6月19日(金)に「『アミノバイタル®』カップ 関東大学サッカートーナメント大会」の初戦を迎える。リーグ戦と違い、短期決戦のカップ戦。一発勝負のトーナメントは、リーグ戦での流れなど関係ない。露呈した多くの課題を克服し、成長した姿を見せたいところだ。1部復帰に向け、リーグ後半戦への弾みをつけるためにも、結果が求められる大会だ。また、今大会の上位10チームには、「総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント」の出場権が与えられる。その権利を掴むためには、リーグ1部に所属する格上の相手から白星をあげていく必要がある。だが、この大会は下剋上、いわゆる”ジャイアントキリング”が度々起こる大会でもある。今年も2回戦で2チームが格上撃破を成し遂げている。慶大としても、格上の相手に臆することなく、堂々と戦いたいところだ。快進撃を起こし、全国への切符を手にすることはできるか。
6月7日(日)に関東大学サッカーリーグ戦の前半戦が終了し、およそ3カ月にわたる中断期間に突入した。11試合を終え、4勝1分6敗。獲得した勝点は13で、順位は12チーム中8位。1年での1部復帰を掲げていた慶大にとっては不本意な結果となってしまった。得点数はリーグで4番目に多い18点と、決して少なくはない。だが、ここまで喫した失点は20。これはリーグワースト2位タイの記録だ。クリーンシートで終えられた試合は1試合もなく、守備面の課題が浮き彫りとなった。

8位で折り返した
リーグ2部に所属する慶大は、3回戦からの登場となる。初戦の相手は現在2部の首位を走る産業能率大だ。リーグ戦の対戦では、0-2で慶大が敗れている。産業能率大の猛攻を90分間耐え続けるも、アディショナルタイムに2得点を奪われ、首位の勝負強さを見せつけられた一戦だった。失点の多い慶大に対し、産業能率大が前半戦で喫した失点はわずか5。リーグで最も少ない数字だ。堅守を持ち味として勝点を積み上げているチームと言える。だが、攻撃にも勢いに乗れば止められない破壊力がある。短い時間に立て続けに2点を奪われた慶大の選手たちは、その怖さを身をもって痛感しているはずだ。同じ相手に二度は負けられない。前回対戦からしっかり修正し、初戦突破を果たしたい。リーグ首位相手に勝利を掴むことができれば、リーグ戦での巻き返しを図る慶大にとって大きな弾みとなるだろう。

首位を相手にどう戦うか
そして、4回戦では宿敵・早稲田大との対戦の可能性がある。8月11日(火祝)にはMUFGスタジアム(国立競技場)での早慶サッカー定期戦(早慶クラシコ)を控えている。その前哨戦が実現するのか注目だ。降格後も苦しんでいる慶大とは対照的に、早大は昨季1部昇格を果たし、1部でも現在4位と好調だ。だが、昨季の早慶クラシコでは、慶大が2-1で勝利を収めている。早大に対し良いイメージを持って試合に臨める選手も多いだろう。今季の早慶戦で2連勝という最高の結果を残し、リーグ後半戦に向けて勢いに乗っていきたいところだ。上位進出のカギを握る注目選手を3人紹介する。
1人目は三浦大其(経3・慶應)。
今季は右WGの絶対的レギュラーとして全試合にスタメン出場し、11試合で7得点4アシストを記録。チーム全18得点の半数以上に絡む、押しも押されぬ大エースだ。プレーの魅力はなんと言っても右サイドでのドリブル。カットインを得意とするレフティーでありながら、縦に突破する速さを持ち合わせる。形容するなら〝慶應のラミン・ヤマル〟だ。プレースキックのキッカーも務める。関東リーグ第7節・拓殖大戦では2点ビハインドの状況で直接CK弾を決め、逆転勝利につなげた。アミノバイタルカップでは徹底マークを受けることが予想されるが、分かっていても止められない左足で突破口を開きたい。
2人目は福井大次郎(経3・慶應/横浜F・マリノスユース)。
今季から守護神の座を掴んだ福井は、攻守両面でチームをけん引している。守備では1対1を得意とし、的確なポジショニングでシュートコースを限定して失点を防ぐ。183cmとサイズは平均的だが、クロス対応も安定感抜群だ。そして、最大の見せ場はPK。関東リーグ第7節・拓殖大戦では、終了間際のPKストップで1点差での勝ち点3獲得に貢献した。PKの重要度が増す一発勝負のトーナメントで、チームの窮地を救うPKストップに注目だ。そんな福井は、攻撃時にはビルドアップの始点としての役割もこなす。左右両足を使いこなし、相手の頭上を超えるフライパスでチームの前進に貢献する。守備局面では最後の砦として、攻撃面ではビルドアップの始点として、獅子奮迅の活躍を見せる福井から目が離せない。
そして最後は主将、三浦成貴(商4・浜松開誠館)。
三浦成は誰よりもソッカー部を愛し、自らの哲学をピッチ上で表現する主将だ。身長は171cmと小柄ながらも、圧巻のフィジカルと熟練の予測で相手フォワードに対して自由を許さない。また、1対1に絶対の自信を持つ「デュエル王」という異名を持つ。右SBおよびCBとしてチームを最後尾から盛り立て、チームが苦しい時には「慶應ここからだぞ」という彼の声がピッチに響き渡る。そんな三浦成は前期の結果に対して、「遺憾だ」と振り返る。個々人の一つひとつのプレーの「もっとできる」がチーム上昇の鍵だと分析する。ディフェンダーとして相手の攻撃を完封、そしてその姿からチームメイトに刺激を与える鬼神の如き活躍を期待したい。
世間はW杯ムードに包まれている。強豪国のオランダに対して日本代表は互角の戦いを演じ、日本サッカーの発展を強く印象づけた。慶大ソッカー部でプレーした塩貝健人選手(Vflヴォルフスブルク)もW杯デビューを果たし、慶大から世界のトップレベルへ登り詰めた選手が現れた。その姿に慶大ソッカー部の選手たちは大きな刺激を受けただろう。
リーグの中断期間に実施されるこのカップ戦は、リーグ戦での悪い流れを払拭する絶好の機会だ。勝ち進んでいくためには、選手一人ひとりが課題に向き合い、進化した姿を示さなければならない。この大会を通じて多くの選手が飛躍を遂げ、塩貝選手に続くような選手が慶大から誕生する契機となることを期待したい。未来の慶大、そして日本を担う選手たちはこの舞台でどのような輝きを見せてくれるのか。下田の街から、世界中を照らせ!

荒鷲イレブンの底力を示せ
(製作:小野寺叶翔 記事:奥秋柚生、甲大悟、髙木謙、柄澤晃希)

