勝てば、関東FINAL4。ここまで3戦全勝の慶大は、1部Bブロック首位通過をかけて法大との一戦に臨んだ。試合は、昨年度リーグ戦の早大戦(7ー6)、FINAL4の一橋大戦(3ー1)と数々の死闘を乗り越えてきた大井ホッケー場メインピッチでFOの時を迎える。第1QにAT・福田天真(法3・國學院久我山)とAT・佐藤仁一郎(政3・慶應)が得点を奪い2ー0。その後、第2Qに2点を返され2ー2の同点で後半へと繋げる。第3Qにはこの試合初めて法大にリードを許す展開となるが、LMF・関根瑠偉(政4・慶應)らディフェンス陣の決死のチェイスからAT・福田天真が1点を返し、3ー3の同点で最後の15分へ。張り詰める緊張感の中で幕を開けた第4Q。慶大はMF・中西海(経4・海城)とAT・佐藤が追加点を奪い5ー3とリードを広げるが、残り約1分で失点。再び1点差に迫られるも、慶大がなんとかリードを守り抜き5ー4で開幕4連勝。1部Bブロック首位で、関東FINAL4進出を決めた。
◇スタメン
AT
#3 池田朋史(商4・慶應)
#4 福田天真(法3・國學院久我山)
#31 佐藤仁一郎(政3・慶應)
MF
#0 山田洸土(政4・慶應NY)
LMF
#17 関根瑠偉(政4・慶應)
DF
#5 峰岸諒(環3・慶應湘南藤沢)
#19 築地泰志(経2・本郷)
#84 泰松基紀(経3・海城)
G
#2 岩城敦大(法3・慶應)
FO
#33 鈴木ケン春海(商4・慶應NY)
♢得点♢
| 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 計 |
慶大 | 2 | 0 | 1 | 2 | 5 |
法大 | 0 | 2 | 1 | 1 | 4 |
慶大得点者 | 福田天、佐藤 | ー | 福田天 | 佐藤、中西 | ― |
大井ホッケー場メインピッチに膝をついたのは、慶大が誇るFO・鈴木ケン春海(商4・慶應NY)。瞬く間にボールを奪い、慶大ポゼションで試合を運ぶ。一度はパスミスからポゼッションを失った慶大だが、G・岩城敦大の圧巻のセーブで法大攻撃を断ち切る。そして開始7分、どことなく重い沈黙を打ち破ったのは、やはり福田天真。迫り来る相手DFをものともせず、ゴールネットを揺らし1-0。鈴木ケン春海は得点後のFOも勝ち取り、ボールを最終ラインに下げてボールを落ち着ける。LMF・関根瑠偉が持ち前のクロス捌きでMF・中西海に鮮やかな縦パスを通し、敵陣へ。今度は福田天真のアシストから、今季初スタメンのAT・佐藤仁一郎が得点を決め2ー0とリードを広げる。その後は一進一退の攻防が繰り広げられるが、慶大オフェンスのボールダウンからAT・福田天真の厳しいチェックで今度は法大がボールダウン。混戦が発生したところで、第1Qが終了する。

圧倒的な勝率を誇るFO・鈴木ケン春海(商4・慶應NY)
続く第2Qは、法大ポゼッションで試合が再開。慶大は、峰岸諒(環3・慶應湘南藤沢)や泰松基紀(経3・海城)らDF陣が厳しいマッチアップで応戦し、法大オフェンスを寄せ付けない。どれだけ自陣に切り込まれても、鉄壁のディフェンスを乗り越えた先には慶大が誇る守護神・岩城敦大が待ち構える。慶大は、岩城のセーブからビルドアップをしたところでタイムアウトを要請し、攻撃の足並みを揃える。その直後、慶大がチェイスで競り負け法大にクリアを許すと、そのまま失点。2ー1の1点差とされる。前半残り5分、慶大に決定打が生まれず雲行きが怪しくなったところで再びタイムアウト。法大の勢いを食い止めたい慶大だったが、一瞬の隙をつかれて同点弾を許し2ー2で前半終了を迎える。

今季スタメンを張るDF・泰松基紀(経3・海城)
混戦のFOで幕を開けた第3Qは、DMF・山田洸土(政4・慶應NY)のグラウンドボールでポゼッションを勝ち取り、直後に主将/AT・池田朋史(商4・慶應)が鋭いシュート。放たれたボールはゴールネットに突き刺さり、一度は流れを掴みかけたように思われたが、クリースバイオレーション判定によりゴールは無効。その後も追加点を奪うことができないまま、慶大は守りに転じる。守備では、築地泰志(経2・本郷)らディフェンス陣が法大オフェンスに喰らいつくも、巧みなフットワークに翻弄されてそのまま失点。2-3と、この試合初めてのリードを許す展開に。その後も苦しい時間が続くが、開始6分。LMF・関根瑠偉とDF・峰岸諒が勝利への執念を感じさせるチェイスでポゼッションを奪還すると、流れは一気に慶大へ。MF・山崎将英(法3・慶應志木)のアシストから、AT・福田天真がこの試合2得点目。慶大の強さを感じさせる同点弾で、3-3の同点に追いつく。慶大はMF・中西海や MF・大類慈英(商3・慶應)を起点にゴールへ迫るが、得点とはならず。同点で最終Qへ。

要所で技巧が光るLMF・関根瑠偉
勝敗を決する第4Q。張り詰める緊張感の中、最後の15分が幕を開ける。立ち込める暗雲の中に勝利の兆しを見出したのは、AT・佐藤仁一郎。瞬く間にゴールネットを突き刺し、4ー3。開始4分で勝ち越し弾を叩き込む。喜びも束の間。ボールは落ち着かず、再び手に汗握る攻防が繰り広げられる。DF・築地泰志が相手のボールダウンを誘うと、LMF・関根瑠偉がグラウンドボールをスクープし、再び慶大ポゼッションに。すると11分、MF・中西海が豪快なショットを決め、5-3。それでも泥臭い法大ラクロスを前に、一瞬たりとも隙は見せられない。試合はラスト1分。法大に意地の1点を決められ、5ー4。慶大は、わずか1点差で守りの時間を迎える。ラスト30秒、20秒…慶大ベンチ、そして応援が祈るような思いで見つめる中、G・岩城敦大がゴール前でボールを抑えたところで、関東FINAL4進出を告げる安堵のホイッスル。慶大は5ー4で法大を下し、開幕4連勝で関東FINAL4進出を決めた。

U20日本代表でも活躍のAT・佐藤仁一郎
▽以下、選手インタビュー(池田、関根、岩城、福田天)
ーー主将として迎えたラストイヤーで FINAL4進出を決めました。今の率直な気持ちをお聞かせください
めっちゃホッとしてます。まだ通過点なのでめっちゃ嬉しいとかはなくて、最後ヒヤヒヤの展開だったので、ホッとしてますね。
ーーこの試合に向け、チームとしてどんなことを準備してきましたか
もちろん法政のスカウティングもしたんですけど、やっぱりFINAL4に向けて自分たちがやりたいラクロスを出来るように、「一人ひとりが役割を全うして、第4Qまでしっかりやり切ろう」ということを言って、試合に臨みました。
ーー今日の試合内容はいかがでしたか
第1Qで2点取って流れは来てたんですけど、第2Qで流れを掴み切れなかったところがチームのまだ未熟なところで、試合を通して自分たちのラクロスが出来るようにならないと、ここから先のステージに上がれないと思うので(修正していきたい)。最後勝てたのは良かったですけど、まだまだ課題はいっぱいありましたね。
ーー第3Qで一時逆転された中で、再度逆転して最終的には1点差を逃げ切ったという点についてはどのように評価されていますか
最後勝ち切れたのは今後も踏まえてめちゃくちゃ大きいことで、内容で言うとあまり良くないところもあったんですけど、最後はチーム力で勝てたかなと思います。
ーー主将として、ここまでのチームの成長をどのように見ていますか
最初に比べてだいぶ一つになって、良いチームになってきたと思うんですけど、まだ全日(全日本選手権大会)で勝てるレベルではないので、成長スピードを上げて今後ももっと伸びていきたいです。
ーー今後の戦いに向け、主将としてどのようにけん引していきたいですか
試合間で、今日みたいに流れが相手にいっているときとかはしっかり声を掛けて、全体を引き締めていきたいなと思ってます。また、プレーでも引っ張っていけたらなと思ってます。
ーー関東FINAL4を決められましたが
試合自体はあまり良い内容ではなかったんですけど、無事にFINAL4進出を決められてひとまず安心しています。
ーーかなり手に汗握る展開となりましたが、どんな試合を想定されていましたか
法政は個々の能力が高くて、あとは本当に毎年泥臭いので。グラウンドボールの強度も高いですし、インバウンズのライドの強度も高いので、ハーフフィールドディフェンスというよりかは、ルーズボールとかフルフィールドの落ち着かない場面でどっちがボールを落ち着かせられるかというのが勝負の鍵になるかなと思っていました。
ーーそれを踏まえて試合内容はいかがでしたか
やっぱりグラウンドボールが取れなかったので、そこに尽きるかなと思っています。法政の方がより早かったし、単純にグラウンドボールの技術も高かったです。あとはディフェンスについて言うと、インサイドの中に入ってきた時の強度みたいなところもイマイチ上がらなかったのかなと思っているので、そこはまたFINAL4に向けて伸び代かなと思っています。
ーー苦しい試合を勝ち切ったからこそ、得られたものはありましたか
日体戦を3ー1とか僅差で勝ってから、そこからリーグ戦は2戦とも大差で勝つ試合であまりビハインドになる展開がなかったんですけど、今日はビハインドになる展開で。その中でも全員がしっかりやることをやろうということで意識して、こういうタフゲームをとったというのは一つ自信になるかなと思っています。
ーー次戦は最終・横国戦ですが、どう戦っていきたいですか
予選1位通過は決まっているんですけど、今日の試合の反省を踏まえてしっかり最後まで圧倒できるように頑張ります。
ーー試合終了の瞬間を振り返って
とりあえず一安心、という感情でした。仮にこの試合で負けてしまっても、次の試合で勝てばFINAL4進出の可能性が大いに残るという状況ではありましたが、今日勝って出場を決めきりたいという思いが強かった中で、リードした状態で試合終了のホイッスルを聞いた瞬間はホッとしました。
ーー今日の試合を振り返って
第2Qで自分が簡単なクリアミスを犯してしまい、個人としては気持ちよくプレー出来なかったので、まだまだ伸び代があるなと感じました。
ーー普段よりディフェンスの時間が長かったように感じましたが、法大のオフェンスに戦いにくさはありましたか
「戦いにくさ」のようなものは無かったです。スカウティング通りというか、予想の範囲内のオフェンスに対して、組織的に上手く守れていたと思ってはいますが、その中で小さな綻びを突かれてしまったという印象です。
ーー最終・横国戦へ、意気込みをお願いします!
今日の試合でファイナル4進出、Bブロックの1位抜けが確定したので、いわゆる消化試合のような形にはなりますが、目標の日本一に向けて勢いを途切れさせないよう5連勝で終えたいと思います。
ーー今日の試合を振り返って
この試合に勝つことによってFINAL4の1位通過が決まる重要な試合で、何としてでも勝たなきゃいけなかったので死ぬ気でプレーしました。
ーー今試合では2得点をあげましたが、ご自身のプレーを振り返って
試合を通して2得点を挙げることはできたものの、試合前半からショットをたくさん打っていた中で決め切ることができないプレーが多かったです。また、試合の流れが法政に握られてしまっていたので次からはチームの勝利に貢献するためにもショットを決めたいです。
ーー4点目のゴールシーンも振り返ってください
4得点目を挙げた佐藤選手(=AT・佐藤仁一郎/政3・慶應)はクリースでのショットが上手いことに加え、割と外からのショットが上手い選手がマークされている印象だったので、佐藤選手を活かす形でのセットプレーが得点に繋がったと思います。
ーー最終・横国戦へ、意気込みをお願いします!
横国戦の後にFINAL4の試合があるので、はずみをつけられるような試合にしたいです。また、今試合では大きな点差をつけることができなかったので、次戦ではダブルスコアでの勝利を目指したいです。