2025年10月18日(土) 東京六大学野球秋季リーグ戦 立大1回戦 @明治神宮野球場
延長戦の末、慶大が立大に7―4で勝利した。先制を許した慶大は5回、吉開鉄朗(商3・慶應)の犠飛と林純司(環2・報徳学園)の押し出し四球で逆転。しかし6回に落合智哉(スポ3・東邦)に同点本塁打を浴びると、その後試合は膠着(こうちゃく)状態となる。それでも救援の水野敬太(経2・札幌南)が3回2/3を無失点に抑える好投で流れを呼び込むと、延長11回に林純の四球を足がかりに今泉将(商4・慶應)の適時打で勝ち越し。なお満塁から加藤右悟(環1・慶應)、吉開の連打に相手の失策も絡み、この回一挙5得点を奪うなど打線が爆発した。守っては左のエース・渡辺和大(商3・高松商業)が6回2失点の粘投で試合を作り、慶大は今季2個目の勝ち点獲得へ望みをつなぐ貴重な白星を挙げた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 計 | |
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慶大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 7 |
立大 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 4 |
慶大バッテリー:渡辺和、水野、○外丸ー吉開
立大バッテリー:小畠、吉野、●田中、斎藤ー落合
慶大本塁打:なし
立大本塁打:落合2号ソロ(6回・渡辺和)
◆慶大野手成績
位置 | 選手 | 1回 | 2回 | 3回 | 4回 | 5回 | 6回 | 7回 | 8回 | 9回 | 10回 | 11回 |
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[8]9 | 今津慶介(総3・旭川東) | 一ゴロ | 二ゴロ | 四球 | 右飛 | 見三振 | 遊ゴロ | |||||
[6] | 林純司(環2・報徳学園) | 空三振 | 投ゴロ | 四球① | 遊ゴロ | 四球 | ||||||
[7] | 渡辺憩(商2・慶應) | 投ゴロ | 空三振 | 一飛 | 二ゴロ | |||||||
7 | 一宮知樹(経1・八千代松陰) | 投犠打 | ||||||||||
[9] | 中塚遥翔(環2・智辯和歌山) | 一ゴロ | 二ゴロ | 一ゴロ | 右安打 | |||||||
R8 | 丸田湊斗(法2・慶應) | 一安 | ||||||||||
[3] | 森村輝(総4・小山台) | 中飛 | 四球 | 空三振 | 遊ゴロ | |||||||
3 | 今泉将(商4・慶應) | 左安① | ||||||||||
[4] | 竹田一遥(環1・聖光学院) | 空三振 | 三安 | 遊ゴロ | 遊ゴロ | 四球 | ||||||
[5] | 八木陽(法2・慶應) | 中飛 | 遊安 | 二ゴロ | 空三振 | |||||||
H | 加藤右悟(環1・慶應) | 左安① | ||||||||||
R5 | 上田太陽(商3・國學院久我山) | |||||||||||
[2] | 吉開鉄朗(商3・慶應) | 左安 | 右犠飛① | 遊ゴロ | 捕邪飛 | 中安② | ||||||
[1] | 渡辺和大(商3・高松商業) | 二ゴロ | 見三振 | |||||||||
H | 吉野太陽(法3・慶應) | 一邪飛 | ||||||||||
1 | 水野敬太(経2・札幌南) | 見三振 | ||||||||||
1 | 外丸東眞(環4・前橋育英) | 中犠飛① |
◆慶大投手成績
選手 | 投球回 | 打者 | 投球数 | 被安打 | 被本塁打 | 与四死球 | 三振 | 失点 | 自責点 | |
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先発 | 渡辺和大(商3・高松商業) | 6 | 27 | 104 | 9 | 1 | 1 | 4 | 2 | 2 |
2 | 水野敬太(経2・札幌南) | 3 2/3 | 13 | 49 | 1 | 0 | 1 | 5 | 0 | 0 |
3 | 外丸東眞(環4・前橋育英) | 1 1/3 | 8 | 31 | 4 | 0 | 0 | 1 | 2 | 1 |
優勝の可能性は無くなったものの、第4週の東大戦で初の勝ち点を手に入れた慶大は、ここからの巻き返しを誓い立大戦に臨む。今春リーグ戦では勝ち点を挙げた相手に対して、このカードでも勝ち点を掴むことができるか。慶大は1戦目のマウンドに左のエース・渡辺和を送る。プロ注目の小畠一心(営4・智辯学園)を早いイニングで攻略し、渡辺和を援護することができるかが鍵となる。
初回は小畠の前に三者凡退に抑えられたその裏、渡辺和は山形球道(コミュ4・興南)、小林隼翔(コミュ2・広陵)に連打を許すなどして1死満塁のピンチを招くも後続を打ち取り、なんとか立ち上がりを無得点で抑える。

初回のピンチを抑え吠える渡辺和
2回裏、渡辺和は不運なあたりで安打を許すなどし、2死二塁のピンチを招くと、1番・山形に見事に弾き返され先制を許してしまう。しかし、小林隼を三ゴロに抑え追加点は許さない。追いつきたい慶大は3回表、1死から吉開がこの試合初の安打を放つもその後は続かず無得点に終わる。
4回裏、先頭に二塁打を許すも、今津慶介(総3・旭川東)のフェンス際のファインプレーでピンチを凌ぎ、慶大スタンドは大いに盛り上がる。
このプレーで流れに乗った慶大は5回表、先頭の森村輝(総4・小山台)が四球で出塁すると、竹田一遥(環1・聖光学院)が自慢の足で内野安打をもぎ取る。つづく八木陽(法2・慶應)も安打で繋ぎ無死満塁のチャンスをつくる。吉開が脅威の粘りの末に右翼へ犠飛を放ち同点に追いつく。渡辺和は三振に倒れるも、つづく今津が四球で出塁し再び満塁のチャンスをつくる。2番・林純が押し出し四球をもぎ取り勝ち越しに成功する。援護をもらった渡辺和は5回裏を三者凡退に抑え、チームの流れに乗る。

同点の犠飛を放った吉開

押し出し四球をもぎ取った林純
しかし6回裏、先頭の落合に左翼席への本塁打を打たれ、同点に追いつかれる。これで勢いに乗った立大に連打を打たれ無死一、二塁のピンチを招くも、渡辺和は濱本遥大(コミュ1・広陵)を併殺、小畠を三振に仕留め勝ち越しは許さない。この回で渡辺和は降板し、この日は6回を投げて被安打9、2失点と試合をつくった。
7回裏からは水野が登板する。水野は2つの三振を奪うなど安定した投球をみせて、相手に流れを与えない。6回、7回と小畠の前に三者凡退に抑えられた慶大打線は8回表、代わった吉野蓮(コミュ4・仙台育英)にも三者凡退に抑えられ、拮抗した展開が続く。8回裏も水野は三者凡退に抑える好投を披露。

2番手・水野は8、9回で3人斬り
水野の投球で流れに乗った打線は9回表、先頭の4番・中塚遥翔(環2・智辯和歌山)が右前安打を放ち、出塁する。ここで代走に丸田湊斗(法2・慶應)が起用され、森村の打席で見事盗塁に成功し、監督の起用に応える。さらに、相手の暴投もうまれ、無死三塁の大チャンスをつくる。しかし、森村は遊ゴロに抑えられ、1死三塁。チャンスがつづくも6番・竹田一が遊ゴロを放ち、本塁タッチアウト。7番・八木も三振に倒れ、最大の好機を逃してしまう。
不穏な雰囲気が漂った9回裏だったが、水野はこの回もしっかり三者凡退に抑え、この試合は延長戦に突入する。
10回表、立大は投手が交代し、田中優飛(文2・仙台育英)が登板する。何がなんでも点を取りたい打線は、代わった田中の前に三者凡退に抑えられ、追加点がなかなか取れない厳しい状況がつづく。
10回裏、この回もマウンドに立った水野は1番・山形に右前へ安打を許す。続く小林隼は三ゴロに打ち取るが、3番・鈴木唯斗(コミュ4・東邦)の打席でけん制球がまさかの悪送球となり、走者を二塁へ進めてしまう。その鈴木唯にも四球を与えたが、代打・鈴木拓斗(文1・仙台育英)を三振にとると、堀井哲也監督は水野からエース・外丸東眞(環4・前橋育英)にスイッチ。この試合で本塁打を放っている5番・落合を迎えたが三ゴロに打ち取り、サヨナラのピンチをなんとか切り抜けた。

10回のサヨナラ機を凌いだ外丸
絶体絶命のピンチを凌いだ慶大は11回表、先頭の林純が四球で出塁に成功する。3番・一宮知樹(経1・八千代松陰)がしっかりと犠打を決め、さらに丸田が俊足を生かして内野安打でつづき、1死一、三塁の大チャンスをつくる。このチャンスで途中出場の今泉が打席に立つと、バットを折られながらもしぶとく左前へ適時打を放ち、なかなか取ることができなかった念願の追加点が入り、応援席は大歓声に包まれる。さらに竹田一が四球でつづき、代打・加藤は左翼へ適時打を放つ。ここで終わらない打線は吉開がまたも中前安打を放ち、相手の失策も絡み2点を奪う。立大は投手が交代し斎藤蓉(コミュ3・仙台育英)が登板するも、外丸が自らのバットでしっかり犠飛を放つ。振り返ってみれば5点を挙げる猛攻で立大を突き放した。

11回に勝ち越し打を放った今泉

起用に応える適時打を放った代打・加藤

ダメ押しの適時打を放ったこの日2打点の吉開
大量援護をもらった外丸は11回裏のマウンドにも立つが、2本の安打で繋がれ、代打・北田大翔(コミュ4・広島新庄)に犠飛を放たれ1点を返される。さらに1番・山形にも安打を打たれると、三塁の守備に入っていた上田太陽(商3・國學院久我山)の失策が絡み3点差に詰め寄られる。その後も安打で2死一、三塁の一発同点のピンチを招くと、鈴木唯の打球は左翼フェンス付近まで伸びたが、一宮ががっちり捕球し試合終了。最後はヒヤリも、外丸は通算20勝目を挙げた。

早大・伊藤樹と1差に迫る通算20勝目を達成した外丸
両チームの投手陣が好投を見せる緊迫した展開の中、絶対に落とせない一戦を粘り強く勝ち切った慶大。今季初めてのカード先勝となり、2つ目の勝ち点獲得へ向けて最高のスタートを切った。この日は、主砲・常松広太郎(政4・慶應湘南藤沢)がベンチ外。さらに5得点を挙げた11回は、今季チームトップタイの2本塁打を放っている渡辺憩(商2・慶應)・中塚がすでに途中交代していた。それでも一気に5得点を挙げることができたのは、一人一人がつないできた“全員野球”の執念が生んだものだろう。この勢いを次戦にもつなげ、連勝での勝ち点奪取に期待したい。
(記事:神谷直樹、写真:河合亜采子、神戸佑貴、島森沙奈美、柄澤晃希、奈須龍成)