第4回全日本ラクロス大学選手権大会 決勝 VS京大
2012/11/25 11:30F.O
チーム | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 計 |
慶大 | 0 | 5 | 1 | 1 | 7 |
京大 | 1 | 2 | 1 | 1 | 5 |
日本一をかけた大一番。大観衆に見守られる中始まったこの試合、両チーム決勝の名に恥じぬ好勝負を演じて見せた。
試合は京大ペースで幕を開ける。「個人の能力が高い」(加藤亮平・経4)京大攻撃陣に手を焼き、攻め込まれる時間帯が続く。9分2人のマンダウンを取られピンチを迎えるが、ここは守備陣が体を張ったディフェンスで何とか阻止。しかし、その直後均衡を破られてしまう。10分、クリース前に素早いフィードを通されるとそのまま冷静に流し込まれ先制を喫する。先手を取られ、攻撃に転じたい慶大だったが、その後も攻撃が中々噛み合わない。敵陣に攻め込んでも、コンビネーションが合わず効果的な攻撃を繰り出すことができない苦しい時間帯が続く。中々調子の上がらない攻撃陣に対して、効果的な動きを見せていたのが廣田裕次郎副将(商4)、岡本遼也(経3)を中心とする守備陣だ。京大に押し込まれる中でも、集中したディフェンスを披露。クリース前を固め、相手に無理やりシュートを打たせ決定的なチャンスを作らせない。守備陣の活躍もあり、1Qは何とか失点を1点で抑え2Qを迎える。
続く2Qで、試合は大きく動く。1Q良いところのあまり無かった攻撃陣だったが、慶大らしい前線での素早いパス回しから息を吹き返し始める。1分、粟田隆弘(経4)がクリース正面から思い切り振り抜き先制に成功すると、5分にもクリース裏からのフィードに脇坂俊輝(経2)が合わせ逆転に成功する。
さらに守っても、中盤の選手たちの激しいチェックが機能。多くのシュートを浴びた1Qとはうって変わって、京大にチャンスを作らせない。攻守が機能し慶大ペースで進むこのQ、締めくくったのはやはり田中篤志副将(政4)だった。19分加藤がクリース右でボールを受けるとフェイントで相手をかわし田中へパス。この日まだノーゴールだった慶大のエースは、ボールを受けると素早く振り抜き得点を挙げた。このQ一挙5点を挙げた慶大は、2点リードで後半を迎える。
2Qの勢いのまま試合をコントロールしたい慶大だったが、京大の攻撃陣が再び牙をむき始める。5分、左サイドを破られ失点を喫するとその後もピンチが続く。そうした中で立ちはだかったのが、このQからゴーリーに入った若き守護神安藤圭祐(商2)だ。10分、12分と至近距離でのシュートを浴びるがこれをしっかりとキャッチ。持ち前の攻撃参加だけでなく、セービングでも安藤が魅せる。
さらに、16分京大に攻め込まれボールは、クロスからこぼれピッチへ。このグラウンドボールを拾われれば、大ピンチを迎えるという場面で廣田が魅せる。相川を欠く中、選手たちを鼓舞し続けてきた副将は、体を張ってグラウンドボールを死守。安藤、廣田ら守備陣が活躍を見せていく。5-4で3Qも残り1分を切り、そのまま終わるかと思われたが、Q終了間際加藤が得点を挙げる。クリース右でボールを受けると、そのまま独りで3人をかわしシュート。加藤の華麗なゴールでリードを広げた慶大は、6-4と2点のリードで最終Qを迎える。
学生王者まで残り20分。観客席のボルテージも最高潮に達する中、両チーム一進一退の攻防を見せていく。3Qから続いてゴーリーに入った安藤がセーブを見せれば、10分田中がカットインシュート。角度のないところからのシュートは惜しくも枠を外れるが慶大が2点のリードを保ったまま試合は終盤を迎える。残り4分で2点差。まだ勝負の行方が分からないという中、決定的なゴールを決めたのは2年生脇坂だった。クリース裏でボールを受けた脇坂は、そのままクリース右へ侵入。敵のチェックをかわし強引に放ったシュートは、その差を3点に広げる決定的なシュートとなった。終了間際に1点を返されるも、試合はそのまま終了。7-5で勝利を飾り、見事「学生王者」の栄冠に輝いた。
チーム始動以来「日本一」へチーム一丸となって練習してきた。3年間果たすことの出来なかった「日本一」になるために。東大、早大といった強豪を前に敗退を余儀なくされ、傷つけられた王者としての誇りを取り戻すために。そして最後は、怪我のため欠場した相川のために。こうした想いがついに結実した瞬間がまさにこの優勝だった。終了後、観衆、選手たちが一体となって歌った若き血。今年何度も歌ってきたこの歌も、この時の盛り上がりにはかなわなかった。
とはいえ、「自分たちが目指しているのは学生日本一ではなく日本一」(田中副将)。だからこそ学生日本一になったことに対しても、「満たされるはずもない」(相川主将)。彼らの視線の先には、すでに次の戦いが見えているのだ。次なる戦いは、12月9日から始まる全日本選手権。彼らの「日本一」への物語もいよいよクライマックスを迎えようとしている。
(記事 石塚大樹)
※コーチ・選手コメントは後日掲載いたします
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