5月12日~5月13日にかけて東日本大学レスリングリーグ戦が行われた。慶大レスリング部は2部リーグに所属しており、1日目には防衛大学校、東北学院大と対戦した。防大には5-2で、東北学院大には7-0と一つの階級も負けなしで勝利した。2日目は東大、立大との対戦。東大には伊藤暉主将(商4・八千代松陰高)がフォール勝ちで勝利するなど6-1の快勝。立大にも7-0と相手を寄せ付けない力を見せた。2部リーグ優勝という最高の形で終えた慶大は1部昇格への入れ替え戦に出場した。相手は昨年のリーグ戦では敗れた国際武道大だったが、軽量級陣の活躍が光り、見事に6-1で国武大を下して44年ぶりの1部昇格を果たした。
2部リーグ結果
○慶應義塾大学 | 5―2 | 防衛大学校 |
○慶應義塾大学 | 7-0 | 東北学院大学 |
○慶應義塾大学 | 6-1 | 東京大学 |
○慶應義塾大学 | 7-0 | 立教大学 |
入れ替え戦結果
体重 | 慶應義塾大学 | スコア | 国際武道大学 |
57 | 石橋 拓樹 | 6-0 | 上野 |
61 | 桑田 夏陽亜 | 17-4 | 関口 |
65 | 伊藤 暉 | 5-2 | 榊原 |
70 | 山下 心京 | 不戦勝 |
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74 | 留 福 | 不戦勝 |
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86 | 留 誠 | 不戦勝 |
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125 | 内山 正志 | 2-10 | 工藤 |
6勝 | 6-1 | 1勝 |
2部リーグ戦の初陣は防衛大学校との対戦。61kg級と74kg級では敗戦したものの、125kg級の内山正志がフォール勝ちを決めるなど、終始防大を圧倒した。
続く第2戦の東北学院大戦では戦った4人が全てテクニカルフォール勝ちを収め、力の差を見せつけた。
次の日に行われた3戦目は東大と対戦してこの試合も86kg級の留誠(経4・慶應高)が豪快なフォール勝ちで東大を寄せ付けず、圧勝した。
全勝優勝で入れ替え戦に弾みをつけたい第4戦。相手は大学以前からレスリングをプレーしている選手が多い立大。苦戦も予想されたが、65kg級の吉岡佑士朗(医1・慶應高)が試合の終盤にバックポイントを取り、同点に追いつき、逆転勝利をするなど1つの階級も星を落とさずに勝利した。
迎えた入れ替え戦。相手の国武大は3階級で選手がいなかったため、1階級勝利すれば慶大の勝利が決まる。慶大は57kg級には今大会立教戦以来の2度目の出場となる石橋拓樹副将(理4・八戸高)を起用。序盤から攻めのレスリングを見せ、開始14秒でバックポイントを取る。相手も石橋の攻めに嫌がる様子で、石橋がゲームの主導権を握る。この攻めの姿勢が追加点をもたらす。1R1分34秒には左足にタックルが決まって4-0とする。1R終了直前にもバックポイントが決まり、6-0で1Rを終える。2Rも石橋は攻めの姿勢を切らさず、相手に思うようにレスリングをさせない。そして2R終了5秒前。慶大のベンチ、応援席からカウントダウンが始まる。試合終了の笛が鳴り、この瞬間慶大レスリング部が1972年以来44年ぶりの1部昇格を決めた。
国武大に勝利が決まった後も慶大の勢いが止まらない。61kg級にはここまでの試合で57kg級で出場した桑田夏陽亜(商2・慶應高)が試合に出た。大学以前からレスリングをプレーしていた桑田はこの試合も安定した試合運びで効率よく得点を取ってゆく。2R2分45秒には4点が入る投げ技を決めて、17-4とした。これで桑田は出場した3試合全てでテクニカルフォール勝ちを収めた。65kg級も本来では61kg級出場の伊藤主将が登場した。1Rを終えて相手にリードを許す厳しい展開だったが、「チームの勝利のために65kg級に出場した」と語るように、闘志あふれるタックルをし続け、ついに2R1分46秒相手の右足にタックルが突きささり、バックポイントを取る。そのままリードを守り切り、この階級も慶大が勝利した。125kg級では内山が敗れたものの、6勝1敗で国武大を破り、1972年以来の1部昇格を果たした。
ついに悲願の目標が達成された。昨年はあと一つ勝てば入れ替え戦に進めるという所からの国武大に敗戦。今年は逆にあと1勝すれば1部昇格という場面で国武大に勝利した。「チーム全体の成長(浪山監督)」、「チーム全体としての取り組み(伊藤主将)」と2人が口を揃えて言うように入れ替え戦での勝利はレスリング部が一丸となって心が一つになって生まれた一勝である。1部昇格という目標は達成されたものの、伊藤主将は「今年は早慶戦で一矢報いたい」と新たなチーム目標に目を向けていた。浪山監督も「1部のチームに食らいつくために気持ちと体力をこれから1年間鍛えたい」と次を見据えていた。レスリング部の更なる飛躍に期待したい。
(記事:後藤 理央、写真:岩本 弘之、佐賀 佑真)
浪山監督
(44年ぶりの1部昇格となった今の気持ち)44年ぶりということで、ずいぶん長いのですが、今回の部員たちがよく頑張ったことと、今までのOB達が築き上げてきたものが今やっと実を結んだ結果だと思っています。(リーグ戦全体を振り返って)簡単な試合はありませんでしたが、選手が持ち味を発揮して、各階級でポイントを加算してくれたことが大きかったと思います。それと、今年、25年ぶりに館山で合宿を行って、そこで合同練習をして、みんなまとまって、非常にいい雰囲気でリーグ戦まで来れたことが勝因だと思います。(昇格を決めた武道大戦について)去年1部に昇格した国際武道大学が相手ということで強い相手でしたが、特に最初に出た石橋、桑田、主将の伊藤が、ゲームを作ってくれたことが、非常に大きかったです。勝利が決まった後も最後まで気を緩めずにやれた点は成長した点だと思います。(昨年と今年のチームの違い)チーム全体の体力面での成長、館山での走り込みによって、体が作れたという点と、チーム全体の盛り上がりが格段に上がっていると思います。個人のレベルの向上とともにチーム力も向上したと感じます。(今後に向けての意気込み)来年、1部の強いチームと試合をしなければいけないということで、そこに食らいついていく気持ちと体力をこの1年間で鍛えて、来年、1部の学校に挑戦したいです。
伊藤主将
(昇格した今の気持ちは)本当に最高の形で終われたので良かったです。(主将としてリーグ戦全体を振り返ってみて)昨年の3位という結果の時はあと1勝で優勝という所から負けて1年間もうこのリーグ戦のためだけに練習してきたので1部昇格が達成できて本当に嬉しいです。(昨年国武大に敗戦、今年は勝利、その違いは)昨年から「チーム全体」として取り組むことができたという部分が勝因かなと思います。(伊藤さんは国武大で逆転勝利でしたが)57kg級と61kg級でしっかり勝ってくれたのでその流れを絶対に切らさないという気持ちが出たかなと思います。(入れ替え戦以外は61kg級で出場。入れ替え戦のみ65kg級出場でしたが)チーム全体として勝つために65kgで出場しました。(今後のチームの目標は)僕が4年生として最後に出場する12月の早慶戦があり、昨年はボロボロに負けてしまったのですが、今年は一矢報いて最高の終わり方をしたいなと思います。(早大はスポーツ推薦で選手を集めており、強敵ですが)同じ一部の土俵に立てたので絶対に勝つぞという気持ちで本当に最後の戦いなのでそこは勝ちたいなと思います。
石橋副将
(44年ぶりの1部昇格となった今の気持ち)すごく長かったですね。僕らが入部してからずっと1部昇格を目標にしていて、1つずつ順位を上げていくのを目標にやってきたので、そういう意味で、4年間すごく長かったです。(昇格決定後のポーズの意味)慶應が1番だということを示したかったんです。実力差的に勝てる試合だとわかっていたので、最初からどんなポーズをとるか考えていました。(今後に向けての意気込み)まだまだ実力的には2部の域を出ていないチームだと思うので、来年1部では、厳しい戦いになると思いますが、チーム力を伸ばして、1部で戦えるようにしていきたいと思います。