優勝の可能性がなくなり、肩を落とす慶大イレブン。
前節、国士大戦との上位対決を制し2試合を残して見事インカレ出場を決めた慶大。だが目標はあくまで「関東リーグ優勝」。昨年のインカレ王者流経大との戦いだが、優勝のためには決して負けられない。そんな慶大であったが試合は序盤から流経大ペースで進む。セカンドボールを拾われ続ける展開で後半12分にCKから失点。69分に2試合連続となる山本のゴールで追いつくも84分にまたもセットプレーから失点。この敗戦により慶大の優勝の可能性は消滅した。目標は果たせなかったが、「優勝争いができたことは財産。」(須田監督)と次なる目標に向けて再出発する。
第89回関東大学サッカーリーグ戦 第21節
2015/11/7（土）13：50KO ＠龍ケ崎市陸上競技場たつのこフィールド
慶應義塾大学1－2流通経済大学
【得点者（アシスト者）】
［慶］69分 山本 哲平 （井上 大 ）
［流］52分 ジャーメイン 良
［流］84分 今津 佑太
◇慶大出場選手
GK宮原隆志（経4・武蔵高） |
DF溝渕雄志（環3・流通経済大学付属柏高） |
DF久保飛翔（環4・済美高） |
DF望月大知（環3・静岡学園高） |
DF井上大（総3・國學院久我山高） |
MF山田融（総4・横浜F・マリノスユース） |
MF宮地元貴（総3・東京ヴェルディユース） |
MF手塚朋克（環2・静岡学園高）→86分 黄将健(総4・近畿大学附属高) |
MF松木駿之介（総1・青森山田高）→67分 田中健太(法2・横浜F・マリノスユース) |
FW渡辺夏彦（総2・國學院久我山高） |
FW山本哲平（政3・國學院久我山高） |
新チームが始動してから目標に掲げてきた「関東リーグ優勝」。それが手の届くところまで来ている。リーグ戦2節を残して首位早大との勝ち点差はわずか1。昨年のインカレ王者である流経大は手強い相手ではあるがここで勝利し、最終節まで優勝への望みをつなげたい。
慶大の先発は3ー0と国士大に快勝した前節と同じ布陣。勢いそのままにインカレ王者もなぎ倒したいところである。前節2ゴールを決め、好調の山本哲平（政3・國學院久我山高）に期待がかかる。
守備に徹するDF陣
試合は集中応援を背に流通大が先に仕掛ける。開始早々2分、流経大11番ジャーメイン良がゴール前で粘り、最後は14番渡邉がシュート。 久保飛翔（環4・済美高）がブロックするもボールは再び相手の元に転がり、ゴールを狙う。 これは宮原隆志（経4・武蔵高）のファインセーブで先制は許さない。5分、慶大溝渕雄志（環3・流通経済大学付属柏高）が右サイドから上げたボールをDFが頭でクリア。こぼれ球を松木駿之介（総1・青森山田高）がジャンプボレーでアクロバティックにゴールを狙うもGK正面。10分 慶大のパスワークから渡辺夏彦（総2・國學院久我山高）がシュート。そのこぼれ球を山本が再びシュートするもゴールは奪えない。その後は流経大がボールを支配する時間が続く。24分には28番星野がミドルレンジで受けたパスをダイレクトでシュート。これはゴール左に外れる。慶大は流経大の強力ツートップにボールを収められ、なかなか攻撃に転じることができない。慶大はその後チャンスを作れないまま前半は0-0で折り返す。
見事なアシストで同点弾を演出した井上
後半に入っても流経大ペースで試合は流れる。そして52分、右サイドからのCKをゴール前に上げられ、混戦からジャーメインに押し込まれ、先制を許す。失点後も慶大はペースを握ることができない。「選手同士の距離感が良くなかった」と須田監督が振り返るように、ことごとくクリアボールを拾われてしまう。なんとかこの状況を突破したい慶大は67分、松木に代えてドリブラー田中健太(法2・横浜F・マリノスユース)を投入。するとこの田中が素晴らしい動きをみせる。交代直後から得意のドリブルで相手を翻弄し左サイドからチャンスを作り、68分。田中が左サイドを駆け上がり、井上大（総3・國學院久我山高）にパス。井上の質の高いボールに山本が頭で合わせてゴール。山本の２試合連続となるゴールで良い時間帯に追い付き、この試合初めて慶大が試合を支配する。69分には手塚朋克（環2・静岡学園高）のクロスがそのままゴールに吸い込まれるかと思われたが惜しくもクロスバー。81分、宮地元貴（総3・東京ヴェルディユース）の素晴らしい縦パスを受けた手塚がペナルティエリア内でシュートを放つもゴール上。慶大が攻め続ける時間が続いていたが、カウンターを許してしまう。
キレのある動きで相手を翻弄した田中
84分、中盤でボールを奪われ、ジャーメインの左サイド突破を井上が倒してFKのピンチ。このFKからまたも失点し勝ち越しを許してしまう。「このような試合でセットプレーから失点していては勝つのは難しい。」(須田監督)とチームとしての大きなミスとなってしまった。負けられない慶大は86分、手塚に代え、黄将健(総4・近畿大学附属高)を投入。89分に渡辺がペナルティエリア内でシュートを放つなど攻めの姿勢を見せるが相手の攻守もあり、タイムアップ。目標とする「関東リーグ優勝」への道は閉ざされてしまった。
２試合連続ゴールを決めた好調の山本
後期リーグ戦8戦無敗と怒涛の快進撃で2度も首位に立った慶大。チーム一丸となり優勝が手に届くところにあったが、今節の敗北により夢は叶わず。だが、まだリーグ戦は終わっていない。まずは最終節となる明大戦にこの悔しさをぶつけてほしい。気持ちを切り替え、準優勝、インカレ制覇という次なる目標へと突き進む慶大。優勝争いをしたという財産はチームの血となり肉となり、慶大ソッカー部をさらに強くする。
（記事 吉田遼平）
試合後コメント
須田 芳正監督
(今日の試合をどのように振り返りますか)セットプレー二つだね。こうなると今日みたいなゲームに勝つのは大変になる。相手もインカレ出場に向けて相当気持ちが入ったゲームだったと思うし、かなり強い相手だったし選手たちは本当によくやったと思う。まだリーグ戦は終わってないし、優勝という目標はここで絶えたのだけど準優勝という次の目標とインカレもあるので、決して下を向くことなく、前を向いてまた頑張っていこうと思います。
(優勝は逃したが、ここまでの順位について)優勝争いをできたということは我々の財産ですし、まだリーグ戦は1試合あるので最後までしっかりと戦って、終わりよければ全てよしということで関東リーグ戦の最後の明治戦は勝利できるようにみんなで一丸となってやっていきます。(明治戦やインカレに向けの課題)我々がやってきたことを追求するということが大切だと思う。ラインの上げ下げだったり、今1番大切にしている攻守にわたる距離感とか、今日は距離感が良くなかった。それはラインアップだったりプレスバックのところなので、しっかりと確認しながらやっていきたいと思います。
久保飛翔主将(環4・済美高)
(今日の結果について)もう負けてしまったので気持ちを切り替えるしかないので、しっかり今日の試合を反省して次に向けてやっていきたいです。(敗因や課題は)セットプレーで2失点したのですが、そういう場面で点を取られてしまったり、ゴール前でのファウルが多くて、相手の身長の高さを生かさせてしまうようなミスで招いた失点でもありました。あとは、厳しい試合になってくるときこそセットプレーの攻守が大事になってくるので、そこはもう一度チームとして見つめ直すべきだと思います。(リーグ戦残り1試合とその先のインカレが控えていますが、意気込みをお願いします)インカレもあるのですが、最後の明大戦に向けて是が非でも2位で終わるというのが1番の目標だと思いますし、インカレも続いてくるので、まずは来週勝って、最後までチームとしても個人としても成長していって、日本一に向けてやっていけたらと思います。
山田融副将(総4・横浜F.マリノスユース)
(今の率直な気持ちを)早大が勝ってもう優勝がなくなってしまったので、非常に悔しいです。(試合を振り返って)前半は風下で我慢する時間帯が長くて、0点に抑えたのは良かったです。後半1－1になるまでは悪くはなかったのですが、そこで攻めてるときにセットプレー一発で取られたので、セットプレー2つでやられているのでそこはチームとして課題かなと思います。(最終節に向けて意気込みを)インカレに向けても勝つしかないし、3位よりも2位の方が絶対いいですし、そういう意味で明大もすごく強い相手ですけど、精一杯やって勝てるように次の1週間やっていきたいです。
山本哲平(政3･國學院久我山高)
(今日の試合を振り返って)風下だったので守り切って前半を終えられたことはよかったのですが、後半先制点をセットプレーから与えてしまって、2点目もセットプレーだったので、あまりよくなかったゲームだと思います。(得点シーンを振り返って)相手のCBが僕にマーク付いていてのですが、あまり集中していなかったのか一瞬で外すことができて、そこに大(井上)がいいボールを出してくれたので、ヘディングは感覚打ったのですが、それが入ってよかったです。(インカレに向け明大戦をどう戦うか)とりあえずリーグ戦の順位は3位ではなく2位で終えたいし、この悔しさを晴らすにはインカレしかないと思うので、次の試合で次につなげられるような試合をして、インカレで日本一を取りたいと思います。
