春季関東リーグ最終日。上位浮上を目指す慶大は、早大の強烈なアタック、サーブに苦しみながらも、熱戦の末、勝利。リーグ戦を4位で終え、去年からの飛躍を示した。
5月20日(日)春季関東大学1部リーグ 慶大×早大 @日本体育大学健志台米本記念体育館
得点 | ||
慶大 | セット | 早大 |
24 | 1 | 26 |
25 | 2 | 23 |
23 | 3 | 25 |
25 | 4 | 21 |
15 | 5 | 12 |
サイド | 柳田将洋(環2・東洋高) |
セッター | 野口剛志郎(環2・東福岡高) |
センター | 星谷健太朗(理3・渋谷幕張高) |
サイド | 岡田拓巳(商3・熊谷高) |
サイド | 間宮秀太(政4・慶應高) |
センター | 山本悠登(環4・東亜学園高) |
リベロ | 前田優介(環4・日向学院高) |
リベロ | 野瀬将平(環1・東福岡高) |
途中出場 | 川村昌平(環4・春日部共栄高) |
村上拓也(法4・慶應高) | |
棚橋真之(経3・慶應志木高) | |
稲田聡典(環2・日向学院高) | |
丸谷将大(環2・東筑高) |
第1セット、山本(環4)のブロックや星谷(理3)のサービスエースなどで連続得点を奪い、良い流れでの滑り出し。しかし中盤、リベロ野瀬(環1)もサーブレシーブに苦戦。早大のエース・七里のサービスエースが連続で決まり、14-10とリードを許す。後半、早大のミスにも助けられ同点まで追い上げるも、ミスが響き、24-26でこのセットを落としてしまう。
第2セット、流れを変えたい慶大。先制するも、流れに乗れずリードを許す展開に。しかしその後、柳田(環2)の戦略的なアタックなどで連続得点し逆転、12-10。岡田(商3)の威力のあるアタックも光った。一進一退の攻防が続くが、両エースの活躍でなんとかこのセットを25-23でものにした。
第3セット、第2セットの勢いそのままに突き進みたい慶大であったが、早大のアタックに対しブロックも苦戦。粘り強いディグもみられたが、このセットも一歩リードされる展開。岡田のスパイクがブロックアウトを誘い、一時逆転20-18。しかし早大に連続得点を許し、23-25でこのセットを落としてしまう。
第4セット、もう後がない慶大。しかし、このような状況でも集中力を維持できるのが今年の強みだ。中盤、山本(環4)や柳田が要所で得点を重ね、連続得点すると、リードを保ち、終盤でも星谷のクイックなどで連続得点を決め、最後は間宮(政4)のストレートで締め、このセットを25-21で勝ち取った。
第5セット、セットを重ねるにつれ、レシーブ、アタックともに機能していった慶大は、リベロ前田優を中心にしぶとくボールをつなぎ、得点を重ねた。両校一歩も引かない試合展開であったが、早大のサーブミスにも助けられ、最後は柳田がラインぎわへの鋭いスパイクで決め、15-12で勝利した。
立ち上がり早大の勢いに押されぎみであった慶大だが、気持ちをきらすことなく立て直し、勝利をつかみ取った。確実な成長を実感しつつ、課題も見えた春季リーグであった。今回の結果に選手たちは満足していない。今後のさらなる飛躍を確信している。
(文・吉武さくら)
宗雲監督
(今日の試合を振り返って)最初は硬かったですよね。でも、早稲田のほうが硬かったのかな。でも、途中からエンジンがかかりだして、今日はそんなに悪い選手もいませんでしたし、柳田もいいし、岡田もがんばっていました。今日はこれまでずっと言っていた「のびのびプレーすること」を久々にできた試合でした。(リーグ最終戦を理想的な勝利で終えることができたということは大きいか)やっぱりそうですね。早稲田さんとやることに対して学生のほうがすごく意識していましたね。もっとリラックスしてやるかなと思っていたのですが、そうでなかったので。よく言われる「好敵手」というのが良い方向に出たと思います。(早稲田のサーブに序盤苦しみましたね)昨日、七里選手と専田選手のサーブが走っていたので警戒していたのですけど、序盤はやられましたがその後は耐えていたので、サーブレシーブ陣がよくやってくれていました。前向きにボールを取りにいっていたので、評価したいです。(両エースはいかがでしたか)岡田はケガの影響もあって、本来の持ち味である高さを生かしたスパイクがなかなか見ることができませんでしたが、やっと力強さが戻ってきたと思います。柳田に関しては前から言っているように、テクニックもあるし気持ちもある。今日も頼りになりましたね。(リーグ戦を振り返って。6勝3敗という結果は)いつも言っているように今リーグは10チームの力が拮抗していたと思うんです。だから紙一重で勝った試合もあれば、負けた試合もある。もうひとつふたつ勝てた試合もあると思うし、逆に落としてしまうかもしれなかった試合もあるので、やっぱり油断はできないなあと思いましたね。(リーグ戦を通じてもっとも伸びた選手は)伸びたというか、期待に応えてくれたのは、やっぱりキャプテンの間宮です。練習の時もずっと声を出してみんなの気持ちを締めたり、強い口調で鼓舞していたりしたので。彼が、最後の最後まで気持ちを切らさなかった、丁寧なバレーをしてくれたということが大きいです。今日はちょっと意気込みすぎていたところがあったのですけど、セットの途中でみんなに「ゴメン、ゴメン」と謝っていましたので、そういう部分でも成長したのではないかなと思います。間宮はよく頑張ったと思います。(初めてのリーグ戦であった野瀬選手は)そりゃあもう期待以上ですよ。気持ちも持っているし。私のほうから何か教えることもないですし、1年生であそこまでできるとは凄いですね。(リーグ戦を通じてわかった課題は)これから一つ一つ、データを検証していきます。泉水コーチと話し合いながら、ポジションの問題とか、柳田選手を前に持ってくるのか、岡田選手をオポジットにもってくるのか。また、もう少し速いバレーをするなら岡田選手が進化してもらわなければいけませんし。岡田選手にはレシーブの課題もあるので。でも、彼はそのことを良くわかっているので、取り組んでくれると思います。(逆に通用すると思った点は)組織の面では通用すると思います。(様々な)大学の中でもアナリスト・マネージャーも含めた試合に対する準備とか、試合中の臨機応変さなどは慶應のスタイルで十分に通用すると思います。組織としてももっともっと成長すると思いますよ。(最後に、次の早慶戦に向けて)今回もこれだけ苦しんだので、力の差はほとんどないです。一本のプレーの影響がどちらにでるかというくらい力は拮抗していると思うので、ホームでやるということも活かして、勝ちたいと思いますね。でも手強いですけどね。頑張ります。
間宮 秀太 主将 レシーブ賞獲得!
(早慶戦だったが、意識したことは)特にないですね。とにかく上に行きたい、最後は4位に入りたいというのを目標にしていたので、今日は絶対落とせなかったですしとりあえずどんな形でもいいから勝つことを意識しました。(勝因は)全体的にこっちの方が上だと思うんですけど、勝って当たり前という印象だったんですけど、向こうも入れ替え戦(へ回る可能性もあった)ということで力を出してきました。こっちも最後の試合でやらなきゃという気持ちからミスが出てしまって、それでこういう形の試合になってしまったと思うので、もうちょっと落ち着いて出来るチームになりたいと思います。(6勝3敗という結果に関しては)もうちょっと勝てたのかなというのはありますけど、こうだったらと過去のこと考えても仕方ないので、大きく取り乱すこともなく(優勝という)目標には届かなかったものの、ある程度は良かった結果なのかなと思います。(収穫・課題は)チームの穴、弱い点が分かって、予想通り打力は通用したんですけど、課題のレシーブっていうところでポロポロとミスが出てしまうことが多くて、そこはもう一回やらないと勝てないというのを感じたことですかね。これから秋やインカレに向けてですね。(主将として最初のシーズンを終えて)プレッシャーはないつもりだったんですけど、いざやってみるとコートの中で自分がやらなきゃっていうのが空回りしてしまって、後輩には申し訳ないと思います。一応最低限のことはできたので、責任は果たせたのかなと思います。
前田 優介 副将
(今日の試合を振り返って)早慶戦ということをあまり意識しないようにしていたが、固くなってしまったところがあり、気持ちが強すぎてうまくいかない場面もあった。その中で切れずに集中できたのはよかった。(個人のプレーに関して)早稲田の中には思い切って打ってくる選手が多い中で、レシーブで活躍できるチャンスは多かったが、自分の中での点数はあまりよくなかったという印象。(リーグ戦を振り返って)今になってではあるが、落としてはいけない試合を落としてしまったから、この結果だと感じていて、この春リーグを活かして、秋リーグには落としてはいけない試合をしっかりと取っていきたい。(早稲田との定期戦に向けた意気込み)絶対に負けたくない相手なので、今回勝ったことで早稲田も力を入れてくると思うから、負けないようにしたい。(夏に向けての課題)(慶大は)レシーブが上がらないと勝てないチームだと思っているので、レシーブ強化をして、しっかり攻撃につなげられるように練習を積んでいきたい。
山本 悠登
(早慶戦が最終戦だったが)早慶戦だからといって今まで以上に頑張ろうとかは特になくて、いつも通りに試合に挑もうと思って、プレーもいつも通りにやろうと思ってやりました。(勝因は)チームとしても自分自身も少しミスが多くて、どうなるかなと思っていたんですけど、絶対勝ちたいという気持ちがそれぞれにあってそれが一つになって、勝てたんじゃないかなと思います。(6勝3敗という結果に関しては)最初はやっぱり優勝目指してやってきたので、3敗してしまったということでうちのチームにはまだ甘さがあるということをまた反省して、早慶戦なり東日本インカレでは修正して次は優勝目指してやっていきたいというのはありますね。(自身のプレーではクイックが光った)前回の秋と比べたらブロックも出せたのかなと思います。どういう攻撃パターンがあって、どこにエースがいてというのを頭に入れてしっかり考えて、指示してプレーするっていうのが出来たんじゃないかなと思います。(自身やチームにも余裕が生まれたか)岡田はケガ明けだったんですけどすごい頑張ってくれて、柳田も決めてくれて、みんなが一回り大きくなってくれたことで自信も生まれたと思いますね。(山本選手自身は)やっぱり高さがないので、高さがない分遅れても対応できないので、もっと考えて脚力を鍛えて、自然とついていけるようにしていきたいなと思います。(今のチームに必要なのは)攻撃陣は柳田、岡田、星谷、間宮と個々の力的には強いと思うので、今日のようなミスをもっと詰めていければ、絶対勝てると思います。
岡田 拓巳
(今日の試合を振り返って)正直最悪というか、個人的には全然。何も得るものもなかったし、周りにも迷惑をかけてしまったので今日は反省すべき点が多かったなと思います。(早稲田の印象は)もう何回もやった相手でお互い手の内は知り尽くしているので、改めて新しく感じることはなかったですけど、やっぱり強いなぁといつも思いますね。(早稲田のサーブに序盤苦しめられていたが)僕らのチーム自体がサーブカットが課題というか、そこが安定してくれないと攻撃力が出せないので、今日も序盤は苦しかったですけど後半はうまくレシーブしてくれてる選手たちが立ち直れたので踏ん張ることは出来たんですけど。頑張って欲しいと思います。僕は(サーブカット)やらないので(笑)(フルセットまでもつれ込んだが勝因は)やっぱり僕たちはスタートが悪かったので先制されてしまったというのはあるんですけど、今年はそこでズルズルいかないで自分たちで立て直して、最後も向こうが先にミスを重ねてくれたので、僕らはそんなに良くはなかったですけど立ち直れたというのが勝因だったのかなと思います。(リーグ戦をチームとして、個人として振り返って)チームはだんだん良くなってきたと思います。個人としてはやっぱり最悪なリーグ戦だったなと思います。ムラはありますし、周りにも迷惑ばかりかけてしまったと思うので。チームとしてだんだんステップをちゃんと上の方に踏めてきたっていうのが形になってきたので、これからまだシーズンは終わってないですし、早慶定期戦も東日本インカレもあるのでまずはそこに向けてもっともっと強くなっていけたらなと思います。(早慶定期戦に向けて)今日はすごい苦しい試合だったので今度はたくさんOBの方々も来てくれると思うので、僕らが相手を圧倒して楽しんでもらえるような試合が出来ればいいなと思います。
星谷 健太朗
(今日の試合を振り返って)途中ドタバタしてしまって、危うく負けるのではないかとみんな思ったと思うが、僕たちは負けるわけにはいかないという気持ちで、勝ちだけを目標に頑張った結果、なんとかではあるが勝ててよかった。(個人のプレーに関して)僕が何かしたというよりは、全部みんなで取った1点だと思う。途中連続でミスしてしまって、その中でいいブロックも出たので、+-むしろ-くらいだと思う。(リーグ戦を振り返って)去年よりは強いチームにはなれたと思うが、東海など今回は波があったチームも秋には練習を積んでもっと強くなってくると思うので、秋は目標である優勝を確実にできるようにこれからもっと練習していこうと思う。(早稲田大学と対戦した印象)早大も入替戦のことや早慶戦ということもあって、向かってきていたので、逆にそれを力で押しつぶしていこうというふうにやっていたが、相手の闘志が強い部分もあって、あたふたしてしまった。
野口 剛志郎
(早慶戦だったが、意識したことは)最後だったので、自分たちのバレーをしっかりやりたいというのがあって、そんなに早稲田だからというのもありませんでした。(最後勝利で終わることができた)途中から全部接戦だったのに、そこで抜け出せきれなかったんですけど、最後自分たちを実力として勝てたのかなと思います。(6勝3敗という結果に関しては)もっと上に行けた、優勝争いできると思ったんですけど、もったいない一点からセット落として負けたっていうのもあったので、そこがチームの弱みというか安定感がないので。今度の早慶戦、東日本インカレ、秋リーグ、最後のインカレまで詰めれば優勝することはで出来ると思います。課題の見えた試合でもあったし、前より伸びたっていうのをしっかり実感できた試合でした。(大会を通して攻撃陣の出来は)センター陣を要所で使えたのが大きかったと思います。去年はエース、エースだったので、クイックをはさみながらもサイドスパイカーの岡田さん、マサ(柳田)もたくさん点を取ってくれていました。攻撃陣を生かすも殺すも自分と思っています。これからももっと伸びしろがあると思うので、これから詰めていきたいです。(昨年から本格的に始めたセッターやトスワークに手ごたえは)他のチームよりセッターの実力が低くて、去年は自分のせいで負けているという印象があったので、ちょっとでも追いつこうと。その点、自分自身も成長できたのかなと思います。
柳田 将洋 会長特別賞獲得!
(今日の試合を振り返って)最終的に勝つことが出来たので良かったんですけど、良いところだけでなく悪いところも見えてきたので次の早慶戦などに向けてしっかり修正していきたいと思います。(個人的には)前からだったんですけど立ち上がりがあまり良くないのです。リーグ戦を通して改善した形があまり見られなかったと思うので、今後の課題としても立ち上がりの良さということを立ててやっていきたいと思っています。(チームが苦しいときに柳田選手にはボールが回ってくるがどのような気持ちでボールを打ちにいくのか)特にそういう深いことは考えていないんですけど、決めたいという気持ちは常にあるので、結果的に止められることもあるかもしれないですが、そういう状況の時には決めたいという気持ちだけを持った、ある意味無心に近い状態でスパイクを打つよう心掛けています。(早稲田大の印象は)相手を調子に乗らせると勢いのあるチームなので、僕らが序盤から相手を勢いづかせないで自分たちのバレーをしようと思ったんですけど、やっぱり最初に相手を勢いづかせてしまった結果、フルセットになってしまったので次回はそういうことの無いように、自分たちのバレーをしっかり出来るようにしたいです。(リーグ戦全体を振り返って)やっぱり良いところも見られたんですけど、反面悪いところも見えてきたので、良いところはまあ良しとして、悪いところに焦点を当てて、また課題を立ててもっと良いチームにしていきたいと思います。
野瀬 将平
(初めての早慶戦だったが)今日で負けると順位がけっこう変動するので、早慶戦ということもありますしラストだったのでいつも以上に気合いを入れてやったつもりです。(勝因は)岡田さん、柳田さん、間宮さんのスパイクがよく決まっていて、そのスパイク決定率が高かったことだと思います。(6勝3敗という結果に関しては)いい試合が出来たら勝てるんですけど、惜しくて落としたセットが悔やまれるのでそこを東日本インカレ、秋リーグには直していけたらチームとしてよくなると思います。(1年生ながらスタメンをいきなり任されたシーズンだったが)他の大学には素晴らしい選手がいて、その人たちのプレーを見て学べるし、実際に試合に出ることでしか得られない収穫だったと思います。やっぱり試合に出れたということでそれが一番大きいです。(課題は)今日の七里さんの、ジャンプサーブへの対応という課題が明確に分かって、2、3本やられるとメンタル的に沈んでしまうのでそこを練習して秋までに直していきたいです。(1年生ながら出場することにプレッシャーは)間宮さんや柳田さんが声をかけてくださって、そこは気楽にやれてよかったです。
コメント