兼六園に代表される、歴史情緒あふれる地、石川県。伝統を受け継ぐこの土地で春季大会兼伝統の早慶戦は開催された。前半の主導権を握ったのは早大。開始10分ですでに二つのトライに成功し、慶大を圧倒する。慶大も反撃を試みるが良いリズムを作れないまま、後半に折り返した。試合が動いたのは後半32分、CTB石橋が、硬直状態であった密集からボールを持ち出すと、素早くトライ。続く38分にもFB中村敬からのパスを受けて左サイドにトライを決めた。結果は22‐40、点差は開いたものの、後半に見せた連続得点で慶大の底力を示し、今後に望みを繋いだ。
関東大学春季大会A 兼 石川県ラグビーカーニバル特別招待試合vs早大
6月15日 (日) 13:00K.O.@石川県西部緑地公園陸上競技場
得点 | ||||
慶大 | 早大 | |||
前半 | 後半 | 前半 | 後半 | |
1 | 3 | T | 3 | 3 |
0 | 1 | G | 3 | 2 |
0 | 0 | PG | 0 | 0 |
0 | 0 | DG | 0 | 0 |
5 | 17 | 小計 | 21 | 19 |
22 | 合計 | 40 |
得点者(慶大のみ)
T=岩本 石橋2 西出
G=正田
慶大出場メンバー | ||
ポジション | ||
1.PR | 眞鍋泰明(経4・慶應) | →16青木周大(商4・慶應) |
2.HO | 山田康介(法3・流経大柏) | →17佐藤耀(総3・本郷) |
3.PR | 吉田貴宏(総4・本郷) | |
4.LO | 西出翼(経3・慶應NY) | |
5.LO | 白子雄太郎(商4・慶應) | |
6.FL | 高家章徳(商3・慶應志木) | →19 鈴木達哉(環2・茗溪学園) |
7.FL | 岩本龍人(政3・國學院久我山) | |
8.No8 | 徳永将(商3・慶應) | →20森川翼(環4・桐蔭学園) |
9.SH | 星卓磨(政4・慶應志木) | →21南篤志(総3・清真学園) |
10.SO | 正田眞斗(環4・浦和) | |
11.WTB | 服部祐一郎(総4・國學院久我山) | →23川原健太朗(環4・小倉) |
12.CTB | 廣瀬聡(商2・慶應志木) | →22中村敬介(経3・慶應) |
13.CTB | 石橋拓也(環4・小倉) | |
14.WTB | 吉迫雅俊(商2・慶應志木) | |
15.FB | 浦野龍基(政4・慶應志木) |
始めにペースを掴んだのは早大であった。開始5分、慶大のオフサイドからラインアウトの機会を得ると、そのまま押し切ってトライを決める。続く9分にも、再びラインアウトからのトライを成功させた。慶大も、早大の展開に対応し幾度かターンオーバーするも、要所でのノックオンが重なり、流れを断ち切ってしまうミスが続いた。その後も互いに譲らない、一進一退の攻防を繰り返した末に、チャンスを掴んだのは慶大であった。敵陣深くのスクラムから、石橋が大きく突破、ゴール際まで運んでラックを作ると、FL岩本が素早く反応、得点につなげる。ようやく勢いに乗ったと思われた慶大だが、再び我慢の時間は続き、進展を見せないまま、前半は5-21で折り返した。
迎えた後半、なんとしてでも得点につなげたい慶大だが、すぐにチャンスは訪れない。接戦の末に、相手に競り負けるといった悔しい被得点パターンが続いた。徐々に疲労も見え始め、後半30分には、点差は5-40にまで広がってしまう。しかし、ここでも流れを変えたのは、石橋であった。後半32分、停滞したかに思えた敵陣での密集から自らボールを持ち出すと、素早く駆け抜けてトライを決めたのだ。ここから慶大の反撃は始まった。後半38分、リザーブとして登場した中村敬が、早大の追随を許さないビックゲインを果たし、再び石橋が得点につなげた。アディショナルタイムの後半45分にも、相手のスクラムからボールを奪うと、中村敬がディフェンスを突破しLO西出が手堅くトライを決めた。ここでノーサイド、慶大は最後の追い上げを見せ、22-40で試合は終わった。
昨秋は早大に7-69の大敗を喫した慶大であったが、今試合では、早大の展開への的確な対応や、慶大らしい粘り強いプレーが随所に見られた。しかし、「細かいプレーの精度で早大とはまだまだ差があると感じました」(和田監督)。慶大の立ち上がりの遅さや、ミスの多さなど課題も明白になった試合であった。今後の慶大に求められるのは取るべきところで点を取り切る強さであろう。次週は明大戦、こちらも因縁の対決である。課題をいかに克服して挑むのか、期待は高まるばかりだ。
【ケイスポ的MOM】攻撃の要 FB中村敬介
俊足をいかしたビックゲイン、低く刺さるタックル、リズミカルなステップ、これが中村敬介の持ち味である。今季FBとして頭角を現し、この試合でも彼を起点として後半の快進撃が始まった。迷いのない走りと強気な姿勢は、慶大の攻撃の起爆剤である。
(記事 長尾里穂)
コメント
和田康二監督
(今日の試合を振り返って)実力の差がそのまま点差になりました。(立ち上がり不安定でした)こちらがペナルティーして、モールから簡単に取られてしまって、こちらのミスです。逆にチャンスがあったのにミスが重なり自陣に戻されてしまい、細かいプレーの精度で早大とはまだまだ差があると感じました。(先週は4年生にげきを飛ばしていました)でもまだまだです。試合の終盤に少し見られましたが、終盤から追い上げても遅いです。ただ、最後スクラムをターンオーバーした所はいい経験になりました。(春季大会は1勝4敗で終えました)まあ勿論満足はしていません。ただ、課題がはっきりとしたのでその点では良い大会でした。(来週は明大との一戦です)明大は早大にも勝って良い状態だと思うので、チームを1つにしてチャレンジしていきたいです。
吉田貴宏
(今日の試合は)前半は自分達のリズムで出来ず、後手後手になってしまったんですが、ディフェンスでフォーカスしていた前に出ると言うのとリアクションを早くというのは出来たのであとはアタックを修正していきたいです。(モールで3トライ奪われる形になったが)モールは最近練習していたのですが、練習でやったことがうまく絡み合ってなかったので今後の課題ですね。(春シーズンを振り返って)やろうとしてきたことは段々積み重ねられているので、あとはできていない点が嵌まるかと言うところで、今日の試合はそういう意味でやろうとしてきたことは一番出来たので来週の明治戦でもさらに積み重ねていきたいです。
岩本龍人
(試合を振り返って)もっとできたなと思います。少しの差だと思うんですけどそれが結果的にこの点差になってしまいました。秋までにチーム力を上げてその差を埋めていきたいなと思います。(自身の出来は)もっとチームに貢献できたと思うのでもっと頑張ります。(トライもあったが)あれはチームのみんながあそこまで持ってきてくれたのでチーム全員でとったトライで良かったです。(今後に向けて)一日一日を大切にしてチーム力を上げて、秋につながる試合をしていきたいと思います。
石橋拓也
(今日を振り返って)自分のやりたいことは全てできましたが、チームとして課題の残る試合でした。ですが、春季の試合の中では、一番慶大らしいプレーが出来た試合だったと思います。(どのような課題が見られましたか)FWのモールで3本トライが取られたことと、BKへのキック処理で形勢が悪くなったことが、今回の課題だと思います。(自身のプレーについては)パスが浮いてしまったことと、相手に見られたときにどのように周りを活かすのかということを課題にしていきたいと思います。(早大の印象はいかがでしたか)もっとBKに展開してくるチームだと思っていたのですが、想定よりも内々に攻めて来るチームで、あまりタックルができなかったため、もう少しコンタクトしたかったと思いました。(明大戦に向けて)課題に挙がっていることを修正して、本日できたディフェンスを見せられれば、大きく点数を取られることがないと思います。自分が起点になってトライをとって、勝ちに行きたいと思います。
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