【ヨット】初日は慶大リードで終えるも 2日目に逆転され惜しくも敗戦/第85回早慶ヨット定期戦@葉山沖

ヨット

6月7日、8日の2日間にわたり、葉山沖にて開催された早慶ヨット定期戦。初日は慶大がリードして終えたものの、2日目に逆転を許し惜しくも総合優勝とはならなかった。ケイスポでは2日間にわたり現地で取材を行い、ヨット部の勇姿をカメラに収めた。

 

全日本インカレ総合優勝5連覇を誇る強豪・早大を打倒するため、慶大チームはこの早慶戦をターゲットレースにしてきた。1日目は、南風コンディションのなか4レースを行った。序盤から、慶應が1・2・3フィニッシュをするなど、両校一歩も譲らない戦いが続いた。初日を総合では1点差、スナイプ級では3点差をつけて2日目を迎えた。2日目は1日目とは一転して風がなく、陸上待機の時間が続いた。このまま逃げ切れば優勝することができるプレッシャーのなか、お昼過ぎに吹き込んできた南風で1レースを実施。最後は早大の勢いに押される展開となり、勝利には届かなかった。しかし、全日本インカレ総合優勝に向けて、期待感のある一戦となった。

 

【総合結果】

1位 早大 166点

2位 慶大 195点

<470級>

1位 早大 82点

2位 慶大 98点

<スナイプ級>

1位 早大 84点

2位 慶大 97点

470級に出場した選手たち

スナイプ級に出場した選手たち

今回は、レースを終えた各選手のインタビューをお届けする。

1日目

近松拓海(商4・慶應) スナイプ級

―――ご自身のレースを振り返って

1番艇(エース艇)として、プライドと根性が試される1日だったと思います。結果として、チームを引っ張れる結果を残せたことは純粋に嬉しかったです。

――― チームとしては

チームの得意風域であった強風が吹いていたということで、前を走る自信はあったのですが、実際結果として強敵である早稲田に対して優位に立てたことは、今後の自信になると思います。

―――今後のレースへの意気込み

日本一を目指しているチームということで、今回の結果で十分対等に戦えることがわかったので、今後の練習もより身が入るというか、もっと課題を明確にして戦っていきたいと思います。

手前・近松、奥・徳武

平井雨響(経2・修猷館) スナイプ級

―――ご自身のレースを振り返って

2年生ペアでありながら、2レース目では2位を取ることができて、4番艇としての役割を果たすことができたと思います。

―――チームとしては

チームの得意風域の強風で、しっかり4艇がまとまって前を走って点数を稼ぐことができたので、そこは非常によかったのではないかと思います。

―――今後のレースへの意気込み

方針として、日本一を目指しているというところもあるので、引き続き2年生からの底上げもありつつ、切磋琢磨しながら、全日本インカレ総合優勝を目標に頑張りたいと思います。

左・平井、右・鬼頭

藤村拓斗(商4・高松商業) 470級

―――ご自身のレースを振り返って

これまでの練習で、スタートの精度を高めるようにずっと練習をしていて、今回のレースはそれを存分に発揮できたものが多かった印象です。スタートの中で、チームときちんとコミュニケーションを取りながら、自分がどこから出るべきか、他の味方艇が相手艇にどうプレッシャーかけていくのか、きちんと指示できたのが個人としてよかった点だと思います。

―――チームとしては

チームに対しては、「憧れるのをやめよう」ということをずっと言ってきました。早稲田大学は、全日本インカレを何連覇もしていて、早稲田に対して劣等感を抱いている部員も結構いたと思うのですが、「憧れるのをやめる」ことを常に意識して、それを伝えてきました。その結果、今回のレースでは同点もしくはアドバンテージを持つことができた点において、敗者のメンタリティをある程度払拭することができたのではないかと思っています。そこは早慶戦を通じて得られた大きなものだと思います。

―――今後のレースへの意気込み

敗者のメンタリティを払拭して、戦うべき相手である早稲田大学、または日本大学といった相手に対して、積極的にプレッシャーをかけて戦っていきたいです。

手前・田中大和、奥・藤村

岩佐忠直(法2・逗子開成) 470級

―――ご自身のレースを振り返って

自分は今までスピードに結構集中してきて自信があったので、1番艇としても前を走る責任があって、そこの部分では役割を果たせたと思います。ただ、もう少し機転を利かせてチームのためにアクションを起こすことができていれば、1点でも2点でも稼ぐことができたのかなと思うと悔しくて、反省点です。

―――チームとして

今まで雲の上の存在だった早稲田と実力で戦うことができて、勝つイメージがありありと現実のものになって、今までにない活気が生まれました。そこが今までとは違う点だったと思います。

―――今後への意気込み

今まで他の大学のいるレースでトップレベルの戦いをしたことがなかったので、日本一の早稲田と戦うことができて、自分としても自信がつきました。今後は全国大会が控えているので、そこでもトップレベルの戦いができるように頑張りたいと思います。

手前・岩佐、奥・廣岡

2日目

鬼頭直生(経2・湘南藤沢) スナイプ級

―――ご自身のレースを振り返って

軽風コンディションのなか、1レースを同期の平井(経2)と戦いました。自艇は、チームの3艇が選択した海面とは逆方向の海面で戦う展開になったのですが、その展開の中で、できる限りのことができたと感じています。しかし下級生とはいえ、さらに上の順位でフィニッシュしなければならなかったと感じています。

―――チームとして

チームとしてはこの1レースについて、監督から「アンラッキーな要素で負けてしまった」というお言葉があったのですが、初日の慶應がラッキーだった場面でより大きな差をつけられるようなレースを、今後していきたいと思います。

―――今後への意気込み

今後は大会が続くので、下級生だからと言い訳するのではなく、慶應ヨット部スナイプ級の一員として上位に食い込むことができるように全力を尽くします。

左・平井、右・鬼頭

副将・西村元(経4・慶應) スナイプ級

―――ご自身のレースを振り返って

初日に4レース、2日目が1レース、計5レース通じて、自身の技術力の甘さが目立ってしまっているなと振り返っています。会場で技術的なトラブルが起きてしまったり、船が壊れてしまったり、練習で出せていたことが100%出せなかったといったところで、一つ一つ小さな積み重ねで最終的な結果がふるわず早稲田に及ばなかったのかなと思っています。

―――チームとしてこの早慶戦の総括は

私がスナイプという艇種に乗っているので、スナイプクラスがメインになってしまうのですが、チームとして非常に苦しい場面が多い大会になってしまったなと思っています。各々が実力を100%発揮しきれたとは言えず、細かいところでのスタートからのミスや終盤での技術的なミスが目立ってしまって、それがチームとしても結果で足を引っ張っているという形です。ただ一方で、すごく良い場面もありました。途中では慶應が1・2・3位を独占していたり、470級の方でも最初が1・2・3位でフィニッシュしているというところで、結果は奮わずとも非常に次に繋がるようなレースになったのかなと考えています。

―――最後の早慶戦でしたが

幼稚舎からずっと慶應で育ってきたので、学生で選手として参加できる最後の早慶戦で負けてしまったことに非常に悔しさを感じています。やっぱり慶應っていう文化が好きですし、学校が好きですし、今まで自分が練習してしてきて、培ってきた実力を発揮しきれなかったという点で悔しさを感じています。やはり4年間早慶戦で勝てていなくて、悔しがっている先輩の姿を見てきたので、その分自分が後輩につなげることができなかったのも悔しいなと思っています。ただ、ネガティブな感情ばかりではなくて、自身が練習で取り組んできたことの一部は発揮できているので、今後のレースで、後輩やこの先のヨット部につなげることができればと考えています。

―――早慶戦がターゲットレースの1つだったが、チームとして次に目指すところは

僕たちが最終的に目指しているところは、日本インカレ総合優勝。「日本一」という舞台なので、必ずそこに向けて今回出た改善点や課題を整理して、取り組むしかないと感じています。その上でターゲットになってくるのは、関東の個人戦、大学生のみで戦う個人戦の大会だと思います。2週間後と非常に短い期間ではあるのですが、今まで僕たちが取り組んできた組織力だったり効率的な練習だったりといったところで、まだまだライバルを上回れる可能性が残っていると思うので、目の前に集中して次の関東個人で慶應が上位を独占できるようにしたいです。

―――今後への意気込み

小学校3年生からヨットをやってきて、競技ヨットにフルコミットできるのは今年が最後だと思っているので、本当に死ぬ気で頑張るしかないなと思っています。その上で、チームとして目指すところである関東個人戦や全日本インカレでの日本一、全国に慶應の名を轟かすというところは経験者でもあり副将でもある僕の役目だと思っています。自分が誰よりもストイックになって、熱心に取り組んでいこうと思います。

左・西村、右・林

主将・田中大和(法4・逗子開成) 470級

―――ご自身のレースを振り返って

4年ペアで、チーフの藤村と主将の僕が乗るということで、確実に1位を取ってきてチームに流れを持ってくるというのが

今回の役目だったと思っています。もちろんそれができた場面もあったのですが、十分にできずチームに貢献できていないところがあったのが今回の良くなかった点かなと思っています。

―――チームとしてこの早慶戦の総括は

5月に行われた春インカレで総合3位という大敗を喫してしまって、そこで課題として上がったのがスタートだったので、この1ヶ月間はスタートというところにかなりフォーカスして練習してきました。今回の早慶戦では1レース目からかなりいいスタートを切ることができたので、初日からいい流れを作ることができたという意味では、スタートに関してはかなり改善が見られた大会だったかなと思います。ただ一方で、スタートで優位についてそこから順位をキープする力であったり、初日は強風でボートスピードにもアドバンテージがあったんですけれども、2日目のライトな風の中でボートスピードで劣ってしまっていたりというところは、今後改善していかなければならない点だと思います。僕らの成長した点と課題である点というのが、かなりはっきりした大会でした。

―――最後の早慶戦でしたが

率直にもう本当に悔しくて。毎年悔しさは感じていたんですけれども、やっぱりラストイヤーで、初日は1点差で折り返してようやく勝ちが見えてきた中で、今日の1レースで負けてしまったという事実がより悔しさを際立たせてているのかなと思っています。もちろんターゲットレースではあったのですが、あくまで全日本インカレまでの通過点だと捉えればまだ軽傷で済んでいるというか。まだまだここから改善できるところがあるので、そこは切り替えて練習していきたいです。

―――早慶戦がターゲットレースの1つだったが、チームとして次に目指すところは

関東個人戦です。今までずっとチームレースという形にフォーカスして練習してきたのですが、これは関東の中での個人の立ち位置がはっきりする大会なので、頭を切り替えて練習を積んでいきたいです。

―――今後への意気込み

あくまで全日本インカレが最終的な目標であって、これは通過点だと思っているので、今回「負けた」という事実だけにフォーカスするのではなくて、しっかりと成長したところはポジティブなものとしてチームにフィードバックして、残りの5ヶ月で詰めて全日本インカレに挑みたいと思います。

手前・田中大和、奥・藤村

菅澤虎士朗(経1・慶應) 470級

―――ご自身のレースを振り返って

今回の早慶戦では、1日目は自分の苦手な強風域だったのですが、思っていたよりも走ることができて、早稲田にも走り負けをせず、結構自信につながるレースになりました。2日目は、自分の中で得意だと思っていた風域で、ランニングで走り負けてしまったり、走り方が全然わからなくなってしまったりと、沢山の課題が見つかりました。新しい気づきを得られたという点ではいい大会だったのかなと思います。

―――1年生ながらレギュラー出場ですがその点は

4年生にとってはこれが最後の早慶戦なので、緊張感もある中で最下級生として出場させていただいて、僕の役目としては先輩方が優勝できるように自分の走りをすることだったのですが、それができなくて結果として負けてしまったので悔しいです。1年生として出場できたことは、来年以降に繋げられる経験だったと思います。

―――今後への意気込み

大会が続くので、それぞれのレースでしっかり結果を残して、最終的には全日本インカレで慶應が日本一になることを目標に、自分もそれに貢献していきたいです。

左・菅澤、右・柳井

(取材:愛宕百華、野田誉志樹、工藤佑太)

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