【バレーボール】思いがこもったリーグ戦最終日、有終の美を飾る 筑波大戦

 秋季リーグ最終戦。慶大は前日のうっぷんを晴らすかのような素晴らしい戦いで筑波大にストレート勝ちし、有終の美を飾った。これにより、最終順位は6勝5敗で12チーム中6位。ケガ人などが続出する中、何とか粘り、上位でリーグ戦を終えた。

10月17日(日) 秋季関東大学1部リーグ 慶大―筑波大 @日本体育大学健志台米本記念体育館

得点
慶大 セット 筑波大
25 19
25 23
25 19
 

チームを引っ張った間宮

 前日の早大戦を嫌な形で落とし、迎えたリーグ最終戦。しかも相手は、6月に行われた東日本インカレの準決勝で慶大を破り、そのまま優勝した強豪・筑波大。しかし、慶大の選手達に気負いは無かった。第1セット。慶大は通常のローテーションをずらし、岡田(商2)を東日本インカレで抑えられなかった相手サイドアタッカーにぶつける。この采配が功を奏し、筑波大の攻撃力を封じ込めることとなった。慶大は序盤から3枚ブロックで相手にプレッシャーをかけ、全日本代表・出耒田を欠く相手攻撃陣にスパイクを打ち切らせない。それとは対照的に、慶大は山本(環3)・稲田(環1)のセンター線が効率よく機能し、着実に得点を重ねていく。ディグで粘り、岡田が2段トスからバックアタックを打ち切るなど、個人個人がそれぞれの役割をきっちりとこなす。20-15の場面では、ピンチサーバーとして出場した川村(環3)のサーブで相手を崩し、野口(環1)がブロック。ここで筑波大はたまらず2度目のタイムアウトを取るも、この勢いは変わることなく、このセットを25-19で慶大が取る。

 続く第2セットも慶大は躍動する。サーブカットが大きく乱れた早大戦の反省から、この試合は間宮(政3)がサーブカットを優先。これにより、間宮・前田優(環3)から安定したレシーブボールがセッター野口に供給され、岡田の時間差攻撃など慶大は多彩な攻撃を繰り出し、相手ブロッカーを翻弄する。4-5の場面では、岡田のファインレシーブから前田優が2段トスでつなぎ、最後は柳田の強烈なスパイク。この良い流れは各選手の集中力を高めた。この後はサイドアウトを奪い合う展開となるも、慶大はここ数試合あまり良くなかった失点の内容がこの試合では向上。全員が必死につなぐことで、実際の点差以上に相手を上回っている印象を見る者に与えた。筑波大も粘りを見せ、21-22と一時逆転されるが、ここから岡田がスパイクで連続得点。頼れるエースがしっかりと決め、25-23でこのセットも連取した。

レシーブに跳ぶ岡田、前田

 第3セットも慶大は流れを渡さなかった。1-3と序盤はリードされるが、選手たちは焦らない。リーグ戦と押して好調の野口のサーブで相手を崩すなど、相手のミスにも乗じ、6-7から一挙に4連続得点。15点以降は柳田がスパイク・ブロックで7点を奪う大活躍で、筑波大に付け入る隙を与えなかった。このセットも結局25-19で相手を圧倒。リーグ最終戦に相応しい、各々が活躍しての勝利。まさに「チーム全員で勝った試合」(柳田)であった。 

 秋季リーグ序盤からケガ等に悩まされ続け、「ベストメンバーで臨めたことは一度もなかった」(宗雲監督)というように、決して順風満帆なリーグ戦ではなかった。しかしそれでも、代わりに出場した選手がその穴を埋めるなど、毎試合でニューヒーローが誕生したリーグ戦でもあった。まだ発展途上のチームであるだけに、これからの伸びしろは無限大にある。今回の経験を糧にして、全日本インカレへ向けさらなる成長を遂げることが出来れば、おのずと大学バレー界の頂点は近づいてくる。慶大の名を轟かせる日はすぐ目の前に迫っている。

By Takuma Furuoya

コメント

宗雲監督

(今日の試合を振り返って)最後すっきり勝てて良かったね。筑波は本来のメンバーが揃ってはいなかったけど、ウチは油断しなかったし、筑波の出来も決して良くはなかったので完勝という訳ではないけど、ウチのバレーが出来て良かったです。(今日の試合はブロードや時間差など、多彩な攻撃が見られましたね)はい、本来あのような攻撃は間宮の十八番なのですけど、今日は間宮がキャッチを優先したので、珍しく剛志郎(野口)が岡田をそのような形で使っていましたね。まあ、向こうのセンターが上手く機能していなかったので、ノーマークに成りやすかったというのもあるのですが。でも、形は非常にきれいだったと思います。(のびのびプレーをしている印象がありましたが)リーグ戦中ずっとああいうのびのびした所を見せてもらいたかったよね(笑)。でもやっぱり今までプレッシャーもかかっていただろうし、最後の最後で自分たちらしさが出たので良かったです。(早稲田戦に比べ、レシーブが安定していましたね)うーん、やっぱり筑波はエースの出耒田君がいないということで、攻撃力が半分以下になっちゃったと思うんですよ。だから、佐々木君にかかる負担もすごく大きくなっちゃったしね。こちらはその佐々木君に上手に対応出来たということが大きかったです。(筑波大は東日本インカレで敗れた相手でしたが)選手の中では、岡田が率先して佐々木君とブロックで対面したいと申し出ていて、本人がそういう意識、責任感を持っているということはすごく良いことだと感じました。ただ、出耒田君がいた場合は彼もマークしなければならないので、次にまた試合をした時に今日みたいに上手くいくかはわからないですね。(秋季リーグを振り返って)スタートからケガ、病気などで、結局ベストメンバーで臨めたことは一度もありませんでした。その中でも、交代した選手、特に1年生が良く踏ん張ってくれて、それを周りの選手が上手にバックアップしてくれたことで最低限の結果は出せたのではないかと思います。そういう意味では、少しだけ層は厚くなったかなと。(一番伸びた選手は)岡田は見ての通りすごい伸びましたよ。安定もしてきたし。それから、1年生では稲田がリーグ戦に入ってからどんどん成長していったし、セッターの野口もずいぶん良くなりました。(秋季リーグを戦ってきた中で、良かった点は)序盤の2戦はサーブレシーブもディグも良く、目指してきた「レシーブの慶應」に近づけたかと思ったのですが、3連敗した時は守備が完全に崩壊していたので、これだけは相手に勝るという点を見つけるのは難しかったですね。個人的には野口のサーブや岡田のスパイクが得点源となり、個人的な部分として通用する点はありました。守備に関してはもう一度考え直さないといけないですね。(全日本インカレへ向けて)ベストメンバーで戦って、最低ベスト4、あわよくば決勝ということを考えています。選手たちは優勝を考えていると思いますが、私は冷静にはそう考えています。

泉水コーチ

(リーグの総括を)なかなかベストメンバーで試合に臨めないなか、本当に1年生が頑張ってくれて、夏の合宿の成果が出たのかなと思いましたね。1年生に力がついてくれて良かったです。夏ぐらいからセッターの野口とアタッカーのコンビが良くなったことが勝てた要因かなと思います。(韓国合宿の影響は)大きかったです。韓国で体格差がある大学生と対戦して、勝ち越しは出来なかったのですが、良い試合が出来たことがみんなの自信につながったんじゃないかな。特に岡田はそこで通用したことで、グッと伸びました。(全日本インカレに向け)星谷も戻ってくるし、ベストメンバーでさらに強い慶應を見せて、ベスト4以上を目指したいです。

渋谷主将

(今日の試合を振り返って)一言で言えば良かったね。もともとこの一週間、二週間レシーブとかブロックとかをこの最終戦にむけてやっていたんだけど昨日の早稲田戦ではブロックとか良くなかったし、レシーブも拾い負けしてやっぱり力を出せていなかったし入れ替え戦とかも頭をよぎったんだけど今日は気持ちを切り替えて自分達がしっかり勝利をもぎ取ろうと思ったね。この二週間の練習が今日は出せたかな。(ストレート勝ちという内容については)もともと筑波は強いチームだし、うちも絶対に勝てるという確信もなければしっかりと堅実なバレーをしているというわけではなかったんだけど1セット目はたまたまああなっただけで、2セット目が本来の戦い方というかあそこをどっちが取るかってところだと思う。今日は慶応が気合いが入っていたっていうことで勝ったんじゃないかな。(今季リーグ戦は6勝5敗で終えることになるが)正直7勝4敗で終わりたかったね。早稲田戦今年全勝という形で終わりたかったね。六大学、早慶戦、そして昨日。リーグ戦順位を上げるという意味もあるけど。でも最初の週とか一年生とかも頑張って明治と国際武道に勝てたのはすごい大きかったし、色々山あり谷ありだったけど無事最低ラインを超えることができて主将としてはほっとしてますね。チームとしてはまだまだ上に行かなければいけないと思うしそれはインカレでやっていこうかな(次の目標は)もちろんインカレで勝つこともそうだし来年俺らが抜けたとしてもベンチを含めて全く変わらないからある意味で今度はプレッシャーのかかる代となると思うね。でもまだ俺らの代だから次のインカレ負けたら終わりだし勝てば進むし。だからてっぺん目指して、高校の時とったてっぺんをもう一回みたいなと思うし、見せてくれって思う。そういう意味では期待してるね。

間宮

(今日の試合を振り返って)個人的には調子が悪かったんですけど岡田とか柳田とか野口とか周りの後輩達が頑張ってくれたんで最終戦勝ちで終われて良かったです。(最終戦ストレート勝ちで終えました)筑波も大分ベストメンバーから遠い感じだったのでここで勝てないといけないくらいの気持ちでした。良く出来たと思います。(2セット目は均衡した場面が続いたが)ミスが出てしまうとああなっちゃいますね。でもそこで今日はしっかり盛り返せたので昨日の早稲田戦よりは良かったかなと思います。(今季は6勝5敗で全試合を終えたが)上のチームには通用しない部分もあったんですけど下のチームにはしっかり勝つことができたので今の自分達の出せる力としては良かった方かなと思います。来年はもっと上を目指したいと思います。(今後の目標は)インカレでもっと上にいきたいですね。巡り合わせもあるとは思うんですけどベスト4に行けるよう頑張ります。

柳田

(今日の試合を振り返って)今日はみんな動けてたし、声も出せていたので、こういう良い結果が出たのだと思いました。(東日本インカレで敗れた相手でしたが)向こうはエースの出耒田さんがいなかったので、東日本インカレの時よりは攻撃力は劣っていたと思います。それでもやはり、筑波大は強い相手なので、マークする相手などについてチームで話し合っていました。(今日の試合、大活躍でしたね)でも、力を発揮出来たのは試合に出てる人はもちろん、試合に出ていない人たちの支えがあったからなので。今日は最終戦ということで、チーム全員で勝った試合だと思います。(リーグ全体を振り返って)上手くいかないこともあったり、苦しい場面もあったのですが、ここまでみんなで諦めないでやってきて、こういう結果を残せたので、これからも仲間を信じてバレーをやっていきたいです。(全日本インカレへ向け)この秋季リーグ以上の力を全日本インカレでは出したいです。

 出場選手

レフト 柳田将洋(環1)
センター 稲田聡典(環1)
ライト 岡田拓巳(商2)
レフト 間宮秀太(政3)
センター 山本悠登(環3)
セッター 野口剛志郎(環1)
リベロ 前田優介(環3)
途中出場 渋谷隆太(環4)
川村昌平(環3)
前田滉介(環2)

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