【ラグビー】ロスタイムの劇的トライで逆転! ジュニアも今季初白星/第48回関東大学ジュニア選手権大会 第2節 vs東洋大学

ラグビー

開幕戦の敗北から2週間が経ち、ジュニア選手権カテゴリー1復帰に向けてこれ以上の敗戦は許されない慶大ジュニアは、本拠地・日吉グラウンドに東洋大を迎えた。前半の立ち上がりに先制に成功した慶大だったが、その後は激しく攻守が入れ替わる展開となる。それでも、玉塚雄大(経2・慶應)が追加点となるトライを奪って4点リードで試合を折り返す。後半は徐々に東洋大ペースとなり、一時逆転を許すも、ロスタイムに横山卓哉(総2・報徳学園)がトライを挙げ、28ー24で勝利した。

 

2026年9月27日(日) 第48回関東大学ジュニア選手権大会 カテゴリー2 vs東洋大学 @慶大日吉グラウンド

◯慶大 28{14-10,14-14}24 東洋大●

第48回関東大学ジュニア選手権大会

慶應義塾大学

2026/9/27(日)
15:00 K.O.
@慶大日吉グラウンド

東洋大学

前半

後半

 

前半

後半

2

2

トライ(T)

2

2

2

2

コンバージョン(G)

0

2

0

0

ペナルティゴール(PG)

0

0

0

0

ドロップゴール(DG)

0

0

14

14

計

10

14

28

合計

24

慶大得点者:7分 前田(T)、8分 小坂(G)、36分 玉塚(T)、36分 小坂(G)、59分 玉塚(T)、60分 小坂(G)、84分 横山(T)、85分 小坂(G)

 

戦評

涼しい風が吹く秋らしい気候の中、東洋大をホームグラウンドに迎え、今期のJr.選手権2戦目が行われた。前節まさかの敗北を喫した慶大にとっては、カテゴリー1再昇格のために負けることは許されない試合となった。期待の1年生FB小坂莉央(環1・Wellington College)のキックオフで試合は幕を開けた。

開始直後から敵陣深くに攻め込んだ慶大は、出足の早いタックルを見せて東洋大を釘付けにし、自陣に踏み入らせない。そして攻撃に転ずると、今度はグラウンドを左右に広く使うパス回しで、相手の守備を翻弄する。

前半7分、SO前田浩太(政1・慶應)が相手の守備を切り裂き、光速の走りを見せつけこの試合両チームを合わせて初となるトライをあげる。その後の小坂のゴールも決まり、慶大が7-0と先制する。

相手を置き去りにする前田

コンバージョンにむけ、ボールをセットする小坂

10分には体格で勝る東洋大にFW戦で押し込まれるも、WTB石野創太郎(理4・川和)が大外で豪快なタックルを決め、窮地を脱する。

その後、パスの乱れから自陣深くまで攻め込まれるが、WTB石野、FB小坂らの好プレーでピンチを凌ぐ。以降は激しく攻守が入れ替わる展開となり、両チームとも攻め切れない時間が続く。

鋭いダブルタックルで相手を食い止める

流れが東洋大に向かいかけた22分、SH竹内楓稀(総1・桐蔭学園)がジャッカルを成功させてノットリリースザボールを誘い、相手の流れを断つ。

31分にはモールディフェンスから相手のボールを奪うことに成功するなど、慶大の守備の巧みさが際立つ。

また、自陣深くまで攻め込まれた33分にはCTB浅野優心(政1・慶應志木)がジャッカルを成功させてノットリリースザボールの反則を奪い、ここも相手に試合の主導権を渡さない。

相手を捕える浅野(奥)と横山

迎えた35分、ラインアウトモールをFWが一丸となって一気に押し込み、最後はHO玉塚雄大(経2・慶應)がトライを決める。その後のゴールも決まり、14-0と点差を広げる。

モールを指揮する玉塚

しかし38分、東洋大の素早いパス回しに後れを取ってトライを献上し、14-5に点差を縮められる。

後半につながる形で前半を締めたいところだったが、42分、ハイパントの再獲得を許すと、そのまま素早くパスを回されてトライを決められる。スコアが14-10となり、4点リードで後半に挑むこととなった。

ハーフタイムが明けた後半の立ち上がりも、前半の終盤と同じように東洋大にボールを握られる展開が続くが、慶大も強度を落とさず出足の早いディフェンスで対抗。東洋大にエリアを渡さない。46分に陣地打開のキックを猛チェイスしたゲームキャプテン・石野がキックチャージを見せ、11分には自陣で浅野が鋭いタックルでノックフォワードを誘うなど、ポゼッションの時間が短い中でも攻守両面で高い集中力を発揮し、互いにノースコアのまま推移する。

キックチャージを見せた石野

そして、このタイミングで慶大は最初の交代カードを切る。SO前田に替えて大澤蒼生(理1・慶應志木)をWTBに投入。小坂をSO、西本友哉(法1・桐蔭学園)をFBに配置した。

しかし55分、東洋大の猛攻に屈して後半初トライを許し、スコアは14-17とこの試合初のリードを許す。前半の終盤から3トライ連続で奪われる形となり、東洋大に主導権を握られる展開が続くか思えたが、したたかさが光る慶大ジュニアはここから反撃を見せる。

まずは試合再開のタイミングで、PR山北響己(経2・慶應志木)に替えてラストシーズンを迎えた4年生・鈴木将智世(法4・慶應)を、FL千北武典(経3・慶應)に替えて対抗戦出場経験を持つ持木太心(総3・桐蔭学園)を投入。すると、交代によって再び活性化したFW陣が躍動する。59分、敵陣深くで獲得したマイボールラインアウトから、まずはモールでグラウンディングを狙う。ここは東洋大のモールディフェンスが上回り、そのままトライとはならなかったが、最後尾からボールを持ち出したHO玉塚が巧みなボディコントロールを見せ、タックラーを跳ね飛ばしながらインゴールに飛び込んだ。前半途中からのスクランブル出場となった玉塚が、再びチームを救うトライを挙げ、慶大が再びリードを奪う。

トライを挙げた玉塚(中央)と、喜ぶ慶大フィフティーン

逆転した後も、より長い時間ボールを持ったのは東洋大だった。それでも慶大は、ディフェンスの規律を保ち続け、伝統の「魂のタックル」で相手のアタックを食い止めた。後半の中盤は、東洋大の矛と慶大の盾ががっぷり四つで組み合う一進一退の攻防が繰り広げられ、時計の針のみが動いていく展開となる。慶大はCTB浅野に替えてJr.選手権初出場となる宍戸孝行(総2・國學院久我山)、PR廣瀬宇一朗(環3・桐蔭学園)に替えて当日変更で急遽メンバー入りした湯口竜迅(文2・鎌倉学園)を投入し、状況の打開を図った。

 

それでも73分、東洋大の連続攻撃を受けてついにインゴールを明け渡すと、相手のコンバージョンも決まって再び4点のビハインドに回り、逆転にはトライによる5得点が必要となる。さらに76分、ハッスルプレーを続けていたゲームキャプテンの石野が足をつるアクシデントに見舞われ、本職SHの山上賢洋(文2・桐蔭学園)をWTBに投入した。

WTBに就いた山上(左)と、迎え入れる西本

近年、関東大学リーグ戦で存在感を高めている東洋大との強度の高い試合の中で、不測の事態に見舞われることとなったが、慶大ジュニアはチーム一丸となって慶應のラグビーを貫き続ける。すると、徐々に慶大が効果的なアタックを重ねる機会が増えていった。

ロスタイムも終わりに近づいた83分、勢いに乗った慶大がラインアウトモールでゲインすると、その後もFW陣が縦に強く前進する泥臭いアタックで東洋大を押し込み、モメンタムを生む。最後はBK陣にボールを託すと、CTB横山卓哉(総2・報徳学園)の前に一筋のランコースが空いた。タックルをかわした横山がインゴールに飛び込み、逆転トライ。日吉グラウンドは歓喜に沸いた。

最後は横山がギャップを突いた

雄叫びをあげる横山(中央)

 

小坂がコンバージョンを沈め、この日のキック成功率を100パーセントとしたところでノーサイドの笛。慶大ジュニアがJr.選手権今季初勝利を掴み、改めて日吉グラウンドに歓声が轟いた。

サヨナラトライで敗戦を喫した開幕戦から一転、今度はコンバージョンの差で僅差の試合をものにした慶大。ボールを持たれても粘り強いディフェンスで食い下がり、トライを奪われた場面でも、インゴール中央付近へのグラウンディングは許さず、相手のコンバージョンキックの難易度を高めていたことが試合の勝敗を分けた。前日に対抗戦・青学大戦で勝利したシニアチームに続き、公式戦2連勝で9月を締めくくった。

引き揚げる慶大フィフティーン。中央はMVPの玉塚。

 
インタビュー

♢石野創太郎(理4・川和)

ーー専修大戦の敗戦を踏まえ、どのような準備を

専修大戦はコンバージョンキックの差で負けてしまったので、改めて、チームとして細かいプレーの一つ一つで勝敗が分かれてしまうということを肝に銘じて、日々の練習でスコアダウンの丁寧さだとか、ロングリリースのボールの位置のように、細かい部分にこだわって準備してきました。

ーー今日の試合を振り返って

今日の試合もトライ数は同じで、キックの差で勝つことが出来ました。改めて、準備の大切さ、一個一個のプレーを大切にすることの重要性を理解できた試合だったと思います。

--ご自身のプレーを振り返って

プレー全体を通してみると、ターンオーバーした後のパスのミスであったり、プレー判断であったり、内側に効果的なコールをするところなど、足りない部分はありましたが、自分の持ち味である粘り強さや、キックチャージでエフォートするところはしっかりと出来て、チームに良い影響を与えられたことはポジティブに捉えています。

--次戦に向けて

ジュニア選手権で優勝するためには次の試合もその先の試合も全部落とすことが出来ないので、まずはチャレンジャー精神を持って、その上で自分は持ち味であるエフォートのところでチームにエナジーを与え続けて、チームを引っ張って行きたいと思います!

 

♢小坂莉央(総1・Wellington College)

ーー前節の専修大戦ではSHだったが、今回はFBで出場となった。プレーするうえで意識したことは

プレーするうえで意識したことは、まずSHとFBの役割が大きく違うので、FBとしての役割を理解するということを心掛けました。具体的には、FBの方が外側の選手なので、内側にコールを伝えてあげる役割があるんですけど、9番とか10番の内側のポジションをやっていた分、そっちの気持ちも理解しながらいい声掛けができたんじゃないかなという風に思っています。

ーー今日の試合を振り返って

今日の試合は、トライを取ったり取られたりと結構接戦で、常に緊張感がある展開だったんですけど、先発のメンバーも控えのメンバーも共に自分たちの持ち味を発揮して、今シーズンの中でもかなりいい試合だったかなと思います。でもあと2試合残っているので、そこに向けてしっかり今回の試合で出た課題に向き合っていきたいと思います。

ーー勝敗を分けたコンバージョンキック、陣地回復のタッチキックなどキックでチームに貢献していたが、自身のキックを振り返って

今日は結構キック上手くいった試合ではあったんですけど、2年生の小林祐貴(政2・慶應)君と一緒に練習をしたり、上手な選手と一緒に1週間練習をしていたことが、自分のキックの質の向上にも繋がったと思うので、引き続きキックを強みにできるように練習を沢山していきたいなと思います。

ーー次戦以降に向けて

1戦目に負けてしまったため次の2試合は出来るだけトライを取って勝たないといけなくなってくるので、しっかり相手の分析をして自分たちがどのように攻撃や守備をするのかをしっかりいい準備をして勝利できたらいいなと思います。

 

♢玉塚雄大(経2・慶應)×横山卓哉(総2・報徳学園)

左が玉塚、右が横山

ーー今日の試合を振り返って

玉塚:前半から4点差という僅差で折り返して、後半もずっと緊張感の高い中、点差も離れず、最後に逆転するという形になったのですが、この試合を通して自分たちがフォーカスに挙げていたスピードの部分、セットスピード、トランジションスピード、3メートルアップというところを意識し続けられたことで、勝つことができたのだと思います。

横山:試合前から、自分たちはチャレンジャーだというマインドを持って、自分たちからアグレッシブに向かっていこうというという話をしていた上で、しんどい時間もあったんですけど、80分間しっかりコネクトし続けて、最後逆転までもっていけたことは良かったと思います。

ーー玉塚選手、前半からのスクランブル出場となったが、何を考えてピッチへ向かったか

玉塚:実は1週間前までDチームにいて、頑張ってジュニア選手権の舞台を勝ち取れた中で、どんな場面で出番が回ってきたとしても、自分の強みであるスローとフィジカルの面を活かすことを考えて、そこにフォーカスしてマインドをコントロールしていたので、良いマインドで試合に入れたと思います。

ーー横山選手、ディフェンス時に外側のスペースを守る場面で気を付けていたこと

横山:外側で相手選手の枚数が余っている(数的不利の)状況も多かったのですが、意識していたことは、横の人と喋り続けるということです。コネクトを切らさず、喋り続けながら壁を作る感じで意識していました。

ーーチームメイトとして、ピッチでお互いのプレーをどう見ていたか

玉塚→横山:横山選手はハンドリングとランの能力が高い選手で、自分たちFWから良い球を出して、その良い球を受けた横山選手がゲインラインを切っていくという、すごく信頼できるプレーをしてくれたので、、、チームメイトとして、、、ベリーグッドです(笑)

横山→玉塚:僕も、タマ(玉塚)はワンダフルなプレーをしてくれると思っています(笑) どっちにボールが転がるか分からない状況で、ずっとタマがそこを意識してボールを取ってくれていたので、自分たちの良いアタックに繋げることが出来たと思っています。タマのハードワークが本当に、、、ワンダフルでした。

玉塚:ありがとうございます(笑)

ーーご自身が挙げたトライの場面を振り返って

玉塚:僕のトライはモールからのトライだったのですが、FW全体で良い形でモールを押せていたので、それで前にスペースが空いて、そこへ自分がレッグドライブしていった形でした。チームのためにトライを取って逆転することをずっと意識していましたし、チームで取れたトライだったと思っています。

横山:ラストワンプレーで数点ビハインドという中で、とても緊張感もあったのですが、タマが言ってくれたようにFWがモールで押してくれたり、縦に強い突破をしてくれていた中で、最後自分の前にスペースが空きました。全員でトライを取りに行く、ラグビーらしい得点が出来たかなと思っています。

ーー次戦に向けて

玉塚:自分の中で、良いところだけでなく課題も見つかったので、この勝利を無駄にせず、次の試合に向けて積み重ねて成長し続けたいと思います。

横山:自分たちの目標はジュニア選手権優勝で、負けられない戦いが続くので、しっかり準備してカテゴリー1に進出できるように、頑張っていきます。

(部室で同じロッカーを共有する玉塚選手と横山選手。おふたりでインタビューに応じていただきました!)

 

メンバー表

先発

#

氏名

身長(cm)/体重(kg)

学部学年

出身校

1

山北 響己

178/108

経2

慶應志木

2

米本 啓太朗

171/95

政1

京都成章

3

廣瀬 宇一朗

180/108

環3

桐蔭学園

4

キーヴァー ブラッドリー京

182/90

総3

常翔学園

5

髙橋 優太朗

181/97

商2

慶應

6

小川 和真

176/88

政2

茗溪学園

7

千北 武典

175/93

経3

慶應

8

早川 湧人

178/94

環4

國學院栃木

9

竹内 楓稀

160/70

総1

桐蔭学園

10

前田 浩太

175/80

政1

慶應

11

石野 創太郎

171/80

理4

川和

12

浅野 優心

180/94

政1

慶應志木

13

横山 卓哉

177/85

総2

報徳学園

14

西本 友哉

184/85

法1

桐蔭学園

15

小坂 莉央

174/78

環1

Wellington College

リザーブ

16

安藤 佑真

174/96

政2

慶應志木

17

鈴木 将智世

173/97

法4

慶應

18

湯口 竜迅

170/97

文2

鎌倉学園

19

持木 太心

180/97

総3

桐蔭学園

20

前鹿川 雄真

176/91

政1

桐蔭学園

21

山上 賢洋

166/73

文2

桐蔭学園

22

宍戸 孝行

176/84

総2

國學院久我山

23

大澤 蒼生

178/80

理1

慶應志木

 

(取材/記事:髙木謙、中島冬奈)