【野球】明暗分けた八回の攻防 連敗で勝ち点落とす 法大②

9月24日(月) 慶大―法大 2回戦

 

先発した白村は粘投したが勝ち星にはつながらず

先発した白村は粘投したが勝ち星にはつながらず

 

 

 1回戦で惜敗し、雨天中止で1日空いて迎えた法大2回戦。慶大は初回から鈴木裕(商4)のタイムリーで幸先良く先制するも、その裏に先発の白村(商3)が2点を失い逆転を許す。その後、白村が立ち直り好投を続け、打線も五回に福富(商4)がタイムリーを放ち、試合を振り出しに戻したが、八回に西浦直に2点タイムリー三塁打を浴び万事休す。苦手相手の立大に連勝し勢いにのったはずの慶大が、法大に連敗で勝ち点を落とし、優勝に向け最初の試練が訪れた。

 

 

   
慶大
法大 ×
 

慶大:●白村-阿加多

法大:○石田、三嶋-木下

 

慶大出場選手

 

  ポジション 選手名(学部学年・出身高校)
[7] 佐藤旭(商2・慶應)
[6] 福富(商4・慶應)
[4]5 山﨑錬(商4・慶應)
[5] 横尾(総1・日大三)
R 荒川(商3・慶應)
大川武(環4・済々黌)
[2] 阿加多(法4・慶應)
[3] 鈴木裕(商4・慶應)
[9] 谷田(商1・慶應)
[8] 溝口(政4・慶應)
辰巳(文4・郡山)
[1] 白村(商3・慶應)
  H 影山(総4・鎌倉学園)
 

 

先制タイムリーを放った鈴木裕は塁上で笑顔を見せる

先制タイムリーを放った鈴木裕は塁上で笑顔を見せる

日曜日の試合が雨天中止となり、順延されて行われた法大との2回戦。昨日とうってかわって快晴のもとで行われたが、試合は秋空のようにすっきりした内容とはならなかった。

 今日の試合も初回から動く。法大先発の石田から簡単に二死を奪われたものの、山﨑錬(商4)が四球、横尾(総1)が死球で出塁すると、阿加多(法4)も内野安打でつなぎ、2死満塁と先制の大きなチャンスを迎える。この場面で打席に立つのは今季初スタメンの鈴木裕(商4)。立大2回戦でも同じく満塁の場面で走者一掃のタイムリー二塁打を放った男がここでも勝負強さを見せ、センター前に運ぶタイムリーヒット。山﨑錬が生還し幸先良く先制に成功する。さらに2死満塁とチャンスは続いたが、谷田(商1)が見逃し三振に倒れ、この回は1点止まりに終わる。

 その裏、慶大の先発マウンドに上がったのは法大1回戦でも好投を見せた白村(商3)。しかし1回戦の竹内大(環4)と同様にこの日も立ち上がりを攻められる。先頭打者にヒットを許すと、バントで送られ1死二塁。ここで多木にセンター前にタイムリーヒットを浴び、あっさりと同点にされてしまう。その後、味方のエラーもあって2死一、三塁とされると、畔上にもタイムリーヒットを許し2-1。「初回は気負い過ぎた」(白村)の言葉通り、気合いが空回りし初回から2失点と波に乗れない。

 取られたら取り返すのみ。二回表、リーグ初スタメンの溝口(政4)が先頭打者としてしぶとく内野安打で出塁し、早くも反撃の態勢を見せる。しかし次打者の白村の場面で盗塁失敗。チャンスの芽が摘まれてしまう。

 初回こそ慌ただしかった白村だが二回以降は別人の投球を見せる。二回は先頭打者に死球を与えたが、次打者の石田が送りバントを試みて転がしたボールに、一塁手の鈴木裕が猛チャージを見せて二塁封殺。後続もきっちりと抑えて無失点と、味方の攻守に助けられながら徐々に調子を取り戻す。三回、四回もエラーで一人の走者を出すものの、ヒットを許さない完璧なピッチングで法大打線を封じ込める。 

 

同点タイムリーを放った福富

同点タイムリーを放った福富

白村の好投に応えたい打線は五回表、初回と同じく二死からチャンスをつくる。3割を超える打率をマークする佐藤旭(商2)が左中間を真っ二つに破る二塁打を放つと、福富(商4)もセンターに弾き返す。この当たりで佐藤旭が快走を見せ、一気に本塁に生還し同点。中盤に試合を振り出しに戻す。さらに山﨑錬もセンターに鋭い当たりを飛ばし2死一、三塁と逆転のチャンスをつくったが、続く横尾が凡退。この回に一気に逆転とはいかなかった。

 白村の快投は止まらない。150㎞に迫る速球を中心に組み立て、五回から七回までの3イニングで5つの三振を奪う奪三振ショー。気付けば初回に3安打を許したものの、二回以降は無安打ピッチングと失点の予感すら漂わせないピッチングを見せる。

 そして試合の明暗を分けたのは八回の攻防だった。先にチャンスをつくったのは慶大。先頭の福富が四球で出塁すると、2死後、阿加多がライト前にヒットを放つ。さらに鈴木裕が死球を受け2死満塁。六、七回と調子を取り戻していた石田から試合終盤に勝ち越しのチャンスを得る。一打勝ち越しのチャンスで迎えたのは谷田。初回に同じく満塁の場面で凡退しているだけに、意地でも結果を残したいところ。ファールで粘りフルカウントまで持ち込むが、石田が投じた7球目に対し、谷田のバットは無情にも空を切った。痛恨の空振り三振で勝ち越しとはならない。

 

勝ち越しを許した白村は落胆の表情を浮かべた

勝ち越しを許した白村は落胆の表情を浮かべた

その裏、ひとつの四球が試合の結果を大きく左右した。白村はこの回も簡単に2死を奪ったが、高木悠に対し、追い込んでから四球を与えてしまう。その後、高木悠の代走・岡崎に二盗を決められ2死二塁。対するは先制タイムリーを放っている多木。この場面でバッテリーの選択は敬遠で多木との勝負を避け、四番の西浦直との勝負。この選択が吉と出るか凶と出るか――。結果は後者だった。西浦直の放った打球は前進守備の外野手の頭上を越えていくタイムリー三塁打となり2失点。二回以降に白村が許した初ヒットとなる三塁打で慶大にあまりにも大きい2点がのしかかった。

 残す攻撃は1イニングのみ。2点を追う慶大打線の前に、1回戦でも3イニングを完璧に抑えこまれた三嶋が立ちはだかる。低めに制球された速球の前に辰巳(文4)、影山(総4)が連続空振り三振。佐藤旭がライト前ヒットを放ち意地を見せるも、福富の打ち上げた打球がファールグラウンドで多木のグラブに収まりゲームセット。1回戦に続き接戦を落とし勝ち点を奪われた。

 慶大がヒット数でも上回り、終始法大を攻め続け、白村が中盤は完璧な投球を見せたが、最後に勝ち越しを許し悔しい敗戦。山﨑錬主将の「野球は難しい」の言葉通り、野球の難しさも一球の怖さも味わう試合となった。しかし選手は下を向いていない。全ての選手が次の東大戦にむけて気持ちを切り替えている。東大の選手には悪いが、今週末の東大戦で再びペースを取り戻し、明治、早稲田にぶつかっていこう。慶大ナインはこの試練さえ優勝の美酒の味わいを深くするための糧にしてくれるに違いない。

 

(記事 古屋 雄斐)

 

 

選手のコメント

 

山﨑 錬主将(商4)

(押している展開だったが負けてしまった)なかなか野球は難しいなというか…こういうものですね。(敗因をあげるならば)野球の神様がどっちに行こうか迷っているときに、流れを掴みきれなかったというか、それが敗因かなと思います。(白村投手は粘りの投球をしていたと思うが)あいつはしっかり頑張ってくれましたし、その前にもっと点を取ってあげられなかった僕たちが悪いかなと思います。(雨天中止で1日空いた影響はあったか)うちとしては全然良かったと思いますし、どちらかといったら恵みの雨かなと思いました。(自身はいい当たりのヒットが2本出たが)ずっと悪い感じではなかったので、相手がいい所に投げていたのが、今日は甘く入ってきたというだけの話で、これからも自分はしっかりとこの調子を継続してやっていきたいと思います。(東大戦にむけて)しっかりと気持ちを切り替えて、優勝が完全になくなったわけではないので、まず東大に勝って明治、早稲田としっかり気持ちを向けるためにも一戦一戦大事にいきたいです。

 

阿加多 直樹(法4)

(今日の試合を振り返って)初回が全てでした。(4打数2安打の活躍について)的確に出塁できたところは良かったのですが、点に繋がらなかったのが…(先発白村投手の出来は)初回はちょっと微妙だったんですけど、だんだん回が進むにつれていい球が来ていたので、最後打たれたのは、僕の責任というのもあるかもしれないですけど…反省です。(東大戦にむけて)落ち込んでいる場合ではないので、次は勝てるように頑張りたいと思います。

 

鈴木 裕司(商4)

(今日の試合を振り返って)いろいろあって、白村も頑張ったし、打線も白村のためにもうちょっと点を取ってあげたかったんですけど、ああいう形になってしまって…。やっぱり、負けたらどんなに白村がいいピッチングをしても、僕ら自身がいいバッティングをしたとしても、意味がないと思うので、その辺が悔しいですね。(今季初スタメンとなったが)調子は良かったので、出たらやってやろうという感じで、チームのために、チームが勝てればいいかなと思ってやりました。(立大二回戦に続き、満塁でタイムリーを放ったが)満塁が好きになりました。(次週に向けて)次からもう負けられないと思うので、絶対に最後優勝するとみんなで決めているので、一戦も落とさないつもりで、そういう強い気持ちを持ってみんなで戦いたいと思います。

 

福富 裕(商4)

(今日の試合を振り返って)また初回にやられてしまったので残念です。(自身は貴重なタイムリーヒットを放った)調子よくなかったんですけど、勝ちたかったんで1本出てよかったと思うのですが、負けたことが残念です。(どんな気持ちで打席に入ったか)2アウトから後輩の佐藤旭がチャンスをつくってくれたので、先輩が返してやらないとと思っていました。(2連戦でチームとしての課題は見つけたか)先頭打者を何らかの形で塁に出してしまっているので、そこを抑えていい流れを持ってこられるようにしたいです。(次週に向けて意気込みを)もう1回調整し直して、しっかり東大に2連勝して、そこから明治、早稲田と戦っていきたいです。

 

溝口 透麻(政4)

(今日の試合をふりかえって)チャンスを生かしきれなかったので、悔しいですね。(スタメンでの起用については)左投手だったんで、準備はしていたんですけど。(ヒットは出ましたね)それはよかったですけど、2打席目とかあっけなく凡退しちゃったんで、そこは悔しいですね。(石田投手の印象は)立ち上がりがまあ、チャンスだと思ったんで。正直、打てないピッチャーじゃないなと思いました。(次戦に向けて)まだ優勝の可能性消えたわけじゃないんで、一戦一戦勝っていくだけです。

 

白村 明弘(商3)

(今日の自身のピッチングを振り返って)初回は気負い過ぎたというか、おととい投げて打たれる感じがしなかったので、監督からも完封しろと言われていましたし、僕自身も完封できると思っていたので、ちょっと気持ちが入り過ぎたかなと思います。それで初回あんなピッチングになってしまったじゃないかなと思います。それ以降は普通に投げられて良かったと思うんですけど、今日は大事なところで点を取られているのでまだまだ未熟だなと思います。(八回2死からの四球が痛かった)そうですね。ツーアウトからのフォアボール(をきっかけに失点)は去年の秋やられているので、本当に注意していったんですけど、それでも足りなかったです。精神的にまだまだ弱いですね。中盤良くても大事なところが良くないと意味ないので。(今週末の東大戦に向けて)相手云々ではなく、自分との戦いだと思うので、相手のことは気にせずにしっかりやるだけです。

 

佐藤 旭(商2)

(今日の試合を振り返って)勝ち試合を落としたな、という感じがあって、勝てなかったというのが悔しいです。(自身の五回の二塁打について)何とか塁に出てつなげたいという気持ちがヒットにつながったかなと思います。(九回のヒットを打ったときの気持ち)最後のバッターになりたくないというのと、何とか後ろにつないで役割を果たして勝ちに持っていければな、と。(次週への意気込み)今まで優勝とか味わったことがないので、切り替えて、これから東大・明治・早稲田とあるので、良い状態でまた出来るように頑張っていきたいと思います。

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