5月12日、有明テニスの森公園で最終日を迎えた関東学生トーナメント大会。その女子ダブルス決勝戦には前回大会で準優勝を果たした慶大ペアが戻ってきた。慶大不動のエースダブルス、池田(環2)・西本(総2)だ。その対戦相手は早大主将・長谷川と二年のエース吉冨。互いに絶対負けられない戦いはフルセットにもつれこんだが、混戦の中で自分達のプレーを取り戻した慶大ペアが栄光の関東女王の座に輝いた。
2013/05/12 関東学生トーナメント大会@有明テニスの森公園
女子ダブルス決勝
選手名 | スコア | 選手名 |
池田玲(環2)西本恵(総2) | ○6-3,6(8)-7,6-2 | 長谷川茉美吉冨愛子(早大) |
試合開始後、先にリードを築いたのは早大だった。強打と俊敏なネットプレーを武器に「ガンガン攻めてくる相手」(池田)にブレークを許すと、ゲームカウント1-3とされビハインドを背負った慶大ペア。しかし二人に焦りの色は無かった。西本のサービスゲームをキープすると、リターンゲームでは速いラリーでネットプレーを封じ、ブレーク成功。続くサービスゲームではダブルフォルトなど珍しくイージーミスが見られ本領発揮にはほど遠いものの、それでも徐々に二人のコンビネーションが顔を出し、リードを積み上げていく。ミスの出始めた相手とは対照的に波に乗った慶大ペアは、西本がファーストサーブをきっちり入れ、甘くなった相手のリターンを池田がポーチで叩くという完璧な形で逆転を果たし、その後は相手に流れを譲らず6-3で第一セットを先取した。
このままの勢いで連取したい慶大だったが、ここで体制を立て直した早大ペアの猛攻にあい、第一セット同様序盤から大幅なリードを許す。攻撃がかみ合わない慶大ペアを尻目に勢いと精度を増した早大ペアは思い通りのプレーでリードを広げ、あっという間にゲームカウントは1-5に。いまや試合は完全に相手ペース。どこに打っても前衛に絡め取られるという逆境に活路はないように思われた。しかし二人はあくまで「自分たちのプレー」(西本)をした。ボレーでの失点はボレーで取り返す。ストロークで振られたら相手がミスを出すまでロブを上げ続ける。プレッシャーのかかるポイントを一つ一つこなしていくうち、慶大ペアはいつも通りの豪快な振り抜きを、自分たちのペースを取り戻していた。驚異の追い上げで5ゲームを連取すると、1ゲームを返されタイブレークとなり惜しくもこのセットを奪われたが、ファイナルセットへ続く雰囲気は決して悪くはない。自信に満ちた表情で運命の第三セットに臨む。
その第一ゲームを難なくサービスキープすると、次のリターンゲームでも三度のブレークポイントを握るが、この場は惜しくも逃げられてしまう。しかし池田のサービスでここにきてのラブゲームキープに成功するなど、二人の勢いを遮るものはもう何もない。ゲームカウント3-2まで粘る相手を重いストロークで押してブレークし、そこから怒涛の3ゲーム連取。続く第8ゲームでは池田がサーブをスライスで受けながらネットダッシュを図るなどあらゆる攻撃の形が決まり、慶大ペアの優勢は火を見るより明らかとなった。そしてついに訪れた二度目のマッチポイント。相手コートに突き刺さった力強いリターンが新女王の誕生を告げた。
快晴の春空のもと長丁場となった決勝戦。プレッシャーからか立ち上がりの慶大ペアの動きはややぎこちなく、硬さも見られた。そういった「隙をなくしていけばもっともっと楽に勝つことができた」(池田)のは間違いない。だが激戦の末掴んだ春のタイトルは、この荒削りな若いペアが揺るぎない強さを持っていることを証明してくれた。彼女たちが次に狙う快挙は一週間後に控えた早慶戦での勝利だ。「今年こそは勝つという気持ち」(西本)がその胸に燃えている。新関東女王の誇りと共に、大志を抱く慶大庭球部のエースたちが次の目標へと歩み出す。
(写真・文 伊藤明日香)
◆選手コメント
(今日の試合を振り返って)
西本 前半相手が強気で攻めてきたので、その部分にちょっと傾きかけたところはあったんですけど、後半は自分たちのプレーができたので今日勝つことができたんだと思います。池田 同じことですけど、ガンガン攻めてくる相手で、それに対して自分たちが引いたとはいかないまでも、立ち向かいにいけなかった部分があったので、そういう隙をなくしていけばもっともっと楽に勝つことができたと思うんですけど、そういう部分はこれから目指していければと思います。
(今季これからの試合に向けて)
西本 一週間後に早慶戦が迫っていて、やっぱり今年は二年目なので、「いい試合をした」で終わるのではなくて、「勝つ」ことですね。今までは負けていましたが今年こそは勝つという気持ちでやっていきたいと思います。 池田 やっぱり早稲田なのでそんなに簡単に勝てないとは思うんですけど、とにかく自分たちの力を出し切って勝ちにいきたいと思います。
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