夢の対談がここに実現――。今回は早慶両校の指導者である慶大・佐々木三男ヘッドコーチと早大・倉石平総監督のお二人にお話を伺った。早慶両校のチーム状況や早慶戦の裏話はもちろんのこと、話題はお二人の指導理念にまで及んだ。数々の輝かしい実績を残し、既に指導者として確固たる地位を確立されているお二方の対談は必見です。
※この対談は早慶戦のプログラムに掲載されていたもののノーカット版です。
――まずお二人の関係について教えて頂けますか
倉石総監督 そう言われるとすごく難しいですね。自分が大学の世界に戻ってきたのが8年前ぐらいなので、それ以来ずっとです。確か佐々木先生はその少し前から慶應で始められていたと思います。僕はJBLでおよそ20年弱やっていたのですが、佐々木先生はずっと女子を教えられていましたから、大学に来る前のカテゴリーが違いますね。
――指導者としてのお互いの印象は
倉石総監督 佐々木先生は女子のすごくキメの細かいバスケットをやられていたので、戦術・戦略に関してもすごく細かい所まで指導されているという印象はありますね。現実そういうバスケットを展開されていますし。昔の慶應のバスケットというと少し大雑把な印象があったんですけど、今はそんなことはないですよね。すごくこだわりを持ってやられているという印象があります。
佐々木HC 倉石さんはずっとJBLで指導なさっていたので、選手に対して、メンタルにおいてもフィジカルにおいても強さを求められているという印象があります。あとは、選手の操縦術にすごく長けていて、ここの所うちは早稲田にやられていますけど、その2つでやられていますね。心と身体を強くすること、それから選手の育成において、シューター、インサイドなど、それぞれのポジションで強い選手を育てるのが上手だなという印象です。
――早大にやられている、という意味では昨年の早慶戦も早大の完勝でした
倉石総監督 去年はうちにとっては何年間か計画していた中の頂点だったわけで、逆に慶應からしたら強い選手が何人も抜けて結構辛かった年だったわけで、それがたまたま合致してしまったのがああいう結果に繋がったのかなと思います。あそこまでの実力の差はなかったんですけど、びっくりした分の点数の差が出たのかなと思います。
――早大にとって、昨年のチームは理想的な形のチームだったのでしょうか
倉石総監督 あれだけ連戦連勝で来ていたので、そこまで大きなポカはしないだろうという感覚はあったのですが、内心は不安を抱いていたというのが現実でした。
――昨年、早大はトーナメントで8位という結果だったのですが、早慶戦ではトーナメントの時とは違うチームに仕上げてきたという印象があります
倉石総監督 いやそれは見た目だけですよ。そんなに中身が大きく変われる訳ではないですし、どれだけ選手のコンディションやモチベーションをコントロール出来るかというだけの話です。そういう意味でいうとトーナメントで最終日まで試合が出来て、コンディションが整ったというのは大きかったですね。かたや慶應は途中で負けてしまって、空白の時間が長かったのは苦しかったのかなと思います。たった3日間と言うかもしれないですけど、その3試合が出来るか出来ないかというのはその後の短い調整期間の中ではすごく重要になってきます。しかもその3試合もタイトな戦いになった訳で、その差がすごく大きかったかなと思います。
――佐々木HCは昨年の早慶戦を振り返っていかがでしょうか
佐々木HC 昨年は歴史にない程の大敗だったので、私としてはすごく責任を感じています。倉石さんが言われたように、昨年はレギュラーが抜けてしまって苦しいシーズンではあったんですが、それまでのチーム作りというのが上手な子に頼っていたということがあったので、その反動がああいう差になって表れたと思います。今までだと悪い状況になっても、プレーを変えさせたりすると、少しはリズムを戻すことが出来たんですが、去年は全くそれが出来ませんでした。私としてはすごく早いタイミングでタイムアウトを取って、手当てをしたつもりだったんですけど、それが歯止めにならなかったということで、ある意味完敗だったかなと思います。
――ありがとうございます。それでは今までの早慶戦を振り返って頂きたいのですが、お二人の中で思い出に残っている早慶戦はありますか
倉石総監督 自分はいいことしか覚えていません(笑)。その中ではっきりしたいい思い出といえば、3年前にインカレで優勝しているようなチームに勝った試合ですかね。確かあの年は慶應がインカレで準優勝した年で、選手もいいメンバーがいた訳で、僕らとしたらすごく厳しい状況だったんだけど、トーナメントで負けたのと相まって、選手には徹底してディフェンシブにするように言った訳で、元々慶應は80点、90点取るようなチームでしたけど、それを相当ゆっくりなペースにして、60点台のゲームに下げたら、結構リズムを崩してくれたので、自分としてはしてやったりという感じでした。ただ1回しか通用しませんでしたけどね。2回目になったら大敗でしたから。10回やったら1回しか勝てないような所を早慶戦の時はたまたま勝つことが出来たという感じです。
佐々木HC 私はキャプテンが加藤(加藤将裕・経卒)の時です。公輔(竹内公輔・総卒・現トヨタアルバルク)と泰滋(酒井泰滋・環卒・現日立サンロッカーズ)が抜けた年かな。あの時はあんまりチームがいい感じではなかったんですが、少し練習で徹底をして、色んな作戦をやったのがたまたまキャプテンの調子が良かったこともあって、勝つことが出来たので、そのことは印象に残っています。あともう1つは確か会堂でやった試合で、私にとって初めての早慶戦だった年です。まだ倉石さんはいなかったと思うんですが、それは印象に残っていますね。
――早慶戦は長い歴史を誇る大会ですが、お二人から見て昔の早慶戦と今の早慶戦で、変化したと感じることはありますか
倉石総監督 早慶が互いに一部リーグでトップを争うようなレベルでの早慶戦というのがここ数年ずっと続いていますけど、それ以前のことを考えると、早慶共に二部だったりもしたので、全然違う雰囲気なのではないかと思いますね。ここ10年ぐらいは大学バスケット界においてはかなり注目される大会になっていると思いますけど、それ以前は一般の人にとってみればある意味「勝手にやってればいいよ」というぐらいの感じだったと思うんですよ。でも、それに比べると今は相当レベルが高いと思います。それともう1つは、日本の中核を成している早慶という大学なので、新しい戦術・戦略だったりとか、そういうものが出てくる訳なので、そういう意味でも注目を集める大会なのではないかと思います。
佐々木HC 私も同じ印象です。13年ぐらい女子をやっていたんですが、私がやり始めた頃は、ある意味女子は男子の前座みたいな形でしたし、お客さんもあまり入っていなかったので、その頃から考えると、今は会場が満員になるぐらいにお客さんが来て下さるというのは技術的にもレベルが上がって来たのを、ファンの方がしっかりと見て頂けている証拠かなという風には思っています。それとあともう1つは、早稲田大学が早慶戦全種目制覇ということを掲げているので、せめてバスケだけはそれを崩したいと思っています。それは選手もそうですし、指導者もそういう意気込みがあるので、そういう意味で言うと、観に来て下さる人達は昔とは違う意味の興味を持って来て下さっているのかなと思っていますけどね。
――選手達は早慶戦というといつも以上に気合いが入っている印象がありますが、指導者であるお二人にとって、早慶戦というのはどのような位置付けなのでしょうか
倉石総監督 春では1番のビックイベントですね。トーナメントは優勝するに越したことはないですけど、秋に向けた前座のような意味合いもあるので、そこまで重きを置く訳でもないですし、秋に備えるという格好なんですが、早慶戦だけはそういう訳にはいきません。どんな手を使っても勝ちたいというのがあるので、春の中では1番大事な試合ですね。早慶戦の後に新人戦があったりすると、いつも1回戦負けなんですよね(笑)。新人戦を軽視したい訳ではないんだけど、軽視せざるを得ないです。それぐらい大事な大会ですね。
佐々木HC 僕がやり始めてからは、春はトーナメントと早慶戦という2つのピークを作ってやっています。トーナメントで上手くいかなくても、早慶戦というどこの大学でも真似が出来ない様な大事な試合が残っているということで指導者としてはすごくやりやすいです。学生はすごく意気込んでやっていますよ。私からすると、もう少しリラックスして欲しいぐらいなんだけど、でもそれは誰もが経験出来ることではないので、ほとんど放っていますけどね。むしろもっとテンションを上げていけというようなことを言ったりもします。それぐらい大事な大会ですよ。
――そういう意味では選手達は緊張してなかなかシュートが入らないということも見受けられます。早慶戦にはそれだけ独特の雰囲気がありますね
佐々木HC 僕に言わせれば、インカレの決勝と比べても早慶戦の方がお客さんも多い訳で、ああいう大舞台を経験しているんだから、「インカレで緊張して力を発揮出来ないなんていうことはありえない」ということをたまに言うこともありますよ。それだけ選手達にとっては大きな経験が出来る訳だから、過緊張するぐらいやって、尚且つ早稲田に勝つことが出来れば、相当な自信になるのではないかと思ってますけどね。だから、どんどんテンションを上げさせますよ。インカレで優勝しても早慶戦で負けてしまっては、「早慶戦負けた代だよね」とずっと言われ続ける訳なので。
「世界でも通用する個を育てていく」(倉石総監督)
「本当に教育の一環を担った課外活動になっているのかという疑問を常に投げかけたい」(佐々木HC)
――ありがとうございます。それでは少し話は変わりますが、お二人が指導にあたる上で大切だと感じていることはなんですか
倉石総監督 いま自分は日本バスケットボール協会の指導者育成委員長ですし、佐々木先生はエンデバーという選手育成の委員長なので、はっきり言ったら日本の国をどうするのかという話をしている訳で、それとほとんど変わらないと思います。というのは、今は大学の4年間ということしか考えていないけれど、厳密に言えばその前のリクルートもあるし、高校の育成という意味では指導者を育てたりだとか選手を育てたりというのもあるし、もっと掘り下げればミニバスから始まっている訳です。なので、大学はそのうちの4年間という風にしか考えていません。もっと言えば、日本が早くオリンピックや世界選手権に出れるようにということを考えていますよ。そのためには選手個々の能力を上げなければならない。だから何が大切かと言われれば、世界でも通用する個を育てていくことしかないのかなと思っています。まず世界と比べたらサイズで負けているし、人材発掘という意味では他の競技とも争わなければならないんだけど、今はどちらかと言ったら劣っているよね。我々がJBLでやっていた20年ぐらい前のメンバーを見ると、今より20年前の方が大きいですよ。僕が持っていた熊谷組なんて、3番、4番、5番が全員2mを超えていましたから。それを考えると今は人材不足と言われても仕方ない状況です。それは僕達が悪いのかもしれないし、他の競技に持っていかれているのかもしれない。日本人全体で見れば平均身長は大きくなっている訳で、必ずどこかにはいるはずですよね。だからそういう選手をバスケットに向けられない、もっと言えばバスケット自体が人気がないのかもしれない。その辺りを掘り下げて多角面から総合して見ていって、いい選手を見つける、育てる、そしてオリンピックに出る、というものすごく長いスパンのことを考えていますけどね。自分が死ぬまでには終わらないと思うけど、次の世代のためにも今頑張っておかないと、という風に思っていますけどね。
佐々木HC 僕は女子をやっている時からそうなんですが、選手達には泥臭くやって欲しいということを言っています。泥臭くやるということは、自分を理解して、さらに相手を理解してやるということなので、まさに知性なんですよ。そこが欠けて、運動能力だけに頼ったバスケットをやるようになると、運動能力が高い人、あるいはバスケットの経験が豊かな人にはなかなか勝てない。だからこそ、背が小さかったら小さいなりの特徴を生かしてチームプレーに結びつける。それが泥臭くやるということなんです。そして、それはさっき倉石さんがおっしゃった通り、日本が目指さなければならない育成のキーワードの1つだと思うんですよね。自分の特徴を活かすという考え方や実践が出来る人を育てるということを指導の念頭に置いてやっているつもりです。
――育成というのはミニバスから始まり、大学、プロにまで及ぶ訳ですが、その中で大学での4年間というのはどのようなものであるべきという風に考えていますか
倉石総監督 やっぱりアマチュアという面が大きく出てくるんですが、ただその中でも何人かはJBLであったり、日の丸をつけて試合に出る選手もいる訳です。でもそれ以外は大学4年間で終わっちゃう、バスケットは大学で引退という人がほとんどです。もっと言うと他の大学だと部員になれないような選手もいるというのが早慶というチームだと思うんです。だから、選手の実力に幅がある中で1つのものを追うという独特の雰囲気を持っているのが早慶だと思うんです。だからそれをまとめるということの難しさはありますね。限界を超えてまでやっている選手もいれば、一方ではあぐらをかいてしまう人もいる。それを上手くコントロールしながら、選手の力を最大限に発揮させるようにしないといけないというのは難しいですね。
佐々木HC 大学スポーツをリードするということを、学生達にも求めるし、私自身もそういう意識でいます。倉石さんもおっしゃったように、選手の実力の幅がものすごくありますよ。でもその中でも何か役に立てる事はあるはずです。他のチームではコートに立てないような実力の選手もいるんだけど、そういう選手達とも一緒にやっていくという在り方を世の中に示していく。そうではない大学に、本当に教育の一環を担った課外活動になっているのかという疑問を常に投げかけたいと思っています。でもそれはいい成績を残さないと、いくら「頑張ります」と言っても意味がないので、そういう意味で言うと、学生には大きな負荷を掛けていると思いますよ。日本の部活の在り方まで問うこともあるので。そういう意味で言うと、大学バスケの課外活動の中では少し特殊な部分があると思います。ここでの4年間を経て、ひいては社会人として通用する人材になって欲しいということを考えながら、大学スポーツというのはあるべきだと思っています。
――倉石総監督からは選手個々の能力を上げるというお話がありましたが、そういった選手の育成もあり、一方ではチームも作らなければならないということで難しさがあると思うのですが
倉石総監督 試合をやる以上は勝つことを優先させなければいけないけれど、それで選手が犠牲になってダメになるということは避けたいと思っています。チームにとって仕方ない負けがあったとしても、その選手が将来「ありがとうございました」と言えるぐらい、もしくは日本の中で強いリーダーシップを発揮出来るような選手になってくれればいいかなと思っていますけどね。それを選手に言ったら「ふざけるな」と怒られちゃうかもしれないですけど、逆に言うとそういう風にしていかないといけない4年間なのかなと思います。
佐々木HC 今年卒業していった選手達には言ったんですが、場面が変われば人の評価も変わる。だからこの4年間で、何で俺を使ってくれないんだと思っている学生はたくさんいると思いますよ。でも卒業して社会に出たりすると、それが違った意味で評価されて、この4年間が良かったと思える日がきっと来るだろうと思っているんです。「お前なんか使えない」と言うことはありますよ。だってそこまで背が大きくない、身体能力が高い訳でもない、そういう選手はいくらでもいますから。だったら違うことを磨かないとダメでしょう。今年の卒業生で、一回も試合では使わなかった子から「この4月に新しい会社に入る時に、新入社員代表でスピーチをすることになりました」というメールが来たんです。バスケットでは使えないと言っていた子が、違う形できちんと評価されているということで、それは大変良かったねと言ったんです。ある意味、ここでの4年間が無駄ではなかったということだと思うので、そういう子がたくさん出て来て欲しいと思ってますよ。
――ありがとうございます。それでは話を早慶戦に戻します。今の両校のチーム状況を教えて頂けますか
倉石総監督 今年はトーナメントが早いんですよね。だから、さっき佐々木先生がおっしゃったピークのことで言えば、限界があって2月からしか練習を出来ていないので、そう考えると今は手探り状況なんです。3月に六大学があって、いま電鉄杯をやっているので、ある程度の戦力的な問題は解決出来るとは思うけど、じゃあそれを1週間後のトーナメントにすぐ反映出来るかと言うとすごく難しいですよ。それから3週間が空いて早慶戦なので、その間を上手くコントロールするというのも難しいですね。そういう意味では今までの早慶戦で1番難しいかもしれないです。トーナメントがたった2週間ずれているというだけで、大きな違いがありますよ。この試合自体があと3週間ずれていたら、もう少し真剣にやれることがありますよ。でも今はあまり手の内を出したくないというのもあるので、そう考えると、この電鉄杯自体がほとんど無意味に近いものになっている感じはありますね。早慶戦に向けての戦術なんて想像も付いていないですよ。
佐々木HC 今までの早慶戦を見ても、弱い方が頑張るということがあったように僕は思っているんです。ところが去年、あれだけの大敗をしてしまったので、今年はそれこそ是が非でも勝ちたいと思っているんです。ただ、去年からの悪い流れを断ち切れていないということの中に、怪我人が出てしまうということがあります。それも試合に出なければいけない人から怪我をしている。今年はさっきも言ったように1点でも多く点を取って勝ちたいということでスタートしたのですが、今の所は大ピンチですよね。状況は非常に苦しいです。
――目指すスタイルは見えてきていますか
倉石総監督 うちはサイズがないので、やれることは1つしかないですよ。平面で勝負するしかない。おそらく1部・2部でも1番小さいので、立体で勝負されたら圧倒的に負けてしまいます。なので、高さを使われないようにということでやっています。
佐々木HC 慶應としては、今190cm以上の選手が5人いるのですが、それは私の知っている中ではなかなかないことです。2mはいたけれど190cm台はいなかったりしたので。でもそのうち今元気なのは2人しかいなくて、しかも他のポジションを見ても、試合に出ないといけない人が4人怪我しています。それが早慶戦までに間に合うかというと、あまり期待出来ない状況です。もしその子達がいたらという戦術は2月から青写真は作っていたのですが、それが壊れてしまいました。
――今年の早慶戦でキーマンとなる選手を教えて下さい
倉石総監督 うちは看板が河上なので河上の得点力と、あとは大塚がどれくらいゲームをコントロール出来るかということですよね。それはどのチームも知っていることだけど、それ以外にないので確実にキーマンですよ。
佐々木HC うちはガードの伊藤がだいぶ落ち着いてきたので、それはあまり狂わないだろうと思っています。それとあともう1つは矢嶋の得点力に春からずっと期待をしていて、そういうチーム作りをしてきたんですが、ああいう怪我になってしまったので、ある意味御破算になってしまいました。だからキーマンというか、これから矢嶋の穴を埋めて欲しいと思うのは1年生ですかね。大元やまだそんなに使っていない福元に期待するしかないですね。
――お互いのチームについての印象は
倉石総監督 さっき佐々木先生がおっしゃったように、慶應は全員がレディの状況ではない訳で、1回六大学の時に試合をやったけど、その時は慶應さんが何人かいなくて、うちは全員いた。それでは試合にならないんですよね。だから、1人1人の個々については分かっているけど、全員が揃った時にどういう雰囲気になるのかというのは、やってみないとわからないです。
佐々木HC ここの所、倉石さんがやり始めてからはディフェンスが強くなってきているので、そこは我々にとっては打ち破らないといけない部分なので、これからの練習で早稲田のディフェンスをいかに掻い潜るかということをやらないといけないかなと思っています。
――1年生はスタメンで起用する可能性もありますか
佐々木HC 矢嶋がいなくなってしまったので、使わざるを得ないと思います。ただ、今怪我しているキャプテンの桂が早慶戦までに戻ってくれば、少しは穴を埋めてもらえるのではないかと思っています。
――早大にも1年生が入ってきて、何人かは試合にも絡んできていますが
倉石総監督 今まで新人が即戦力に加わってきたことってそんなにないので、それを考えたら今年の2人は計算出来る2人ですね。その辺はうちにとってはすごくプラスかなと思っています。
――ありがとうございます。それでは最後に、早慶戦を楽しみにしているファンの方にメッセージをお願いします
倉石総監督 必ずや観ている人に感動を与えられるはずなので、お見逃しなく。
佐々木HC 去年みたいな大敗は御免なので、熱烈な応援をして頂けたらと思っています。選手がいなくなってしまっているので、もう応援して頂くしかないですね(笑)。
◆佐々木 三男(ささき・みつお)
1948年福岡県生まれ。現慶大ヘッドコーチ。日本体育大学を卒業後、慶大女子部コーチを13年間務める。1992年から、母校である日体大の女子部を率いると、関東女子1部リーグを8連覇、インカレでも1度の優勝と7度の準優勝を果たすなど、日体大女子部の黄金期を築いた。その後、慶大ヘッドコーチに就任すると、それまで低迷していた慶大を2度のインカレ優勝(2004年、2008年)に導いた。竹内公輔(総卒・現トヨタアルバルク)、岩下達郎(総卒)ら、世代を代表するビッグマンを輩出するなど、ビッグマンの育成には定評がある。そのことが評価され、今年5月にはジュニア世代の長身者育成期間であるジュニアエリートアカデミーのプロジェクト長に就任した。
◆倉石 平(くらいし・おさむ)
1956年新潟県生まれ。現早大総監督。選手としては、早稲田実業高で国体優勝を成し遂げる。早大卒業後は熊谷組に入社、日本代表にも選出された。現役を退いたのち、1989年から熊谷組のヘッドコーチに就任し、チームを2度の日本リーグ制覇へと導いた。その後、日立サンロッカーズのヘッドコーチを経て、2002年から早大アシスタントコーチを務める。2010年には総監督に就任し、早大を関東リーグ1部昇格へと導いた。現在は早大総監督との兼任で、日本バスケットボール協会の指導者育成委員会委員長を務めている。
※この対談は4月28日に行なったものです。また、この対談は第70回早慶戦のプログラムにも掲載されているため、当HPでは早慶戦後の公開となりました。
(取材・岡田洋介、取材協力及び写真提供・早稲田スポーツ新聞会)
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