【ラグビー】基礎にこだわったオフシーズン 自身にも新たな挑戦を課すBKリーダーコンビ/2026年蹴球部新体制インタビュー vol.4 田村優太郎×松田怜大

ラグビー

接戦の末、花園ラグビー場で「日本一」の夢が潰えてから約4か月。再び大学ラグビーの頂を目指し、新たなスローガン「ALL IN」を掲げた127代蹴球部の戦いが幕を開ける。今回ケイスポでは、今年度リーダーとして蹴球部を引っ張る11人に今シーズンの意気込みを伺った。第4回となる今回は、BKリーダーの松田怜大(環4・桐蔭学園)、田村優太郎(環3・茗渓学園)にインタビュー。昨季主力を担った4年生(126代)が卒業し、フレッシュな顔ぶれが並ぶBK陣を率いる上で、2人のリーダーが意識することとは。

 

――他己紹介

松田→田村:茗渓学園から参りました、3年でBKリーダーの田村優太郎です。茗渓学園出身らしく、ハンドリングがすごく上手で、明るい性格をしていて、みんなと仲良くしています。オングラウンドでもオフグラウンドでも、代の中心的な存在なのかなと思っています。

田村→松田:桐蔭学園から来た松田怜大さんです。ポジションは、高校の時から大3までWTBとFBを務めていたユーティリティプレーヤーで、今年は12番(インサイドCTB)に転向しています。僕も怜大さんもSFCなので、自分が1年生の時はよくお昼ご飯を一緒に食べさせていただいたりしていました。BKリーダーとしては「まとめ上手」だと思っていて、僕はいつも沢山意見を出すタイプなのですが、それを上手くまとめてくれていて、頼もしい存在です。

 

――花園で活躍したお二人が、近年頂点から遠ざかっている慶大蹴球部に入部した理由

松田:長い歴史を持つルーツ校であるということ、慶應ラグビーの泥臭さに魅力を感じたので、慶大に進学しました。

田村:僕の出身校である茗渓学園にもスポーツ推薦のような制度がなく、自分たちの持っているものを最大限活かすにはどうしたらいいか、工夫して勝つというスタイルでした。そのスタイルがとても好きで、プレーしていてとても楽しかったです。慶應も似たような雰囲気を持っていて「工夫して勝つ」という部分に憧れを持って、慶大に行こうと思いました。

 

――環境情報学部の魅力

松田:日吉と違ってキャンパスが遠いからこそ、ラグビーと大学生活を切り分けることができ、ラグビーの仲間だけでない色んな人たちとの交流を通してリフレッシュしたり、新たな発見を得たりすることができるのが魅力だと思います。

田村:僕も怜大さんと同じような感じです。ラグビーをメインに学生生活を送っているのですが、みんなそれぞれ追求するものを持っている人が多いんです。このような出会いがこの先の人生にどう繋がるかは分からないですが、色んな人たちと触れ合える、関わり合えるという部分はSFCならではの魅力なのではないかと思います。

――中学時代にワセダクラブに所属していた松田選手にとって、ワセダと戦うとはどういうことか

松田:それ(ワセダクラブに在籍していたこと)も慶應に入った理由の1つです。ただ選手の知り合いが居る、というだけでなく、スタッフの方にもお世話になりましたし、中学時代に使わせていただいたグラウンドを本拠地とする相手と試合をする、というのは自分にとって大きな、特別なイベントです。その上で、今は慶應の一員なので、早慶戦勝利は絶対に達成したいと思っています。知っている相手だからこそ、本気で倒したいと思っています。

 

――田村選手はプロチームにも練習参加をしている。そこで培われたもの、蹴球部に還元されているものは何か

田村:練習参加を通して、インディビジュアルスキルへのこだわり、個人の自主練の質の高さに圧倒されました。全体の練習が終わった後、各々が自分に必要なものを身に着けるための自主練に取り組んでいて、納得がいくまでやり続けている。大舞台で戦っている人たちでも、基礎を怠らないことが印象に残っています。ただ「練習終わった、疲れた」となるのではなく、その後に自分の課題と向き合うことの大切さを学ぶことが出来ました。あとは、コミュニケーションのレベルの高さも学ぶことが出来ました。特にディフェンスの動きに対する指示が的確で分かりやすかったです。これらの部分は自分が率先して体現して、チームに還元できたらと思います。

 

――BKリーダー同士の関係性や役割分担について

田村:僕は「意見を言う」ということを意識しています。怜大さんが最後に上手くまとめてくれるので、自分の思ったことをしっかり口に出して、密なコミュニケーションを取れるように沢山喋るということは意識しています。

松田:そうですね。田村が言った通りなのですが、彼はラグビーについて色んなことを知っていて、色んな観点から色んな意見をくれるので、すごくありがたいです。僕は田村が出した意見を、例えばFW陣にも伝わるように言い換えたり、チームがどう動くか分かりやすくするというか、みんなの背中を押すような役割を意識しています。

 

――BKリーダーに就任した経緯

田村:昨シーズンが終わったばかりのタイミング、たしか1月くらいで、まだ副将も決まっていないくらいのタイミングで監督に呼ばれて、今年の4年生は人数が少ないから、4年が引っ張るだけでなく、下の学年による押し上げが必要だという話をされました。その中で、下級生を引っ張っていくという意味で自分がBKリーダーに選ばれたのだと思っています。

松田:同期のBKの人数が少ない中で、今まで試合に出てきたということもありましたし、「自分のスキルに向き合って、成長していく姿勢を見せるリーダーになりたい」という話を監督に伝えていた中で、監督もそういうリーダーを求めていて、自分がこの役割に選ばれたのかなと思っています。

――リーダー陣全体で共有していること

松田:常に「日本一」を頭に入れておくことです。リーダーミーティングの中で、どんな話が出ても「それは日本一に繋がるのか」という部分を意識しながらやっています。あとは、今年は4年、3年、2年のそれぞれにリーダーがいるので、多様な意見を吸い上げるというか、思ったことはとにかく言うということも意識していると思います。

田村:共有していることは怜大さんが言ってくれた通りです。意見を言い合うという部分で特徴的なのは桐蔭学園出身者だと思っています。怜大さん、中野(誠章/文3)、井吹(勇吾/環3)、申驥世(文2)の意見は細かくて、1つ1つ徹底していくイメージがあります。

 

――127代と128代、それぞれの特徴

松田:127代の特徴は、みんないい子だということですね。控えめだし「俺が、俺が」っていう感じがしないからこそ、周りを見ることができる代だなと。また、人数が少ない分、集中しなければいけないタイミングだったり、何かを変えなければいけないフェーズに入った時に、すぐにアクションを起こせるところは良い所だと思います。気の利かせ方はみんなが持っているスキルなので。

田村:128代は、1個上の代、2個上の代と比較しても結構人数が多くて、下級生の時から試合に出たり、メンバーに絡んだ選手も多いです。チームを引っ張っていかなければいけない存在が1人だけじゃなくて複数いるので、そこは強みでもあり、責任も重大だなと感じています。

 

――昨季の振り返り

松田:個人としては、僕は何も成し遂げていないので、あまりレビューできるものがないという感じなのですが、今年こそは試合に出たいという気持ちは強いです。チームとしては、先輩方が残してくれたものが大きいと思っています。アグレッシブに挑戦する姿勢が例年より強くて、トライ数とか、得点パターンが変化していて、今もその文化が良い形で残っていているので、先輩方に感謝したいです。

田村:僕は去年春頃から12番(インサイドCTB)に加えて15番(FB)という新しいポジションにもチャレンジしたのが大きな出来事でした。最終的には15番の方に固まって、試合にも出してもらえて、、、全部が上手く行ったわけではありませんが、自分にとってはプラスな経験しかなかったので、すごく良い1年を過ごせたのではないかと思います。チームとしても、さっき怜大さんが話してくれたみたいに、チャレンジングなラグビーが始まったことが大きかったです。自分が1年生の頃はFWが強い代ということもあって保守的なラグビーをしていたのですが、去年からはアグレッシブに行こうと転換があって。去年チャレンジしたからこそ得た課題を今年修正しようとしていて、結構手応えも良いので、アグレッシブさの中にも精度を持たせるというか。そういう形で進化させられればと思います。

――昨季印象に残った試合

田村:秋の初戦の青学戦ですかね。春季大会の最終戦、青学に負けて後味の悪い終わり方をしてしまった中で、めちゃくちゃ緊張して、不安の中で臨んだ試合だったのですが、無事に勝ててすごく嬉しかったことを覚えています。あとは慶明戦です。明治相手にあと1歩のところまで行けたという自信と、それでも勝ちきれなかったことの悔しさが混ざり合った試合だったなと思いました。結局明治はその後日本一になっているので、差を痛感した試合でした。

松田:僕は早慶戦です。入学して改めて気づかされたのですが、この一戦に懸ける思い、慶應が早慶戦に懸ける気合いってすごいんですよ。去年の試合も負けてしまいましたが、今季に向けた良い収穫があったのではないかと思っています。

 

――今季のBK陣の特徴

田村:オフグラウンドの仲が良い所だと思います。4年生のBKの方々がすごく僕たちと仲良くしてくださっていて、オフの前日にみんなで飲みに行ったりとか、楽しい日々を過ごさせてもらっています。後輩としてとても嬉しいですし、そういう仲の良さってオングラウンドにも繋がるものだと思うので、大事にしていきたいと思います。

松田:他校と比べると体が小さいとは思うのですが、個々人のベーシックスキルにはこだわって練習を積んできて、BK全体としてクオリティを底上げできています。スキルレベルの高さは今季の特徴ですし、この部分で勝負したいと思っています。

――昨季BKの主軸を担った4年生(126代)が卒業した影響は

田村:チームが始動した直後は4年生が抜けた影響は出たと思います。みんなを1つにまとめるところで、4年生がもたらしてくれていたものの大きさを改めて実感しました。それでもこの3か月間、基礎的なプレーの部分を徹底して取り組んできて、その成果が目に見えて分かるようになってきています。「去年のBKはすごかったね」って言われて終わるわけにはいかないので、去年より良いBKにならなければと思います。

 

――1年生に花園を経験した選手が入部したことについて

松田:まだ練習で一緒にプレーしたわけではないのですが、今年の1年生は部員も多いですし、スキルを持った選手も多いと思うので、早く一緒にラグビーをして、一緒に切磋琢磨(せっさたくま)して行けたら嬉しいです。1年生の頃から試合に絡むことが出来ると、2,3,4年と年を重ねるに連れてその経験を活かせる機会も増えていくと思いますし。とにかく今は早く一緒にラグビーがしたいですね。

田村:浅野(優心/政1・慶應志木)のフィジカルがめちゃくちゃ強いです(笑)慶應の新しい武器になるかもしれないですね。

 

――オフシーズンに注力したこと

松田:パス、キックなどのベーシックスキル全般にこだわってきました。例年より更にみんなが集中して、厳しい雰囲気の中で練習を行えたと思っています。その成果もあって、全員のスキルレベルが上がってきている印象です。個人としては、今年から外側から内側にポジションが変わったので、パスやキックのところはチームと同じようにこだわりつつ、コンタクトで負けないためのウエイトもしっかりやったという感じです。

田村:チームに関する部分は怜大さんが言ってくれた通りで、個人としてはキックをメインでやってきました。去年までは椋平さん(今野/令8環卒)がキックを蹴って、僕がそれをチェイスするという役割だったのですが、逆に椋平さん以外のキックのオプションがないという状態でした。今年は色んな選手がキックのオプションを持ってアタックをしたいということで、練習しています。僕は今までキックが下手くそだったのですが、上手くなっているはずです(笑)

松田:一緒に練習しました(笑)

――キックについて、具体的にどのような部分を意識しているか

田村:キッカーが1人だけにならないことを意識しています。全員がキックを蹴ることができれば、アタック時の手札が増えるので、それを達成するためにキックを練習したという感じです。

松田:加えて「いつ蹴るか」ということも意識しています。この前BKだけの合宿が行われて、そこでBK陣全員で同じ時間共に練習する機会があったのですが、その時に「キックをいつ蹴るか」という判断の基準のすり合わせをしました。あの合宿を経て、どこで蹴るのか、同じ画像を浮かべながらプレーできるようになっていると思います。

 

――日本一に向けて「ALL IN」する上でチームに必要なこと

松田:まだ試合が始まっていない中で(※取材日:4月22日)、現時点でどれだけ通用するか分からないですが、チームとして、ハイクオリティなベーシックスキルという部分には注力している中で、1年間を通して一人ひとりが自分自身の成長に真摯に向き合い続けられるかどうかが重要だと思います。チーム全体で継続し続けるために、BKリーダーである自分が率先してスキルに向き合い続けて、ラストイヤーだからこそ、今までの人生の中で1番成長する1年間にして、誰よりもラグビーが上手くなって、日本一を達成できれば良いなと思っています!

田村:チームとしては今ディフェンスにすごくこだわっていて、毎試合こだわり続けたいと思いますし、日本一固いディフェンスができれば日本一に近づくので、ここにこだわっていきたいと思っています。個人としては、今年リーダーになったということもあるので、まずはオングラウンドで、練習への取り組み方や1つ1つのプレーに対して、限界を決めずに、成長し続けられるようにしたいです。それをチームに還元できれば、チームの日本一にも繋がると思うので、真摯に取り組んでいきたいと思います。

 

――今季の注目選手

田村:僕は森航希(環4・桐蔭学園)さんです。去年からずっと試合に絡んでいるSH(スクラムハーフ)で、何よりパスが上手くて速いのと、高さの出るキックがあるので、彼のハイパントはチームの武器になると思います。そして筋肉もすごいので、そこも注目していただきたいです(笑)

松田:LOのトーマスニコラスパパス(総2・Anglican Church Grammar School)です。身長が2mくらいあって、デカくて強いんですけど、そして何より、、、

田村:献身的。

松田:本当に献身的なんですよ。彼もSFCなので仲良くしているのですが、オングラウンドでもオフグラウンドでもとにかく真面目で、頻繁に「自主練付き合って」って言ってくるくらいで。去年の秋から1番成長している選手だと思うので「トムさん」に是非注目してください。

 

――春シーズンの意気込み

松田:まずチームとしては、春は全試合勝つという気持ちで臨みたいです。目標としては、攻守両面で新たなものを導入してきた中で、それを試合で、高いレベルで出せるところまで持っていきたいです。個人としてはとにかく試合に出て、体を張って、チームの勝利への貢献という部分に最大限フォーカスしたいと思っています。

田村:全試合勝つというモチベーションで臨みつつ、春シーズンは秋に繋がるチャレンジができる機会でもあるので、毎試合自分たちにチャレンジを課して、毎試合成長できるように、そしてシーズンを通して良い収穫を得られるような期間にしたいです。個人としては、怪我をせずにグラウンドに立ち続けることを目標にしています。オングラウンド/オフグラウンドの両方で、毎試合80分間、100%の力を出し続けられるようにしたいです。

 

――お忙しい中ありがとうございました!

(取材:小野寺叶翔、髙木謙 記事:髙木謙)

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