立っているだけでも汗が出てくるような暑さの中、関東大学サッカー1部リーグ第10節が行われ、慶大は昨季のリーグ戦、インカレで優勝した専大と対戦した。また、今節は慶大の集中応援日として、大きな声援が味の素フィールド西が丘に飛び交った。しかし試合は今季最多の6失点を喫するなど、専大との実力差を見せつけられる結果となった。
2012/6/17(日)13:50KO @味の素フィールド西が丘 | |
慶應義塾大学1(0-2)6専修大学 | |
【得点者(アシスト者)】得点者 40分 専大 下田北斗(仲川輝人)、 41分 専大 牧内慶太(仲川輝人)、53分 慶大 武藤嘉紀、60分 専大 下田北斗(長澤和輝)、66分専大 長澤和輝(下田北斗)、75分 専大 大西佑亮(長澤和輝)、76分 専大 北爪健吾(東大樹) | |
◆慶大スターティングメンバー | |
GK | 峯達也(政2・桐光学園高) |
DF | 甲斐公博(環4・横浜Fマリノスユース) |
DF | 保田隆介(法2・横浜F・マリノスユース) |
DF | 長尾賢太郎(総2・ヴィッセル神戸U-18) |
MF | 岩田修平(総3・名古屋グランパスU-18)→61分小林剛(環2・鎌倉高校) |
MF | 赤木努(経4・大宮アルディージャユース)→70分山田融(総1・横浜F・マリノスユース) |
MF | 増田湧介(環2・清水東高) |
MF | 山浦公裕(商4・FC東京U-18)→81分鳥山翔平(環3・桐蔭学園高) |
FW | 森田達見(経4・川崎フロンターレU-18) |
FW | 磨見朋樹(文2・横浜FCユース) |
FW | 武藤嘉紀(経2・FC東京U-18) |
試合は序盤から専大が支配する。前半3分、7分と立て続けに慶大の右サイドの裏のスペースを専大に突かれ、あわや失点かという場面を作られてしまう。慶大はセカンドボールを拾うことができず、専大に2次、3次と分厚い攻めを許してしまった。なかなか攻撃の糸口が見当たらない慶大だったが2列目の磨見朋樹(文2・横浜FCユース)、森田達見(経4・川崎フロンターレU-18)が引いてボールを受けるようになると、徐々に流れは慶大へと移っていく。すると20分保田隆介(法2・横浜Fマリノスユース)からのくさびのパスから森田が抜け出しシュートを放つが、相手キーパーのファインセーブにより得点を奪うことができない。しかしその後、30℃近い暑さのため慶大の選手の足が止まり始めると流れは再び専大へ。すると、センターバックの両サイドのスペースを執拗に狙っていた専大の攻撃が実を結ぶ。40分、左サイドの裏へ抜け出した下田に冷静に決められ先制点を許す。さらに、直後の41分には、スローインの流れの中から相手選手が右サイドでフリーでボールを受け、グラウンダーのクロスを上げる。これを牧内に押し込まれ2点のビハインド。わずか2分間で2点を奪われる苦しい展開となった。その後も専大にペースを握られたまま前半を折り返す。
しかし、後半開始直後は慶大攻撃陣が息を吹き返す。後半5分、武藤嘉紀(経2・FC東京U-18)とのコンビネーションで右サイドを崩した岩田修平(総3・名古屋グランパスU-18)からのクロスを、森田がシュートを放つもキーパーに防がれてしまう。さらに慶大は7分、武藤がペナルティエリア内で山浦公裕(商4・FC東京U-18)とのワンツーから突破を試みると、たまらず相手ディフェンダーが武藤を倒し、PKを獲得する。自ら得たPKを武藤が落ち着いて決め、慶大は1点を返す。勢いに乗る慶大は直後の9分、長尾賢太郎(総2・ヴィッセル神戸U-18)のスルーパスから森田が抜け出し、シュートを放つもキーパーのセーブにより同点には至らない。しかし、その後も多くのチャンスを作り出し、同点に追いつくのも時間の問題と思われたが、次の得点を奪ったのは専大だった。15分、中央でのパス交換からフリーとなった下田に豪快なミドルシュートを決められ再び2点差に。後半に入ってから、試合の流れは完全に慶大に移っていただけに、この1点は慶大イレブンに大きなダメージを与えた。この失点で、完全に集中力を欠いてしまった慶大は、防戦一方となってしまう。21分、30分、31分、いずれも3バックのウィークポイントであるサイド攻撃からゴールを奪われる。終わってみれば今季最多の6失点。王者専大の圧倒的な力に為す術なく敗れた。
「実力通りの点差だった」(須田監督)というように、昨季のチャンピオン専大の実力は本物であった。しかし、先制点を許すまでは専大相手にも引けを取らない試合をみせていた。選手たちは、1プレーで試合の流れが大きく変わるということを痛感したに違いない。次節の筑波大も専大と同様強敵だが、同じ過ちを繰り返さないためにも、この結果をしっかりと受け止めて、1週間準備をすることがカギとなるだろう。
(記事:青山直樹)
試合後コメント
須田芳正監督
(今日の試合を振り返って)実力通りの点差だったと思います。(3バックにした理由は)選手がいないということで、3バックのほうが彼らの持ち味が出せるのかなという形で挑戦してみました。(藤田選手や松岡選手が欠場していたが)怪我なのでしょうがないですね。(復帰まで長くかかりそうか)松岡の場合は腕のところだから前期は厳しいかなと。藤田は足首なんで、まだ練習はしていないんでリーグ戦は無理かな。早慶戦に間に合うくらいだと思います。(前の試合から少し期間が空いたが、その間どのような方針で練習を行ってきたか)関東選手権は1試合で負けて、1週間はある程度コンディション的なところをやって、あとフォーメーションを変えたので戦術の部分をチェックしました。まあこの点差を見てしょうがないというのは、あまりにも選手の意識が低すぎるので。練習でどれだけ本番のようにトレーニングができるかということを言ってるんだけど、なかなかリアリティをもったトレーニングができていない。ある意味、昨日はモチベーションのためにトレーニングをやっているので、この点差だったり内容だったりっていうのはやる前から分かってはいることだった。逆に自分たちは弱いんだということが分かって良かったんじゃないかなと思います。(前半を見た限りここまで点差の開く試合ではなかったと思うが)決めれるところで決めていれば、もうちょっと接戦になっていたかもしれないし、うちは6人7人が足をつっているわけだし、そういったところで相手との見えない差というのは歴然だったし、トータルで90分間を見たらこの点差は妥当かなと。逆にもうちょっととられるのかなと思っていました。(やはり近藤選手がいないのは大きいか)リーグ戦なんでその中で、今日は藤田や松岡、近藤もそうだけど、怪我で出れないというのは、リーグ戦は総合力なのでそればかりは理由にならないですね。(相手にはサイドを中心に攻め込まれていましたが)3バックだったので、そこはと思ってはいたが、とられ方が悪すぎるよね。逆にうちらがしっかり繋いでいればサイドをついてもう少し攻撃できたと思うんですけど、あまりにもイージーなミスが多すぎてそこから簡単に攻められて、特に相手の38番がフリーになっちゃう。うちらのポゼッションの質が悪すぎる。パスコースを作ってパスを回すことができないんで、相手がちょっとでもプレッシャーをかけてくると慌てて蹴っちゃったり、パスを相手にプレゼントしてしまったりということがあまりにも多すぎたのでしょうがないですね。(途中出場で今季初出場の選手が3人出ましたが、彼らに期待したことは)こういう状況なので、経験してもらってという形で出したんですけど、本気でトレーニングしていなければ何もできない、そういう雰囲気を味わってもらいたいので、3人を出しました。(近藤選手の怪我は長引きそうか)3か月。(後期リーグの頭も無理そうか)ちょっと厳しいかな。(大量失点してしまうと次の試合に引きずってしまうということもあるが)トレーニングする態度だったり、そういうところでしかないので、それで修正できるかできないのかというのは本気になってリアリティを持ってトレーニングできるかなので、それで大量失点してしまうのはしょうがない。1週間戦術のトレーニングをしていなければ我々がどう前からプレスをかけるのか、引いて守るのかということをしないで、モチベーションのことばっかりを話していればこうなるし、決めるのは選手だからどれだけ本気になってトレーニングできるか、そこの部分だと。(前期は残り1試合だがこれまでの結果をどう思うか)ある意味これだけ内容が悪いなりには3勝したというのは、数字的には悪くないと思います。だから結果的に見れば悪くはないかなと。今の実力だと。ただ内容をもう少し安定させたいです。内容が安定しなければリーグ戦ではいい成績は収められないということは分かっているとは思います。(次節に向けて)決めるのは選手たちなので、どれだけ本気になって試合を意識してトレーニングするか。それは監督が決めることではないと思います。選手たちがこの結果をどう受け止めて、来週の試合に向けて明日からどう行動していくかが重要だと思います。DF甲斐公博(環4・横浜Fマリノスユース)
(今日の試合を振り返って)反省に尽きる試合かなと思います。(今シーズン初出場となりましたが)藤田や松岡がいないという中で、自分が引っ張ってなんとかやらなくてはいけなかったんですけど、個人的な力不足です。(キャプテンを任されていたが)自分がやることというのは、後ろから声をかけて、いかに前の選手を動かすかということだったんで、そんなに意識したことはないです。(次節の筑波戦に向けて)このままでは絶対に出ることはできないと思うし、自分も目の色を変えて明日から次節に向けてトレーニングしていきたいと思います。
MF赤木努(経4・大宮アルディージャユース)
(振り返って)力の差が出たかなという印象です。(リーグ戦中断中の取り組みについて)他のチームが連戦の中、自分たちはフィジカル中心のトレーニングやJのチームとの練習試合をしたりして、自分達なりに追い込んできたつもりだったんですが、それが足りなかったのかなと思います。(スタメン出場だったが、自身の出来を振り返って)とにかくまずは運動量の部分で勝りたいということで、上下運動に関しては意識していたんですけど、無駄な動きも多いし、自分がボールを持った時もミスが多くて、本当に何もないという感じですね。(筑波大戦に向けて)自分たちはチャレンジャーですし、自分たちの力を出すためにも、この1週間で精一杯の準備をするしかないと思います。
FW森田達見(経4・川崎フロンターレU-18)
(今日の試合を振り返って)大敗してしまって、あれだけ応援してくれた仲間や仕事をしてくれた仲間に申し訳ないと思います。(今日はいつもと違うシステムだったが、今日はどのような指示を受けてピッチに入ったか)システムはいつもと違ったんですけど、そういう部分に言い訳を作らないで、基本11対11がサッカーなので。一人一人責任をもってやっていこうということだったんですけど、その部分が上手くいきませんでした。(今日は久しぶりのスタメン出場だったが、自身の出来は)ある程度シュートの形だったりという部分は作れたんですけど、自分がきめていればこういう試合にならなかったと思いますし、決定力という部分が課題というか。みんなにも申し訳ないと思っています。(勝つために必要だと思うことは)流れが悪いときにズルズル行くのではなく、監督からの指示とかではなく、自分たちでどう改善していくか。あとは、当たり前のことなんですけど、目の前の相手に1対1で負けないとか、そういうサッカーの基本的なことができるようにならないといけないかなと思っています。(次の試合にむけて意気込みを)負けられない戦いが続くんですけど、今日の反省を生かしてチーム一丸となって戦っていければと思います。
MF山浦公裕(商4・FC東京U-18)
(今日の試合を振り返って)本当に情けない試合をしてしまいました。集中応援日でいろいろな人が応援に来てくれていたんですけど、ああいう試合をしてしまったので、自分たちの実力に向き合っていかなければならないと思います。(自身の出来は)ああいう結果なので全然良くなかったと思います。攻撃でスリーバックがいる中で、自分がワイドにいかなければいけなかったんですけど、そういうプレーもなかなか出来ませんでした。不甲斐なかったと思います。(メンバーが大きく違う中で、コミュニケーションはうまく取れていたか)4年生が少ないというのもあり、そこはチームとしても問題でした。システムも変わってやり方も違いました。そのような中で、やっぱりまだまだ全員での声掛けが足りなかったし、それに練習の時から声掛けが少なかったので、全員が自覚してもっと声を掛けていかないといけないと思います。そこで攻撃で小さいズレがあったので修正したいと思っています。(専修の印象は)去年のチャンピオンですし、個人の技術がしっかりしていて勢いもあったので、前期戦った中でも強いという印象が正直ありました。(前期は残り1試合になったが意気込みを)本当に次が大事だと思います。次負けて早慶戦を迎えるのと勝って早慶戦を迎えるのとでは全然気持ちも違うので、この1週間全員で気持ちを入れてやっていきたいと思います。
DF長尾賢太郎(総2・ヴィッセル神戸U-18)
(右足を負傷していたが)たぶん打った時の痛みなんですけど、前半終わって痛みを感じて、一回ダメかなと思ったんですけど、チームがこれからという時に代わることはできないなという風に感じて代わりませんでした。明日の検査次第ですね。(今日の試合を振り返って)集中応援部ということで、応援指導部の方であったり、チアリーディング部の人々、塾高生であったりが一生懸命に応援してくれてる中で、こうした結果というのは非常に申し訳ないです。いいところは無かったです。(3バックだったが)相手が専修ということで、強烈な3トップを抑えようと。そこにマンマークを付けようということで。無理な時は、サイドハーフが下がって、4バックまたは5バックで対応していこうと。守備が一枚減ったことで、攻撃に厚みが出るのではないかなと思います。(3バックの出来は)3バックだから失点したのではなく、自分たちが、最後の球際のところで体を張れなかったのが、6失点につながったのではないかなという風に思います。(次節筑波戦に向けて)筑波戦は、前期集大成として、絶対に負けることができない相手だと思うし、筑波に勝ってそのまま良い雰囲気で早慶戦に臨んで行きたいと思います。
MF増田湧介(環2・清水東高)
(今日の試合を振り返って)完敗です。(慶大は今日3バックだったが)フォーメーションの前に1人1人が全部専修に負けていたのでもっと練習からしっかりやっていかないと絶対追いつけないと思います。今日の負けをきっかけに気付けた部分もあったのでそれを前向きに捉えて次の試合に準備したいと思います。(ここまで点差が開いてしまった理由は)相手の方が点を取りたいという勢いがありましたし、それに対して自分たちは受け身になってしまって、寄せるところも寄せきれませんでした。本当に今日は相手の方が実力が上だったというのが敗因だと思います。(次の試合は強豪筑波大だがその試合に向けて)今日このようにすごい恥ずかしい形で負けてしまって、良い意味で自分たちの実力が分かった。というより専修が気づかせてくれたので、次の筑波も先週のような練習してたら勝てないと思うし気持ちを切り替えて、もっと質の高い練習をしていかないと勝てないと思うので、しっかり準備して頑張りたいと思います。
FW磨見朋樹(文2・横浜FCユース)
(今日の試合を振り返って)なんとしても勝ちたい試合でした。また集中応援日で多くの人が応援に来てくださったなかでこういう試合をしてしまって、不甲斐無く思っています。(攻撃陣の調子は)形は作れていましたが、決めきれなかったので、悪くはありませんでしたが修正するべきところはたくさんあります。(フォーメーションがいつもと違ったが)自分としてはそこまで意識せず。いつも通りやろうと思いました。しかしなかなか上手くいきませんでした。(後半悪化したところは)走り負けてしまいました。(次に向けて)勝つしかないので、チーム一丸となって頑張ります。
GK峯達也(政2・桐光学園高)
(今日の試合を振り返って) 応援してくれた人たちに申し訳ない気持ちでいっぱいです。(3バックについて)3バックというより、フォーメーションうんぬんよりも、戦う気持ちとか個人でも完全に負けていたので反省して次もあるので一生懸命練習していかなきゃいけないと思います。(後ろから見ていてどうだったか)つなぐのか蹴るのかはっきりしていなかったということと、正直3点目くらいから割りきってやっちゃっていたので、正直フィールドのことは分からないです。(次節に向けて)今節でこういう形になってしまったので、次節は今日応援してくれた人たちのためにも結果という形で恩返ししたいです。
FW武藤嘉紀(経2・FC東京U-18)
(今季初得点を挙げましたが、感想は)そうですね、2失点してしまって、どうにか自分の点で追いつこうと思っていたんですけど、何度も点を取れそうなシーンがあって、先制点を狙えればよかったんですけど、それができなくて。こういう結果になってしまったので、ふがいなかったと思います。(ドリブルで相手を翻弄するシーンもありましたが、自身のプレーの感触は)だいぶ膝のほうもよくなってきてドリブルとかもできるようになってきたんですけど、やっぱり前半のキックの面だったりシュートの面ではまだ質をあげなきゃいけないなと思うところもありましたし、ドリブルでも得点に絡めるようなプレーをしていきたいです。(6失点という結果に関してはどう感じていますか)本当に腹立たしく思いますし、チームとしてやりたいことが全くできていなかったと思うので、次の試合では直していきたいです。(やりたいサッカーができなかった原因は)今日初めて先発で出た選手などがちょっと慌ててしまったり、前半から自分たちのポゼッションをやらずにビビって前に蹴ってしまったりすると、リズムが作れないですし、攻撃にかける枚数も少なかったし、負けて当然だったと思います。(課題はポゼッションですか)そうですね、ポゼッションやパスの質などを上げていければいいんじゃないかと思います。(相手チームの印象は)専修には何人も知っている選手がいるんですけど、前線の選手は大学のトップに立つ選手ばかりなので、みんなが守備のときに人数が足りなかったりしたので、もう少し我慢していれば、今日の結果はもしかしたら勝ちになっていたかもしれないし、我慢の時間帯で失点してしまったのが今日の敗因だったと思います。(相手のマークが激しく、消耗していましたが、身体の状態は)筋肉は痛いですけど、大きな怪我はないです。(追加点を奪うためには何が必要ですか)自分がいい動きをしたときにパスが出てこなかったり、自分がボールを持っているときにも、もっとフリーの人がいるにもかかわらず自分で行ってしまったり、パスとドリブルの選択が自分も周りの選手も良くなかったと思います。そこを上げていければいいなと思います。(次の筑波戦に向けて)今回の大量失点で、チームの足りないところは見つかったので、練習から、一から自分たちの気持ちを引き締めてやっていきたいと思います。
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