦で負けているし、チームとしても六大戦とか春の最強決定戦で思うような結果が出なくてまだあまり勝ち星を詰めていない状況で。去年もそうだったんですけれど、早慶戦で勝って波に乗れるというのもありますし、全日で今年こそは優勝するためにもこの試合がすごくターニングポイントになるなとは思っているので、それだけ全員が気合の入ったプレーというか、強度みたいな話もありましたけれど、熱のこもったプレーが見れるんじゃないかなと思います。

今季は悔しい試合が続いた
ーー最後に、当日観に来てくださる皆さんへメッセージをお願いします!
(相談中)
関根:熱中症に気をつけてくださいとかにしておく?
中本:優しいっすね(笑)。
中本:僕としては実行委員長として、実際に試合に出る選手として、まずは皆さんに運営面でも最高の早慶戦にしますし、プレー面でも早慶の熱い試合を届けられればと思うので、皆さんぜひ会場にお越しになっていただいて、早慶戦の熱を感じていただければと思います!
関根:公式戦とかではないですけれど、日本で一番盛り上がると言っても過言ではないほどのラクロスのビッグイベントで、ラクロスを知っている人でも、知らない人でも楽しめる試合になるかなと思うので、ぜひ会場でお待ちしています!

早慶戦の意気込みを書いていただきました!

和気藹々とした雰囲気が印象的だった
ーー貴重なお話を、ありがとうございました!
【試合詳細】チケットはこちらから
5月18日(日)@日吉陸上競技場
11:00〜 女子戦
14:00〜 男子戦
(取材:長掛真依)