いよいよ12月がやってきた。12月21〜23日、さいたまスーパーアリーナにて第82回全日本フィギュアスケート選手権大会が開催される。慶大スケート部フィギュア部門の近藤琢哉主将(商4)は、11月2〜4日に行われた東日本選手権で熾烈な戦いを勝ち抜き、見事全日本への出場権を獲得。この度ケイスポでは、そんな近藤選手にお話しを伺った。日頃の練習について、プライベートについて…試合中の取材だけでは知ることのできないさまざまな一面を、存分に見せていただいた。(全3回)
第1回では、近藤選手に今季全体を振り返っていただいた様子を掲載する。※このインタビューは、11月8日に行われたものです。
お話を伺ったのは、東日本選手権から4日経過した日の昼下がり。昼間の練習を終えられた直後だった。
「練習時間が倍増しました」
-練習お疲れさまでございました。今日の練習はいかがでしたか。
「今日は朝に練習をやって、お昼に2つ目の練習をやりました。朝はずっと基礎的なスケーティングをいつもやっていて、お昼は逆にジャンプだけをやっています。」
―いつもそのような感じで練習されているのですか。
「そうですね。朝やって、お昼やって、夜やってという感じです。今日もこれからまた夜練習です。」
―では、まず今季についてお聞きします。東日本選手権を終え、今季を全体的に振り返ってみていかがですか。
「まだ試合を数多くこなしたわけではないんですけど、去年と比べたら格段に良くなったと思います。」
―去年より良くなった理由は何ですか。
「まずはやっぱり練習の仕方を変えたというのが一番大きいと思います。具体的には、今までは神宮のリンクだけでやっていたんですけど、今は新横浜にも通っています。練習時間が倍増しました。その中でも、今まではあまりスケーティングの練習という基礎的な時間がなかったんですけど、今は朝ちゃんと確保できていいるので、それがやっぱり大きいと思います。」
―朝は何時から練習されているのですか。
「6時です。」
―毎朝早起きされているんですね。
「そうですね。毎朝4時半とかに起きています。」
―夜は何時まで練習されているのですか。
「夜は一番遅くても10時半までです。」
―それから就寝、という感じですか。
「はい、すぐに寝ます(笑)。」
「危機感をもって早くから準備できたので、それは去年行けなかったけがの功名というのはあるかも知れない」
―では、今季のプログラムについてお聞きします。ショートプログラム『ルパン三世』のポイントを教えてください。
「これは前にも使ったプログラムで、あまり振り付けは正直変えていません。以前は奇をてらったわけではありませんが、そういう物珍しさでちょっと注目されたらな、というのがありました。だけど今回はそういうのではなくて、しっかり自分のスケートの良くなったところとか、本当の技術で勝負できたらなと思っています。そこが前より見どころになっているかなと思います。」
―ショートプログラム『ルパン三世』の明るいイメージとは対照的に、フリースケーティング『ドラゴン』は壮大なイメージがありますね。フリースケーティングのポイントを教えてください。
「あの曲はもともと、エルビス・ストイコというカナダの選手が使っていて、オリンピックでも名プログラムみたいなふうに語り継がれるような曲です。実はこの曲も高校生のときに使っていて、初心を忘れない、みたいな気持ちでもう一回使いました。フリーは、ステップだとか盛り上がりが後半あるので、そこでしっかり体力を保ってできたらなと思います。」
―近藤選手の衣装にはいつも個性があって、リンクで映えますね。衣装で心がけていることはありますか。
「気を付けていることは、中性的な衣装を着る人が結構多いんですけど、ちょっとそれは僕には似合わないかなと思うので、そうならないようにしています。あとはデザインとかは自分でいつも絵を描いて、細かくこういうふうにしてくださいとお願いしています。」
―今季、フリースケーティングでは2種類の衣装を着ていらっしゃっていましたが、全日本選手権ではどちらを着るかもう決められていますか。
「はい、グレーのほうでやるつもりです。赤いほうは不評で、ちょっと自信を失いました(笑)。」
―全日本選手権への出場権を獲得するのはただでさえ大変なことかと思いますが、今年は例年にも増して過酷な出場枠争いとなりました。
「全日本選手権というのは、僕が大学1年生のときやそれ以前は、わりと練習していれば行けるものだと思っていました。そこで慢心があったわけではないんですけど、今より確実にハードルは低かったです。ただ去年はそれでも行けなくて、ある意味自分の中でスイッチが入りました。今年は、(東日本選手権の出場者14名のうち)5枠という狭き門だったんですけど、危機感をもって早くから準備できたので、それは去年行けなかったけがの功名というのはあるかも知れないです。」
―そんな狭き門をくぐり抜かれてから4日。今の心境はいかがですか。
「東日本のときは、どうしても全日本に行かないといけないとか、他の人と比べて自分はこういう技を絶対に外してはいけないとか、ちょっと追い込まれるような部分がありました。ネガティブなモチベーションというか。でも全日本はそういうのではなくて、どういう演技をしても全日本で終わりなので、ある意味攻めて、のびのびやれたらなと思います。言い方は悪いんですけど、すごく楽しめるように必死でやります。」
第2回へとつづく。
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