「圧勝」。まさしくこの2文字がふさわしい会心のゲームだった。今年で74回目を迎える伝統の早慶バレーボール定期戦。この大会男子はここまで慶大の22連敗中と幾度となく屈辱を味合わされた。関東1部の誇りを胸に、日吉に詰め掛けた多くの声援一体となって宿敵・早大を飲み込み、セットカウント3-0で歴史的な勝利を挙げた。
6月12日(土) 第74回早慶バレーボール定期戦 慶大-早大 @慶應義塾大学日吉記念館
得点 | ||||
慶大 | セット | 早大 | ||
3 | 25 | 1 | 12 | 0 |
25 | 2 | 17 | ||
25 | 3 | 13 |
この日のスタメンにここまでレギュラーとして活躍してきた星谷(理1)の名前がない。直前のケガにより離脱をよぎなくされ、代わってセンターに入ったのは「ここまで練習試合でもあまり出せていなかった」(宗雲監督)という金親(政2)。このアクシデントにも動ぜず、慶大は第1セットから格の違うバレーを見せ付ける。序盤こそ拮抗するものの、7-7から間宮(政2)がサービスエースを奪い流れを引き寄せると、ここからは間宮の独壇場。さらに2つのサービスエース、岡田(商1)の冷静なダイレクトボールの処理などで重ねた点は12連続得点につながる。終盤は早大キラーこと村上(法2)の3連続クイックポイントなどで圧倒し、25-12の大差でこのセットをものにする。
第2セットも完璧な試合運び。金親の速さをいかしたクイック、機動力のある間宮がセンターの裏にまわりこみフリーでスパイクをたたきつける場面もみられ、1度もリードを許すことなく25-17。連取し王手をかける。会場のボルテージも上がる中、第3セットも安定感抜群の山本(環2)がストレートスパイクで得点を重ね、7-2と序盤で走る。サーブで攻める相手に対し、川村(環2)を中心にしたサーブレシーブは大崩れすることなく対処し、もはや慶大の代名詞となった幅のある時間差攻撃につなげる。会場の大きな声援と共に完全にゲームを支配した慶大。24-13とこのセットも大差でマッチポイントを握ると最後は小池(環4)がエンドラインギリギリにノータッチでサービスエースを決め勝利。定期戦の連敗を22で止めた。
宗雲監督も「パーフェクトな試合運び」と振り返ったこのゲーム。1度も3点以上の連続失点をすることなく早大を圧倒した。今季40年ぶりの関東1部リーグで1勝9敗と苦戦をしいられた慶大。しかしより高い舞台に身を置いたことで、そのリーグを戦い抜いた自信、誇りを身につけ早慶定期戦23年ぶりの勝利という結果でそれを証明した。けが人こそいるものの、次週に控える東日本インカレへ向け良いイメージを持って臨めそうだ。
By Hideki Tsubonuma
コメント宗雲監督
(今日の試合を振り返って)うちは直前にけが人が出てしまって今日は本当にバックアップの選手が活躍してくれました。金親は練習試合でもほとんど出せていない選手だったんですけどよくやってくれたと思います。全体に関してはほぼパーフェクトな試合運び。守備もブロックも良くて、早稲田が若いチームだったこともありミスに助けられた部分もあったと思います。(早大の印象は)フリースパイクを見ても攻撃力、ポテンシャルはやはり慶応より上ですね。(1部で戦ってきた実力を証明できたのでは)どうですかね(笑)リーグ戦が終わってもコツコツ練習してきた成果が守備力、ブロックに出ていたと思います。選手はまだまだ上を見ているということでしょう。(東日本インカレに向けてためしたかったことは)どうしても星谷の離脱でブロックは低くなってしまう、ちょっとそれは想定外のことだったんですが、機動力、守備力に関しては確認しておきたかったところでした。(東日本インカレに向け)普段戦わないチームと試合が出来るので、自分たちのカラーを出して、自分たちの戦い方をしていきたいと思います。
小池主将
(早慶戦の感想は)感無量ですね。もう最高です。歴史のつまった勝利だと思います。(主将として成し遂げた勝利だが)自分が1年生のとき32年ぶりに2部昇格、そして去年1部昇格と先輩たちが歴史を作ってきた。自分たちが何もしないわけにはいかないと思っていました。そういう意味でも早慶戦に勝利することで歴史の1つを作れてよかったと思います。(今日の勝因は)チーム全員が一丸となってただ勝利に向かってボールを追い続けた結果だと思います。(今日に向けて取り組んでいたことは)特にこれといったことはなかったが、リーグ戦が終わって3週間ほどあった。その期間早慶戦に向けて練習を重ね、モチベーションを高くして勝てるように頑張りました。(トスの配分で意識したことは)相手ブロッカーを見てトス回しをしようと思っていたがどこに上げても決まるような感じがした。要所要所苦しいとき、流れを渡したくないときは確実に決まるところにあげましたが、あとはセンターもライトも下級生が良く頑張ってくれました。(相手のミスも目立っていたが)早大は1部で戦った相手よりはレベルが違うと感じていた。1部で得たものが勝利に繋がったと感じています。(慶大のサーブがすばらしかったが)サーブも取り組んできたが思った以上に効果がでてよかったです。(東日本インカレに向けて)ベスト8をかけて東北一の仙台大と当たるのでその試合で全てを出し切って、次の試合で東海大とどこまで出来るか。力の限りを相手にぶつけて、春のシーズンは東日本インカレで一段落するので締めくくりという意味でも全力をつくして頑張りたいと思います。
金親
(今日の試合は)初スタメンということもあり緊張した。OBの方々からもプレッシャーをかけられていたので勝ててホッとした。(初スタメンの感想は)試合が始まる前は足がガクガクして笑顔も引きつっていたが試合がすすむにつれて落ち着いてプレーに集中できました。(早慶戦の勝利に関して)今年は慶応が1部、早稲田が2部と去年と立場が逆だったため、足元をすくわれないか心配だった。しかし自分たちのペースにもちこみ勝つことが出来てよかったです。(速攻も決まっていたが)スピードを武器にしようと速い攻撃をメインに練習をつんできた。今日はスパイクのポイントを多く取れて良かったです。しかし体力がないため最終セットには力のない攻撃がいくつか出てしまった。体力の向上が今後の課題です。(星谷の)怪我もあり次の大会もスタメンの可能性があるので体力を上げて臨みたいです。
川村
(早慶戦の独特な雰囲気は)伝統がある試合なので、最初から予測はしていました。でも、自分たちのプレーをしっかりして今日は勝ちにいきました。(去年の自分と比べて)去年は勝てると思って試合に臨みましたが、今年はチャレンジャーとしていったので、去年よりも良いプレーができたと思います。また、東日本インカレももうすぐありますが、今回の早慶戦は自分のためだけでなく、(まだ一度も早慶戦で勝利を味わっていない)4年生への想いが強かったです。一部と二部という枠も関係なく、「全力で」という意識を持って試合に挑みました。自分は、先輩から「腰が高い」ことを指摘されていたので、常に腰を低くして、どんな低いボールでも対応できるようにということをいつも心がけています。(今回の試合を通してみて)全部がよかったと思います。自分たちが新しい歴史を加えられたので(今回の勝利が)とても嬉しいです。来年も是非勝ちに行きたいと思っています。
山本
(今日の試合を振り返って)23年ぶりの勝利がOBの方々からも期待されていました。調子が悪かったのですがのびのび試合が出来てよかったです。(早慶戦に向けて意気込みは)自分のできることを精一杯やろうと思っていました。(去年とくらべて)去年勝てるといわれていて負けてしまったので、去年のようにならないように練習をしてきました。ビデオを見て油断しないように気をつけていました。(今日の試合で)全セット序盤でリードでき、油断せずに勝ち抜くことが出来てよかったです。(23年ぶりの勝利の感想は)OBの方々から勝てて良かったと声をかけてもらって良かったです。
村上
(今日の試合を振り返って)23年という長く深く暗い歴史の中で一筋の光を見出したすばらしい試合だったと思います。(去年の早慶戦と比べて)戦いやすかった。(今日の試合に向けての意気込みは)形よりもとにかく勝つこと。やってやるぞという気持ちでとにかく勝つことにこだわった。(今後の抱負は)早慶戦からの勢いで来週からの東日本インカレに臨みたい。(23年振りの勝利の感想は)やったなぁ慶応っっっ!
間宮
(23年振りの定期戦勝利に対する気持ちは)とにかく嬉しい、それだけです。(早慶戦に向け特別な思いは)ずっと負けているというのは先輩から今まで聞いていたので絶対に勝ってやろうと意気込んでいました。(今日1番めだったのがサーブだと思うが)サーブは自分の長所だと思っている。ずっと練習してきたのでこういう形で結果が出てよかった。(今日のスパイクについて)今日は調子がよく体も良く動いた。次も頑張りたい。(今日1番印象に残ったプレーは)第1セットに相手レフトのスパイクを上げたプレー。そのときの歓声を聞いてOBの方々の早慶戦への思いを感じました。
岡田
(今日の試合を振り返って)みな調子がよく自分たちのやりたいように出来て楽しかったです。(初めての早慶戦の意気込みは)OBの方も来ていたので喜んでいただけるように頑張ろうと思っていました。(唯一の1年生でのスタメンだが)技術はまだまだだが、将来性を買われて出させてもらっているので試合の中で成長していければと思う。(第3セットはサーブやスパイクがよく決まっていたが)気を引き締めていこうと言われていたので決められて良かったです。(23年振りの定期戦勝利だが)これからの早慶戦は全部勝って、慶應の名が記憶に残るように頑張りたいと思います。
男子戦にさきがけて行われた女子の早慶戦。慶大4部、早大1部ということで力の差を見せつけられセットカウント0-3で敗戦。こちらは定期戦の連敗を24に伸ばしてしまった。しかしリベロの芳賀(商3)を中心とした粘りのレシーブで早大にくらいつき、会場からは大きな拍手も起こった。次週17日から開催される東日本インカレでの躍進に期待だ。
慶大出場選手
レフト 間宮 秀太(政2)
レフト 岡田 拓巳(商1)
ライト 山本 悠登(環2)
センター 金親 大夢(政2)
センター 村上 拓也(法2)
セッター 小池 聡司(環4)
リベロ 川村 昌平(環2)
途中出場 鈴木 陽太(医4)
藤井 宏行(環4)
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