雲に覆われた熊谷で関東大学対抗戦、日体大戦が行われた。負ければ大学選手権出場が絶望的となる大事な一戦であったが慶大は落ち着いたプレーを見せる。前半では相手の得点をペナルティゴールの3点だけに抑え、オフェンスではFwdの働きもあり一挙32得点。立ち上がりの悪さを克服した慶大だったが後半は苦戦を強いられる。しかし魂のタックルで反撃を許さず42-13と勝利した。
関東大学対抗戦 VS日体大戦
11月11日(日)14:00K.O.@熊谷ラグビー場
得点 | ||||
慶大 | チーム | 日体大 | ||
前半 | 後半 | VS | 前半 | 後半 |
6 | 2 | T | 0 | 2 |
1 | 0 | G | 0 | 0 |
0 | 0 | PG | 1 | 0 |
0 | 0 | DG | 0 | 0 |
32 | 10 | 小計 | 3 | 10 |
42 | 合計 | 13 |
T=鹿児島2、三谷、渡辺祐、浦野、新甫、鈴木貴、遠藤
G=高田
出場選手 | ||
ポジション | ||
1.PR | 三谷俊介(総3・国学院久我山) | |
2.HO | 渡辺祐吉(経4・慶應) | →17.神谷哲平(総2・桐蔭学園) |
3.PR | 平野裕馬(環4・国学院久我山) | →16.青木周大(商2・慶應) |
4.LO | 佐藤大朗(総4・国立) | →18.遠藤洋介(環4・国学院久我山) |
5.LO | 山田亮介(環4・国学院久我山) | |
6.FL | 茂木俊和(理4・清真学園) | |
7.FL | 木原健裕(総2・本郷) | →19.森川翼(環2・桐蔭学園) |
8.NO8 | 鹿児島昌平(経4・慶應) | |
9.SH | 宮澤尚人(法2・慶應) | →20.猪狩有智(経3・慶應志木) |
10.SO | 木村亮平(商3・明善) | |
11.WTB | 瀧口晃太郎(文4・桐光学園) | →22.鈴木貴裕(経4・慶應) |
12.CTB | 高田英(経4・慶應志木) | |
13.CTB | 大石陽介(環3・修猷館) | →21.川原健太朗(環2・小倉) |
14.WTB | 新甫拓(経4・慶應) | |
15.FB | 浦野龍基(政2・慶應志木) |
前半は両者静かな立ち上がりを見せる。安定したブレイクダウンで日体大のゲインを許さない。慶大がボールをキープする時間が長く続いていく。試合が動いたのは5分、日体大のFwd陣に攻め込まれると簡単にペナルティゴールを決められてしまう。先制を許した慶大だったが8分、ゴール前22mで相手のペナルティを誘うと慶大がクイックリスタートで繰り出し、最後は鹿児島(経4)が倒れながらも手を伸ばしグラウンディング。5-3とすぐさま逆転する。そこから慶大はエンジンをかけ、13分には粘り強く展開し木村(商3)が相手をひきつけるフェイントをみせると右横の鹿児島にパス、またも鹿児島が決めた。ハンドリングミスも少なく安定した戦いを見せる慶大、ここから「展開してゲインを重ねていこうというプラン」(木村)のもと、得点を重ねていく。19分には三谷(総3)が、27分には渡辺副将(経4)が力強いトライを見せるなどFwdが大きな役割を果たし試合を優位に進めていく。しかしここまでキッカー高田(経4)が4連続でコンバージョンキックを失敗。全てが思うようにいったというわけではなかったが、着実に点差は開いた。30分、慶大ラインアウトから右へ持ち出すと展開を重ね新甫拓(経4)から浦野(政2)へとつなぎトライ。ここでは高田がきっちりとゴールを決める。終了間際にも新甫がトライを決め終わってみれば32-3。「たくさんトライを取れたことが収穫」(茂木)と満足のいく前半であった。
しかし後半は逆に日体大が流れをつかみ始める。序盤からペナルティが多く相手に勢いを与えてしまう。6分には自陣深くに攻め込まれこの日一番のピンチを迎えるもFwdを筆頭にタックルが低く決まりピンチを潜り抜けていく。しかし前半からの懸念であったブレイクダウンでの反則が後半に増え、15分には日体大の得意とするラインアウトからのモールでこの日初のトライを奪われてしまう。さらに26分、相手ボールスクラムから右へ展開されるとループを絡めた鮮やかなプレーでまたも日体大がトライを奪う。「声が出なくなり元気もなくなっていた」(茂木)と自滅からの失点。悪い流れが続いていくかに思われた。しかし慶大は心折らさずくらいついていく。31分、スクラムで慶大がターンオーバーに成功。そして途中出場の鈴木副将(経4)ががら空きだった大外に抜け出しトライ。依然としてペナルティが多い慶大。しかしセットプレーでは善戦し、そう簡単には流れを渡さない。徐々に流れを取り戻した慶大が39分にも得点し、結果的には42-13と快勝した。
格下相手といえども勝利したことは大きい。これで対抗戦2勝3敗と大学選手権出場に一歩近づいた。しかしまだ課題は多く、安心はできない。自分たちのミスから受けに回ってしまったことは改善の余地がある。「次の相手は宿敵、早稲田大学。早慶戦の舞台では少しのミスが大きなミスにもつながりうる。特別な一戦であるだけに絶対に負けられない。ライバルを倒すことで慶大が「陸の王者」に近づくのだ。
【ケイスポ的MOM】勝利を呼び込む気迫のプレー HO渡辺祐吉
副将としてチームを引っ張るHO渡辺。この日も体を張ったプレーで攻守にわたり活躍した。ディフェンス面ではボールをBksに供給しようとした相手SHを潰すなど持ち前のタックルが光った。一方、オフェンスでは前半26分、力強い中央突破でトライを演出するなど身体能力の高さをいかんなく発揮。Fwdをリードする渡辺の存在が次の早慶戦でも欠かせない。
(記事・宮本 大)
以下コメント
田中監督
(今日の試合を振りかえって)勝敗によって大学選手権の出場を左右する大事なゲームだったんですが、今まで負けた内容じたいは悪くなかったので成長は実感しています。でも負けた試合も自分達の力を全部出して負けたんじゃなくて、小さなパニックが大きなパニックに繋がったりなど自分達のミスで負けた試合もあるので、今日の試合で重視した点はまず平常心。自分達の力をしっかり出して戦いましょうということを意識しました。前半は決めごとを重視していい形で終わることができたとおもいます。しかし後半始まる前に言ったことがまず野澤さんが相手にコンタクトしに行くときに弱いアングルであたりにいってしまった、そこは強いアングルでいこうと。もうひとつはレフリーが初めてニュージーランドのひとで非常にブレイクダウンまわりのペナルティを多くとってくるということ。前半はブレイクダウンのときにゲートのオフサイドであったりとかノットリリースであったりとかオーバーザトップであったりその類いの反則が多くて、だからそこを気をつけて反則しないようにと出ていったんですけど、最初にブレイクダウン界隈で反則をしてしまったことで相手のペースになってしまったと。そこで相手の得意とするラインアウトからのモールで流れを失ってしまったことが苦戦の原因であったと思います。あとはゴール。あまりにも入らなさすぎる。8本中1本しか入っていない。これは大事な得点源で一点を争う勝負でこんなに外しているようでは話にならないのでキッカーは責任もって、あんなの誰にもプレッシャーかけられないのでキッカーには緊張感をもって練習させたいと思います。で、次の試合は早稲田で特別な一戦で、特別な力が出る試合でもあるので、全力で準備をして臨みたいと思います。(後半の頻繁な選手交替の意図はなにか)ある程度点差がついたこともあったので。でもがたんと戦力が落ちる選手起用は基本的にないので、ある程度選手を変えて経験を積ませるという意味でも意図的に替えたところはあります。もちろん悪かったことで替えた選手もいますけどより良い選手を入れる、そして経験を積ませるというてんで意図的に入れました。(早慶戦の意気込み)慶應義塾の体育会は早慶戦で勝利をおさめることを目標に存続しているといっても過言ではないので、やっぱり早稲田との一戦は特別なものになります。今までのせいせきでは早稲田さんのほうが有利だと言われますけど特別な一戦なので出来る限りの準備をして挑みたいと思います。
FL茂木主将
(振り返って)今までの試合とは少し違ったゲームプランで臨みました。前半から全力を出そう、ということで取り組みました。やっぱり前半得点も多く取れたのは良かったです。ですが、後半の入りも悪く、ペナルティも多く、前半と違うゲームになってしまったことは修正していきたいです。前半も精度が足りないので、もっと完璧にしたいです。(後半の失速の要因は)前半とちがって2人目の寄りが遅くなってしまいました。これは試合後に野沢HCから言われたことでした。僕が試合していて思ったこととしては、一番の違いはペナルティの多さだったと思います。中盤でペナルティをし、自陣に入られてディフェンスに回ることが多かったです。声も出なくなり元気もなくなっていってしまいました。自分たちでだめな方向に持っていってしまった気がします。(自身のプレーは)反則もしてしまいましたし、チームが沈んだところで鼓舞できるようなことができないといけなかったと思います。まだまだ僕自身は足りないな、と気づかされた試合でした。(モールで相手に押し込まれてしまうシーンもあったが)良い準備ができていなかったということが全てだと思います。日体大さんのモールが強い、というのは分析で出ていたことでした。帝京、早稲田、明治にも日体大さんはいいモールをくんでいたので、僕たちも警戒しなければいけないところでした。(収穫としては)前半たくさんトライをとれたこと、最初からエンジン全開で相手陣に攻めていけたこと、です。(早慶戦に向けて)早慶戦はビッグゲームで1年に1度しかないものです。もう4年になってしまった僕は最初で最後の早慶戦なので絶対勝ちたいです。良い準備をして臨みたいと思います。
HO渡辺副将
(今日の試合を振り返って)前半はやりたいことができたんですけど後半はしっかり自分のやりたいことができなかったので一試合貫徹してやりたかったなと思います。(立ち上がりの悪さが課題だったが今日はどうだったか)先に前半3点とられてしまったんですけどなかなかいい流れで進められたのではないかと思います。(後半悪かった原因)やはりBゾーンで自分達のやることが統一されていなかったことからミスがでてうけに回ってしまったことが原因だったと思います。(セットプレーのできは)細かいミスはあったんですけど全体的にはよかったのかなと思います。(良くできたところ)自分達のシェイプにたつことができたということが収穫ですね。(早慶戦にむけて)ぜったい勝ちます。修正して練習して雰囲気もつくって勝ちたいと思います。
WTB鈴木副将
(久しぶりの対抗戦出場となったが)残り20分弱の出場ということで、あまり時間は残されていなかったのですが、出るからには持ち味を発揮してチームの勝利に少しでも関わりたいなと思っていました。(どういうことを意識して出場したか)後半に入って流れが悪くなってしまって、チームに閉塞感というか、あまり上手くいっていなかったので、自分のプレーで流れを変えたいと思いました。積極的にボールを回してもらって、プレーしたいなと思いました。(膠着した状況を切り開くトライが生まれたが)今日は本当に、Fwdも優位に試合を進めていましたし、Bksも少しミスがありましたが、取り切ることができていたので、あそこは僕がトライを取りましたけど、僕が余っていただけなので。あれはチームとしてアタックをした結果で、たまたま僕がボールを持っていただけです。良いアタックができたのかなと思います。(手応えはつかんだか)チームとして前半は良いアタックできたんですけど、後半は流れが良くなかったですね。個人としては、時間が少なかったのであまり満足のいくプレーはできていないです。まだまだ精進していかなくてはと思います。(具体的な課題は)途中出場ということで、難しいこともあったのですが、チーム全体のコミュニケーションがまだまだ足りなくて。外から見た人間の考えと、接点の近くでプレーしている人間の考えがまだ統一できていないので、チーム全体で考えを統一するというコミュニケーションの部分をもっとしっかりやっていきたいです。(早慶戦に向けて)早稲田は他の大学とは違う、特別な思いがあります。勝ちたいです。まあ、スタメンで出られるかわかりませんけど、試合に出られたら自分の持っている力を出し切って持ち味を生かして、早稲田に勝ちたいと思います。
No.8鹿児島
(今日の試合を振り返って)勝てて嬉しいです。(今日の試合に向けての意気込み)帝京大戦、明大戦と前半に失点して苦しい展開になってしまいました。なので、前半で試合を決めたかったです。(ゲームプランについて)いつも通りボールを継続して我慢比べをするだけです。(自身のプレーについて)みんながきちんとボールを繋いでくれて、トライを取れました。(スクラムについて)問題なく安定して組めました。(後半について)中盤でペナルティが多く、自陣を取られてしまいました。(早慶戦に向けて)最後の早慶戦ですし、去年はリザーブで悔しい思いもしたので、リベンジをしたいですし、出られないひとの分まで頑張ります
SH宮澤
(試合を振り返って)今までの試合は前半の入りが良くなかったので、最初から相手を圧倒していこうと思っていたんですけど、最初に3点取られてしまったことは良くなかったです。そのあと前半はいい流れで得点を重ねられたので、そこはよかったことかなと思います。(今日の試合で意識した点は)Fwdをしっかり動かすということと、テンポを上げて慶應のアタックを作り出せるようにということは意識しました。(その出来は)よかったところもあったんですけど、まだワンテンポ捌きが遅かったところもあったのでそれは良くなかったです。(次の試合に向けて)早稲田は慶應として絶対に勝たなければいけない相手なので、もし自分が出る機会があれば勝利にこだわって、あと2週間頑張っていきたいと思います。SO木村
(試合を振り返って)今まで課題だった前半はすごくいい入りができてよかったです。けれど、後半もっと差を広げなければいけないところで、最初自分たちでペナルティを重ねてずっと自陣でプレーしてしまい、相手にトライを取られて差を広げることができなかったので、後半は課題が出たなと思います。(自身初の対抗戦出場だったが)初めてではあったんですけど、春とか夏とか今年はAチームでやらせてもらうことも多くて遠征なども結構行かせてもらっていたので、秩父宮でもなかったですし、特別緊張するということはなかったです。けど、ちょっと甘い部分は出たかなと思います。(ゲームプランは)今までのゲームはキック主体ということが多かったんですけど、今日は熊谷ということもあり風があまり強くなかったので、しっかり展開してゲインを重ねていこうというプランでした。前半は上手くいっていたんですけど、後半さすがにペナルティが多くて陣地が全くとれなくてプラン通りできなかったです。日体大さんの得点源としてはペナルティからモールというのが大半だと分かっていて、自分たちもそれは絶対気をつけようと言っていたのに、後半そんなに苦しくない状況でもペナルティを重ねてしまってずっと自陣に張り付けにされてしまったのでそれが原因かなと思います。(ディフェンスの出来は)特にBksは悪くなかったと思うんですけど、警戒していたモールとスクラムからのサインプレーで取られたトライは来るとわかっていたにもかかわらず止められなかったのでBksでしっかり反省しなければいけないなと思います。(次戦に向けて)僕は出られるか全くわからない状況なんですけど、出ることができるなら、早慶戦は伝統の一戦なので自分の100%を出し切りたいと思います。
SH猪狩
(途中出場となったが試合を振り返って)後半の途中から慶應のリズムが悪くなったので出るにあたってテンポと空気を変えようと思って出ました。(久しぶりの対抗戦でしたが)いつも通りにできて、堅くならずにできたので良かったです。(雨の影響はありましたか)そんなには気にならなかったです。(Fwdへの指示などはどうだったか)まだAチームでそんなにやっていないので、まだまだ合わせないといけないんですがこの試合ではうまくコミュニケーションを取れてできました。(課題や収穫はありましたか)もう少しFwdをSHがコントロールするのとSHとSOがもっとコミュニケーション取ってゲームメークをもっと上手くやっていきたいです。(Aチームのスタメンに向けて)チャンスはなかなかないとは思うんですが、少ないチャンスを生かして9番を取りたいと思います。(次の早慶戦に向けて)早慶戦は理屈ではないので全力で戦いたいと思います。
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