自身最高の３位にも、最初は賞状を逆さに持ち放心状態だった志賀主将。ダブルスでの優勝に期待！！
8月19日から行われている全日本学生選手権で、残すところ二日となった25日にも慶大選手が熱い戦いを繰り広げた。シングルス準決勝まで登りつめた志賀主将(政4=秀明八千代高)は早大主将・遠藤と対戦。またダブルスでも近藤(環3=湘南工科大附属高)と組んで準決勝に登場。最後の岐阜に慶大主将の雄姿を焼き付けた。
2013/08/25 全日本学生選手権大会＠岐阜メモリアルセンター
試合結果
シングルス準決勝
●志賀正人2-6,4-6遠藤豪(早大)
ダブルス準決勝
○志賀・近藤7-5,6-4古田・今井(早大)
慶大主将として、また卒業後プロの道を選んだ者として負けられない戦いだった。4年目にして初めて準決勝に進出した志賀主将。その相手は因縁のライバルであり早大主将の遠藤だ。さかのぼれば二人にとって最初の春の早慶戦でもフルセットを戦った。負け越している相手に借りを返すため、舞台は整った。しかし、4年間の経験と実力をもってしてもなお、その背中は遠かった。
ここまでシングルス4試合中3試合でフルセットを戦い抜いてきた志賀にとって、体力の消耗も行く手を阻んでいた。互いにエースを奪いながらも、ミスを抑えきれなかった志賀ら序盤から1-3と追う展開になる。サービスキープに失敗すると、リターンゲームでもチャンスのスマッシュをミス。持ち前の低いストロークもネットの白帯に嫌われ、スライスでも決まらない。攻めあぐねて第1セットを2-6で落としてしまった。
もう後がない第2セット、志賀は相手に食らいついた。緩やかなラリーで駆け引きに出ると、そこから相手の逆をついてエース。ラリーで振り回してもミスを出さない相手に苦戦しながらも、なんとかサービスゲームを守ってゲームカウント4-4まで持ちこたえた。しかしここでピンと張り続けていた集中の糸が解けた。ライン際を狙ったボールがことごとくアウトになると、ファーストサーブの確率も下がり、ついに痛恨のキープ失敗。背水の陣でリターンゲームに臨むも、3本目のマッチポイントで渾身のストレートが無情にもアウトの判定となり、志賀のインカレシングルスはここで幕を閉じた。
ダブルスでは冷静にストロークで攻めた志賀
志賀は、今年の春の早慶戦ではフルセットで田川を破っており、勢いさえあればもう一人の宿敵も破れるのではないかと思われた。しかし、インカレ序盤からノーマークの相手に粘られて消耗した体では倒せる相手ではなかった。4年間日本一だけを見据えて突き進んできただけに、ベスト4という過去最高の成績にも笑顔はない。しかしインカレはまだ終わってはいない。自身とチームの目標のために、心を切り替えてダブルスの準決勝に臨んだ。
近藤とハイタッチを交わすその表情に、影は見られなかった。こちらもやはり因縁の相手である古田・今井(早大)との準決勝。試合は序盤から慶大が圧倒した。まずは近藤が爆発力のあるサーブでキープに成功すると、リターンゲームでは志賀が冷静なストロークを何度もぶつけ、ブレークにも成功。1ブレークアップで5-2まで引き離した。しかしここから早大ペアが驚異の追い上げを見せる。5-5まで追いつかれるとコートに緊張が走った。それでも二人は動揺を見せない。まずは冷静にサービスキープすると、その勢いのまま次もブレーク成功。相手の粘りを断ち切って第1セットをものにした。
得意の強打でダブルスを勢いづけた近藤
第2セットに入っても、二人の攻撃は衰えるどころか、さらに勢いを増した。二人がほぼ直線上に並ぶＩフォーメーションを取ると、三回戦の法大戦では狙われたストレートも志賀の俊足できっちりケア。ネット前中央に陣取った近藤がボレーにスマッシュに大暴れし、リードを保ったまま5-4のリターンゲームを迎えた。しかしここにくるまでには早大ペアも態勢を立て直し、ラリーは互いに陣形を崩す激しい打ち合いとなる。その中でも志賀の鋭いコースが光り、ついに二度目のマッチポイントで早大ペアをストレートに討ち取った。
これで優勝まであと一試合。その相手はやはり遠藤・田川(早大)だ。この組み合わせは春の早慶戦、関東学生トーナメント決勝に続く3度目となるが、やはり負け越している。奇しくもインカレ決勝は志賀・近藤どちらにとっても初めての大舞台だ。ここで緊張やプレッシャーをはね返し、もてる力を出し切れるか。運命の決勝戦に熱い視線が注がれる。
(記事 伊藤明日香)
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