【テニス(女子)】18年振りの〝早倒〟。快挙も見つめるは日本一!/関東大学テニスリーグ 4日目・早大戦

18年越しの悲願の瞬間が訪れた。1997年以来32連敗だった早慶戦。その歴史に終止符が打たれた。3か月前の定期戦ではあと1勝で涙をのんだ慶大。まず、「絶対的エースペア」(坂井利彰監督)の池田玲(環4・富士見丘高)・西本恵(環4・岡山学芸館高)組が完勝して流れを作ると、D2も勝利し2-0でターン。そして、江代純菜(総2・九州文化学園高)と押野紗穂(環1・つくば国際大学東風高)が勝利し、この時点で慶大の勝利が確定した。その後も西本が吉冨とのエース対決し勝ち、5-2で歴史を変えた。

18年振りにトロフィーを手にした慶大庭球部女子

18年振りにトロフィーを手にした慶大庭球部女子


 関東大学テニスリーグ 第4戦

2015/9/5 @有明テニスの森公園

 

<女子結果>VS早大

 

慶大

 

早大

D1

池田玲・西本恵

2{6-0、6-2}0

林・細沼

D2

安形玲耶・村瀬早香

2{6(5)-7、6-4、6-4}1

梶谷・上

S1

西本恵

2{6-4、6-0}0

吉冨

S2

村瀬早香

0{4-6、4-6}2

宮地

S3

江代純菜

2{7-5、6-4}0

金井

S4

押野紗穂

2{6-3、7-5}0

細沼

S5

坂元君佳

0{3-6、4-6}2

合計

 

池田(写真・左)・西本組は終始笑顔で試合を進めた

池田(写真・左)・西本組は終始笑顔で試合を進めた

S1は池田・西本組。「自分たちのプレーを出し切ってやることだけを考えていた」(池田)二人がチームに最高の流れをもたらす。この試合は入りから池田が絶好調。ファーストセット、第2ゲーム。池田のフォア、バックともに完璧なショットが決まり最初のリターンゲームでブレークする。その後も安定したプレーでファーストセットを6-0でものにした。続くセカンドセットでも二人のプレー勢いは全く衰えない。第4ゲーム、15-40のブレークチャンスにつけると一時はデュースに持ち込まれるも、相手がスマッシュをネットにかけるミス。これを見逃さず、池田のボレーでブレーク成功。キープが続き、第7ゲームに池田のダブルフォルトと西本のミスが重なり、0-40のブレークのピンチを迎える。しかし、池田がしっかりとファーストサーブを決めそのまま6連続ポイントでしのぐ。そして、長いデュースとなった第8ゲーム。最後は西本がリターンエースを決めストレート勝ち。

サービスでポイントを奪い試合を決めガッツポーズを見せる安形

サービスでポイントを奪い試合を決めガッツポーズを見せる安形

D2の安形玲耶(環3・城南学園高)・村瀬早香(環2・京都外大西高)組は早大のインカレ優勝ペアとの戦いとなった。試合はファーストセットからタイブレークまでもつれこみ、勝敗はフルセットでの決着となる。ファーストセット、1-3から取っては取られの攻防が続き5-5。ポイントを連取し第10ゲームを奪うが、何度もセットポイントを握りながらも勝ちきれず、6-6でタイブレーク。流れを逃しそのセットは落とした。セカンドセットは、順調にゲームを奪い、5-1。しかし、相手の力強いサーブに悩まされ、4ゲームを連取される。負けられないセカンドセット、安形が意地のサービスエースで何とかファイナルセットにつないだ。第1ゲームからデュースが続き、持久戦へ。5-4で迎えた第10ゲーム、冷静に勝利だけを目指した二人が「自分でもあんな感じで終わるとは思ってなかった」(安形)という安形の4連続サーブポイントで、勝利を決めた。

 

押野は1年生ながら既にチームになくてはならない存在だ

押野は1年生ながら既にチームになくてはならない存在だ

ダブルスで2勝を挙げた慶大。シングルスで最初に登場したのは押野。ファーストセット、スタートから好調な押野は2つのブレークで4-0とする。すると5-3で迎えた第9ゲーム。30-40とブレークチャンスにつけると、最後は長いラリーからフォアをたたいてポイントし、ファーストセットを奪う。しかし、セカンドセットは一転。1-4と相手に2つブレークを許してしまう。だが、ここから「自分もつらいのですが相手も疲れさせよう」という押野の作戦がはまった。長いラリーに持ち込んだ押野が細沼の体力を完全に奪う。4-5として迎えた第10ゲーム。相手がミスを連発し、さらにアンダーサーブをさせるほど追いつめた押野がブレークする。そして、結果的に7-5でセカンドセットを奪い、ストレート勝ちした。

 

江代が勝利を決め、慶大が快挙を成し遂げた瞬間だ

江代が勝利を決め、慶大が快挙を成し遂げた瞬間だ

S3は江代。江代の得意とするロブでひたすら粘り、相手のリターンが短くなったところお強打というプレーがさく裂する。4-3の第8ゲームで素晴らしいラリーからブレークすると、ブレークバックを許したものの、第12ゲーム。深いリターンで流れをつかむと30-40から最後は長いラリーに持ち込み、バッククロスのエースを決める。ファーストセットを奪った江代は、応援も味方につけセカンドセットも6-3でものにしストレート勝ち。この瞬間、慶大の18年振りの勝利が決まった。

 

 

 

 

 

慶大が勝利しスタンドは総立ち。庭球部は多くのOB・OG方の温かい声援に支えられている。

慶大が勝利しスタンドは総立ち。庭球部は多くのOB・OG方の温かい声援に支えられている。

シングルスでは悔しさの残った村瀬だが、ダブルスでは大活躍

シングルスでは悔しさの残った村瀬だが、ダブルスでは大活躍

S2村瀬の試合の時点ではチームの勝利が決定してはいたが、ベストを尽くす。ファーストセット、何度もブレークに成功するが、相手のリターンに苦戦しなかなかキープできない。相手に左右に振り回され、セットポイントを与えてしまう。4-6でこのセットは落とした。続くセカンドセットは、厳しいラリー戦。途中、誤審とも思われる審判に抗議する場面もあり、なかなか流れをつかめない。最後はブレークチャンスからまさかの3連続リターンミスで力付き、同じく4-6で、ファイナルセットに持ち込むことはできなかった。

 

誰もが信頼する慶大の絶対的エース西本

誰もが信頼する慶大の絶対的エース西本

S1は西本。なんとか吉冨とのエース対決を制し、いい流れで試合を終えたいところだ。序盤からお互いになかなかキープできない展開となり、2つずつのブレークを奪って迎えた第9ゲーム。ここで三度西本がブレークをし、このまま6-4でファーストセットを奪った。これで西本が完全に試合の流れをつかみ、集中が切れた吉冨にはミスも増え、6-0でセカンドセットも西本が制す。ストレート勝ちで定期戦のリベンジに成功した。 

 

 

 

 

 

歴史を変えた慶大。しかし、監督が「涙を流して喜んだりしていなくて淡々としているので頼もしい」と語るように選手の顔は日本一を向いている。仕事をする部員、OB・OGや附属高生の応援。この1勝は出場した選手だけでなく、慶大庭球部とそれに関わる人たち全員でもぎ取った勝利だろう。しかし、この喜びの「今日の23時59分まで」(坂元君佳・政4・湘南工科大学附属高)だ。日本一になるために、まずは次戦、亜細亜大に勝利し第1シードで王座進出を決める。

(記事:太田悠貴、須佐奈月)

 

【試合後監督・選手コメント】

坂井利彰監督

(とうとう早大に勝ちました)18年振りですね。我々のゴールはここではないので早稲田に勝つというのは優勝するためのステップですけど、何より選手たちが早稲田に勝ったことで涙を流して喜んだりしていなくて淡々としているので頼もしいというかあくまで全国の予選をやっている、第1シードで全国王座に臨むというのが目標だったので女子はよかったです。男子も最後勝てば第1シードを取れるのでなんとか1位通過して王座に臨みたいです。そのために修正するところは修正して臨みたいです。(定期戦同様ダブルスを2つ取れました)一つ更に大きかったのは男子の日大戦、男子が早く試合を進めてくれて女子の試合に監督、コーチや応援が集中できたことですね。そこでD1の二人が圧勝してくれた、あの二人は絶対的なエースなので、絶対の信頼をおいて送り出した二人がああいう形で勝ってくれたことがそのあとに繋がったと思います。最高のスタートでした。(今回はシングルス下位で2勝して勝負を決めることができました)下位が、春の早慶戦で悔しい思いをした江代が勝ってリベンジしてくれて、押野は春も勝って今日も相手の細沼に勝って、1年生で本当に成長して1年生でリーグ戦に出るという緊張もあるでしょうけど、それを乗り越えたことも素晴らしいと思います。(王座では5本になります。その上で今日の西本選手の勝利は大きいと思います)本当にその通りですね。勝つというのは何よりもの薬ですし、彼女もインカレチャンピオンですからエースなので信頼していますし、今の慶應は男子なら上杉、女子なら西本、ダブルスは高田・上杉組、池田・西本組がいて、男子は谷本、渡邉、高田、女子は西本、池田、坂元の4年生が脇を固めて、ポイントゲッターの逸崎、畠山、韓、女子なら江代、押野というように役割がはっきりしているのでそういう意味で形ができてきているし、チーム全員で戦力分析だとかフィジカルだとか応援、ジャッジ、ボールボーイ、みんながチームのために尽くしてくれているのでそういう人たちの力がチームを一つにしていると思います。ケイスポさんも含めて全体として戦っていると感じます。(次戦に向けて)今までとやることは変わらないので勝ったからとか負けたからとか関係なく10月下旬にどういうチームになるのかを逆算してやっていきたいです。

今橋真優主将(環4・東海大学付属相模高)

(早稲田に勝ちました)戦ったメンバーだったり、チーム全員に休日ということでたくさんのOBOGの方が駆けつけてくれて力を与えてくれました。男子の試合が早く終わってくれて、心配がないからこそが監督、コーチ陣がこちらについてくれて、そういういろいろな力が集まっての勝利だと思うので感謝しています。(ベンチコーチとして心がけていることは)相手を分析して、今どうするべきかをアドバイスしてあげることを心がけています。(今後に向けて)今日の勝利は通過点でしかないので、今日の反省を生かしてやっていきたいです。

西本恵(環4・岡山学芸館高)

(ついに早稲田に勝利しましたが)これまで4年間やってきて、一度も勝つことができていなかったので、このチャンスを、はじめのダブルスから最後まで後輩たちが繋いでくれたこの一本はとても大きくて。ここで早稲田を一回倒せたのは、チームにとって自信になったかなと思います。(ダブルスはとても調子が良い印象ですが)私たちのダブルスで、相手に差をつけて勝つというのを目標にしていて、それが結果的にD2の方にも影響を与えられたかなと思います。(シングルスの方は2セット目1ゲームも相手に許さないという展開でしたが)チームの最後の試合になるので、全体の結果は決まっていましたが、そこでしっかり勝って、チームにさらに勢いをつけることができたかなと思います。(次戦に向けて)相手に関係なく自分のやるべきことをやるだけなので、もう一度締め直して、集中してまた最終戦に臨みたいと思います。

池田玲(環4・富士見丘高)

(ついに早稲田に勝利しましたが)この3年間悔し思いばかりしてきたので、今日の勝ちは素直に嬉しいですし、チーム全員がチームのために戦ってくれたなという気持ちがあって、すごくうれしいです。(前回から本調子が戻ってきた印象ですが)3戦終えて自分たちの理想の結果ではなかったので、またワンとして試合をぱっと終わらせて、ダブルスツーに力を注ぐのが役目として入ったので、最初からとにかく自分たちのプレーを出し切ってやることだけを考えていました。(次戦に向けて)今まで勝てなかった相手に勝って次の試合というのは、難しいところはあるのですが、ここが私たちのゴールではないので。次の一戦に気持ちを切り替えて、また全員で戦っていきたいと思います。

坂元君佳(政4・湘南工科大学附属高)

(早稲田に勝ちました)素直にそこは嬉しいです。最後の学年で歴史を変えられたことは嬉しいです。しかし、その嬉しさは今日の23時59分までにしてとにかく明日からは最終戦に向けて、王座でまた早稲田に勝てるように自分たちが何をすべきか整理してやっていきたいです。(インカレで言っていた通り勝った状況で西本選手に回す活躍をしているが)自分の中でも下位に出ている4年というのが自分しかいないので、下位でふんばる4年の姿っていうのがチームにとって影響があると思うし、隣のコートは必ず下級生なので絶対引っ張るという気持ちがあったので今日は負けてしまいましたが、亜細亜大戦でも下位でふんばって取る4年として頑張っていきたいと思います。

安形玲耶(環3・城南学園高)

(早稲田に勝ちました)今日のダブルスの相手はインカレで優勝していたんですけど、そういうの全く関係なくしっかり自分たちを信じて、チーム信じて戦いきった結果、勝ちをつかめたかなと思っています。素直に嬉しくて、このまま1位通過して王座でもっともっといいプレーをして成長し続けていきたいです。(最後4連続でサーブポイントが印象に残ったが)いや、もう最後は… 私のサービスゲームは結構キープしているので冷静に行こうと話していたんですけど、なんか私もあんな感じで終わるとは思ってなくてよかったです。(亜細亜大戦に向けて)目標は王座で優勝なので、まだまだ二人で成長し続けてD2でもエースとなっていきたいです。

村瀬早香(環2・京都外大西高)

(早大に勝ちました)ダブルスで2ー0をつけられたことが勝因だと思っていて、シングルス下位の選手が頑張ってくれたのがよかったです。ダブルスではやってきたことを出して、勝てたので自信になりましたし嬉しかったです。シングルスでは負けてしまったのでそこをどうするか、S2は大事なところなので、これからもそこで起用してもらうためにもっと上を目指してやっていきたいと思います。(早大の主将と互角の戦いだったと感じたが)今日で5連敗になってしまったんですけど、実力の差というのはなくて、メンタルの部分で勝負ところで振りきれるか、相手の心理を読めるか、こういうところの差だと思うので技術については自信を持ってリベンジしたいです。(関東制覇に向けて)7ー0をつけて亜細亜大に勝つことが全国制覇に繋がると思うので1本も落とすことなく勝ちたいです。

江代純菜(総2・九州文化学園高)

(ついに早稲田に勝利しましたが)率直に嬉しいです。(ご自身の勝利でチームの勝利が決定しましたが)去年は私が山学大と早大に負けて、チームも王座にいけないことが決まったということがあり、それをふまえて今年は絶対に誰にも負けないと心に決めて臨んだのですが、やはり勝った瞬間は嬉しかったです。4年生の先輩がチームにかけてきている姿を見て、何としてでも今年歴史を変えることをチームでも言ってきたので、自分の試合で達成できたのはありがたいことでもあるし、とにかくうれしいです。(今のところ4勝で調子がとても良いですが)4戦ともそれほどレベルの高い相手ではなかったのですが、今日の相手はインカレも上り詰めていますし、一回負けたことがあったので緊張もしていたのですが、その中でしっかり勝ち切れたのは、自分にとっても大きかったと思います。(次戦に向けて)あと一戦残っているので、リーグ一位通過のためにもう一回今日の反省を踏まえて、チームに貢献できるようにしたいと思います。

押野紗穂(環1・つくば国際大学東風高)

(今日の試合を振り返って)早稲田に勝てたのが嬉しくて、春も自分はシングルスファイブで出させていただいて、その時はチームで負けてしまったのですが、今日こそは勝とうと最初から気合を入れていきました。先輩たちの応援やサポートがあって勝てたと思うし、嬉しさも倍増しました。(ご自身のプレーを振り返って)ロングラリーが嫌いだろうと思ったので、自分もつらいのですが相手も疲れさせようと。セカンドセットが1-4からだったのですが、そこでくさらずに、しっかりボールについていって4-4まで追いつくことができて。最後のゲームも自分でもっと集中力高めて勝ち切ることができたので、攻めの姿勢は第5戦でも貫いていきたいです。(次戦に向けて)まだ試合にも波があって、悪い時に簡単なミスをしてしまうことがあるので、一ポイントずつやっていきたいです。

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