東日本選手権の緊張から一夜明けた11月3日、初級から5・6級までの部員たち7名が新横浜スケートセンターで行われた交流戦に出場した。3・4級男子の部で優勝に輝いた富田雄登(商2)を始め、慶大勢が躍動。部にとって最も大きな大会である1月のインカレに向けて、多くの部員が現時点での成長点や課題を確認した。
初級女子
・板倉明子(商2) 8位
1級女子
・新谷彩夏(総2) 15位
3・4級女子
・栁澤薫(総4) 3位入賞
・棟尾観月(文1) 4位
3・4級男子
・富田雄登(商2) 優勝
5・6級女子
・奥山未季子(環3) 4位
・鈴木伶奈(環3) 6位
団体女子 慶大 4位
団体男子 慶大 4位
まずは初級の板倉明子(商2)が登場。6月末の関カレからの成長を示そうと、スピンの部分はより難しい構成に変え、『戦場のメリークリスマス』を滑る。課題としていたサルコウは「若干の改善が見られた」。しかし、ステップでは流れが止まってしまう部分もあるなど、克服しなければいけない点も。今後は1級の取得を目標とし、よりよい演技を目指していく。
続いて1級女子の新谷彩夏(総2)。関カレ後から先月まで疲労骨折が長引き、今大会に向けてはわずか2週間しか練習時間が取れず。しかし、そんななかでも大きな失敗などはなく、演技を無難にまとめる。演技中の心がけも意識が高く、スケートに対する向上心は人一倍強い。けがも治ってこれからはジャンプにスピンに多彩な技を増やしていけるよう、ストイックに練習に励む覚悟だ。
3・4級女子には主将の柳澤薫(総4)が登場。前回の東インカレでは優勝を果たしたが、スピンとダブルフリップが反省点だった。今大会に向けてはその2つを集中的に練習し臨んだというが、「あまり成果が出ず、悔しい演技」。しかしその優雅さは相変わらずで、見る者を大いに魅了した。次の試合は、部として出場する大会で最も大きなものである、インカレ。主将として部を率いてきた一年の集大成を見せる覚悟で、自身の演技の質も磨いていく。
同じく3・4級女子に出場した棟尾観月(文1)。注意して臨んだという前回の東インカレで失敗していたスピンを今回は成功させるなど修正力の高さを見せた。スケーティングでつまずく場面など本来の滑りではない部分も見られたが、その直後のループジャンプを成功させ、「いつも気負わずに跳べばいのかな」という発見も。日々の練習や試合での経験を一つ一つ確実に成長につなげていき、初めてのインカレに臨みたい。
(文:脇田直樹、写真:窪山裕美子)
3・4級男子に出場した富田は、止まらない成長ぶりを見せつける。最初のジャンプを決めると、続けて2本目も成功。得意のイーグルや柔軟さをいかしたスピンで魅了する。挑戦した3連続ジャンプも着氷し、一つ一つこなしていく富田の演技には安定感が見られた。しっとりとした曲の特徴をとらえた表現力もますます上がっている。結果、3・4級男子の部で優勝。東インカレで味わった悔しさを見事晴らすことができた。1月に待つインカレについて「表彰台を確実に、もちろん優勝を狙う」と、力強く目標を語ってくれた富田。今回同様にノーミスに近い演技をしてくれれば、表彰台は確実に狙えるだろう。今後の成長にも期待だ。
5・6級女子に出場した鈴木伶奈(環3)の、『シカゴ』はいよいよ最終章へ。冒頭のアクセルジャンプを決め、3連続のコンビネーションジャンプもきれいに着氷。スピード感のあるスピンは大きな拍手をもらった。再び挑んだ2連続のコンビネーションは惜しくも転倒してしまうが、「挑戦できてよかった」と振り返る。リズム感あるステップも完成度の高さがうかがえる。鈴木の場合は体力との勝負が今後の課題である。今回は体調が悪いなかでもそれを感じさせない演技を披露することができた。体調が万全でなくとも強い気持ちで乗り越え、シーズンを戦い抜いてほしい。
この日最後に出場したのが同じく5・6級女子の奥山未季子(環3)だ。少し緊張した顔つきでスタート地点へ。序盤、ジャンプは全て成功。2連続ジャンプも安定した着氷を見せた。なめらかなスケーティングと柔軟なスピンは見る者を魅了する。中盤のジャンプも次々と決め、安定感を見せた。クライマックスへ向かうと同時に笑顔が輝く。自慢のドーナツスピンには大きな拍手が送られた。あまり練習量がとれていないこと、2度の肩の脱臼など不安要素はあるが、奥山は一つ一つ丁寧にやっていきたいと語る。引退シーズンに向けて用意したというこのプログラム。今後どのように完成させていくかに期待が高まる。
(文:須佐奈月、写真:窪山裕美子)
板倉明子(商1)
(この大会の目標は)今日の大会は、関カレでできなかったサルコウをきっちり回ることと、ステップを滑らかに滑ることでした。(演技を振り返って)サルコウは若干の改善が見られたのですが、やはりそのステップの流れが止まってしまったところは、同じ過ちを繰り返してしまったなというふうに思っています。(関カレ後どのような練習を)新しいことは練習していなくて、サルコウと、トウのコンビネーションと、ステップのところはより難しい構成に変えたんですけれども、よりよいプログラムになるように、そういうところを中心に練習してきました。(課題は)得意のスピンが綺麗に回れなかったことと、やっぱりステップだと思います。(今後の目標は)今後は1級を取得して、より多くの種類のジャンプを跳べるようにすることと、スピンも新しいものに挑戦して、演技全体のレベルを上げることに加えて、リンクをより広く使えるような構成に変えたいなと思っています。
新谷彩夏(総2)
(今日の演技を振り返って)練習の割には、無難にまとまったと思います。落ち着いていたかなとも思います。ただ、スピードが全然出なくて、今までの6割ぐらいの力にとどめて滑るようにしていたので、思い切りやったという達成感はあまりありませんでした。次はもうちょっとできればいいなと思います。(関カレ後はどのような練習を)関カレの後から10月10日ぐらいまで、ずっと疲労骨折が治らなくて、お休みしてスケートも一切していませんでした。その後に、今回の試合に向けて2週間ぐらいで仕上げたんですけど、その2週間だけはきっちり練習していました。(笑顔が見られましたが、演技する上で心がけていることは)私は髙橋大輔さんがすごく好きで、髙橋大輔さんがステップをするときに「観客がどういう顔をして自分を見ているんだろう」ということを意識されているというのを聞いて、私はいつもそれを気にしながらステップとかを特にやっています。だけど、今日はあまり実践できなかったかなと思います。(今後の目標を)ジャンプが全く跳べなくて困ってしまったので、まずはシングル全種類をきちんと跳んで、その次のジャンプにつなげていきたいと思います。あとは、スピンを今1種類練習しているんですけど、次は3種類ぐらい増やして、失敗しないように、次の大会までストイックに練習して頑張りたいと思います。
栁澤薫(総4)
(どのような意気込みで今大会に臨みましたか)1月にある全日本インカレに向けて、東インカレでの反省を踏まえインカレにつながるような演技ができれば、と思っていました。(その中で、演技を振り返って)東インカレの反省点としてスピンの質があまり良くなくて、とにかく今回は旧採点ではあるんですけど加点をもらえるような質のスピンをやろう、ということを第一としていました。また、ダブルフリップが前回ツーフットになってしまったので、スピンとフリップの2つを、今日は絶対決めるぞという意気込みで臨みました。だけど、その2点に集中して東インカレから今日まですごく練習してきた分が、あまり成果が出ず、悔しい演技となってしまいました。(主将として今大会全体を振り返って)今日は、大会の運営を全て慶應がやりました。試合の運営などがあってバタバタしていて、全員の演技は見られませんでした。部員も自分の演技だけにはいまいち集中できなくて、でもその中で、東インカレの反省を踏まえて次につながる演技をしよう、とは言っていました。良かった選手も悪かった選手もいたので、主将としては今一つまとめられなかったかな、と思います。(インカレに向けて)インカレでは自分が目指す完璧な演技ができればな、と思っています。あと1か月あるんですけど、絶対に悔いの残らないように完全燃焼をインカレでしたいと思っています。
棟尾観月(文1)
(この大会の目標は)運営で準備が忙しくてあまり試合に集中できなかったので、明確な目標は立てていかなったのですけど、東インカレでスピンができなかったので、スピンはちゃんと回ろうというふうに意識していました。(演技を振り返って)前回失敗したところのスピンは注意したので回れたんですけど、他のスピンで失敗してしまったり、ジャンプは練習不足が響いてあまり跳べなかったりしたので、課題が山積みです。(今回良かった点は)ループジャンプの前にスケーティングでつまずいて、気が抜けたのですが、それでも跳べたので、いつも気負わずに跳べばいいのかなという手ごたえを感じた点です。悪かったのは、スケーティングも緊張していつもの滑りができなかったことや、エレメンツがあまり入らなかった点です。(今後の目標は)次の試合はインカレで、一番大きな試合になるので、エレメンツを絶対にこぼさないように、普段の練習からちゃんと跳べて、回れるように意識していきたいと思います。
富田雄登(商2)
(優勝おめでとうございます!今日の演技を振り返って)今回は主管校だったというのもあり、十分にアップすることはできなかったんですけど、試合前の朝の練習でしっかり調整してできたのが大きかったかなと思いました。(演技の出来は)しっかりジャンプ、スピンのエレメンツ全部を入れることができたので良かったと思います。ただ一個だけジャンプを失敗してしまってノーミスとはいかなかったのですけど、非常にいい演技できたかなと思います。(東インカレ後はどのような調整を)重点的に練習したのはスピンですね。今までスピンで回転不足をとられてしまっていたので、しっかり規定数とれるように。ジャンプもしっかり軸を作って、多少軸がずれても降りられるように、練習してきました。(改善していきたいところは)スケーティングは上達してきたんですけど、まだまだ不十分なので、調整していきたいと思います。スピンのバリエーションを今度つけて、レベルを取っていけたらなと思います。(インカレに向けて目標を)東インカレの時は悔しい思いをしたので、そのミスを起こさないように注意して練習するのと、40点を超えて表彰台は確実にしたいのと、もちろん優勝を狙っていきたいです。
鈴木伶奈(環3)
(今大会を振り返って)東インカレが終わって2週間のうちに体調を更に悪くしちゃったのですが、体調が悪いわりにはいい演技ができたかなと思います。(今日の演技を振り返って)目標がコンビネーションジャンプをちゃんとつけることだったんですけど、2回目のコンビネーションで転んでしまって。でもちゃんとつけるという意味で挑戦できて良かったと思います。(プログラムの完成度も上がってきていますが、思いは)『シカゴ』は小学校の時も2、3年滑って、大学になってもう一度滑って5年目になるので、そろそろ次のステップに進みたいなと。また新しい曲で自分を出したいなと思っているところです。(これから改善していきたいところは)まず体力がないので。コンビネーションジャンプを入れることと、今日は降りられたんですけど挑戦しているダブルアクセルを、いつも降りられるようにしたいです。スケーティングももう少しきれいにできたらいいなと思っています。(今後に向けて)まずは県予選、そして最後まであきらめずに頑張りたいと思います。
奥山未季子(環3)
(今大会を振り返って)今日はとにかく楽しんでやろうと思っていたので、それが実現できて良かったなと思います。(今日の演技を振り返って)シーズンに入っているにもかかわらず落ち着いて練習ができていなくて、なかなか時間をとってスケーターとして練習があんまりできていないので、これからシーズンに入っていくにつれて、それなりの練習量と質を高めていきたいなと思います。(今大会で見えた改善点は)言い切れないほどあるのですが、ルールが厳しくなっているので、スピンもステップもジャンプも一つ一つ簡単なものでも丁寧に、できるようにしていきたいと思います。(逆に良かったところは)途中で「笑顔」を忘れていたことに気づいて、途中からできたんですけど最初は緊張していて、雰囲気づくりもできたらいいなと思いました。(インカレ、国体が待っていますが、今後に向けて)私の目標として今シーズンはけがしないでスケートをするっていうことで、肩の脱臼を2回していてもうこれ以上脱臼したらスケートできないという危機なので、だからこそできることはしっかりやって、悔いのないように一回一回の練習と試合をしていきたいと思います。
コメント