大一番での早大はやっぱり強かった。リーグ戦で、18年ぶりに早大を倒し、満を持して臨んだ王座決勝の舞台。結果は1-4。得意とするダブルスでの敗戦が大きく結果に響いてしまった。しかし、堂々の全国準優勝。一つ「歴史を変えた」〝チーム今橋〟の挑戦が幕を閉じた。
全日本大学対抗テニス王座決定試合 決勝
2015/10/25 @有明テニスの森公園
<女子>vs早大
| 慶大 |
| 早大 |
D1 | 池田玲・西本恵 | 1{6-4、5-7、3-6}2 | 梶谷・上 |
D2 | 安形玲耶・村瀬早香 | 0{4-6、5-7}2 | 林・細沼 |
S1 | 西本恵 | 1{6-1、2-6、6-4}2 | 吉冨 |
S2 | 押野紗穂 | 1{1-6、6-4、0-6}2 | 宮地 |
S3 | 江代純菜 | 1{3-6、6-3、0-6}2 | 林 |
合計 | 1 | ― | 4 |
今季、団体戦では早大にはダブルスで負けていなかった慶大。しかし、今日はダブルスに落とし穴が待っていた。慶大はいつも通りのD1池田玲(環4・富士見丘高)・西本恵(環4・岡山学芸館高)組、D2安形玲耶(環3・城南学園高)・村瀬早香(環2・京都外大西高)組のオーダーで、この一戦に臨んだ。
D2は、ファーストセットの第1ゲーム。強風に対応しきれず安形、村瀬両選手にミスが出てブレークされてしまう。しかし、第4ゲームでリターンエース2本決める攻めのテニスでブレークバック。そのまま迎えた第9ゲームで再びブレークを許すと、ファーストセットを落としてしまう。セカンドセットは序盤から流れをつかみ一時5-2とする。ブレークバックを許し、迎えた第10ゲーム。15-40とブレークのチャンスをつかむ。しかし、攻めのリターンがオーバーするなど、このチャンスを生かせないと、続くゲームをブレークされ万事休す。試合後の涙からもわかるように悔しさの残る敗戦だった。
D2の敗戦でより負けられなくなったD1の4年生ペア。ファーストセット、第2ゲーム。長いデュースの末に、池田がバックのボレーを決めブレークに成功する。しかし、ここから2連続でサービスゲームをブレークされてしまう。続くゲームですぐにブレークバックすると、5-4で迎えた第10ゲーム。ブレークチャンスを作ると、最後は上のボレーミスを誘いファーストセットを奪取した。しかし、セカンドセットでは中盤にブレークを許すと、そのまま4-6でダウン。試合はフルセットの戦いとなった。ファイナルセットでは序盤に2ブレークダウン。2-5で迎えた第8ゲームをブレークするも、直後のゲームをブレークされ敗戦が決まった。
日本一にはもう1敗も許されない慶大はS3に江代純菜(総2・九州文化学園高)を起用した。江代はファーストセットを落としてしまうものの、持ち前の粘り強いテニスで確実に相手の体力を奪っていく。すると、セカンドセット終盤には相手がイージーミスを連発。2つのブレークを奪い、ファイナルセットへ持ち込んだ。しかし、ファイナルセットは流れが一変。江代のテニスは相手に完全に攻略され、0-6。この瞬間早大の優勝が確定してしまった。
その後の2戦。S3の隣のコートで行われたS2の押野紗穂(環1・つくば国際大学東風高)の試合は、S3と同じ展開となった。1-6、6-4、0-6で敗戦。改めて、団体戦の「流れ」の重要性を感じさせる試合であった。一方、S1の西本は、早大の吉冨と対戦。幾度となく対峙してきた、早慶それぞれの絶対的エースの試合は、6-1、2-6でファイナルセットにもつれ込む。ファイナルセットでは、先に2つのブレークを許し0-3となったところから、西本が挽回。4-4とし、第9ゲームをしっかりとキープ。続くゲームも奪い、吉冨との大学を背負ってのラストマッチに勝利して早大に一矢を報いた。
リーグ戦では勝っただけに、この結果はただただ悔しいものであるだろう。しかし、チーム今橋としてやってきたこの1年。彼女たちが残した功績は、間違いなく慶大庭球部の歴史に刻み込まれるだろう。1年後、日本一になるために……。安形新主将率いる〝チーム安形〟の挑戦が始まる。
(記事:太田悠貴)
【監督・選手コメント】
坂井利彰監督
(今日の試合を振り返って)悔しいんですけど、本当に学生を褒めたいです。よく頑張ったなと感じていて、日本一を目指していたので悔しい気持ちが強くあるんですけど、男女で全国の決勝まで来て、ファイナルセットまでもつれた試合が多く作って負けるというところまで来たんだなと感じています。(あと一本というところはどこにあるか)チャンスというものは多くは来ないので、そのチャンスをものにする力だと思いますし、それを感じる力であると思っています。その感じる力が足りない、もうチャンスが来ないと思ってそのポイントに臨まなくてはいけないので、その感じる力が必要なんだと思います。(全員で勝ちに行くチームは作れたか)まず、それは春の関東学生テニストーナメントで本選の出場者数が今までで最多であったということで、テニスに対する理解というか勝負に対する理解というのが、選手に深まったということで第一ステップに成功したと思っています。また、その中の代表である西本、高田・上杉がインカレを優勝した、ユニバーシアードの代表にもなった、ということができてきて勝負強いチームになったなと感じています。(4年間核となってきた5選手が引退しますが)彼らは1年のときからこのチームを引っ張ってきてくれたので、彼らのいる間に優勝させてあげたかったんですけど、早稲田との差というものをこれだけ縮めてくれたので3年生以下がこれを引き継いでくれると思います。(逆に期待する選手は)逸崎、畠山、押野の1年生、江代、村瀬、上杉、韓の2年生、この1、2年生が育ってきているので、そこに期待したいですね。(来年最上級生となる3年生については)男子だと井上智文、野田、女子だと安形、小林、その辺が引っ張ってくれないといけないと思いますし、今年の4年生よりは人数が少ないですが必ず力を見せてくれると思います。(来年はどんなチーム作りをしていきたいか)そんなに変わらないですが、今回見つかった課題、チャンスを読み取る力、チャンス感じられる力を持つチームを作っていきたいなと思います。(来季への意気込みを)今までで一番優勝に近づいたと思いますし、勝負強いチームをチーム一丸となって作っていきたいと思います。
池田玲(環4・富士見丘高)
(今日の試合を振り返って)D1でダブルス1本とってきてチームに勢いをつけるというのが私たちとしての役割だったんですけど、それができなくて本当にみんなに申し訳ない気持ちでいっぱいです。
西本恵(総4・岡山学芸館高)
(今日の試合を振り返って)D1で流れを持ってくることができなかったというのが、チームにとっても痛かったです。ずっとD1としてやってきたという意味でも勝ち切れなかったのは、本当に最後みんなに申し訳ないなという気持ちでいっぱいです。
安形玲耶(環3・城南学園高)
(今日の試合を振り返って)まだあまり整理できてないんですけど、本当にこの大会に懸けていた気持ちが強くて、勝つことだけを考えてやってきたんですけど、最後それを結果に結びつけられなくて悔しい気持ちでいっぱいです。私たちの試合は、ファーストセットをしっかりとっていればD1の(池田)玲さんと(西本)恵さんにもいい流れをもっていけたと思います。私たちの試合の結果だけでなくて、チームの結果も私たちの責任であるというくらい重い敗戦だったなと思います。でも、ここで暗くなっていたら来年はないと思うので、何を変えれば勝てるのかということをしっかり考え直してがんばっていきたいと思います。(この1年は関東制覇もしましたが、安形・村瀬組にとってどんな一年だったか)私は、今まで以上に優勝というものにこだわってきた1年でした。春関のときの結果が本当に自信につながって、自分たちもいけるという気持ちや、早稲田に対するコンプレックスがなくなったと思っていて、それは私たちではなくて、今橋さん谷本さんの代の雰囲気が作ってくれたものだと思います。いろいろなチャレンジをしてきて、自信もつかんでいいこともあったと思うんですけど、まだまだ私たちも波があるので、そこをなくすために継続することが大切であると感じた1年でした。(西本選手がインカレで優勝した瞬間に、西本選手よりも圧倒的にスタンドの安形選手のほうが号泣していたと思うが)去年、(西本さん)は準優勝で、いろいろ葛藤してきた(西本)恵さんを間近で見てきたので、優勝した瞬間というのは努力が結果に結びついたことが、本当にうれしかったので… 私自身、感情的になりやすいところがあって、私「本当に庭球部のみなさんが大好き」で、ただただ自分のことのようにうれしかったです。(来季への意気込みを)私は1年生のときから、試合に出させてもらっていて誰よりも経験があると思うので、それを今の3年以下に伝えて、チームの先頭に立って頑張っていきたいと思います。
江代純菜(総2・九州文化学園高)
(王座準優勝という結果について)日本一を目指していたので、何も残らないなというのが今の率直な気持ちです。(早大との差は)自分の試合を振り返ってみると、出来ることはやれたかなと思っていて、元々のレベルの差が大きかったように感じています。でも、チャンスはあったので、そこで勝ちきれなかったことがチーム全体の反省で、セカンドセットをとってからのファイナルの出だしでギアを上げられなかったり焦ったりしたことだと思います。女子は私が入部してから初めての王座で、そういう経験の差もちょっとはあったと思います。(関東3位で終えた昨季からの1年を振り返って)今年は学生大会でチャンピオンを出すことにこだわってきて、昨年よりもお互いに言いたくないことでも言い合ってきたと思いますし、チーム作りの面で4年生の方々を中心に何度もミーティングを重ねてきたことで、昨年よりも成績が伸びたと思います。(4年生に対して)私の力でこのチームを日本一にしたかったですし、今橋さんを日本一の主将にしたかったので、申し訳なさでいっぱいです。昨年も同じような反省を言ってしまいましたが、来年こそは絶対に日本一になって、この一年が日本一に結び付いたとなるように来年絶対に日本一になります。(来年からは上級生になるが)今まで下級でやってきて上級の方は本当に大きく見えていて、後輩からは「この先輩なら絶対やってくれる」というようにチーム全体から信頼される責任が上級生にはあると思うので、そういう責任を持ってコートでもコート外でも戦えるような人間になりたいと思います。
村瀬早香(環2・京都外大西高)
(今日の試合を振り返って)今まで練習もそうですし、相手の分析とかもどこのペアよりもやってきたと思っていて、だからこそ絶対に勝てると思っていましたし、私たちの試合はよくも悪くもチームに大きな影響を与える試合だと思っているので、いい試合を継続するということがまだ私たちに足りていないのではないかと思います。(この1年は関東制覇もしましたが、安形・村瀬組にとってどんな一年だったか)やっぱり結構波があったと思っていて、春関では優勝できて、早慶戦でも私たちは勝ったんですけど、チームは勝つことができなくて、チームに私たちがこの1年間ずっと持ってこれていたかというと、できていなかった部分もあったと思っていて、それは試合に限らず、練習中とかでもまだまだできることはあったと思います。周りにプッシュされてやるということもあったので、自分たちからやっていかなくてはと思います。なので、この1年は成長できた1年だったと思うんですけど、特に私は周りに頼り過ぎていたと反省しています。(来季への意気込みを)2年なんですけど、大学に入ってから全国のトップの舞台を経験してきると思うので、まずは同期の中でリーダーシップをとって、まとめ上げていきたいと思います。
押野紗穂(環1・つくば国際大学東風高)
(王座準優勝という結果について)チームで日本一を目指していたので、自分が出させてもらっていた中で負けてしまって準優勝になってしまったことが本当に悔しいです。(早大との差は)勝負強さが一番の差かなと思います。関東リーグでは慶應が勝ちましたが、早大も絶対に負けられないという気持ちで王座に臨んできて、今日もファイナルにいった試合が多くてファイナルにいくということは技術的には差がなくて、勝負強さが最後結果を分けたのかなと思います。(初の大学テニスのシーズンを終えたが)高校では団体戦を経験したことがなくてこのチームに入ってテニスの技術も伸びましたが、それ以外の人間性の部分でも成長出来て、ただ今シーズンはこれといった結果は残せなくて悔しかったので、来年はチャンピオンになるという気持ちを持って頑張っていきます。(4年生に対して)4年生は本当に大好きで引退してしまうのは寂しいですけど、これから自立して今回優勝できなかった理由を突き詰めて、来年は王座をとることが出来れば4年生の思いも晴れると思うので、4年生の思いも背負ってこれから練習を頑張っていきます。(来年に向けて)私自身は波があるのが課題で、練習の調子がそのまま試合に出てしまうので、練習で一回も抜けることがないように追い込んでやっていこうと思います。