最終回となる第3回では、間もなく開幕する2014年シーズンについて語っていただいた。打倒早大・団体日本一へ、そして監督が部員に求める人間像とは―。
―今季についてお伺いしますが、新チームの印象は
「男子に関しては主力が新4年生に集まっていて、女子に関しては今のところ藤岡だけですけど、男女共に主力選手たちが新4年生にいるので、そういった面では今年彼らが最上級生になってどういう活躍をするのか楽しみで、新4年生が鍵を握っていると思います。最上級生になってどういうチームを作りたいのか、戦力も層の厚さとかありますけど引っ張るのは4年生なので、4年生が鍵だと思います。」
―その中で男子は団体戦出場経験の無い碓井選手(政3)が新主将に就任しました
「碓井は全日本学連の仕事をしていたんですね。リーダーシップもあって将来は理事長になれるぐらいの人間であったというのが前提で、テニスの強さでいえば同学年の中でナンバー1ではないんですよ。ただ、僕は昨年を見ていて女子の青木前主将もナンバー1ではなかったですし、必ずしもテニスの実力が一番あるから主将になるというわけでなくて、実力とリーダーシップを兼ね備えていればベストですけど、チームをどうやって引っ張っていくかというリーダーシップが主将には必要でそれをできるのが碓井だったと。学連の方でもリーダーシップを早くから発揮していたので、そこをチームに発揮してほしいという思いで主将に指名しました。近年そういうチーム作りをしてきたので、(出場経験の無い選手を主将にすることは)英断だということはないんですよ。先程から話しているように、僕らは勝つためにトップ選手だけに焦点を絞ってやっているわけではなくて、どういう人間を創りたいかというところで主将が理想に近い人間でないとだめなわけで、元々碓井は学連でリーダーシップを発揮してやってきていたので、それは彼(碓井選手)にとってもアドバンテージだったと思います。」
―目標とする『日本一』には早大が大きな壁となってきますが、現時点での慶大と早大の差は
「早大も何年も続けて日本一になっていて日本一になるためのノウハウや執念はあると思うんですよ。それに加えて今までは戦力差が圧倒的に違ったんですね。それが基盤にあって執念やノウハウがあったと思うんですけど、近年その戦力差という基盤がかなり無くなってきていると思います。戦力差の基盤が無くなってきた次は何かと言えばその執念やノウハウを今着実に伸ばしているので、戦力差については僕らがどうしようにもないことだったんですけど、今薄れてきているというのはチャンスだと思います。」
―つまり早大を倒すには技術面以外の要素が大事になってくるか
「そうですね。それは今まで秘訣があったというわけではなくて、ずっと戦力差が埋められなかったのでね。それが無くなってきているというのはつまり我々は戦力を言い訳にできないということになるんですよ。だからここまで築いてきたノウハウや自分たちの執念をどうやって自分たちで信じてさらに築いていけるかというところで、何も大きく変わるものはないと思っています。」
―そうなると昨年の秋季リーグで早大を倒したという目に見える結果が出たが
「彼らにとっては自信になったと思いますね。早大との差は縮まってきたという話はずっとしてきて、本人たちはできるという部分と疑う部分という両面を抱えながらやってきたんですけど、実際に破ることができて女子もあと1ポイントというところまできていて、(相手は)同じ学生で同じ人間だからもうできないはずはないと、そういうところまで学生たちはきています。」
―今年監督が特に期待している選手は
「女子については西本(総2)ですね。上級生になって新たに目標を高めないといけないので、どういう目標設定を本人がするのかがポイントだと思います。男子は高田(環2)ですね。高田が昨年大城(早大)に勝って、今年早大のナンバー1になる選手を倒したわけですから。今まで早大のナンバー1の選手を倒せていなかったので、高田に限らず近藤(環3)や谷本(環2)、渡邉(将)(総2)、矢野(環3)といった選手たちも早大のナンバー1の選手を誰が倒すのか、それが鍵となる選手だと思います。高田だけ突出しているわけではないので、皆にチャンスがあると思います。高田ができるということは他の選手もできるということだから、皆に期待しています。」
―新1年生については
「皆良い選手ですよ。ものすごい期待しています。ただ1年生で単複両方というのは大変だと思うんですけど、これからのチームを支えていく選手になると思います。高校時代の成績が全国優勝というわけではないですが、皆気持ちが強くて今チームが目指している方向性に合っている選手たちだと思います。」
―新4年生に期待していることは
「新4年生はこれからチームとして今まで先輩方が築いてくれたノウハウや執念を体現してほしいと思っています。」
―今季の意気込みを
「毎年毎年着実に前進してきたので僕は今年力んで臨んでいなくて、学生たちを信じて今の学生たちなら男女共に全国優勝できる力が付いてきているし、それだけではなくてチャレンジャー大会を通じてとか学生生活を通じて今の社会に求められているものを見極める学生になってほしいというのが一番ですね。その中での全国優勝や自分の目標設定や限界を乗り越える選手たちが出てきてほしいです。結果は後からついてくるものだと思っているので。」
取材にご協力いただいた坂井監督・庭球部の皆様、ありがとうございました。
より一層のご活躍を心より期待しております!
(取材 飯田駿斗)
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