6月21日に第42回関東学生フリースケーティング選手権が東大和スケートセンターにて行われた。慶大からは初級から7・8級まで合わせて8名の選手が出場。本格的なシーズンの開始を10月に控えて、春の活動の成果をそれぞれが披露した。
初級女子
・板倉明子(商2) 6.14点 9位
1級女子
・新谷彩夏(総2) 9.62点 20位
3・4級男子
・富田雄登(商2) 38.49点 2位
3・4級女子
・柳澤薫(総4) 38.89点 2位
・棟尾観月(文1) 36.28点 5位
5・6級女子
・鈴木伶奈(環3) 56.90点 4位
・奥山未季子(環3) 44.17点 17位
7・8級男子
・小曽根孝浩(環2) 81.96点 5位
この日最初に登場したのは初級の板倉明子(商2)。大学からスケートを始め、先月の四大戦に続き自身にとってこれが2度目の試合。朝早くからの出番だったが落ち着いた演技を披露した。コンビネーションジャンプなど、自身にとって新たな挑戦となるものをプログラムに取り入れて臨んだ今大会。大きなミスは1つもなく、スパイラルも綺麗も決め、しっかりと1分間を滑りきった。次の試合までにはまた新しい種類のジャンプやスピンができるようにしたいと語る板倉。今回の演技のように地に足をつけて、着実に成長を歩んでいってほしい。
続いては1級女子の新谷彩夏(総2)。彼女も同じく大学からスケートを始め、1年で1級を取得した。演技では軽快に、手を大きく使って音楽を表現する。スピンにもスピードがあり、ほとんど目立つようなミスはなく演技を終えたが、自身としては4度目の試合で今回が一番悪かったと振り返る。他のシングルジャンプをマスターし、ダブルジャンプへつなげていきたいと意欲を語った新谷。今後も速いスピードでのレベルアップが期待できそうだ。
3・4級男子の富田雄登(商2)は一際成長を感じさせる演技を見せた。最初のアクセルが抜けて動揺してしまったと本人は言うものの、意識して練習してきたスケーティングはなめらかでスピードもあり、キレのある体の動きは銀盤に映えていた。全体的にもまとまりのあるプログラムは2か月前から練習し始めたとは思えないものだった。今後は今回取れなかったスピンの強化を中心にしていきたいと課題を冷静にとらえている。この調子で実力を高めていき、秋にはさらに隙のないプログラムに仕上げてくれるはずだ。
3・4級女子には、1年生の棟尾観月(文1)が登場。直前練習では自らネックになると考えていたループ、トーループ、フリップの3つのジャンプを最後まで練習する。その練習でも調子の悪かったジャンプが本番でも両足で着氷してしまい、残念だったと振り返った。今後は得点源のジャンプの精度を上げていきたいという棟尾。スパイラルやレイバックスピンでは綺麗に魅せ、スピード感あるスケーティングにも将来性を感じさせた。これから多くの経験を積み、心身ともにたくましいスケーターになっていくことを期待したい。
先月の四大戦は自己最高の演技だったという栁澤薫(総4)。今回はその演技を超えようという意気込みで臨んだ。スピンでインカレのときと同じミスをしてしまったのが反省点だというが、調子の悪い中でもダブルジャンプに挑み成功させるなど、成長も伺えた。昨年は優勝していたこの3・4級女子の部で、今年は準優勝。しかし守って優勝した昨年に対し、今年は攻めて勝ちたいという思いで挑んでこの結果。このことは本人も今後の自身の成長につながると考えている。「攻めたい」というラストイヤー。主将のこの姿勢は部全体にも好影響を与えていくだろう。
続いては5・6級女子の奥山未季子(環3)。2週間前に肩を脱臼し、前日まで出場を悩んでいたほど状態はよくなかった。心配のあるなかで臨んだ演技は、やはり本来の実力を発揮できず、昨年の6位入賞から順位を大きく下げ、17位という結果に。悔しさを滲ませたが、けがの調整なども含めて実力だと、この結果を見つめた。あと1年半の競技人生、残りの試合も多くないため、どうしても出たいという気持ちで出場した今大会。成績にかかわらず、この経験は奥山をアスリートとして一回り成長させてくれる糧となるだろう。
同じく5・6級女子の鈴木伶奈(環3)は、春から体調不良やけがが続いており、今回も足の疲労骨折を押しての出場。上の順位を狙えるとは考えておらず、笑顔で滑ることだけを意識して臨んだが、ジャンプでも大きなミスはなく、ステップではいつもように手拍子を誘った。そして結果は4位入賞。試合に出場したことにより少しけがが悪化してしまったというのが心配だが、それでもこのような状態で成績を残せたことは鈴木にとって自身に繋がったはずだ。次の試合までは時間が空くため、まずはけがを完治させ、秋には万全の状態で演技を披露したい。
そして最後は7・8級男子の小曽根孝浩(環2)の登場。確実性の高い演技で、ジャンプを1つずつしっかりと決めていく。今年から雰囲気を大きく変えた新プログラムの完成度を、格段に高めてきたように思えた。本人も「今までと比べて良かった」という感触だったが、点数は思ったほど伸びず、その分課題があると身に染みて感じることになった。しかし情感豊かに舞う小曽根に観客は大いに魅了され、小曽根がそういった、人を沸かせる力を持っている選手だということは改めて認識された。今回感じた課題を修正し実力をより強固なものにすれば、必ず大学トップのスケーターになれる逸材である。次の試合は10月。そのときにはもう一段階レベルアップした小曽根の姿が見られることを期待している。
(文:脇田直樹、写真:窪山裕美子・須佐奈月)
板倉明子(商2)
(今日の演技を振り返って)緊張したんですけど、目標であったジャンプとスピンを含めてプログラムを最後まで滑りきることができたので、安心しています。(プログラムについて、どう選曲をされたのか)『戦場のメリークリスマス』という曲なんですけど、私はアップテンポの曲よりもしっとりした曲の方が滑りやすいので、前からメロディの気に入っていたこの曲を選びました。(今大会への意気込みは)2回目の試合なのですが、自分の中ではステップが少し変わったり、ジャンプでコンビネーション入れたり、新しい挑戦をしていたので、目標がプログラムを滑りきることでした。(今後に向けて意気込みを)今回はジャンプがサルコウまでしか入れてなかったので、次の試合までには新しい種類のジャンプを増やして、スピンもシットスピンとかできるようになりたいと思います。
新谷彩夏(総2)
(今日の演技を振り返って)このリンクでやるのは2回目で、1回目はふわふわしていて地に足つかない感じだったので、2回目の今日はしっかり滑ろうと思っていました。冷静にはなっていましたが、燃えるような冷静さではなくて冷ややかな冷静さで、なんだか冷めてしまって、いつも目指している自分の演技ができなかったかなと思います。(今回の大会への意気込みは)秋季交流戦、新人戦、四大戦と、今回4回目だったんですけど、今回一番悪くて、結果的にもプログラムの中身も満足のいかず残念に感じました。(プログラムについて、どう選曲をされたのか)自分の好きな曲がよくわからなかったので、コーチが私に合わせて作ってくれました。(今後に向けて目標を)怪我をまずしっかり治して、シングルアクセルとかその他のシングルジャンプをマスターして、ダブルジャンプにつなげていきたいなと思います。
富田雄登(商2)
(今日の演技を振り返って)自分の今まで練習してきた成果をフルに発揮できなかったのが残念でした。特に最初の肝心なアクセルが抜けてしまい、動揺してしまって、全体に影響が出てきてしまったかなと思います。(2位という結果について)去年からずっとライバルだった尾崎達也選手(東大)を抜けなかったのが悔しいなと思います。(久しぶりの公式戦でしたが)去年は緊張していたりしたんですけど、今年は緊張もそこまでしなかったので、普段どおりには体は動いていました。今シーズン最初の試合としては、良かったのではないかと思います。(昨年度のインカレ後、スケーティングを練習されたそうですが、今日はよりなめらかな滑りに感じられました)今までよりも意識はして練習しています。スケーティングにかける時間も倍ぐらいにして、しっかりと基礎を固められるように練習してきました。(プログラムについて)プログラムを変えたのは最近で、2ヶ月ちょっと前ぐらいから練習し始めています。最初は全然ジャンプとかも入らず、時間もオーバーして大変だったんですけど、何とか今日の試合までにまとめることはできました。(今後の目標を)今回スピンがまだ取れていないのでスピンの強化を中心に、もちろん基礎のスケーティングをやりつつ、順位を上げられるように。このプログラムで40点台を超えられるように、練習していきたいなと思います。
棟尾観月(文1)
(今日の演技を振り返って)練習からちょっと調子の悪かったジャンプが本番でも跳べなかったので、そこが残念でした。(直前練習でも入念に確認されていたが)ループとトーループは跳べるジャンプだったので、それは確実に決めたいなという思いがあって、フリップも昔は跳べていたのに今回跳べなくて、その3つがネックだったので、最後まで練習しました。(レイバックスピンやスパイラルは綺麗に決まっていたように見えたが)レイバックスピンはレベル3取れるかなと思ったんですけど、回転数が足りなかったみたいでレベル2だったので、それはちょっと残念です。(慶大スケート部に入部して約3か月が経って)まだ四大戦と関カレしか出てないんですけど、どっちもあまり自分の納得のいく演技ができなかったので、先輩みたいに本番も完ぺきに滑れるように練習したいと思います。(今後の目標)得点源のジャンプが跳べないために点数が伸びないので、本番でも決められる精神力をつけたいと思っています。
栁澤薫(総4)
(今日の演技を振り返って)スピンでインカレのときと同じミスをしてしまったことが一番の反省点です。同じミスをしたくないという気持ちが一番あって、その気持ちが強すぎたためにちょっと力が入ってしまって失敗に繋がってしまったのかなと思います。それ以外の部分では、ジャンプは、いつもは調子が悪かったりすると確実に跳ぶというふうに考えて、難易度を落としたりしていたんですけど、今回はそういうなかでも、自分のなかで「挑戦」という目標があったので、ダブルに思い切ってチャレンジして、それがなんとか演技のなかで入ったのがよかったかなと思います。(先月の四大戦ではすごくいい演技ができたそうですが)四大戦は本当に良くて、それ以上の演技をしたいというふうに今日は思っていたんですけど、もうちょっと四大戦のときよりもスピードを出して大きく見せたいなというのは思っていました。ジャンプも、本当にチャレンジして、果敢に挑みたいということだけを考えて、去年は守って優勝したんですけど、今年は攻めて勝ちたいという目標のもとにやったので、完ぺきな演技は今日はできなかったんですけど、自分のなかでは、次の10月から始まるシーズンに向けて成長に繋がる演技ができたのかなと思っています。(ここまで主将を務めて)例年よりも部員のまとまりはいいと思っていて、それはいつも雰囲気作りで私が4月から気をつけていたことなんですけど、ただやっぱり個人競技なので、競技面とか試合に向けての持っていき方は、個人個人になってしまうので、そういう点でもうちょっと一人一人が選手として自覚を持ってコンディションを整えて、体調不良とか、けが人が今多いんですけど、そういう点で主将としてもう一つやっていかなきゃいけないところがあるかなと思っています。(今後の目標)今年は全部の試合が最後になるので、悔いの残らないようにやるっていうのが大きな目標です。攻めたいです、今年は。やっぱり自分の納得のいく演技をして、その後に結果がついてくればいいなって思うので、まずは応援してくれる人とか見ている人に勇気を与えられる演技をして、自分の納得のいく演技をして、笑顔で引退するというのが今年の目標です。
奥山未季子(環3)
(今日の演技を振り返って)正直悔しいというよりも、残念だったなと思っています。(肩の状態は)肩をケガしたのは2週間前でした。部活中にジャンプを失敗して、肩を脱臼してしまいました。スケート人生の中で2番目ぐらいに大きなケガだったので、この試合に出るかどうかもすごく悩みました。前日までよく考えて、調子が上がってきていたので、出て自分の実力を試してみようと思いました。だけど、こういう状態になるということは、これが実力だと思います。もっと7級の人たちは体も絞れているし、筋トレも体力作りも私は足りていないです。他の部活の人たちも、もっともっと追い込んで頑張っているし、意識の違いがここに出てきているのかな、と感じました。(久しぶりの公式戦でしたが)四大戦でも結構悔しい思いをしていて、学校と両立している中で、この結果に悔しさを覚えています。でもサッカーの長谷部(誠)選手とかも、W杯の前にケガをしていても、W杯にちゃんと調整してくるんですよね。スポーツ選手でできる人というのは、そうやってちゃんと調整をするというのも才能の一つだと思うので、それが自分には一番足りないかなと思います。練習時間では跳べているのに、本番になると跳べないというのが自分の弱いところだと思うので、それを強めていきたいです。(ケガの調整も含めて、今後の目標をお願いします)スケートをやっていくのにケガはつきもので、みんなどこか足が痛かったりとか、ケガをしていたりすると思うんですけど、それを調整してくるのも実力だと思います。私はあと1年半しか競技人生がないので、試合数が多くない中で、今回どうしても出たいという思いが強かったです。調整ができているかも分からないうちに出場することを決断してしまったんですけど、今後もっともっと大きなケガをすることもあるだろうし、ケガしないようにするということも必要なことだと思います。その点に気をつけて、競技に臨んでいきたいと思います。
鈴木伶奈(環3)
(今日の演技を振り返って)最近体調不良とかケガがある中にしては自分なりにいい演技ができたと思いました。(ケガの状態は)疲労骨折しているんですけど、痛み止めを飲んで今回出場して、ケガはそんなに良くはなってないし、実際試合に出て少し悪化したっていうのもあるんですけど、その分の演技をしっかりできたかなと思います。(久々の公式戦だったが緊張はなかったか)今回はそんなに緊張とかはなくて。足をケガしていて特に順位を上にしようとか、なにを跳びたいとかなく、楽しむことだけを考えたので、あまり緊張はしていません。(4位という結果については)入賞も無理だと思っていて、笑顔で滑ることだけを今回目標にしていたんで、その分結果がついてきてくれたことをすごく嬉しく思っています。(たくさんの声援については)いつも私の曲は盛り上がる曲なので、いろんな人が応援してくれるんですけど、今日はその期待に応えられたかなと思います。(今後の意気込みや目標を)とりあえず今はケガを完治させて、しっかりトレーニングと氷上を滑り込んで、秋の予選でいい結果を残して、インカレもしっかり出場していきたいと思います。
小曽根孝浩(環2)
(今日の演技を振り返って)自分の中では結構今までと比べて良かったかなと思うんですけど、点数が全然出ていなかったので、すごく課題がたくさんあるなと身にしみて分かりました。(具体的に課題とは)ジャンプの着氷の仕方が甘かったかなと思います。コンビネーションジャンプも全然つけられませんでした。スピンもちゃんと取れていないと思うので、そういうところは甘かったかなと思います。(会場は大きく沸きましたが)それはすごく嬉しくて、次につながる試合になったんじゃないかなと思いました。今回の結果は受け止めて、次につなげたいと思います。(今後に向けて意気込みを)今年は去年とは違うというところを見せたいので、もっとこれから変わっていけるように頑張っていきたいです。
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