【ラグビー】社会人相手に敗戦も、差した光明

 盛岡南球技場で行われた第45回IBC杯ラグビー招待試合。慶大と釜石シーウェイブスの対戦は2002年以来8年振り。春のオープン戦折り返しとなるこの試合、これまでの成果を見せつけたいところであったが、試合結果は7-31と塾が大差をつけられての敗北。社会人チーム相手に力の差を見せつけられてしまった。ただ慶大も善戦した場面もあり、敗戦の中課題だけでなく一定の成長も感じ取れる実のある試合となった。

ハンドオフでかわす三木

5月16日 招待試合 対釜石シーウェイブス@盛岡南球技場

得点
慶大 チーム  釜石SW
前半 後半 VS 前半 後半
0 1 T 3 2
0 1 G 2 1
0 0 PG 0 0
0 0 DG 0 0
0 7 小計 19 12
7 合計 31
【得点】慶大のみ

T=柴田

G=仲宗根

慶大選手
ポジション 名前(学部学年) 交代選手
1.PR 古田 哲也(環3) →16.小田 基貴(商2)
2.HO 渡辺 祐吉(経2)  
3.PR 髙橋 浩平(経3) →17.平野 裕馬(環2)
4.LO 佐藤 大朗(総2)  
5.LO 三輪谷 悟士(総3) →18.伊藤 悠(商3)
6.FL 柴田 翼(環4)  
7.FL 阿井 宏太郎(環4)  
8.NO8 立石 真也(総4) →19.明本 大樹(総3)→立石 真也→明本 大樹
9.SH 古岡 承勲(経4) →20.小斉平 聖人(商4)
10.SO 和田 拓(政4) →22.児玉 健太郎(環1)
11.WTB 三木 貴史(経4)  
12.CTB 仲宗根 健太(総3)  
13.CTB 落合 陽輔(経4) →21.甲斐 鑑(理2)
14.WTB 原田 大輔(総4)  
15.FB 小川 優輔(環3) →落合 陽輔
 

チャージを狙う古田(左)、三輪谷(右)

 試合開始早々、慶大は激しい猛攻を受け、自陣奥深くまでボールを展開される。相手の激しいタックルやボールチャージでさらに押され気味の展開に。そして前半5分慶大のオフサイドでPKを与え、ラインアウト、モールと繋がれそのままトライを許し、先制点を献上してしまう。しかしここですぐに崩れない慶大。「敵陣でプレーして自分たちの強みを出そう」(柴田)と怪我から復帰のFL阿井(環4)を中心とするFwd陣の鋭いタックルとSO和田(政4)の風にも乗った距離のあるキックで徐々に陣地を回復していく。そこで相手のペナルティから得た敵陣深くでの幾度とないマイボールスクラム・ラインアウトのチャンス。しかし相手の激しいディフェンスに決定機を活かしきれずむかえた前半32分。慶大のペナルティをきっかけにモールで押され1トライ目と同様の展開で追加点を許してしまう。さらに37分にも相手の素早いパス回しからトライを許し前半を0-19で折り返す

素早いリスタートを行う渡辺

 後半に入っても止まらない相手の攻撃。8分、17分に立て続けにトライを許してしまう。悪い流れは続き和田が負傷退場。前戦同様FB小川(環3)が慣れないSOに入る。しかし悪い流れを変えたのも小川だった。後半30分、小川のロングゲインをきっかけに攻勢に転じる。相手のノットロールアウェイからHO渡辺(経2)のクイックリスタート、FL柴田(環4)と繋ぎそのまま相手をかわしてトライ。「全員で取ったトライ」で反撃の狼煙を上げる。直後にCTB仲宗根(総3)の縦の突破を起点にラックからボールを持ち出した途中出場のSH小斉平(商4)が右隅にキックパス。ここは惜しくも繋がらないが相手DFを脅かす。試合終了直前にはトライゾーン前まで攻めこまれるも、ボールを得た慶大はキックではなく敢えて危険を犯してインゴール内でのプレーを選択。最後まで攻めの姿勢を持ち続けた。

タックルをかわす原田

 「春は全てが経験になる」(林監督)。春シーズンで重要なのは結果を求めることよりもどういう試合をするかということ。試合内容はここ最近と比べよくなっている。負けはしたが「体格が大きくて接点で負け、また大学ではあまり見られないプレーをしてきた」(柴田)相手からトライを取ったということも事実。この経験が秋のシーズンに必ず活きてくるに違いない。

By Kazuhiro Takai

 

監督・選手のコメント

林監督
相手の年齢が高いのでうちの若さを活かしてプレーしようとしましたが、あまりうまくいかなかったですね。(社会人チームとの対戦だったが)今年は2試合強いコンタクトのチームと対戦してチャレンジしようということでプレーしたんですが、出ているメンバーに向こうと力の差がありました。(怪我人)怪我人が多くて仕方がないのですがこのような状況が春に起きないとも限らないので底上げを今のうちにしていかなければならないと感じています。(この試合は上30人の強化になったか)そうですね。春は全てが経験になりますのでこれを次のプラスに繋げていこうと思います。(4試合で1つの区切りとなったが)なかなかチームを上げていったつもりですが今の出来るところ・出来ないところがはっきりしてきました。最後早稲田・帝京・サントリーBと強いチームが続きますがタフな相手に4試合でわかったことを繋げていく形になります。(残りのオープン戦の戦い方は)セットプレーを安定させて、ブレイクダウンはいいボール出しが出来るようにしてしっかりゲームをコントロールする。ディフェンスに関しても今まで通りやっていきます。

和田ゲームキャプテン

この日ゲームキャプテンを務めた和田

(試合を振り返って)僕がゲームをコントロールできなかったので、それが今日の敗因だと思います。(復帰戦でしたが)復帰戦というよりも目の前の試合を全力で取り組もうと思ったんですけど、スキルの部分の足りなさを実感しました。(格上相手だったが、ゲームコントロールで意識したことは)陣地を取りにいこうという考え方だったんですけど、うまく取れなくてやりたいことができませんでした。(収穫は)今のところわからないですけど、タックルはどんな相手でも低く刺されば倒れるので、それはわかったのでそれをいかに正確に、機能的にできるかだと思います。(今後のチームの課題は)しっかりとした準備をして試合に臨むことと、しっかり陣地をとること。あとはやはり気持ちの問題だと思います。僕も含めてまだまだ足りないのでチームで少しずつでいいので成長していければいいと思います。(関西学院大戦に向けて)今日は個人的にもチーム的にも反省しか出てこないと思うので、1個1個見つめ直して日吉で練習をして関西学院が相手だからではなく、自分たちのラグビーをしていきたいと思います

柴田

待望のトライを挙げた柴田

(試合を振り返って)めったに対戦することのできない相手だったので、失うものはなにもないと思って挑んだが、相手が体格がでかくて接点で負けたり、また大学ではあまり見られないプレーをしてきたこともあってやられてしまったという感じ。(大きな相手との試合だったが意識したことは)相手がでかいから走らないということで、敵陣でプレーして自分たちの強みを出そうと思ったが、相手のキックがよくて自陣に張り付けられてしまったのでうまく攻められなかったと思う。(ブレイクダウンについて)(相手の)ブレイクダウンは思ったより強くないと思ったが、こっちが何人かまとまって行かないで、一人一人がバラバラに行ってしまったので、そこでうまく対応できなかった。(苦しい展開の中で1トライ決めたが)ただゴールラインを超えたときに僕が持っていただけで、全員でつないで取ったトライだったので、1トライ取れたことはチームとしてもよかった。(次戦に向けて)今日の試合でいろいろ修正点が見つかったと思うので、もし出る機会があればうまく修正して自分の強みを出していきたい。

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