【ラグビー】勝利への執念を見せ、接戦を制す! Jr.選手権/筑波大戦

 

勝利の瞬間、喜び合う選手たち

台風接近による強風の中、Jr.選手権の第2戦が行われた。初戦で宿敵早大に敗れ、何としても勝利を手にしたい慶大の次なる相手は筑波大。試合は前半、慶大ペースで進むが、後半は1点を争う緊迫した展開に。結局、終了間際にトライとコンバージョンキックを決めた慶大が、27-26で今季公式戦初勝利を手にした。

 

関東大学ジュニア選手権 VS筑波大学

2012/9/30(日)13:00K.O.@筑波大G

 

得点
慶大 チーム 筑波大
前半 後半 前半 後半
PG
DG
15 12 小計 19

27

合計 26
 

得点(慶大のみ)

T=澤根、風間、川原、小田村

G=木村2

PG=木村

 

出場選手
ポジション 名前(学部学年・出身校) 交代選手
1.PR 小田 基貴(商4・小倉) →16 三谷 俊介(総3・国学院久我山)
2.HO 神谷 哲平(総2・桐蔭学園)
3.PR 山田 亮介(環4・国学院久我山)
4.LO 池田 尚(商4・慶應)
5.LO 松野 裕大(経3・慶應) →18 本行 拓実(商3・慶應)
6.FL 森川 翼(環2・桐蔭学園)
7.FL 小田村 淳平(政4・慶應)
8.NO8 白子 雄太郎(商2・慶應) →19 鹿児島 昌平(経4・慶應)
9.SH 渡辺 諒介(経3・慶應)
10.SO 木村 亮平(商3・明善)
11.WTB 澤根 輝賢(総1・県立佐倉)
12.CTB 柚木 大佑(商4・慶應)
13.CTB 甲斐 鑑(理4・千種)
14.WTB 風間 雄太郎(経4・慶應) →22 川原 健太朗(環2・小倉)
15.FB 武谷 泰(総3・国学院久我山)
 

ゲインする風間

「試合開始0分から全員が100%の力を出さないと勝てない」(CTB柚木ゲームキャプテン・商4)。そんな思いで試合に臨んだ慶大は、序盤から積極的なプレーを見せる。開始直後、敵陣で相手のペナルティを誘うと、このPGをSO木村(商3)がしっかりと決め、着実に3点先制する。この試合、慶大は伝統の低いタックルがよく決まり、相手のトライを許さない。すると11分、SH渡辺(経3)がキックしたボールをWTB澤根(総1)がキャッチしそのままトライ。続いて16分には、見事なタックルで相手からボールを奪うと、FL小田村(政4)のパスを受けたWTB風間(経4)がトライを挙げる。このコンバージョンキックをSO木村が決め、15-0とリード。20分にはトライとコンバージョンを決められ、15-7とされるが、この後は再び安定したディフェンスを見せる。慶大はさらにセットプレーなどからチャンスを作るものの追加点を挙げることはできず、このまま前半を終える。それでもプラン通り、試合開始から積極的に前に出て行った慶大は終始主導権を握り続けた。

 

渡辺諒はアタックで好機を作った

しかし後半に入ると、一転して筑波大が波に乗り始める。1分にトライとコンバージョンゴールを許すと、7分にもBksの突破からトライを決められ、15-19と早々に逆転されてしまう。ここから試合は一進一退の展開に。まずは慶大がSH渡辺の突破から敵陣深くでマイボールのラインアウトを得ると、ここからモールを形成。持ち出したSH渡辺からパスをつないで左サイドに展開し、最後はWTB川原(環2)がトライ。再び1点のリードを奪う。さらなる追加点で相手を引き離したい慶大であったが、逆にトライを再度逆転を許し、20-26とされてしまう。試合は終盤に差しかかり、このまま終了かと思われた。しかし、何としても勝利がほしい慶大は粘りを見せる。後半39分、敵陣でのラインアウトからモールを形成。押し込んでいきFL小田村がトライを決める。これで1点差に詰め寄ると、このプレッシャーのかかるコンバージョンキックを見事にSO木村が成功させ、27-26と逆転。このまま試合は終了し、慶大がシーソーゲームを制した。

 

苦しみながらも今季公式戦初白星を挙げた慶大。後半に入ってタックルが甘くなるなど未だ課題はある。しかし、前回の課題であったセットプレーは改善され、試合を通じて安定していた。また、練習を重ねてきたモールからトライを取れたことも大きな収穫だ。「自分たちのやってきたことが間違いでないと今日の試合で証明できた」(柚木ゲームキャプテン)というように、選手たちは自信をつけている。接戦を制してつかんだ今回の勝利は「秋のシーズンの弾みになるような、ターニングポイント」(田中監督)となったはずだ。まだシーズンは始まったばかり。ここから、茂木組の快進撃に期待したい。

 

攻守にわたる活躍をみせた神谷

【ケイスポ的MOM】ディフェンス面で急成長中 HO神谷哲平

安定したディフェンスを見せたこの試合、要所でタックルを決めていたのがHO神谷(総2)だ。以前はディフェンスが得意ではなかったというが、「今日は良いタックルができた」と練習の成果を見せた。HOとしてスクラムやラインアウトの安定にも貢献。2年生ながら対抗戦初戦にも途中出場しており、今後の活躍に期待がかかる。

 

(記事・吉山 祐未)

 

コメント

田中監督

(振り返って)スコアが27-26、まさに接戦を制した結果になりました。本当に最後の最後までひたむきに戦えたと思います。慶大が理想とするラグビーの形だったと思います。見ている方もやっている方も心臓が痛くなるようなゲームではありますが、慶大が勝利していくとすればこういう形なんだと思います。本当に今日は慶大らしい試合をしてくれたな、と思っています。前半5メートルのラインアウトからモールでスコアしきれなかったことや、相手にトライを取られてしまうことになったタックルミスなど反省すべき課題はありました。ただこれもやはり全力でやっているからこそ見えた課題だと思います。課題をまた克服していけるようにまた1週間精進していきたいと思います。Jr.選手権早大戦で不調だったラインアウトが今日は安定していたが)先週の早大戦は天候も悪い状況で、ボールが滑りやすい状態でした。ラインアウトでもボールが滑ってしまうのに、我々もロングで速い球を出していたので、ボールが滑ってしまったり飛んでしまったりしました。今週はセットプレーの安定に力をいれていました。今日は風は強かったですが天候に恵まれていたこともあり、やはりラインアウトは自分たちの強みとしてとっていこう、と選手たちも意識を持ってくれました。最後、ラインアウトからモールで押し込んでトライを取れたということは、自信になると思います。(次戦に向けて)来週は土曜にJr.選手権の帝京大戦、日曜に対抗戦の立大戦があります。公式戦が連続します。どちらも僕らにとっては大切な試合です。帝京大はジュニアといってもチャンピオンチームに挑むということになります。立大は対抗戦Bから上がってきたチームですが、昨今メンバーの充実もしていますし、力をつけてきているチームです。やはり絶対に勝利を目指します。常に大事なことは基本プレーの精度をいかに高めるか、ということだと思います。またチームがやってきたことをいかに発揮するか、が重要になります。対抗戦初戦の筑波戦などは選手達がやってきたことを思うように発揮できませんでした。来週はまたやってきたことの力が発揮できるよう、またコンディショニングをしっかりして臨みたいです。今日勝てたことは対抗戦初戦、Jr.選手権初戦と2連敗してしまったなかで、秋のシーズンの弾みになるような、ターニングポイントとなるような機会だと思います。ここをスタートにして前を向いて頑張っていきたいです。

 

CTB柚木ゲームキャプテン

(今日のゲームプランは)試合開始0分から全員が100%の力を出さないと勝てないと思い、試合が始まった瞬間から100%の力で爆発していこうというプランでした。(試合を振り返って)試合の入りはプラン通り、みんなが100%の力を出して低いタックルや前に出るラグビーをできたんですけど、時間が経つにつれてタックルが甘くなったりしていたので、そこは修正していかなければいけないと思います。(ディフェンスがよかった)前回の早大戦でもディフェンスは手ごたえがあったので、それを継続してできたと思います。(試合の出来は)今日の試合に臨むにあたって前半の初めと後半の初めをこっちのものにしようと思っていました。前半の入りは良かったんですけど、後半は相手にもっていかれてしまいました。そこがずっと続けての課題なので、また修正していければなと思います。(自身の出来は)4年にしか体現できない体を張ったプレーをしていきたいと思っていて、今日は出来たかわかりませんが、これからも続けていきたいと思います。(相手はBksが強かったが)特に対策はしていないです。どんどん前に出て低いタックルをして、ディフェンスでもオフェンスでもこっちのリズムにもっていくということをやってきていたので、やることはいつもと変わらないです。(次戦に向けて)自分たちのやってきたことが間違いでないと今日の試合で証明できたと思います。本当はBチームの選手たちは対抗戦に出ることが目標なんですけど、次の帝京大戦も出場したら、低いタックルと前に出るディフェンスを変わらずやって、絶対に勝利をつかみたいです。

 

HO神谷

(勝利の感想は)前回の試合の反省点を修正できて良かったです。最近負けが続いていたので勝てて良かったです。これからの勢いにつながるかな、と思います。(振り返って)みんなしっかり走れていました。ディフェンスがしっかりできていたので良かったんだと思います。(ご自身もナイスタックルがあったが)僕は以前はディフェンスが得意ではありませんでした。でも慶大は伝統として低いタックルがあります。最近僕もその伝統に沿えるようにディフェンスを練習していました。今日は良いタックルができたのは成果だと思います。(前回苦戦したラインアウトも好調だったが)1週間Fwdのユニットとして、僕個人として、どちらも修正できた結果だと思います。今後はより精度を上げてやっていきたいです。(課題は)スクラムでもっと圧力をかけることです。あとはディフェンスではもっと速くポジショニングをしていきたいです。小さい部分の精度をもっとあげていきたいです。(次戦に向けて)今日勝てて、チームとして良い流れできていると思います。来週は立大戦、Jr.選手権の帝京大戦ともいいゲームをして勝ちたいと思います。

 

PR山田

(今日の試合を振り返って)今日負けたら厳しくなって、決勝トーナメントに進めない可能性もあったので、とにかく勝つってことを念頭にやっていました。特に今日はブレイクダウン、一時攻撃でゲインをしていこうってことを先週やってきたのですが、筑波さんの良いディフェンスで中々ゲインをきれませんでした。苦しんだのですが、最後は自分たちがやってきたモールでトライを取れたので、自分たちのやってきたことが正しかったということを証明できましたし、Fwdとしてすごくうれしかったです。(Fwd戦を振り返って)スクラムは問題なく組めました。でもちょっとブレイクダウンで相手の寄りが早かったので、受けにまわってしまったので、ディフェンスが早くセットして前に出るということを徹底したいと思います。(モールやディフェンスが先週より良くなっていたが)モールは先週の月曜日から金曜日までずっと毎日練習して、正直ヘトヘトでやっていました。ディフェンスに関しては先週1人目が倒せないという部分があったのですが、そこを意識して練習してきました。(筑波大の印象は)Aチームもそうなんですが、今日出ていた竹中君であったり、すごく個人技に優れた選手がいると聞いていたので、しっかり止めようと思っていました。(今日の収穫と課題は)収穫というのは、先制点を取れたことですね。試合の入り方が、今まで受けてしまって相手のペースになってやられるっていうのが多かったので、そこは修正できたのは良い点だったと思います。課題は、Fwdの集散であったり、もっと前に出ることを意識しないと、攻めていてもトライを取れないので、そこを磨いていきたいです。(次に向けて)ジュニア選手権に出ることを、僕自身は目標にしていないので、もちろん勝つというのは絶対条件ですが、もっと上を目指してスクラムという課題をやっていきたいです。

 

SO木村

(今日の試合を振り返って)筑波大はBksにタレントがそろっており、Bksに何本かトライを取られるのはわかっていたので、ゲームの状況を見て臨機応変に対応していくことを心がけました。Bksに4本トライを取られたのは反省点ですが、今日はFwdがセットプレーが安定しており、ラインアウトもとれましたし、モール・スクラムも押せていたのが勝因です。(キックの調子は)3/5なので、イマイチです。最後はたまたま入りましたが。前半にきちんと決めれば楽に試合を進めることが出来ましたが、勝てて良かったです。(最後のコンバージョンに向かうときの心境)外したら負けるので、また苦手なコースだったので、すごく緊張しました。(攻撃の組み立てで意識したことは)今日はBksでのミスが多く、冷静さを失い勿体ないプレーをしており、もっと外に回す時は回したり、縦に行くときはいくなどメリハリがなかったので、Bksに関してはオフェンスが課題です。(Bks全体の総括)先週はタックルが良かったですが、今週は特に僕のタックルが悪かったです。ディフェンスで抜かれる場面があったため、オフェンスでも修正してBksでしっかりゲインしてトライをとれるようにして帝京大戦に臨みたいです。(前回から修正したこと)前回はタックルが良かった反面Fwdのセットプレーが良くなかったので、しっかりとセットプレーをしてゲインラインを突破することを心掛けました。修正出来ていたかどうかはわかりませんが、Bksに関しては精度を高めていきたいです。(個人の修正点)とにかくタックルが悪かったので、次の帝京大戦はタックルをきちんとしないと試合にならないため、気持ちを入れてやっていきたいです。(オフェンスの総括)良かったことは、とにかくセットプレーが安定しており、モールも押せてスクラム・ラインアウトも良かったです。そのためSOとしてはすごくゲームを組み立てやすかったです。悪かったことは細かいサインプレーでミスが多く、反省点です。(ディフェンスの総括)相手がいるのがわかっているのにボールをとられています。また、タックルが高いので、早稲田戦みたいなタックルをしていきたいです。(今後にむけて)とりあえず今日勝って、まだJr.選手権優勝が残っているので、もう一敗もできない気持ちをもって一戦一戦勝っていきたいです。

 

WTB澤根

(試合を振り返って)個人的には相手のBK3にやられてしまって、FWDに迷惑をかけたなという印象です。(相手のWTBは竹中選手など強力であったが、対策はあったか)できるだけ前に上がって相手にボールを持たせないようにしようと思ったんですけど、そこで少し詰めすぎてしまって上を抜かれたりしたので、途中から詰めるのをやめて流してディフェンスをしようとしたところ結構止めれました。強い相手でしたが止められないことはなかったです。(トライのシーンを振り返って)SHの(渡辺)諒介さんがいいところにいい判断でキックを蹴ってくれて、いい感じでボールも跳ねました。ラッキーなトライだったと思います。(キックの多い展開となったがそのキック処理の出来は)キックは最近ずっとユニットでも練習していて、個人でも川原さんとかと練習しているのでキックの処理については心配はありませんでした。(前回の試合から改善された点は)やっぱり先週は雨の影響があってBKSもボールが動かせなくてずっとFWDでやられていたんですが、今回は早大戦で1次攻撃でゲインできていなかったのでそこを修正してFWDもBKSも楽に出来るようにしました。(次の試合に向けて)来週は帝京大戦でFWD、BKS共に強いチームですが、自分達の出来ること、主にディフェンスをしっかりとやって僅差でいいので勝ちたいと思います。

 

NO8鹿児島

(今日の試合を振り返って)前半は勝っていたので、このままいければ勝てるかなと思っていたんですけど、僕が出てから点を取られてしまって厳しい戦いになってしまったんですけど、気持ちが強い方が勝つなと思ってやりました。(筑波大の印象は)Bksはタレント揃いなので個々の力が強く、慶大は体が小さいんですけど、相手1人を2人で対応したりして組織で守っていけばやれると思っていましたし、そういう場面が随所に出てたと思います。(ケガ明けということでしたが)何分から出るかとかは聞かされてはいなかったんですけど、去年僕が出場した筑波との対抗戦で負けてしまったので、その借りを返してやろうという気持ちでいきました。(自身のプレーで良かった点は)まだ復帰したばかりなのでまだまだなんですけど、とりあえず皆に迷惑をかけないようにやってたんで特に良かったプレーはなかったですけど、1、2本良いタックルがあったくらいですかね。(逆に改善点は)チームとしてのコミュニケーションはまだまだなので、キックのあとのチェイスとかその後のシステムの確認といったコミュニケーションがとれてない部分があったので、そこの意思疎通はしっかりやっていきたいです。(次の試合に向けて)次またJr.選手権に出れるかどうか分からないですけど、出れるのであれば、しっかり結果を残して対抗戦に出れるように、チームのためにも自分のためにも頑張りたいと思います。

 

WTB川原

(今日の試合を振り返って)なんとか勝てたことが一番の収穫だったと思います。Aチームで敗れた筑波大と、Bチームでの対戦でしたが)Aで負けたので今日はどうしても勝ちたかったです。Bチームはすごくいい雰囲気で、リザーブとして入らせてもらったんですけど、チームに貢献できてよかったです。(相手に逆転を許した場面での交代出場だったが)WTBなので、とりあえずトライをとろうと思いました。それが形にできてよかったです。(自身のプレーを振り返って)30分しか出ていなかったので、自分の中ではもっとできたかなと思います。それでもトライをとれたし、何回かタックルされてもしっかり立って味方が来るまで粘ることができたのがよかったです。(修正していきたい点は)今はタックルを中心に練習しているので、アタックじゃなくてディフェンスの面でしっかり活躍できたらいいなと思います。(次戦に向けて意気込みを)次も、こういったシーソーゲームでもしっかり制することができる強い慶應を見せたいと思います。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました