5月の18~20日にかけて埼玉県の戸田ボートコースでJAPAN CUP第34回全日本軽量級選手権大会が開催され、1日目に予選、2日目に敗者復活戦、3日目に準決勝、順位決定戦そして決勝が行われた。慶大ボート部からは、男子シングルで柴田(経3)、女子シングルで西山(政4)、三好(環3)、福岡(理3)が出場し、加えて男子フォア、男子エイトが1クルーずつ出場した。その中で男子エイトが3位に入賞し、同大会で10年ぶりとなるメダル獲得となった。
1日目
一日目には予選が行われ、女子シングルで出場の三好は前半500m地点を3着で通過するも1000m地点ではすでに1着で通過し、そのままの勢いで1着でフィニッシュ。3日目の準決勝へと進出した。残る西山、福岡、柴田はそれぞれ4位、男子フォアは前半から出遅れてしまい6位。男子エイトはNTT東日本と仙台大学に大きく差を離されてしまい3位という結果となった。三好以外のクルーは2日目の敗者復活戦にかけることとなった。
2日目
雲一つない晴天の中、2日目は敗者復活戦が行われ、慶大ボート部からは柴田、西山、福岡、男子フォアそして男子エイトが出場した。
慶大の最初のレースは女子シングルの西山。女子主将としても準決勝に進出したい中、1000m地点を1着で通過するも追い抜かれ終盤におよそ1艇身差をつけられる。だが残り250mほどでスパートを見せ追い上げるも一歩及ばず約1秒差での2着でのフィニッシュ。準決勝に進めず、悔しさをにじませた。続く福岡はスタートで2番目に出るも結果は2位と大きく差を離されての3位となり、準決勝進出ならず。男子シングルで出場の柴田も1位と大きく差を離されての2位でゴールし、シングル勢は準決勝に進むことはできなかった。
続く男子フォアも力漕を見せるが4クルー中3着という結果で敗退となる。こうなると決勝進出に期待がかかるのは男子エイト。4クルー中1位のみが決勝に進出できるという中で同組には予選のタイムが慶大より速い中央大が名を連ねた。レースは序盤、なんとか慶大が1位を守るもほぼ横一線状態に。前日のレースでは「艇速が乗りきらなかった」(荻野主将)と課題にあげた500mから1000mに入ると、慶大は中央大との差を離していく。狙っていたという「最初の800mで取ろうという展開」(荻野主将・政4)に持っていくことに成功すると、そのまま慶大クルーは勢いに乗り2位の中央大におよそ9秒の大差をつけて1着でフィニッシュ。決勝進出を果たした。
3日目
この日の慶大の先発レースは1日目に予選を通過した女子シングルの三好。4レーンに構えた三好は1500m地点まで2着できていたが最後の500mで出られてしまう。2位とおよそ1艇身ほどの差をつけられ4クルー中3位となり、順位決定戦、惜しくも決勝に駒を進めることはできなかった。
前日の敗者復活戦から勝ち上がってきた男子エイトは決勝に出場。同組には予選で敗れたNTT東日本、仙台大が揃う中、レースはスタートした。慶大クルーは2日目のレースの改善点としてあげた「前半のダッシュ」(畠山監督)を試みるが、500m地点では4クルー中4着のタイムと少し出遅れてしまう。その点について「ちょっと足りなかった」と畠山監督は振り返るが、ここから慶大は追い上げを見せる。1000m地点では2位の仙台大とほぼ並び、接戦となる。しかし仙台大も簡単には抜かれない。すると「ちょっとずつ落ちて」(本田・商2)いったと言うように慶大は1500m地点では仙台大におよそ3秒の差をつけられてしまう。そのまま順位は変わらず、慶大は3着でフィニッシュした。NTT東日本、仙台大に予選での雪辱を晴らすことはできなかったが、男子エイトは同大会で10年ぶりとなるメダルを獲得した。
早慶戦から約1か月が経ち迎えた今回の全日本軽量級選手権。軽量級ということもあり早慶戦からクルーは変わったが、男子エイトは引き続き結果を残し、今シーズンはここまでいい流れできている。だが、あくまで「インカレ、全日本(選手権)が目標」(畠山監督)である。それらの大会で「一番上のいいメダル」(本田)をとるべく、慶大端艇部は日々邁進していく。
2日目レース後コメント
畠山監督
(ここまでの結果について)
対校エイトなんだけれども、昨日の予選がひどすぎて、全く本人たちの力が出せなかったけれども少し修正されてきたかなというところですね。
(慶大にとってこの大会の持つ意味というのは)
軽量級なのでだいぶ(クルーが)変わった。でも軽量級の選手が多かったからあれなんだけれども。どこの団体もチームも重量級の重要な選手が抜けてのクルー編成で戦っているわけなので。あと全日本級のレースが今シーズンとしては初めてなのでそういう意味では重要だと思いますね。そして他のチームがフォアに対校をぶつけてきているところが多いんだけれどもうちの場合はエイトだから。
(女子はシングルのみの出場となりましたがその点について)
コンディションがあまりよくなかったので。ちょっと割り振りできなかったかなと。あとは一人一人漕力をつけてもらうということで。インカレ、全日本が目標なのでそのためにと。
(敗復のレースでの作戦というのは)
スタートで出て離して勝つ。
(中央大に出られたが)
500の前半から出始めたと思うんだけれども、スタート、スパートそのものは出られた。第3クォーターの落ち込みがかなり大きくて4秒近く落ちてしまっているんだけれどもそこがまだ課題かなというのと、スタートやスパートで思ったよりもレートが上がらないのでそのあたりの修正をしていかなくちゃいけないというところですね。
(3日目に向けて)
一生懸命にやるだけなんだけれどもまだへたくそなので、伸びる余地はあると思う。これからも練習して、明日の朝まで練習してなんとか臨むという感じですかね。
荻野主将
(今日のレースを振り返って)
予選でのタイムが中大がうちよりも速くて、まあどっちにしても決勝に行きたかったので中大は倒さない限りは行けなかったので。昨日は500から1000mでちょっと艇速が乗りきらなかったというか、勢いが出なかったのでそこを課題として攻めてとにかく出ようと。最初の800mでとにかく取ろうという展開をねらっていました。
(500mまで接戦だった)
そうですね。うちはスタートがへたくそで昨日も出られて。もともとスタートがへたくそだって分かっていたので、とりあえずスタートはとにかく焦らず出られてもいいから、その後のコンスタントで取り戻そうというのはみんなで共通してやっていたのでそういう意味では頭の800を取るというところでは、上手くできたかなというふうには思います。
(早慶戦からクルーが変わったと思うがそれに伴って変わった点は)
主力のメンツが重量級で抜けてしまったんですけどもともと第二エイトの人とかが代わりに入ってきていたので、ちょっと劣る部分はあるかもしれないですけどその分9人で攻め続けるまとまりという点では早慶戦に引き続き変わらずにやってきたので、そこまで自分なりに劣るとは思っていないです。
(慶大にとってこの大会の持つ意味とは)
早慶戦、夏の大会とあって夏の大会まで4,5か月くらいあるんですよ。どうしても早慶戦でみんな情熱をそそいでやってきたので一回中だるみしがちなんですよ、早慶戦が終わると。そういう意味では軽量級という全日本級のタイトルは夏に戦わなくてはいけない相手と戦えるというところでは、目標を持って臨めるので中だるみがしにくい試合、モチベーションを維持しやすいと思います。
(3日目に向けて)
明日はとにかく1番を狙って攻め続けることだけを考えます。
3日目レース後コメント
畠山監督
(今日のレース全体を振り返って)
なかなか全部は見れていないんだけど、対校エイトだけに関してで言うと、相手がNTTだったから前半からぶっ飛ばしていけという話でやっていたんだけど、出来そのものはあまりよくなかったと思いました。本人たちもそう思っているみたいで。
(2日目から変えてきた部分というのは)
昨日今日と改善したところは前半のダッシュをつけたんだけど、ちょっと足りなかったかなと。
(この大会で見えた課題は)
1番は決勝に行くメンタリティーとか、そこで力を出すというところとか。まあ決勝に来たから少しは分かったと思うんだけども、そこで自分たちの力を出してどうかという話なんだけれども、そうじゃないともったいないよね。次はインカレになるんだけれども、実力を出す、去年は決勝には行ったけど4位に終わった。今回はメダルをとったけど3位。決勝でちゃんと自分たちの力を出せるようにどうしたらいいんだろうということをやりたいですね。
(夏に向けて)
このクルーは一回解散してばらしちゃうんだけれども、もう一回基礎的なところを徹底してやると。エイトだけではなく第二エイトというかなんというか予備軍まで含めて基礎レベルを相当上げないとこの壁はなかなか破れないので。細かいところ全部、飯の食い方から含めてやっていかないといけないなと。そこは徹底するだけ。
荻野主将
(軽量級のために何か特別にしてきたことは)特にありません。ボートは単調な動作を繰り返して行く競技で、練習でしっかり固めたことをどう正確に試合で出して行くかが鍵になってくるので。
(今日の作戦は)
昨日のレースでは第3クォーターでタイムが落ちてしまっていたので、そこで落とさずにできるだけタイムを伸ばせるようにしました。
(今後の目標は)
もうそれはずっとインカレ、全日本というところなのでそれに向けて練習していきます。
本田:男子エイトS
(今日のレースを振り返って)
NTTと仙台と実力はこれまでの経験から言って上の相手がいて、競るであろう一橋もいて、僕らは今までの結果から言ってもチャレンジャーだったので最初に突っ込んで、頭をとって耐えるというプランで考えていたんですけど、800mで最初に頭をとりたいんですけどトップスピードがちょっと足らなくて、最初は競っていったんですけど、まあ最初突っ込んでいったのは良かったのですが、途中からやっぱり実力不足というか体力不足というかちょっとずつ落ちていってまとまりきらなかった感じで。(仙台大とは)並んだところは何度もあったんですけど、僕は見えてなかったんですけど。そこでこっちも伸ばしているんですけど、向こうも見えているんで伸ばして振り切られたという感じで。
(昨日のレースから変えてきた点は)
昨日のレースから変えたのは、おととい、昨日とスタートがあまり上手くいってなくて。だから昨日の午後と今日の朝とけっこうスタート練習をして。今朝、スタート練習でけっこういいものが作れたのでそれをしっかりレースで持ちこんで最初に出して行こうという感じで行きました。
(この大会で見えた課題は)
全日本級の決勝の雰囲気ってやっぱり違って、僕は新人戦から全日本級の決勝は2回目だったんですけど、やっぱり雰囲気が違って。決勝の雰囲気で普段から練習して決勝で練習と同じものを出すというのがやっぱり難しいのが分かって、勝負慣れしてないというか、そういうところですね。
(夏にあるインカレ、全日本に向けて)
今まで全日本級の大会で慶應は4位止まりでメダルに届かないと、それで今回久々にメダルをとることができたので着実に戦えるようにはなってきていると思うので、夏は1番上のいいメダルを目指して頑張りたいと思います。
佐藤:男子エイトC
(今日を振り返って)
予選で負けた2艇と対戦することになって、とにかくその雪辱を晴らすべく試合に臨みました。予選では自分たちのレースができなかったので、昨日の敗者復活と合間の練習で修正テーマを見つけてやってきました。ただ自分たちのレースをこの風のある環境で出し切れないまま一歩二歩及ばず、悔しい結果となりました。
(修正テーマとは)
風の中、波の中での対応というのがこのクルーで苦労していたところです。そこを丁寧に短い時間ですけど、集中して復習してきました。
(今日の作戦は)
スタートのスパートが速いクルーではないので、そこで出遅れてしまうのはある程度織り込み済みで、そうした状況で第2クォーター、第3クォーターで落とさずにどれだけ勝負ポイントを作れるか、1艇ずつ食って倒して行こうとしたのが今日のレースでした。
(今後の課題は)
そうですね、このクルーで感じたのはトップスピードがまだまだ足りないということでした。社会人のNTT東日本や大学トップクラスの仙台大学を相手にすると、パワー、スピード、強化しなければいけないと思いました。
(夏の意気込みを)
今日負けたことを糧に夏はあの2艇(NTT東日本と仙台大学)にも日本大学にも勝たないといけないので、それに向けて日々全力で臨んでいきます。
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