【フィギュアスケート】高かった全日本の壁…悔し涙を飛躍の糧に 東日本選手権③

 

悲願の全日本出場に向け、大一番を迎えた小曽根

悲願の全日本出場に向け、大一番を迎えた小曽根

 

ついに決戦の時。10月31日から11月2日にかけて、アクアリンクちばで第40回東日本フィギュアスケート選手権大会が行われた。日本最高の舞台である、第83回全日本フィギュアスケート選手権大会への出場権が懸かった今大会。最後に笑うのはいったいどの選手か―。一人ひとりの演技に大きな注目が集まる。ショートプログラムで出遅れた小曽根孝浩(環2)と鈴木美桜(法1)は、巻き返しを狙い2日のフリースケーティングに臨んだ。

 
男子 フリースケーティング

・小曽根孝浩(環2) 88.82点 12位

総合 132.67点 12位

一つひとつの技を、丁寧にこなしていく鈴木

一つひとつの技を、丁寧にこなしていく鈴木

女子 フリースケーティング

・鈴木美桜(法1) 68.81点 15位

総合 109.34点 13位


 

 

 

 

 

優しい表情と繊細な所作で、『LuvLetter』の世界観を表現した

優しい表情と繊細な所作で、『LuvLetter』の世界観を表現した

出場者15名のうち、上位9名が全日本への切符を手にできる男子の部。ショートプログラムで10位発進した小曽根は、好演技を見せた前滑走者、鈴木潤(ROYCE‘F・S・C)へのスタンディングオーベーションを横目に、リンクへ降り立った。ここから順位を上げるために、ミスは絶対避けたいところ。しかし、自身の課題であり、6分間練習で何度も挑戦していたダブルアクセルでの転倒をはじめ、ジャンプの失敗を繰り返してしまう。ウィンタートロフィー(10月26日)で入れられなかった3回転‐2回転‐2回転は成功させ、安定したスピンでは拍手を誘ったものの、巻き返しはならず。結果、総合12位と順位を落とし、夢舞台への思いは届かなかった。

大学2年生になってから、「全日本に出たい」という言葉を何度も口にしてきた小曽根。その目標を達成すべく、連戦の合間も大阪のリンクにまで足を運ぶなど、鍛練を積んだ。そうして手応えをつかみ臨んだ今大会、自身にとって悔いの残る結果だったであろう。だが小曽根にしか出せない、プログラムごとに合わせた表情や手先の動き、醸し出す雰囲気などは、2日間を通して観た者の心に焼き付いたはずだ。今季はすでに、成年の部において自身初の国体出場を決めている。小曽根ならではの魅力を生かしながらも、一つずつ課題を乗り越え、来季こそ初の全日本出場をかなえてほしい。

 

トレードマークの笑顔はこの日も健在

トレードマークの笑顔はこの日も健在

女子の部で全日本選手権へ駒を進めることができるのは、25名のうちわずか5名。鈴木はショートプログラム10位からの追い上げに挑む。激戦必至で、小さなミスも命取りとなってしまう緊張感の中でも「楽しんで思い切りやろう」。6分間練習の時間帯から、いつにも増して笑顔を見せていた。曲は、妖艶なショートプログラム『Jealousy』とは雰囲気の異なる、アップテンポな『West side story』。冒頭の2回転ルッツとダブルアクセルを華麗に決めていいスタートを切ったが、次の3回転トーループで転倒。失敗があっても笑顔を絶やすことなく銀盤を舞うものの、後半の3回転トーループでもステップアウトしてしまう。点数は伸び悩み、総合13位で小曽根と同様全日本出場を逃すこととなった。

表情豊かな鈴木が見せる、ダイナミックな技や伸びやかな滑りに、拍手や歓声で大いに盛り上がった会場。だが、他の上位選手が次々と高難度ジャンプに挑戦し決めていった姿から、「自分の実力が足りなかった」と鈴木は悔しさをにじませた。今大会で、客席の至るところから響いた“美桜ちゃんガンバ!”という大声援。そんな温かい声援が、ますます技術に磨きをかけた鈴木に向かって、全日本で響き渡る日を楽しみにしたい。

 

(文:窪山裕美子、写真:須佐奈月)

 

 

小曽根孝浩(環2) ※11月3日にインタビュー実施

一年後、一回りも二回りも成長した姿で銀盤を彩ってほしい

一年後、一回りも二回りも成長した姿で銀盤を彩ってほしい

(一夜明けて、今のお気持ちは)まだやっぱり悔しいなあ、という気持ちがすごく強いですね。悔しいというか、まだまだだったなと。過信していたというのもあったと思います。練習不足とかそういうのではないと思うんですけど、実力が他の選手のほうが上だったというのが示された、と実感しました。ショートプログラムの結果を受け、フリースケーティングにはどのような思いで臨みましたか)9位との差が2点差だったので、大丈夫だと思って臨んだんですけど、やっぱりちょっとミスが出てから、演技中も気持ちが揺らいじゃったりしました。(2日間を振り返って)そんなに悪かったわけじゃなかったんですけど、やっぱり詰めが甘かったなと。フリーでは、一応テクニカルエレメンツ(技術点)の点数は自己ベストで良かったんですけど、ファイブコンポーネンツ(構成点)の点数のほうが全然出ませんでした。やっぱりそれは、自分のスケートの未熟さが証明されたのかなと思います。(今後の課題は)とりあえず、新しいトリプルを跳ばなきゃいけないと思います。今年はチャンスだったんですけど、来年はもう絶対跳ばないと(全日本に)行けないので、来年は絶対跳んで絶対全日本に行きます。(1月のインカレ、国体に向けて意気込みを)ここからは守るものはもう何もないので、今まで以上に新しいジャンプに攻めていきたいと思います。

 

 

鈴木美桜(法1)

ウィンタートロフィーと東日本選手権の悔しさを、初出場のインカレでぶつける

ウィンタートロフィーと東日本選手権の悔しさを、初出場のインカレでぶつける

今のお気持ちは)今日は転んでしまったりしたんですけど、内容的にはいつもとそんなに変わらなかったと思います。これが自分の今の実力かなという感じです。(昨日のショートプログラムの結果を受け、今日はどのような思いで試合に臨みましたか)昨日もそんなに順位や点数が良かったわけじゃないので、とにかく今日は楽しんで思い切りやろうと思ってやりました。(演技中、終始笑顔でしたが)全日本に行けないにしても、もし行けるにしても、自分が笑顔で終われるようにしたかったので、今日は笑って最後まで演技をしようと心がけました。2日間を振り返って)他の選手の演技も見ていたんですけど、自分はトリプルルッツやトリプル-トリプルを持っていないので、まだまだ自分の実力が足りなかったかなと思います。(今後の目標を)今シーズンはお正月明けてからすぐに行われるインカレが最後になるので、そこでは今回の東日本での悔しさや、先週(ウィンタートロフィー)の悔しさを全部ぶつけることができたらいいなと思います。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました