◆関東学生新進テニス選手権大会
2014/2/28-3/10
慶應義塾大学日吉キャンパス蝮谷コート他
谷本真人
1R 大塚(専大)6-2、6-2
2R 上村(駒大)6-3、6-2
3R 及川(日大)6-3、6-2
4R 熊倉(明大)5-7、6-4、6-1
SF 小堀(早大)7-6(5)、1-6、6-4
F 堀切(日大)6-1、6-1
安形玲耶
1R 金子(立大)7-6(4)、6-2
2R 吉野(東洋英和女学院大)6-3、6-3
3R 浅野(駒大)1-6、6-4、6-0
4R 池田(慶大)6-3、2-6、6-4
SF 小林(慶大)6-2、6-2
F 清水(専大)6-2、7-5
その他慶大選手結果
【男子シングルス】
ベスト16・・・小畑浩章
ベスト32・・・矢野隆志
ベスト64・・・井上善文、樋口主馬
【女子シングルス】
ベスト4・・・・小林夏実
ベスト8・・・・池田玲
ベスト32・・・秋元玲乃
ベスト64・・・今橋真優、篠田美里
【男子ダブルス】
ベスト16・・・権大亮・野田哲平組
【女子ダブルス】
ベスト16・・・秋元玲乃・今橋真優組
ベスト32・・・篠田美里・小林夏実組
(本選結果のみ掲載) 決勝に進むまでの道のりは対照的なものだった。今大会第1シードの肩書がついた谷本はその肩書のプレッシャーに苦しめられる。3回戦までは順当にストレート勝ちをおさめるも、続く2試合は熊倉(明大)・小堀(早大)といった実力者に大接戦を強いられる。一方の安形は「大会前は調子が良くなかった」(安形)ものの、二次予選をストレートで勝ち抜ける。さらに本選では2回戦で第2シードを撃破し、池田玲(環2・富士見丘高)・小林夏実(環1・秀明八千代高)との慶大対決を制し決勝に駒を進めた。
迎えた決勝戦。先に勢いに乗ったのは谷本だった。最初の3ゲームこそミスが相次ぎブレーク合戦となったものの、それ以降は安定したバックハンド、攻撃的なフォアハンドとネットプレーで次々ポイントを重ねていく。「しつこいプレーと攻めのスタイル」(谷本)で相手を全く寄せ付けないまま6-1で第1セットを奪うと、第2セットもその勢いは衰えなかった。2つのブレークを奪ってリードを広げると、最後は相手のショットがサイドを割り、谷本が圧勝で頂点に登り詰めた。
対照的に安形は我慢比べの展開が続いた。清水(専大)の粘り強くミスの少ないプレーに対し安形が果敢に攻め込むという構図で進む試合。第1セットは終盤に清水のサーブが乱れ安形がセットを奪うと、第2セットもその勢いのまま3-0とリードを奪う。しかし、優勝が近付いたことへのプレッシャーからか「気持ちの面で自分を立て直すことができなく」なり、さらに後の無い清水が反撃に転じ4-5とセットダウン寸前まで追い込まれた。そんな安形を救ったのが部員やOBの応援だった。この日の会場は慶大蝮谷テニスコート。部員はもちろん多くのOB・OG達が決勝を戦う2人に声援を送り続けた。応援を力にかえ息を吹き返した安形は再び攻めの姿勢でポイントを奪い返す。最後は3ゲームを連取し7-5で逆転勝利。この瞬間、慶大から男女シングルスのチャンピオンが生まれた。
もちろん2人の実力で勝ち取った優勝だったが、この優勝は慶大庭球部全体で勝ち取ったと言っても過言でない。「勝つための言葉をアドバイスとしてかけてくれる」(谷本)、「一つ一つの掛け言葉や拍手が自分の力になっていた」(安形)部員やOB・OGたちの存在、日々切磋琢磨し合ったライバルであり仲間である部員たちの存在なくしては2人の優勝は果たせなかっただろう。「チームとしてどうやってチャンピオンを出すかということを深く追求してきた」(坂井利彰監督)、その成果がいきなり開幕戦で実を結んだ。 さらに今大会では内部校出身者の活躍も光った。慶應義塾高出身者の3人(井上善文(経3)、樋口主馬(経2)、小畑浩章(商1))、慶應義塾女子高出身者の篠田美里(経3)の4人が本選に出場。特に小畑はシードを倒し初の関東本選で上位に進出した。監督が切望していた一貫教育校の強化が少しずつ結果として表れてきた証だ。 約1ヶ月半後にはインカレの予選となる関東学生テニストーナメント(春関)が開幕する。そこには今大会出場を免除されている昨年の関東ランク上位20人が登場する。他大学のライバルを倒し、インカレ出場者を1人でも多く輩出するために――慶大庭球部の日本一への挑戦が始まった。
(記事 飯田駿斗)
【チャンピオンスピーチ】
谷本真人(環2・名古屋高)
「はじめに、この大会を開催してくださった関東学生テニス連盟様、悪天候の中長い間ありがとうございました。また協賛してくださった各スポンサーの方々、コートを提供してくださった各大学の皆様、本当にありがとうございました。この大会に向けて第1シードということで色々なプレッシャーがあり、自分のプレーができないこともありましたが、その中でいつも後ろに応援の多くの方々がいてくれたおかげで何とか踏ん張ってこの決勝まで辿り着くことができました。今日は自分のプレーが出せてこの結果に素直に満足しています。またこれから春関等々シーズンが始まっていき、この大会で優勝してポイントを獲得することができたので、シードも上にいくのでこれから結果が出せるように頑張ります。ありがとうございました。」
安形玲耶(環1・城南学園高) 「予選期間から今日までいつも応援していただいた慶應の皆さん、本当にありがとうございました。私は予選からの出場で一戦一戦勝ち上がることを目標にしていて、そして今日優勝することができて本当に嬉しく思います。今日決勝で戦った清水さんはチームメイトが(応援に来て)いない中、一人でガッツあふれるプレーで見習う点が多くあり、戦っていてすごく刺激される部分もありました。今日も風が強い中朝からプラクティスをしていただいた藤岡さんをはじめ、慶應の皆さん応援ありがとうございました。最後になりましたが今大会に協賛していただいた各社の皆様、そして関東学生テニス連盟の皆様、長い期間ありがとうございました。これからもよろしくお願い致します。」
【インタビュー】
坂井利彰監督
―男女シングルスアベック優勝という結果について 「昨年の新進では高田が男子シングルスの決勝で負けて、坂元・藤岡が女子ダブルスの決勝で負けていたので、今年はタイトルを獲ろうということをすごく意識して新しい代になって取り組んでいました。藤岡主将、碓井主将の下でタイトルを獲ったということは、もちろん谷本や安形の個人の力もあるけれど、チームとしてどうやってチャンピオンを出すかということを深く追求してきたので、そこの成果が出たということはチャンピオンになるためのプロセスを皆で共有できたことが大きな収穫だと思います。」
―今までと比べてシングルスで良い結果が出たことは 「ダブルスでは着実に結果が出てきているので、シングルスで何としてでもタイトルを獲りたいという気持ちでやってきました。そういう意味では狙って獲ったということなので、その収穫は大きいですね。」
―一方でダブルスでは結果が思わしくなかったが 「そこは新1年生も絡んでくるし、権・野田組や秋元・今橋組にも頑張って欲しかったんですけど、仕方ないかなと思っています。」
―今大会は内部生の活躍も目立ったが 「女子高出身の篠田、また(塾高出身の)小畑、樋口が予選を勝ち上がったということで、Bチームから予選を勝ち上がったというのは本当に久しぶりのことなので、特に樋口が予選を上がったというのは、高校時代には勝てなかった相手に勝てるようになるというのがすごく重要なことだし、皆それぞれのレベルで勝てなかった相手に勝つというチャレンジをしていますのですごい収穫でしたし、小畑もインターハイのダブルスで優勝している諱くんにファイナルセット6-7までいっているということは、これからが勝負だと。そこまではやれる力がついてきているのだというメッセージだと思います。」
―シーズンに入るにあたって他大学の結果はどうとらえているか 「早大、法大、明大、山学大、専大といったチームについては新進でもしっかり勝ち上がってくるので、層が厚いなと印象を受けています。」
―特に明大の躍進が目立ったが 「諱くん(シングルスベスト4)や西脇くん(同ベスト8)、片山・内田組(同ダブルス準優勝)は全国で結果を残してきた選手たちなので、明治は本当に良い選手が揃っていますし層の厚さではまた自分たちは足りない部分があるので、そういった選手たちに春関やインカレでどう勝っていくのか、我々の挑戦だと思います。」
―春関に向けて 「新1年生がどう予選をクリアして本選で勝ち上がっていくのか、まず関東学生の単複の数を増やしたいということと、それと並行してインカレに出場する選手の数も増やしたいです。さらにいうと、新進でタイトルを獲りましたので春関でタイトルを獲るというのが昨年の志賀前主将、青木前主将の残してくれたメッセージで、団体戦で勝つには個人戦でしっかり結果を残してタイトルを獲る選手がいないと勝てないということを残してくれたので、そこを結果として残していきたいです。そのためのきめ細かい準備をしてきているので、後は正しいプロセスをしっかり継続して試合で実行し、そのプロセスの途中でチャンピオンになるんだという明確なビジョンと必要なことを貫く執念を学生たちには持って欲しいし、それができるだけのものが身についていると確信しています。」
谷本
―今の率直な気持ちを聞かせてください 「大学に入ってから初のタイトルということでそれに対して素直に嬉しく思っています。この新進は上につながらない大会で上位20人が出ていないということもありますし、目標としているのがここじゃなかったというのもあるので、これからこの優勝に満足せず精進して練習して自分のテニスを強くすることを意識して、もっと上のステージで戦えるようにやっていきたいと思います。」
―決勝戦を振り返って 「準々決勝、準決勝の内容がひどくて今日に向けて色々考えていて、やっと自分のテニスができたと思っています。自分のしつこいプレーと攻めのスタイルをこの大会を通じて貫けたことが今日の6-1、6-1というスコアにつながったと思います。」
―大会序盤と比べて今日は攻撃性が増していたが 「自分の攻めるテニスというのを昨年よりもより一層考えてやっていて、優勝する時は相手のミス待ちではできないと分かっていたので、とにかく攻めを貫こうということを意識してやっていて、今日はそれが上手くはまりました。」
―第1シードとしてのプレッシャーは 「意識はしていなかったですけど、それでもありましたね。今までにないダブルフォルトがあったりして苦しみました。」
―決勝の相手が年下ということについては 「それはあまり意識してなくて、新進に入る時に第1シードということで自分のプレーを出せば負けないという自信があったので、特に年下とかは気にせず自分のプレーに集中できたと思います。」
―会場がホームの蝮谷ということで声援も力になったか 「どの大学よりも勝つための応援を慶應はしてくれたなと感じていて、他の大学だと野次っぽい部分もあるんですけど、慶應は勝つための言葉をアドバイスとしてかけてくれるので、プレーしている方としては良い環境でやらせてもらっていると思っています。」
―今まではダブルスで結果を残してきた中、今大会はシングルスで良い結果が出たことについて 「昨年はシングルスで苦しんで、ある程度のところまではいくんですけどそこでもう一歩ステップアップできなかったので、それは大きいと思います。」
―春関に向けて 「今回優勝したことでシードが上がったというのは春関を戦う上でかなり大きなことで、今大会に出ていない20人や早大の上位層にどう向かっていくかが春関は重要だと思うので、この春先のフューチャーズで自信をつけて春関で爆発できるように頑張りたいと思います。」
安形
―今の率直な気持ちを聞かせてください 「決勝の舞台に立つのは大学で三度目なんですけど、シングルスで優勝できたことは初めてなので嬉しく思っています。」
―決勝戦を振り返って 「第1セットは自分から攻めてポイントを取ることができましたが、第2セットに入って3-0になって少し油断した部分もあって、逆に相手の調子も上がってきてそこで自分も引いてしまって、少し気持ちの面で自分を立て直すことができなくてそれがプレーにも影響して、自分の持ち味である攻める姿勢がなくなってしまったのが追い上げられた原因だと思っていて、後半はしっかりチームメイトの顔を見て攻めることをもう一回意識し直して、自分からポイントに入れたのが良かったと思います。」
―会場がホームの蝮谷ということで声援も力になったか 「そうですね。以前より周りを見てプレーすることを心がけていて、一つ一つの掛け言葉や拍手が自分の力になっていたと思います。」
―今大会は予選から多くの試合を経験してきて、大会を通じて成長した部分や見えてきた課題は 「一つ成長できたかなと感じたのは、大会前は調子が良くなかったんですけど試合を重ねるたびに気持ちの整理ができるようになって、以前よりポジティブな考え方で試合に臨めたことです。課題としてはトップ選手とやるにはもっと攻めないと勝てないと思うので、もっと自分から前に入って攻めきることが今後の課題です。」
―今まではダブルスで結果を残してきた中、今大会はシングルスで良い結果が出たことについて 「元々ダブルスが得意というわけではないんですけど、やっとシングルスで結果が出せたということは自信にしたいと思います。」
―春関に向けて 「春関は今大会に出場していなかったトップ選手が出るということで、トライし続けることを忘れず、インカレで勝つことが目標なので目の前の一戦一戦に全力で取り組みたいと思います。」
小林夏実(環1・秀明八千代高)※準決勝終了後にインタビュー
―今日の試合を振り返って 「安形選手に先に展開されて自分が押されてしまって、最後まで立て直すことができなくてすごい悔いの残る試合でした。」
―相手が慶大の安形選手だということへの意識は 「同じ学校だからどうこうというのはなかったんですけど、勝ちたかったというのはあります。」
―オフシーズンに取り組んできたことの中で今大会につながったことは 「昨年は成績を残すことができなくて自分を見つめ直す時間があって、自分のやるべきことを明確にして練習してきたので、それが新進ではできたと思います。」
―逆に大会を通じて見つかった課題は 「1、2回戦では締めるところで締められなかったり、3、4回戦は出だしが悪かったので、最初と最後を締めるということが課題だと思いました。」
―春関に向けて 「新進で結果を出すことができて、次は制限者に勝っていくテニスをしなくてはいけないので、上の人たちに勝つためにはまだまだ自分からの攻撃力や展開力を身につける必要があると思うので、それを練習していきたいと思います。」
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