【What is 〇〇部?】「練習ハ不可能ヲ可能ニス」 “心技体”を磨き続ける剣道の魅力/File.28 剣道部

剣道

慶大の体育会を深掘りしていく連載企画。「What is 〇〇部?」。第28回目は創部から140年以上の歴史を持つ剣道部。今回ケイスポは日吉剣道場で行われた剣道部の練習の様子を取材した。男子主将・梶原大希(理4・拓殖大第一)、女子主将・工藤梨花(文4・渋谷教育学園幕張)のインタビューを中心に慶大剣道部と競技の魅力に迫る!

【剣道部について】

部員たちは朝から声を張り、道場は活気に満ちていた。稽古は通常授業の期間には週5回、長期休暇中には週6回、日吉の剣道場で行っている。男子は「全日本優勝」「早慶戦優勝」女子は「全日本ベスト8」「早慶戦優勝」を今年度の目標としてかかげ、日々稽古に取り組んでいる。

現在、部には約90人が在籍し、女子20名のうち5名がマネージャーとして部を支えている。部員のほとんどが経験者である一方、大学から剣道を始めた初心者も在籍している。

また主な公式戦としては、5月の関東学生剣道選手権大会、9月の学生剣道優勝大会、10月の早慶戦、11月の全日本学生剣道優勝大会などがある。

【剣道の魅力とは?】

生涯スポーツと呼ばれる剣道は、年齢にとらわれず誰もが挑戦し続けることができる競技である。梶原は、剣道の魅力について「ゴールがなく、年を重ねても常に成長し続けられるところ。技術だけでなく精神面も磨けるところ」だと語る。多くの競技が年齢を重ねるとともに体力の衰えなどの理由からベストを更新し続けることが難しくなる一方、剣道は経験による技術力と精神力でその強さを維持することができる。また、工藤は「気持ちの強さが結果に結びつきやすい競技だと思っていて。人と人の間に竹刀があるからこそ、他の競技とは違う偶然や一矢報いるチャンスがあるところが剣道の魅力の1つだと思います」と話してくれた。

稽古の前と後に行われる礼

【慶大剣道部の特徴とは?】

慶大剣道部には、剣道の生涯スポーツとしての魅力を最大限に引き出してくれる環境がある。それは、慶大の持つ「縦の繋がりの強さ」が幅広い世代との交流を可能にするからだ。他にも、梶原は「上下関係はあるけれど、プライベートで一緒に遊んだりだとかチーム力が高いのも慶大剣道部の特徴だと思います」と語ってくれた。こうした“人と人との繋がり”が慶大剣道部を支える大きな力になっている。

【今年のチームについて】

今年のチームはこれまで以上に下級生、上級生関係なく全員で部活を作り上げることを意識しているという。さらに、工藤は「後輩先輩だけでなく、指導員の方々も巻き込んでできているのが今年の良いところだと思っていて。大学生だけでなく付属校や指導者の方々まで今年は特に手をかけてくださっていて、満遍なく関わり合っているイメージがあります。より学年にとらわれずに組織を作り上げられていると思います」と語る。部内にとどまらない多くの方々との交流が、より厚みのある組織へと成長させているようだ。

組織力に裏付けられた一糸乱れぬ動き

【男女主将インタビュー】

男子主将:梶原大希、女子主将:工藤梨花

インタビューに応じてくれた工藤(左)と梶原(右)

ーー剣道を始めたきっかけは?

梶原:祖父が道場の先生で、物心ついた頃から竹刀を握らされていて。そういったご縁があって剣道を始めました。20年いかないくらい、18年くらい続けています。

工藤:私は幼馴染が剣道をやっていて、小学生のときにその家族に誘われて始めました。友達のおすすめです。

ーーお2人の剣道における強みとは

梶原:自分はカウンター。剣道でいうと返し技といって自分から飛び込む技ではなく、自分から仕掛けて相手が飛び込んで来るところを打つ、返し技が自分の強みです。

工藤:私はフィジカルかな?ずっとへたれずに戦い続けることができるところ。粘って粘って、どっかで、っていう戦い方ができるのが強みだと思います。

力強さが強みの工藤

ーー主将を務める中で意識していること、やりがい

梶原:最初はみんな目標や意識することがバラバラだったんですけど、合宿などの行事を通してみんなの目標、目的意識が1つになって、チームになれたこと。そして、先日行われた関東団体戦で全日本出場権を獲得し、結果に結びつけることができたので。そこが主将としてのやりがいです。

工藤: 私は、どれだけ女子個人のいいところを引き出してあげられるかっていうのを考えています。しきたりや礼儀がある中で女子のいいところをのびのび発揮できるようにしてあげられたらいいなって思っています。

ーー部として大切にされている理念やモットーはありますか

梶原:色々あるけれど、剣道場にも飾ってある小泉先生(=小泉信三 元塾長)の「練習ハ不可能ヲ可能ニス」という言葉を大事にしています。

工藤「渡を越す」という言葉です。攻防のなかで一番苦しいところを超えた先に機会が待っているからこそ、そこでぐっと堪えるっていうのを言われていて。これは剣道だけでなく、どんな面でも大事なところでぐっとこらえて乗り越えていくんだよっていうのは先輩方がおっしゃっているのでそこは大切にしています。

多くの先人の言葉が大切に飾られていた

ーー早慶戦の見どころを教えてください!

梶原:早慶戦は抜き勝負なのですが、勝ち続ける、負けるまで勝ち抜くといったところで技術、体力の強さ、勝ちに対する執念の強さが大きく結果に結びつく要素になるので。そこが見どころです。

工藤:女子早慶戦の魅力としては、去年まで早稲田に19連敗していてそれを食い止めたのが24年。その翌年の今年なので早稲田の方は、今年こそ、今年から連勝していこうという気概で挑んでくると思うので。そこの気持ちのぶつかり合いが大きいかなと思います。女子は対勝負で、この人だけを倒すという思いで臨むので、そこにかける想いとかを見てもらえたら嬉しいです。

ーーラストシーズンの意気込みを教えてください!!

梶原:私のモットーとして、「稽古は嘘をつかない」という言葉があって。どれだけこの1ヶ月間、人より稽古をして、勝ちに対する執念の強さをどこまで行動に結びつけていけるのかが最後のシーズンとして重要だと思うので。人よりどうもっと努力できるのかラストシーズン頑張っていきたいと思います。

工藤:学生剣道最後の締めくくりとして今の時期があるんですけど、ちょうど佳境だなと思っていて。4年間この集団で過ごしてみてすごく大好きなチームなので。関東だけで終わるわけにはいかない。全日本まで行って全日本でもできるだけ長く勝ち残って、できるだけ長く学生剣道を続けていたいです。まずは次の関東で勝ちたいなと思ってますし、早慶戦でも勝って、次の代に繋げたい。まとめるといい締めくくりにしたいなと思っています!

貴重なお話をありがとうございました!

(取材:長掛真依、根本佳奈)

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