【スケート】目指せ!冬の王者―スピード部門 別府主将・吉田選手

取材中の別府主将・吉田選手

 感動のバンクーバー五輪から早くも10カ月。今年もまたウインタースポーツのシーズンがやってきた。ウインタースポーツ各部の活動が活発になってくる中、今回はスケート部スピード部門の別府良亮主将(経4)と吉田麻里絵選手(総1)のお二人を取材した。

シーズン序盤を振り返って

―初めに簡単な自己紹介をお願いします

別府主将:私は慶應義塾大学経済学部4年の別府良亮(べっぷ りょうすけ)と申します。高校1年生のときからスケートを始めて、今は体育会スケート部の総合主将とスピード部門の主将の役職についています。

吉田選手:私は総合政策学部1年吉田麻里絵(よしだ まりえ)です。本年度から所属して、スケートは小さいころからやっています。

―今季の活動内容は

別府:今年は1年生が塾高(慶應義塾高校)から2人入ってきて、それから吉田が外部からAO推薦で入ってきたのでその3人を加えて、2,3年生が空いて4年生が僕ともう一人同期がいるんですけど、その合計五人の体制でやっております。部としてはインカレで入賞することを目標としてやってきました。それで、男子はあまりふるってないんですけど、女子は(吉田が)一人で先日のインカレでも2種目で優勝と準優勝という記録を出して、団体でも3位に入ったのでそういう面ではかなり好成績を残せています。個人としては先日ユニバーシアードの代表選考会があったんですけど、そこでは一応、成績的には吉田がユニバーシアードの代表にほぼ内定して、次に全日本選手権でワールドカップの代表とかをかけてやるという形で、吉田がすごい頑張ってくれている名という感じがします。

―主将として大変なことややりがいのあることは

別府:1番はこの競技が団体競技ではなく、個人競技なので部としての成績を上げるためにまず個人個人の成績を上げないといけないという面があって、そのため主将としての仕事は団体スポーツのように戦術とかそういう面よりも、部員がいかに自分の力を最大限発揮できるような環境をつくってあげることかなと思っています。そういう環境づくりにやりがいを感じている反面、なかなか難しいなと感じる面がありました。

―今季最後の試合に向けて

別府:4年生最後の試合は今度の1月のスピードスケートのインターカレッジの試合で、彼女(吉田)とか他の部員は3月末まで全日本関係の試合があります。ショートトラックを普段メインにやっているのでスピードスケートにすぐ移行して取り組まないといけないという点ですごく難しい面があると思うんですけど、団体として入賞するためにまず個人としてポイントを取る、というのを目標にしています。

―慶大に進学した理由は

吉田:東京都連っていう都連に入っているというメリットが一番大きかったのは事実で、あとは文武両道を目標にずっとやってきたのでここでも文武両道ができればいいなと思って、この学校を選びました。

―インカレ1000m優勝、東日本選手権3冠を達成されましたが、優勝した時の気持ちは

吉田:今シーズンはシーズン初めからあまりいい成績が出ていなかったので、ホッとした気持ちの方が大きかったです。

―12月末の全日本選手権に向けての課題は

吉田:体力的にもっと向上して、技術的にももっと良くなりたいっていうのはあります。

全日本での活躍も期待される

―同じ強化指定選手で、早大桜井美馬選手への意識したりは

吉田:そうですね。同じチームなのでいつかは抜かしたい相手だなと思います。

―将来どのような選手になりたいといった目標は

吉田:部員から慕われるような選手になりたいなと思っています。いろいろ技術的なことも含めて教えられて、(逆に)聞いてきてくれるような選手になれればなと思います。

―全日本選手権での目標は

吉田:とりあえず決勝で滑れるように決勝に上がりたいなと思います。

―世界を舞台に活躍することは意識しているか

吉田:そうですね、将来的にはオリンピックに出れればと思っています。

―お二人とも今季のここまでを振り返って

別府:成績は、個人としては夏場に故障して練習できなかったのであんまりふるってないんですけど、団体としては吉田が頑張ってくれている分、目に見える成績が残せていて、また目に見えない部分でも下の1年生が伸びてきてくれているので、そういう面では良かったです。

吉田:新しい環境になって、不安もいっぱいあったんですけど成績もそこそこ出ているのでこれからもっといい成績が出たらいいなと思います。

吉田選手の素顔とは?

―少し話を変えてお互いの印象は

別府:麻里絵ちゃんは負けず嫌いだなという印象がすごくあって、自分にもすごい厳しくやっていて、競技以外の部分でも自分を統制して競技でいい成績が出せるように頑張っているなという印象です。

吉田:きちんと何でも出来るすごい人だなっていう印象ですね。入部した時もさすが慶應生だなと思いました。今もすごいと思っています。

別府:あと彼女はちょっと天然なところがあって、スケートを離れるとちょっとあれ?ってなることがありますね。

 

―天然というお話がありましたが、具体的には

別府:最近冬だと思うんですけど、寒いですよね。競技で食事のカロリーとかいろいろ考えてやっているのに練習終わった後に毎回アイス食べたりとかしているんです。それはありなのかなって思いますね(笑)。あとたまにメール送ってもこれ返答になっているのかなっていうのはあります。きっと4年間の中で修正していくんじゃないかなと思います(笑)。

―吉田選手はアイスが大好きなんですか

吉田:はい。アイスないと生きていけないです(笑)。最近はハーゲンダッツのパンプキンが好きです。チーム全体としてもはまってます。

―スケートを始めたきっかけは

吉田:私は両親がやっていたから始めたというのがきっかけです。

別府:もともと体がすごい弱くて、本当はサッカーとかがやりたかったんですけど、塾高からだとサッカーとか他の体育会の部活はある程度運動出来る子じゃないと入れないので、個人でできる、自分のペースでできるスケートをやろうと思いました。

―スピードスケート、ショートトラックの魅力は

別府:まず陸上では体感できないスピードっていうのがあって、スピードスケートだとだいたい時速50キロぐらいまで出るのでそれが一つと、氷の上を何ミリしかない刃で滑っているので一歩間違えれば転倒してしまうというスリル、あとショートトラックだと他の選手との駆け引きの面白さがありますね。

吉田:最後までゴールする瞬間まで本当に何があるかわからないっていうのがあって、昔(2002年の)ソルトレーク五輪でもあった通り、一番遅い選手が金メダルを取るっていうレースもあるので、運と自分の実力があってからこそのショートトラックかなと思います。

―タイムを縮める難しさは

別府:僕のレベルだとそんなに難しくないと思うんですけど、やっぱり麻里絵ちゃんのレベルになるとコンマ一秒でも大変なことなのかなと思います。

吉田:(タイムを縮めるために)常にいいフォームで滑るように心がけています。

別府:やっぱりタイムを縮めるために心がけているのは最後まで諦めないっていうことですよね。ゴールするその直前まで諦めずに足を出して、頑張ってタイムを0.1秒でも0.01秒でも縮めることにつながるんじゃないかなと思います。

―ショートトラックだと少しでも前に出なくてはいけないということもあって負けず嫌いな選手が多いと聞くが

吉田:一つでも前に残っていないと、準決にも残れないので位置取りっていうのが重要ですね。

―ショートトラック、スピードスケートとはどのようなものか

別府:僕にとっては自分の生活の一部で、7年間ずっとスケートばっかりの毎日を送ってきたのでやっぱり部員は家族みたいなものなので、これがなくなってしまう来年とか再来年が想像つかないくらい好きなスポーツですね。

吉田:生活の一部で、どんな時もスケート優先して考えてきた人生で、今からもそうであるしこれまでもそうだったのでスケートがあっての私だし、スケートがあるからこそ学校でもみんなに声かけてもらっていると思うので、そういう面ではとっても大切なものです。

―暖かいイメージのある岡山出身の吉田選手ですが、スケート環境はどんなものだったか

吉田:スピードスケートは北海道、長野という寒い地域なんですけどショートトラックは比較的東京、大阪といった暖かい場所でもリンクさえあれば出来るスポーツなので。親がやっていたのでついていって、氷の上に乗って遊んでいた、というのがありました。

文武両道の日々

―学生生活についてもお聞きしたいのですが、キャンパスライフの思い出は

別府:僕は部活以外にも大学でゼミに所属していて、卒論を書いたりしているんで、慶應って部活だけやっていればいい、というわけじゃないじゃないですか。勉強もある程度しなくちゃいけない、という文武両道の生活が出来てすごく充実したキャンパスライフを過ごせています。

―これだけはやりたいっていうことは

別府:旅行ですね。部活で色んなところには行くんですけど全然旅行はできなかったのでそれを引退してからやりたいですね。

吉田:今は下田寮に住んでいるんですけど、1年生が少ないんで先輩とのつながりがすごい今大きくて、研究会にも所属しているんですけど、その先輩がどのようにしてキャンパスライフを送ればいいのかっていうことを教えてくださるのでこれからもそのつながりを大事にしたいなと思います。

―テニサーをのぞいてみたい、と思ったりしませんか

吉田:なかったですね(笑)。でも友達作るためにそういうところに行くことに憧れたりはしました。

―授業の方は

吉田:出席しなくちゃいけない授業も多いですけど、休んだ後にフォローしてくれる友達がいたりしてくれてすごく助かっています。

  記者の質問に丁寧に受け答えしてくださった別府主将、アイスクリームが大好きという女の子らしい一面も見せた吉田選手、シーズン途中のお忙しいところありがとうございました。

  また、吉田選手はワールドカップ出場をかけて、12月25・26日に行われる第34回全日本ショートトラックスピードスケート選手権(@東京)に出場する予定です。ご活躍をお祈り申し上げます。

By.Yasuhiro Namimatsu

Camera.Michio Ikezawa

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