【ラグビー】社会人チーム相手に粘りを見せる/釜石シーウェイブス戦

釜石の応援団をバックに円陣を組むフィフティーン

京都での勝利から1週間。慶大は東北岩手県盛岡市で釜石シーウェイブスとの試合に臨んだ。春のシーズンで唯一の社会人チームとの対戦となったこの試合。慶大は粘り強い戦いを見せるも、結果は12-45で敗戦。社会人チームの強さを見せつけられる結果となったが、随所に通用する場面も見られ、次に繋がる試合となった。

 

招待試合 VS釜石シーウェイブス

5月13日(日)13:05K.O.@盛岡南公園球戯場

 

得点
慶大 チーム 釜石SW
前半 後半 VS 前半 後半
PG
DG
小計 24 21
12 合計 45
得点者(慶大のみ)

 

T=渡辺2

 

G=高田

 

出場選手
ポジション
1.PR 小田基貴(商4・小倉) →16.青木周大(商2・慶應)
2.HO 渡辺祐吉(経4・慶應)
3.PR 山田亮介(環4・国学院久我山)
4.LO 野田一宇(商2・修猷館) →17.平野裕馬(環4・国学院久我山)
5.LO 遠藤洋介(環4・国学院久我山)
6.FL 森川翼(環2・桐蔭学園) →19安部雄太郎(経4・慶應)
7.FL 佐藤大朗(総4・国立)
8.NO8 伊藤豪(環4・福岡) →18.小田村淳平(政4・慶應)
9.SH 宮澤尚人(法2・慶應) →20.鈴木雅貴(環4・慶應)
10.SO 高田英(経4・慶應志木) →21.木村亮平(商3・明善)
11.WTB 風間雄太郎(経4・慶應) →22.瀧口晃太郎(文4・桐光学園)
12.CTB 名頭薗泰輝(商2・慶應)
13.CTB 甲斐鑑(理4・千種)
14.WTB 鈴木貴裕(経4・慶應)
15.FB 新甫拓(経4・慶應)
 


フィールドプレーでも魅せたPR山田

遠くの山々まで見渡せるほどの快晴ながら猛烈な強風が吹くというコンディションの中で試合は始まった。 序盤からペースを握ったのは風上に立つ釜石SW。それに対し慶大は低いタックルで相手の出足を止めていく。試合が動いたのは前半の10分。ここまで守勢だった慶大は自陣でボールを得ると右サイドを突破にかかる。しかし「ディフェンスの寄りがすごく速かった」(WTB鈴木貴・経4)というようになかなか思い通りの攻撃をさせてもらえない。 逆に相手の強烈なタックルを喰らってしまいボールを失うと、相手に守備が手薄になった逆サイドまで一気にボールを展開されトライを奪われてしまう。さらに慶大は20分、30分にも相手BKS陣にボールを大きく展開されゲインを許し、最後は相手FWD陣に押し込まれる形でトライを奪われリードを広げられる。 慶大の反撃は34分、CTB甲斐(理4)らの突破で敵陣に入りフェーズを重ねると、最後はPR山田(環4)が相手に絡まれながらもHO渡辺(経4)へパスを繋ぎそのままトライ。SO高田(経4)のゴールも決まり7点を返す。しかしその後は再び釜石SWにペースを握られると、1トライを追加され前半を7−24で折り返した。

WTB鈴木副将は、ビッグゲインで何度も会場を沸かせた

風上に立っての戦いとなった後半。なんとか得点を返していきたいところであったが、釜石SWの堅い守備をなかなか崩すことができない。逆に7分には相手の外国人CTBに中央突破を許し、さらにリードを広げられる。 しかし、慶大はここから粘りを見せる。20分にフィールド中央でボールを持ったSO木村(商3)が相手の裏のスペースへキックパスを出すと、これがWTB瀧口(文4)に通る。惜しくもトライまでは至らなかったもののいい形を作る。迎えた25分、相手のキックをFB新甫(経4)がフィールド中央で処理すると、そこからのカウンターでWTB鈴木貴が右サイドを突破し一気にゴールラインに迫る。最後は再び渡辺副将がボールを持ち込みトライ。FwdとBksが一体となった攻めを見せ得点を返す。さらに点差を詰めたいところであったが、 終盤は外国人プレイヤー達を擁する個の強い相手に対してなかなか突破口を開くことができなくなってしまう。結局その後はチャンスらしいチャンスも作れず、さらに2つのトライを許し、12−45で敗戦となった。

「春に当たる相手のなかでもっとも強いチーム」(田中監督)であるトップイーストのチームの強さを見せつけられたこの試合。 「大事にしている組織としてのディフェンスが、外国人選手に通用しなかった」(渡辺)という言葉を始め、選手たちは社会人チームの個の力を実感した。 今後は個の力に対して どのように組織として対抗するかが課題となるだろう。 次戦は場所を南国宮崎に移しての早慶戦となる。 この試合で見せた強みを生かし、出た課題を修正して次なるライバルとの戦いに望んで欲しい。

 

グラウンディングするHO渡辺副将

【ケイスポ的MOMチームを引っ張るFWDの主柱 HO渡辺祐吉

格上の社会人相手のゲームの中、この日の全トライを奪った渡辺のプレーが目立った。トライシーンについては「たまたま僕がいたというだけ」と控えめだが、「何回もフェーズを重ねてトライを取ることができれば慶應のペースになるということが分かった」と収穫もあった。茂木主将(理4)が不在のこの試合ではゲームキャプテンを務め、プレーでも精神面でもチームの中心となる活躍を見せている。次の早慶戦でも心身両面でチームを引っ張ってもらいたい

 

(記事 中島 裕幾)

 

 

田中監督

(試合を振り返って)試合前に選手に伝えたことは、今日はこの春に当たる相手のなかで最も強いチームになる、特にコンタクトの強い社会人のチームとやれるのはこの釜石SW戦が最初で最後になるということでした。それと同時に昨年の3月11日の東日本大震災で被災地となった釜石のチームと試合ができるということは幸せなことなので、もちろん勝負にこだわることはあるだけれども、やはり大事なことは自分たちはひたむきに最後まで諦めない姿勢を通じて被災者の方に勇気を与えることであり、それが一番の目的だと思います。学生たちも最後まで手を抜かずに食らい付いてやってくれました。またこのような形で釜石の関係者の方からも慶應のしつこさ、ひたむきさを感じだとおっしゃって頂いたのでなんらかの成果はあったと思います。結果は残念ながら敗北はしてしまいましたが、やってきたことが通用した場面も多々ありました。今日は非常に風が強いということでこの強い風に対して、風下の前半は辛抱、後半勝負と考えていました。前半は風下をしのいでなんとか3トライ差で折り返したのですが、後半に風上の利を生かしきれませんでした。ただより反省したいのはボールキャリアーの姿勢が高いことにやって相手に絡まれてしまって、自分たちのテンポでボールを出しきれなかったということなので、やはりボールコントロール、ボディーコントロールというのは課題として据えていきたいと思います。それからチームと守るべき約束をしっかりと機能させられるように修正していきたいと思います。(試合後には釜石SWの応援団からも慶大への声援がありましたが)うれしいですね。盛岡の地までお招き頂いて試合ができることは幸せですし、僕らが力を授けていかなければならない立場ですが、むしろ声援を頂いたということは大変にありがたいことなのでそれを真摯に受け止めて励みにしていきたいと思います。(次の早慶戦へ向けての意気込みは)春の練習試合は早稲田と次にやり、その後明治、帝京と対抗戦のチームと当たるといことは秋を占う上でも大事になると思います。そのなかでも早稲田は本当に特別な相手で、やはり今日の試合で今まで取り組んだことがうまくいった部分もあったのでそこを生かして、反省点を修正して早稲田にぶつけていきたいと思います。こちらはチャレンジャーとしての精神で真っ向から当たっていきたいと思います。

 

HO渡辺

(今日の試合を振り返って)大事にしている組織のディフェンスが、外国人選手の力に通用しなかったという点が敗因であり、上手くゲームできなかった要因だと思います。(風も非常に強かったですが)そうですね。イコールコンディションなので、あまり考えずに試合に臨みました。(実際に社会人チームを相手に戦った印象は)やはり個の力が強い、外国人の選手が大きいという感想を持ちました。(トライを2つ挙げましたが、トライシーンを振り返って)たまたま僕がいたというだけなので。もっと何回もフェーズを重ねてトライを取ることができれば慶應のペースになるということが分かったので、今後もつなげていきたいと思っています。(感じた課題点は)個に対してどう組織で守るかということが一番の課題だと思うので、一人一人の精度はもちろんですけど、チーム全体としてやっていきたいなと思います。(来週の早慶戦に向けて)今まで取り組んできたことをしっかりと出して勝利できればと思います。

 

WTB 鈴木貴副将

(社会人チームと戦う上でフォーカスしたのは)個々の力がとても強いと思っていたので、1対1ではなく組織でしっかり戦っていこうと考えていました。(振り返って)試合の入りの部分がどうしても上手くいきませんでした。風の影響もあり陣地を取ることができなかったです。試合の入りの悪さは今のチームの課題です。最初からもっと自分たちらしさを出していけないと、これからも厳しい戦いになるな、と実感しました。(個人ではビッグゲインもみられたが)ゲインを何回もできたのは良かったです。でもトライを取り切るところまでできなかったのが課題です。バックスリーはラインブレイクをするのもですが、トライを取り切ることまでできるようにしなければいけないと思っています。トライを挙げるところをまでできるようにやっていきたいです。(釜石SWの選手たちから学んだことは)慶大がアタックする際、釜石さんのディフェンスの寄りがすごく速かったです。1人ひとりの働きかけというのが素晴らしかったです。慶大はラックからの球出しが遅れてしまって、イメージしたアタックができなかったので、ブレイクダウンのプレッシャーのところは釜石さんを参考にします。1人ひとりの働きかけを増やしたいです。(遠征が続いているが)正直疲れていないと言ったら嘘になりますが、様々なチームと試合ができて良い経験になっています。(次週の早慶戦に向けて)負けられないですね。自分たちがやってきたことをしっかり出し切って勝ちたいと思います。

 

LO遠藤

(試合を振り返って)前半の手応えとしては後半いけるかなと思ったんですけど、最後は少し僕たちの決めていたラグビーができなかったのかなというのを感じます。(風も強い中、ラインアウトに関しては)ラインアウトは先週から少しメンバーも変わって、修正する部分も多かったんですけど、成功率としてはなかなかいいかなと思います。(社会人チームの印象は)やっぱり個々が強い選手が多くて、外国人を含めて大きい選手が多い中、慶應の低く鋭く刺さるタックルが大事なんだと改めて感じました。(来週の早慶戦に向けて)絶対に負けられない相手なので、自分たちのやってきたこと、今週出た課題も含めて修正して、慶應らしさで勝ちたいと思います。

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