【野球】投打が噛み合いブロック内首位通過!服部4打点&早大打線を5投手で1失点に抑える/秋季フレッシュ早大戦 @明治神宮野球場

野球戦評

11月5日(水)東京六大学野球秋季フレッシュトーナメント早大戦 @明治神宮野球場

慶大はフレッシュトーナメント1回戦で法大に惜敗を喫し、5連覇へ向けて暗雲が立ち込める。しかし前日、勝利すればAブロック1位が確定するという試合で法大が早大に敗北。慶大は、早大を2得点差以上、かつ7失点以内に抑えると、Aブロック1位での通過が決まる。順位に直結する重要な試合で、慶大打線が奮起した。貞包健勝(環2・城北)と服部翔(政2・星稜)の適時打で幸先よく2点を先制すると、3回には、再び服部の走者一掃の適時二塁打でさらに3点を追加。慶大は先発・鷲見旺宥(環2・岐阜)ら5人の継投で前日法大から9得点を挙げた強力早大打線を封じ込めた。投打が噛み合った試合で、慶大はAブロックを1位で通過し、フレッシュトーナメント決勝戦への進出を決めた。

 123456789
早大0001000001
慶大02301000×6

慶大バッテリー:鷲見、勝倉、鷹尾、熊ノ郷、松井ー加藤

早大バッテリー:佐宗、小松一、池、齋藤士、岡村ー尾形

慶大本塁打:なし

早大本塁打:なし

◆慶大出場選手

打順守備位置選手名
1[8]丸田湊斗(法2・慶應)
2[6]八木陽(法2・慶應)
3[D]市橋慶祐(商2・小野)
4[2]加藤右悟(環1・慶應)
5[3]延末藍太(商2・慶應)
6[4]清原勝児(商1・慶應)
4井上雄貴(文2・岐阜)
7[7]一宮知樹(経1・八千代松陰)
8[9]貞包健勝(環2・城北)
9[5]服部翔(政2・星稜)

平成24年春季〜26年春季で明大が達成して以来、史上2校目となる大会5連覇を狙う慶大は、前々日、法大に痛恨の惜敗を喫した。フレッシュトーナメントの順位決定方法は次のようなものである。勝率を用いて順位を決め、もし勝率で並んだチームがあれば、総失点で順位を決めることになる。前日法大は、勝利すればAブロック1位が確定する試合で早大に敗れており、早大が1勝(1失点)、法大が1勝1敗(10失点)、慶大が1敗(2失点)という形勢。つまり慶大のAブロック1位通過には、早大を2得点差以上、かつ7失点以内に抑えて勝利することが必要だ。

◆Aブロック試合結果

 慶大早大法大失点順位
慶大〇6-1●1-21131
早大●1-6〇9-11172
法大〇2-1●1-911103

曇天の空模様のもと、フレッシュトーナメントの"早慶戦"が幕を開ける。慶大はこの日、リーグ戦経験を持つ選手をスタメンに多く起用し必勝体制。特に丸田湊斗(法2・慶應)、八木陽(法2・慶應)の1、2番は、2023年夏の甲子園優勝を彷彿とさせる並びだ。大会5連覇へ向けて、絶対に負けられないこの試合の先発マウンドに立ったのは鷲見。2025年春季フレッシュトーナメントでも3試合登板し、2勝を挙げた。次世代の慶應投手陣を担う右腕は、初回、1番・中村俊瑛(人1・滝川)を打ち取ると、そのまま三者凡退に斬って取る。その裏、丸田、八木が打ち取られるも、3番・市橋慶祐(商2・小野)が放った打球は投手直撃の内野安打となる。早大先発・佐宗翼(スポ1・星稜)はその打球を受け緊急降板。代わって小松龍一(スポ1・花巻東)がマウンドに立つことになる。

先発の鷲見

アクシデントで動揺する早大を攻めたい慶大は2回、先頭の延末藍太(商2・慶應)が出塁すると、清原勝児(商1・慶應)も四球選び、一宮知樹(経1・八千代松陰)が右前安打を放ちチャンスメイク。そして貞包も右前安打を放ち先制に成功。続く服部も適時打を放つなど1イニング4安打の集中砲火。幸先よく2点を先制する。

チャンスを広げた一宮

先制適時打を放った貞包

慶大は、続く3回でも攻撃の手を緩めない。2死走者なしから、清原が四球、一宮と貞包が連打で繋ぎ、2死満塁のチャンス。ここで迎える服部が放った打球は、左中間を真っ二つ。走者一掃の3点適時二塁打となり、大きな追加点を獲得した。続く丸田が四球を選び、小松一をノックアウト。早大は池淳史(文2・早稲田実業)をマウンドに送る。

鷲見は3回まで危なげないピッチングを見せるが、4回、安打と2つの四球で1死満塁のピンチを招くと、6番・佐藤寛也(政経2・早大学院)に犠飛を許し1点を失う。するとその直後、7番・黒須真太朗(人2・日大鶴ヶ丘)への投球中に鷲見が負傷降板。この試合、両先発が負傷交代する結果となってしまった。 急遽登板した勝倉拓海(文2・東京都市大付)は、2死一、三塁のピンチを凌ぐ。

この日4打点の服部

勝倉は5回表、2死走者から四球を2つ許したところでマウンドを降りる。ここで後続を託されたのは鷹尾充千雄(総1・慶應)。8月のオール早慶戦名古屋大会で早大打線相手に物怖じせず投げ抜いた左腕は、前日満塁弾を放っている3番・尾形樹人(スポ2・仙台育英)を二ゴロに斬って取る堂々のピッチングを披露した。すると直後の5回裏、1年生の好投に2年生が応える。貞包が四球から盗塁に成功すると、2死一、二塁として八木の右前安打で追加点を獲得。6-1とする。

6回表、鷹尾は無死一、二塁のピンチを招くも、左打者の腰を引かせる的確な内角責めと、キレの良い変化球で、後続の3人を抑え込み、この回も無失点で切り抜ける。鷹尾は、神宮デビューを見事な投球で終えた。

神宮デビューを果たした鷹尾

7回表には期待の本格派右腕・熊ノ郷翔斗(環1・桐蔭学園)が登板。150km/hに迫る豪速球で早大打線をねじ伏せ、1イニングをパーフェクトに抑える。"金の卵"熊ノ郷の後を継いだのは松井喜一(経2・慶應)。将来を嘱望(しょくぼう)されるサイドハンドは、横手投げながら140km/h台半ばを計測する速球で早大打線を圧倒。8回から登板し、2イニングを無失点に抑える。慶應義塾の将来を担う5人の継投で、逆転でのAブロックの1位通過を決めた。

速球が武器の熊ノ郷

フレッシュ主将・服部が2安打4打点の活躍、先発・鷲見をはじめとする5投手で、前日9得点を挙げた早大打線を1失点に抑え込んだ慶大。負傷した鷲見の状態が気遣われるが、ニューフェイスが躍動し、投打が噛み合ったこの試合は"フレッシュトーナメント"という大会名にふさわしいものであった。翌日にはフレッシュトーナメント1位決定戦を控える。大会5連覇へ向け、慶大の執念をみせて欲しい。

 

(記事:神戸佑貴/写真:神戸佑貴、河合亜采子、奈須龍成)

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