【アメフト】見たかUNICORNSの執念!31年ぶり法大撃破 佐藤、若月らWR陣の躍動で3TD/春季オープン戦vs法政大学

アメフト

 この日慶大は、1995年11月12日の川崎球場での勝利以来、実に31年間もの間勝利から遠ざかっている強豪・法大との一戦に臨んだ。序盤からリードを許す苦しい展開の中、第2QにQB・滝沢徹(経3・慶應)から佐藤勇太(総3・慶應)への鮮やかなロングパスが決まり7-10と、反撃の狼煙となる最初のタッチダウンを奪う。迎えた第4Q。ゴール前1ydの勝負所からQB・滝沢が自らスニークでエンドゾーンへ飛び込み同点タッチダウンを決める。

 負けじと法大にFGを決められ17-20で迎えた最終盤。WR・富安航大(経2・慶應)へのロングパスなどで敵陣深くまで攻め込むと、最後はQB・滝沢からWR・若月伶士郎(商4・慶應)へパスが決まり、劇的な逆転タッチダウン。チームの課題であったパス攻撃が開花して3つのTDをもぎ取り、攻守ががっちりと噛み合った慶大が、今年のスローガン「ONE for ALL, ALL for WIN」を体現する歴史的な新チーム初白星を飾った。

5月24日(日)16:00 春季オープン戦vs法政大学 @富士通スタジアム川崎

第1クォーター

 この日のスターターキッカーはアーセノー亮(文2・桐光学園)。試合はそのアーセノーのキックオフ、法大の攻撃から幕を開けた。1Q序盤、慶大は自陣深くからの攻撃を強いられ、なかなかパスが通らない苦しい立ち上がりとなる。ディフェンス陣は、パントリターンで田中玄樹(理3・本郷)が好リカバーを見せるも、法大RBの力強いランを止めきれず大きなゲインを許してしまう。しかし、自陣ゴール前でのピンチではディフェンスが意地を見せる。第3ダウンでの相手QBのランをノーゲインに抑え込み、失点をフィールドゴールのみにとどめてみせる。

 反撃に出たい慶大だが、オフェンスはスナップの乱れに苦しめられる。RB・橋口塁(経4・慶應湘南藤沢)の好リターンもあり自陣48ydからの好機を得るも、直後痛恨のスナップミス。ここはQB・滝沢徹(経3・慶應)が冷静な判断で投げ捨てを選択しサックを回避するが、攻撃のリズムに乗り切れない。

 一方のディフェンス陣は、山田向洋(経4・慶應)の鋭いロスタックルや安田旺祐(法2・慶應)のタックルなどで法大オフェンスのゲインを許さず、チームメイトからは「西くん」の愛称で親しまれる西田悠真(政2・慶應)もあわやインターセプトという惜しいプレーを見せる。さらに柳原聡磨(政3・慶應)のロスタックルも飛び出すなど、要所でディフェンス陣の奮闘が光った。

先週の日大戦に引き続きビッグプレーの西田

 1Q終盤、自陣16ydから攻撃権を得た慶大は、昨年の怪我から復帰のWR・若月伶士郎(商4・慶應)のランやショートパス、富安航大(経2・慶應)へのパス成功で連続してフレッシュを獲得。オフェンスのリズムを掴みつつ2Qへと突入する。

第2クォーター

 2Qに入り、第4ダウンギャンブル失敗などで流れを掴みきれない中、WR・高原煌世(商2・慶應)高梨幸太郎(経2・慶應湘南藤沢)へのパス成功で陣地を進める場面もあったが、再びスナップの乱れからインテンショナルグラウンディングの反則を取られ大きく後退。この直後、法大に30yd超のロングパスを連続で通されると、最後は慶大DBのカバーも及ばずロングパスでタッチダウンを奪われ、0-10とリードを広げられてしまう。

 しかし、ここから慶大オフェンスが反撃の狼煙を上げる。自陣22ydからの攻撃では滝沢から小林海斗(法3・慶應)へのミドルパスが、ランプレーフェイクから見事に決まりフレッシュ。RB・須藤大樹(理3・慶應)の堅実なランプレーや法大の反則も絡み、敵陣へと攻め込む。そして迎えた敵陣20ydからの第1ダウン。スクリーンパスのフェイクからQBがエンドゾーンへ完璧なロングパスを投じると、これをWR・佐藤が見事にキャッチ!前半の勝負所で待望のTDを奪い、一気に点差を縮めた。

見事なタッチダウンWR・佐藤勇太!!!

 その後は稲井裕二朗(経3・慶應湘南藤沢)鮮やかなパスカットをはじめ随所でビッグプレーが飛び出すなど、チーム全体に勢いが波及。強豪相手に臆することなく、随所に光るプレーを見せつけて前半を折り返した。

要所の守備が光ったDB・稲井

第3クォーター

 ビハインドで迎えた後半戦。試合は慶大のキックオフリターンから再開する。RB・橋口が好リターンを見せ、慶大は良い流れで後半のスタートを切る。その後、RB・須藤が20yd近いランで大幅なゲインに成功。さらに、続くプレーではWR・高梨へのパスも通り、着実に前進する。しかし、その後は攻撃がつながらず、敵陣20yd付近からのFGも失敗に終わり、攻守交代となる。その後のディフェンスでは、DL・篠原晴(経3・慶應湘南藤沢)がロスタックルを決める場面もあったものの、法大はパスとランを効果的に織り交ぜながらテンポ良く前進。ドライブを継続されると、最後はランでTDを許し、慶大はさらにリードを広げられてしまう。反撃したい慶大は、力強いランが持ち味のRB・石井和希(商4・慶應)のランに加え、先ほどタッチダウンを決めたWR・佐藤へのパス、さらにWR・若月へのパスも成功。課題としていたワイドへのパスを織り交ぜながら前進し、敵陣25yd地点まで到達する。その後、K・北村朔也(商3・宇都宮短大附属)がFGを成功させ、キック・イズ・グッド。慶大は10-17とし、点差を1ポゼッション差まで縮めることに成功する!

 続く法大のドライブでは、超大型ルーキーのQB・田邊悠人(営1・日本大学)を中心に、着実に攻撃を組み立てられる。しかし、ここで主将のDL・天野甲明(政4・鎌倉学園)が執念のQBサックを炸裂。大きなプレーで流れを引き寄せたまま、3Qが終了する。モメンタムを握った慶大は、その勢いのままラストQへ突入した。

第4クォーター

 ビッグプレーで流れを引き寄せた状態で迎えた最終Q。法大は前のシリーズからドライブを継続し、FGを試みる。しかし、このキックは失敗に終わり、慶大が攻撃権を獲得する。慶大の攻撃は、自陣22ydからスタート。RB・石井の力強い2連続ランでフレッシュを獲得すると、続いてQB・滝沢がドローでRB・須藤にボールを託し、再び1st downを更新する。

 テンポ良くドライブをつなげる中、QB・滝沢からのロングパスがWR・富安に通り、一気に敵陣深くまで侵入。慶大は大きくチャンスを広げる。その後も、再びRB・石井の2連続ランでエンドゾーン目前まで迫り、残り1ydとする。何としてでも押し込みたい慶大だったが、法大ディフェンスも粘りを見せる。それでも、3&1の場面でQB・滝沢がスニークを決め、そのままTD!

 さらにK・北村が冷静にTFPを成功させ、試合は17-17の同点に追いつく!

 その後の慶大ディフェンスは、法大の大型ルーキー・田邊を中心とした攻撃に揺さぶられる場面もあったが、LB・安田が鋭いタックルを決めて流れを止める。さらに法大の反則も重なり、慶大はピンチを脱することに成功した。 しかし、続くドライブではロスタックルを受けたうえ、痛恨のインターセプトを喫してしまう。ここまで慶大に傾いていたモメンタムが、やや法大側へ流れ始める。法大はその勢いのまま安定したオフェンスを展開し、着実に前進。それでも慶大ディフェンスも粘りを見せ、DL・山田が、相手QBが一度こぼしてリカバーしたボールに対して素早く反応。QBに襲いかかり、QBサック同然のロスタックルを記録する!

 しかし、法大は最後にFGに成功。キック・イズ・グッドとなり、慶大は再び勝ち越しを許してしまう。何とかして逆転したい慶大は、自陣24ydから最後のドライブを開始する。RB・橋口がコンスタントにランを重ね、フレッシュを獲得。さらに、WR・若月へのパスや、QB・滝沢のスクランブルでも再び1stダウンを更新する。加えて、この場面では法大にパーソナルファウルがあり、15ydの罰退を獲得。慶大にとって追い風となるプレーも飛び出す。しかし、その後は2連続でパスに失敗し、追い込まれた状況に。それでも、RB・橋口が持ち前の俊足を生かしたランでフレッシュを獲得し、慶大は土壇場で逆転への望みをつなぐ。直後、QB・滝沢から放たれたパスは、エンドゾーンで待つWR・若月のもとへ、劇的なTD。さらにTFPも成功し、慶大は土壇場で大逆転に成功する!

 昨年怪我で秋リーグに出場できず苦汁を喫した若月は、オフェンスリーダーとして大きな結果を残した!

見事なTDのWR若月!

 その後のディフェンスでは、12人でプレーしてしまう反則を取られるアクシデントもあったものの、最後までリードを守り切り、慶大は見事勝利を収めた。

勝利に湧く天野主将と筒井康裕ヘッドコーチ

試合終了後

 試合後、丹羽駿平(経4・慶應)天野両主将から選手たちへ魂を揺さぶる檄が飛ばされると、その熱気はチーム全体へと伝播した。

 続くオフェンス・ディフェンスごとのミーティングでも、各リーダーから次を見据えた力強いメッセージが次々と発せられていた。

 この日、試合MVPに輝いたのはWR・富安。第4Qに飛び出したロングパス成功は、間違いなくこの試合の流れを大きく変えたゲームチェンジングなプレーだった。

 また、慶大は今春5試合目にして、新チーム初勝利を挙げることに成功。これまで課題とされていたオフェンス陣は、ラン中心になる場面も多かった。しかし、前節の日大戦から見え始めていたワイドへのパスが、この試合では大きく機能。パスが広がったことで本来の強みであるランもより活き、オフェンス全体に良いリズムが生まれた。レシーバーユニットは、練習後のキャッチ練でレシーバー全員がノーミスで取れるまで終われない厳しい練習を行なった結果キャッチに対する執念が強くなったという。そしてなにより試合全体を通じて、WR・若月のオフェンスリーダーとして背中で引っ張る姿が見て取れた試合だった。最後には、それをタッチダウンという形で結実させたのは見事というほかない。

 いわずもがなディフェンス陣も粘り強く戦い、チーム全体で勝利をつかみ取った。まさに今年のスローガンであるONE for ALL, ALL for WINを体現するように、選手一人ひとりが自らの役割を全うし、勝利のために貪欲に戦い抜いた一戦と言える。そしてその新チーム初勝利を、1995年以来31年間勝利から遠ざかっていた強豪・法大相手に成し遂げたことは、選手たちにとって大きな自信につながるはずだ。OP戦とはいえ法大は多くの主力を出して試合に臨んだ。そんな法大相手につかんだこの勝利は31年ぶりという歴史的勝利であっても、決してジャイアントキリング(番狂わせ)などではない。各選手が愚直にやるべきことをやった結果だろう。この勝利は偶然ではなく必然だ。

 関学大、日大をはじめとする強豪相手の連戦から、結実を見たこの試合。ここまで楽な試合ではなかったはずだがその中で、いつも底抜けの明るさを見せてくれるこのチームが好きだ。

 残りの試合と夏を乗り越え、秋にUNICORNSがどのように花開くのか、楽しみで仕方がない。

 そんな楽しみを胸に秘め、私は筆を置く。

(記事:神戸 佑貴、水野 翔馬、取材:稲垣 遥河、高山 絵恋、若月 大空)

WR・若月伶士郎(商4・慶應)

──この試合を振り返って

オフェンスは誰かがやらなきゃいけないという状況の中で、「誰がやるの?」と言ったら「俺がやる」というマインドでしたね。今日は自分の心持ちとして、最初のナンバー2のスクリーンからゲームを作って、うまく流れを作れました。全員で勝ち取った勝利かなと思います。

──この試合のレシーバー陣の奮闘を、オフェンスリーダーとして振り返ってどうか

この試合は本当にレシーバーの努力が実ったと思います。全員がワンキャッチにしっかりこだわって捕り、次につなげることができたのが一番大きな成長だと感じています。

──最後のタッチダウンのシーンを振り返ってみてどうか

あのシーンはエンドゾーンに自分が来たときに滝沢と目が合って。ちょっとドキドキしましたが、しっかり捕ることができました。正直ドキドキで頭真っ白でした(笑)。

──次回以降の試合、そして秋のシーズンに向けての意気込みを

今年はオフェンスのスローガンとして「GRIT(グリット)」を掲げています。1ydに貪欲にこだわるという部分ですね。今日は本当にいいオフェンスができましたけど、まだまだ詰めが甘いところもあります。そこを全員が「GRIT」して、全員で勝つオフェンスを作っていきたいと思います。

WR・佐藤勇太(総3・慶應)

──今日の試合を振り返って

最初はやはりいつもみたいに上手くリズムが作れずに、苦しい展開が続くのかなと思っていたんですけど、そんな中で自分のプレーで少しチームに流れを持ってこれたというのがすごく嬉しいです。

──今日のTDを決めた時の感情は

今日の試合始まる前から、あのプレーでTD取りたいなと思っていたので、本当にイメージ通りの球が来て、イメージ通りのキャッチが出来て、少しでもチームに貢献できたかなと思って、嬉しかったです。そして、4年生の郁実(=鈴木、総4・公文国際)さんにいつも練習に付き合っていただいているので、その練習の成果が出せて良かったです。

──チーム全体として、パスが通るようになったが、意識の部分で変えたことは

自分たちレシーバーユニットは、ここ数試合で全くキャッチが出来ていなくて、ラン主体で行こうとか、色んな声がチーム全体で流れるんですけど、その中で自分たちの存在価値みたいなのが、この試合では見せたいという風にみんなで、意気込んで試合に臨んだので、そういった点で、結果としてパスでチームを勝たせれたので、すごく嬉しく思います。

──今後の意気込みを

自分は、去年このポジションにコンバートしたばかりで思うような活躍が出来ていなかった中で、今日少し感触を掴んだので、自分がレシーバーを引っ張っていけるような存在に慣れるように頑張ります。

主将DL・天野甲明(政4・鎌倉学園)

──今日の試合を振り返って

ここ4試合負けてしまって、チームとしてもどうしたらいいんだろうという雰囲気が漂っている中で、今日の試合を臨んだので、みんな不安に思っていたのですけど、僕は試合前に主将として、みんなをどれくらい鼓舞できるのかを意識していたんですけど、本当に一人一人頑張ってくれて、それがチームを活気づけて、そのまま勝利まで持っていったのかなと思っています。本当にみんなが最後まで挫けずに、貫き通した点を評価したいと思っています。

──強豪・法政相手だったが、自身が思う最大の勝因は

まず、ディフェンス的な面を言うと、本当にミスが少なかったというのがあります。ここ最近の試合はミスが多かったんですけど、今日は本当に安定していて、そこが一つの要因だと思っています。そして、二つ目は、本当にチーム全体として、気持ちが一つになっていたなと思っています。本当に粘って、粘り勝てたので、みんなに感謝しています。

──先週の日大戦を踏まえて、キャプテンとして声掛けしたことは

4試合色々結果はあったと思うんですけど、「過去は過去で、俺らは前を向くしかないんだ。」という話を僕と丹羽(駿平=商4・慶應)でこの一週間ずっと言ってました。とにかく、「目の前の一プレイ一プレイ、一ブロック、一ヒット、一タックルにこだわり続けろ。」というのを今週を通じて、みんなに言えたかなと思っています。

──残り春は4試合。意気込みを

今日勝ったんですけど、本当に勝負はこれからだと思っていて、浮かれることなく、普段やっていることを毎日トレーニングして、実力を積み重ねて、春の間にチームとして成長し、秋で勝っていくというのが僕たちの使命だと思うんです。なので、主将として、チームをこの先いかに緊密にまとめられるかというのを僕のモットーとして大事にしていきたいと思っています。今日を通じて、勝利のポジティブな循環をチームにもたらしたいと思っています。

稲井裕二朗(経3・慶應湘南藤沢)

──試合では好ディフェンスを連発。

前半は少し相手のプレースピードに翻弄されてしまうところもあったのですが、後半はそこをしっかり修正できたのが良かったと思います。正直相手オフェンスに助けられた部分もありましたが、しっかりストップできたと思います。

──ディフェンス組織全体の動きについてはどうか

個々人で色々なプレーに絡んでいきたいという思いはあるとは思いますが、やはりチーム全体のバランスを見ながら動くように各々が心がけるようにしています。ディフェンス全体として「(たとえリードしていても)安心しちゃいけない」と言われているので、気を引き締めてプレーできたと思います。

──今後の意気込みを

今の春の試合に出させていただいた経験をしっかり活かして、秋は絶対に負けないようにスキルアップしていきたいと思います。

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