関東大学サッカーリーグ開幕まであと1週間。昨季慶大は関東リーグ優勝を目標に戦い、リーグ戦終盤まで優勝争いを演じた。しかし結果は惜しくも3位。あと一歩届かなかった。今季こそ悲願の優勝へ。熱い戦いが始まろうとしている。ケイスポでは関東リーグ制覇へ向けて活躍に期待のかかる選手に意気込みを聞いた。
第1弾は昨季の関東リーグ新人賞を受賞した松木駿之介選手(総2・青森山田高)から!
―まずは昨季を振り返ってもらえますか
昨季は大学1年目のシーズンとして自分が想像していたよりも充実したシーズンを送れたと思っています。それは、もちろん監督に試合にコンスタントに出させてもらっていたことと、先輩が本当に僕を伸び伸びとさせてくれたことがすごく大きかったので、今年は2年生になりますけど、2年生になる分チームのことも考えなくちゃいけない学年になると思うし、そういったところで成長していきたいと思います。
―昨年ソッカー部に入部した時、ある程度思い描いていたビジョンがあったかと思います。その中に、開幕スタメンや新人賞というものはあったのですか
開幕スタメンと新人賞はもう入部した時から、ぶれずに掲げていた目標で、高校のときは無名の存在でしたけど、上手い人がある程度抜けて一生懸命やれば追いつける位置だなと思っていたので、そこは可能性を信じて開幕スタメンと新人賞というのはずっと思っていました。
―入部していきなりの開幕戦スタメン出場でしたが、不安や緊張はありましたか
不安は相当ありましたし、先輩が出られないなか自分が出させてもらっていて、当時の4年生とも開幕前に話して、4年生の気持ちとかを知ったうえで自分が結果を出せないと本当に申し訳ないなという責任感から不安もありましたし、でもその分4年生がずっと自分に気を使って声を掛けてくれたので、そういう不安も乗り越えられました。
―その後も主力としてスタメン出場が続きましたが、「やれるな」という手ごたえを感じたのはどことの試合でしたか
やっぱりスタートダッシュがうまくいったと思っています。開幕戦の法大戦で良いプレーができて、第2節の駒大戦で点を取れて、「俺でもやれるな」っていうのを早い段階で感じられたのが1年間通して充実したシーズンを送れた要因だと思います。
―前期は3ゴール2アシストを記録しましたが、第2節での初ゴールから次のゴールを決めるまでに8試合ノーゴールの期間が続きました。「壁にぶち当たった」期間だったのですか
ある程度大学サッカーのスピードに慣れて気持ちが落ち着いてしまったというか、1点取って少し慢心があったというか、ゴールへの意識というのが薄れていたかなというのが正直あります。3試合4試合ゴールを取れなくなってから本当にゴールが欲しくなって、ゴールと向き合うようになってから謙虚な気持ちというのをまた改めて確認するようになってそこからゴールを取れるようになっていったので、気持ちの部分が本当に大事だなと思った期間でした。
―前期終了後、手術のためピッチを離れました。早慶定期戦では松木選手の不在によりターゲットとなる選手がおらず苦戦した印象を受けたのですが、やはり「自分が出ていたら」という悔しさはありましたか
もちろん選手としてピッチに立てなかったことは本当にもどかしくて、「自分がピッチに立ったらどういうことができるのか」とか考えながら見ていましたけど、早大の守備が堅いなかで僕の空中戦は武器になるなとも思っていましたし、そういう部分でも今年はけがなくコンスタントに試合に出続けられる選手になりたいという気持ちが強くなりました。
―まだ手にテーピングを巻いて出場していますが、けが自体は治っているのですか
けが自体は治っていて全然プレーには影響はないですけど、試合中にテーピングをつけているのはゲン担ぎというか、つけてからだいぶ調子が良くなったので、ほとんどゲン担ぎという意味でテーピングを巻いています。トレードマークにしたいですね。
ゴールを取れなければ自分の存在価値はない
―復帰後は5ゴール1アシストと前期よりもゴール数が増えました。要因は
やっぱり本当にゴールと向き合うようになって、自分はサッカー選手として能力が高いとは自分で思っていないので、ゴールを決めて結果を残して分かりやすい結果で評価されていく選手だと自分で考えるようになって、ゴールを取れなければ自分の存在価値はないなと自分で思い始めたので、本当にゴールと向き合うようになりました。
―トータルで8ゴール3アシスト、2桁ゴールに届きませんでした。
後期の早い段階で8ゴールまで乗っかってそこで2桁ゴールの目標を作ったんですけど、そこからラスト3,4試合ゴールを取れずに終わってしまって、2桁ゴールに乗せたかったという思いはすごくあります。
―自分の中で「もっとやれた」という思いがあった中での新人賞受賞だったということですか
そうですね、最後は自分が結果を残せないままチームも勝ち点を伸ばせずに最後にひっくり返されて優勝を逃してしまったという中で新人賞を頂いたのですが、やっぱり自分が最後まで活躍していれば優勝もあったと思いますし、最後の勝負所で結果を残せる選手になりたいです。
―年が明けて2016年、デンソーチャレンジカップを戦う全日本選抜チームのメンバーに選ばれました。選ばれた時の率直な気持ちは
素直に嬉しかったです。今までこうした個人として評価されて選抜に入るとか、ましてや全日本選抜だとかそういったステージで戦ったことがなかったので、そういう中でやれることに嬉しさはありました。
―デンソーチャレンジカップでは格下相手に初戦敗退でした。ショックはありましたか
北海道・東北選抜に負けてしまって、それも3-0から残り15分で3点決められて追いつかれてPK戦で負けてしまったんですけど、自分たちが強くないということを確認しましたし、全日本を背負っている以上結果を求められるのですごくショックでした。
―日本代表のハリルホジッチ監督の前でプレーする機会もあったそうですが、いかがでしたか
ハリルホジッチ監督が来るということは試合前から聞いていて、もちろんサッカー選手として燃えますけど、でも特に個人として「いいプレーしよう」とか変な硬い気持ちというのはなかったです。
―その後のマレーシア遠征や日韓定期戦でゴールやアシストを量産しましたが、全日本選抜での活動を通じて何か「ここが変わった」というところはありますか
根拠のない自信がつきました。マレーシア遠征の最初の方とかは個人的にすごく調子が悪くて結果が出なくて本当に悩んでいて気持ちがやられていた中で、慶大からミゾくん(溝渕雄志・環4・流通経済大学付属柏高)も全日本選抜に選ばれていたんですけど、ミゾくんと話した時に「バカか。自信が今なくなっているだろう。上に行く選手は根拠のない自信を持っていて、根拠のない自信がないとやっていけないぞ」と言われ、「冷静に考えて日本の大学生の中でトップの22人の中に入っているんだからお前はすごいんだぞ」とも言われて、「俺すごいな」と思って、やれないわけないし、いろいろな人が僕のことを評価してくれて全日本選抜に選ばれているので、その話を聞いて根拠のない自信を持てましたしミゾくんに救われた感があります。
―他大の選手との交流は刺激になりましたか
そうですね、個人個人の特徴も知りましたし、全日本選抜に残っている選手たちとプレーできたということで自分の実力というのも自分の中で把握することもできてまだまだ力がないなというのも正直感じましたし、だからこそ今年やってやろうという気持ちがすごく高まったのでいい刺激になりました。
―さあそしていよいよソッカー部に戻ってきました。新入部員たちの印象は
今年は結構バランスよくどのポジションにもいい選手がいると思っています。青森山田高校から北城俊幸(総1)という後輩も入ってきましたけど、あいつはまだまだ全然(力を)出せていないなと思っていて、高校の時は本当に「半端なかった」という感じがあったので、もっとやれるんじゃないかと期待しています。
―自分と同じような道を新入部員たちには歩んでほしいか
今トップチームに山田盛央(総1・藤枝東高)と落合祥也(総1・横浜FCユース)の2人がフィールドプレーヤーではいて、自分と同じように開幕スタメンを狙ってほしいですしそういう気持ちが下にあるチームというのは強くなると思いますし、今ゴールキーパーも田野(稔明)さん(経3・慶應義塾高)がけがをして上田朝都(総1・横浜F・マリノスユース)が開幕スタメンという話も現実的になってきているので、朝都にも自分が去年思っていたこととかを伝えていって伸び伸びとプレーしてほしいです。
―先ほどのお話にもありましたが、新入部員の中には青森山田高校時代の後輩である北城選手もいます。彼のプレーの特徴と彼に寄せる期待についてぜひお聞かせください
クオリティ高く攻守においてハードワークできる選手だと思います。北城は相手が来てもハマらない技術を持っていますし、本当に気持ちが強い選手でキャプテンもやっていましたし本当にハードワークできるいい選手だと思います。それが今ソッカー部で出せていないのが残念ですけど、そこは自分からもアプローチしていっていつか左サイドでコンビを組みたいです。
目の前の試合だけを見て謙虚に戦えれば優勝できる
―今季のチームとしての目標、そして個人としての目標を教えてください
もちろんチームとしては去年も掲げていたリーグ優勝です。去年は実際優勝といってもどのくらいのレベルか分からないまま目の前の試合だけを見て戦っていって3位という結果で、目の前の試合だけを見て戦えたことはすごく良かったことだと思いますし、3位となったことでどのくらいの位置で優勝できるのかというのは全部員はっきり見えたと思うし、今年は(昨年までの)経験もあるので、メンバーが残っていて経験がある分、目の前の試合が大切だというのはそれぞれ分かっていると思うし、目の前の試合だけを見て謙虚に戦えれば優勝できると思うので、力がない分謙虚にやりたいと思います。個人としては数字的には15ゴール。そこには到達したいと思っています。15ゴール自分が取ることができればチームが優勝できるんじゃないかなと思っているので、チームのために15ゴール自分が取ることが目標です。
―去年のチームから戦術的に大きく変わった部分はありますか
去年の残り3節とかで優勝争いをしている中で負けた要因として、自分たちがボールを持つ時間が長くなったというか、僕たちが優勝争いをしていることで戦う相手は構えるというか構えられた時に自分たちが崩せないという状況があって、今年はスタイルは基本「堅守速攻」なんですけど、ボールを持った時にもっとボールを大切にするだとか攻撃の崩しの部分というのは去年よりも時間をかけて今やっています。
―松木選手個人としての役割に変化は
相当ありますね。ボールを大切にするとなるとやっぱり技術の面も出てきて、僕自身パス&コントロールが上手くないので、そこの役割というか能力をもっともっと上げていかなければポジション争いに勝てないですし、実際去年リーグ戦が終わって最後にボールの大切さ、ボールを持っているときの大切さというのをテーマに掲げた中でインカレを戦ったんですけど、その時にはベンチになりましたし、今年は本当にボールを大切にするとかそういった基礎の部分の能力を上げていってどんな戦術でもポジション争いに勝てる選手になっていかなければいけないなと、危機感を感じています。
―開幕戦の相手、明大の印象と試合に向けての意気込みを
タレント集団というか、高校までのスーパーな選手が集まる大学という印象があります。去年の最終節で明大の優勝が懸かった試合で明大に負けてしまって、結局明大は優勝できなかったですけど目の前で大喜びされて、自分たちが優勝を逃した中でそういう屈辱的な負け方をしたので、今年開幕戦でやれるということで相当燃えていますし、柴戸海くんとか知り合いもいるので、個人的に本当にワクワクしています。
―最後に、応援してくださる皆さんにメッセージをお願いします。
今年の慶大は去年からメンバーが多く残っていてたくさんの人に期待してもらっていると思うので、その期待を裏切らないように、僕たちは期待されながらも事実弱いので、謙虚に戦っていってその期待に応えられればいいなと思うので、優勝という結果を見ますけど、目の前の試合を1試合1試合戦っていくので応援よろしくお願いします。
(取材 小林将平)